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【ヒカルの碁 第119局「力試し」】 01/06/04
今週の「ヒカルの碁」、第119局「力試し」。日本棋院で行われていた王座戦本戦一回戦、倉田六段は見事に勝利を収める。倉田は対局後、出版部に顔を出した。この日長野で行われている、塔矢名人と緒方九段の十段戦の第五局、最終戦の模様を知るために。天野記者が「まだ形成は互角だから底力のある名人が勝つのではないか、緒方九段は詰めがまだ甘いし」というのに対し、倉田は「緒方さんもタイトル戦慣れすれば甘さはなくなるし、碁そのものもしぶとさや粘りがでてきた」と言う。それよりも、FAXで送られてきた棋譜を見て、名人の打った手があまりにも「らしくないじゃん」と驚く倉田だった。
翌朝、ヒカルの家。新聞で塔矢名人が十段戦の最終局に負けたことを知ったヒカルは、負けたのは佐為との対局のせいで調子を崩したからではないかと心配し、学校でもうわの空だった。帰りにラーメン屋に寄ったヒカルは、そこで指導碁帰りの倉田六段に出くわす。ヒカルは倉田から名人の対局がどんなものであったかを聞いた。「塔矢行洋らしくない、タガの外れた碁」と聞いてヒカルは不安になったが、倉田によるとそれは「いい碁」であったらしい。名人の持ち味は本来バランスの良さであるが、今回はタイトル防衛戦の最終局にもかかわらず、積極的におもしろい手を打ってくる。碁が若返った、と。それを聞いて、「よかった、引退はないかもしれないな」と思ったヒカルだったが、倉田の口から続けてアキラの名前を聞いて、ラーメンを食べる手がとまってしまった。アキラはこの前名人戦の二次予選で倉田に負けた。しかし本因坊戦の予選はすでに3次予選までいっている。すでに低段者ではアキラには敵がいない。倉田は元々アキラを高く評価していたが、アキラの強さは倉田の予想以上だった。「夏には頭角を現してくるかもしれてない。」と。それを聞いたヒカルは、アキラを追い越すどころか、追いつくことさえできないかと焦ってしまう。でも自分だって力を付けてきていると思いなおしたヒカルは、力を試すために倉田をおだててノせて、碁会所で一局打つことに。対局を始めようと碁笥をあけてみると、黒石と間違って白石が入っていた。倉田はそのまま「一色碁」で打とうという。ヒカルはそんな碁は初めてなので戸惑っていたが、ヒカルのコミなし先番で対局は始まった。
まずは。緒方十段誕生おめでとう!!!! いやあ、この日をどれだけ夢みていたことか。本因坊戦の挑戦者に緒方さんがなったときに、「…緒方本因坊…」と何度となくつぶやきましたが、夢はあっさりと敗れ。そして次の王座戦は、ほったさんの都合で、挑戦者が名人にすげ変えられ…と涙を飲んだものでした。再登場した緒方さんは桑原先生に弄ばれてるし、あまりのヘタレっぷりに「…このままタイトルとは縁のないままアキラに追い越されてしまうのかしら?」と不安になってましたが、ついに緒方さんのタイトルホルダーという夢が叶いました。…でも三勝のうちのひとつは不戦勝だろうとか誰かにつっこまれそうな気はしますが、それでも勝ちは勝ち。緒方十段万歳!! …お願いだからタイトルをすぐに倉田さんやアキラにとられちゃうなんてことにはならないでね。
でも勝てるとは思わなかったなあ。だって名人がいくら病気あがりというハンデを背負っているとはいえ、名人と緒方さんでは格が違うじゃないですか。だから勝てる気がしなかったんですけど、勝っちゃいましたねぇ。もっともだからといって緒方さんが名人よりも強くなったというよりは、名人が勝利よりも碁としての可能性を試す手を打っていたために、緒方さんが勝ちを拾ったようですが。それでも勝ちは勝ち。
私はてっきり名人勝利で最強のまま引退→引退原因はsaiではないかと一般メディアまで騒いで、世界中でsai探しが始まる…という展開になるかと思ってたんです。今回名人が負けたことで、「体調不安に続いて弟子に負けたこと」が引退の理由と周りは受け取りそうですよね。それで一般メディアまで「囲碁界に新しい波」と緒方・倉田・アキラあたりが騒がれる…という展開になるのかな? そして、裏で囲碁マニアの間では、「あの引退はsaiに負けたことが原因ではないか?」と噂が囁かれるという二重構造になりそう。そして、名人が若返り、碁の可能性を追求していくことでさらに「パワーアップ」し、ネットの世界で活躍、ネットで国も世代もプロもアマも超えた究極の囲碁バトルが展開されるとか…いや、そんな「いかにもジャンプ」な展開にはならないだろうけど、名人も物語上引退するわけではないようです。ということは、名人による佐為へのリベンジ戦もありそうだし、佐為はすぐに消えたりしないんじゃないかという感じがするんですが…「ヒカルの碁」の基本構造は「ヒカルvsアキラ」「佐為vs名人」なんですから。
エピソードは、名人の入院のためにアキラとヒカルの対局が棚上げになってからずっと佐為路線になってましたが、これでようやく本筋であるヒカルとアキラの追いかけっこに戻ったようです。でも佐為の存在の危機という爆弾を抱えたままで話は進むわけですから、いつ爆発するか気が気ではありません。今回、ナチュラルに佐為が出てこないのもちゃんと意味があるのかなあ。
予告には、「一色碁決着!!と同時にとんでもない事件が発生」と書いてありますが…今の段階でヒカルが倉田さんに勝てるとは思えないけれども、「一色碁」というのがどういう意味をもたらすのか? 白も黒も区別できないということは置いた石を全部覚えてなきゃいけないということで、記憶力やイメージ力が試されるでしょうが、それでさらに強くなる方法として示唆されるということかなあ。それより問題の「とんでもない事件」とはなんなのでしょうか? 話の流れからすると、名人の引退宣言がテレビで報道されて…という感じですが、それともさらに何かあるのでしょうか。まさかこんなところで佐為の爆弾が爆発するなんてことはないよね…? 不安だなあ。しばらくは物語の展開に神経を痛めつけられそうな気がします。プロ試験編のときも伊角さんが心配でハラハラしたものですが、今の展開はさらにキツいからなあ。こうやって、一喜一憂していくのも連載作品をリアルタイムで追いかけてゆく楽しさですが、早く楽にしてほしいという気持ちもあって。難しいなあ。
あとは小ネタ。
天野さん…緒方ファンを敵にまわしましたね? そりゃファンからみても緒方さんって頼りないところがるけど、そんなところもかわいくて素敵なんだけどれも、こうやって見くびられるのはムカつくなあ。倉田さんのナイスフォロー、サンキューでした。
倉田さんの久々の登場。倉田さんこそ「新しい波」の象徴ですから、これから話の流れはそっちに向かうんでしょう。初登場の時はそれまでみていた夢を粉々に砕かれてしまったせいで思考停止状態でしたが、今回でてきた倉田さんはなかなかかわいいですねぇ。子供っぽくて自信家で単純なところとか。全体にまるまるしてるのも、熊のぬいぐるみみたいでキュートだし。
システム的な説明。王座戦は確か予選を勝ち抜いた16名が本戦をトーナメント戦で戦い、勝ち抜いた一人が王座への挑戦権を得るという方式でした。本因坊戦と名人戦はリーグ戦であとはトーナメントだったんじゃないかな。こういうプロの対局システムも一度ジャンプで特集してきちんと説明してほしいものです。
名人の碁が若返ったのは、saiから受けた刺激と、タイトルの保持だけを心がけたバランスのよい碁にこだわる必要がなくなったというのもあるんでしょう。これからはのびのび打てる、と名人を縛っていたカセが外れてしまった、と。名人本人にとってはそれは幸せなことなのでしょうが、ただ塔矢家の固定資産税がきちんと払えるのか少し不安です。今まで貯めた賞金でそれ位は余裕なのかなあ。
【ヒカルの碁 第120局「一色碁」】 01/06/11
今週のジャンプは全体的におもしろかったです。「ライパク」は試合をしているよりもこういう日常エピソードの方がぐっとくるなあ。「ワンピ」、こういう泣かせのエピソードになるとうまいです。普段は情けないイソップだからこそこういう効果がでるんだろうなあ。あと、「ジャガー」に爆笑。あのジャガーさえもしのぐようなキャラがいるとは。キユの読みきり、青くさい…悪くはないけど必殺ネタというのはありきたりだなあ。でも今のジャンプの層の薄さを考えると、これが連載化される可能性は高いかも。連載化しても長続きするとは思えませんが。
「ハンター」が載ってるや。でもなんか中途半端に投げ出されちゃったような気がしないでもないですな。ちゃんと風呂敷はたたんでくれるのかしら。
今週の「ヒカルの碁」。第120局「一色碁」。碁会所で倉田と一色碁を始めたヒカル。全部の石が白だから、記憶力だけが頼りだ。ギャラリーのおじさんたちにはどんな勝負になっているかは全然わからない状態となっていた。倉田は始めは余裕を持って打っていたが、少しずつ本気になっていく。対局はヒカル優位で進んでいた。しかしヒカルがミス。そのときに倉田はつい「助かった」と考えてしまう。ヒカルはプロに成り立てのヒヨっ子、はるかに格下の相手。名人や桑原本因坊を相手にしているならともかく、なぜヒカル相手に「助かった」と思ってしまったのか。しかもヒカルは一色碁は初めてのはず。…下から突き上げてくるのは、塔矢アキラだけではないことに気が付いた倉田だった。「もうひとりいた!!」
倉田は考えごとをしていたせいで、盤面をすっかり忘れてしまい、ぼんやりとした記憶を辿ってとりあえず石を置いた。ヒヤヒヤしている倉田を後目に、ヒカルは中押し負けを宣言する。その碁ヒカルは検討に入るが、ヒカルにとってそれは一色碁ではなく、普通の碁とかわらないものであったかのようだった。
「複雑な勝負だったけど勝てる自身はあったのにミスが痛かった」というヒカルに、倉田は色紙に「倉」の文字だけ書いて渡す。「公式手合でオレに勝ったら続きを書いてやる」と。それを聞いて、「倉田さんがオレを認めてくれた?」と驚くヒカル。
そしてその時、テレビで塔矢名人が引退を表明したニュースが流れていた。
今回は順当な話の展開なのであまり書くことはないのですが。今週もナチュラルに佐為がでてこなかったねぇ。勝負そのものよりも、佐為がいないことによる緊張感の方が強いかも。
一色碁はどんな影響を及ぼすかと思いましたが、結果としてはヒカルの才能を示すエピソードでした。ヒカルにとって一色碁は普通の碁と全然かわらない…それだけ記憶力・集中力が優れている、と。倉田さんは(いくら最初は本気でなかったとはいえ)一色碁だったためにヒカル相手にヒヤリとしてしまう。そして、一色碁ゆえに、ギャラリーには戦いが見えないから、今回の一局はヒカル(+佐為)と倉田さんの中にだけ残るという形で。それで倉田さんにヒカル絡みの因縁が残りました。で、重要なのは倉田さんにとっては、佐為が関わらないヒカルの実力そのままが印象に残ってるわけです。倉田さんは御器曽さんと佐為の対局の中身はみてませんから。ヒカルの主要ライバルのうち、ヒカルの実力だけしか知らないのは今のところ倉田さんと秀英くんだけなのです。あとの人達はsaiや佐為になんらかの関わりを持ちますから。…そういった倉田さんの役割がどう今後効いてくるのか。
今回も、ヒカルの才能の片鱗や実力の急成長を示すエピソードとなりました。それがしばらく続いたということは、またなんかありそうだなあ…ほったさんって順当な展開のあとに、いきなり爆弾を出したりする人だから、油断できないんですよ。あまりにヒカルが好調すぎるから、そろそろスランプになるエピソードにつながるような気がします。院生になったばかりの時の話や、プロ試験予選のときのように。今の段階でスランプにつながる可能性といえば…まず思い浮かぶのが佐為の喪失。絶対にそうはなってほしくないけど…なんか先を知るのが怖い感じです。前回のエピソードからすると、佐為の消失はしばらくはないだろうと思ったのですが、なんだか不安になってきました。
それにしてもヒカルの急成長ぶりは怖いほど。この分では、十代のうちにタイトルどころか、1,2年のうちに一流棋士になりそうな。倉田さんによるとアキラは「夏には頭角を表す」そうですから、そんなアキラを追いかけるようにヒカルもでてくるんだろうなあ。ヒカルは碁を覚えて2年もしないうちにプロになって、そしてまだプロとしての手合すら体験していないのに(初手合はアキラのせいで不戦勝でしたから)、トッププロの倉田さんを感嘆させるだけの力を付けてしまったんですよね。「進藤」は「神童」からきてるのではないかという説は前からよく言われていますが、このまま行けば作中の世界でも「神童現れる」と騒がれそうだなあ。緒方さん、倉田さん、アキラも含めて時代は一気に「新しい波」に傾くということかしら。
そういえば名人の引退。読者としては予想通りの流れではありますが、作中ではかなりの混乱を引き起こしそうだねぇ。緒方さん、名人の引退がsaiのせいだと思い込んで、「saiに会わせろ!」とヒカルに詰め寄ったりしないかしら。少し期待してたりします。
次週はお休み。「ヒカルの碁」の連載始まって以来、初のお休みなんじゃ? いくら原作があるとはいえ、週刊誌連載であのレベルの絵を書きつづけ、頻繁にカラーは回ってくるし、小畑先生もオーバーワークでしょう。特に今年に入ってからは月イチペースでカラーがきてましたから、このあたりで少し休むのはいいことだと思います。…読めないのは寂しいけどねぇ。でもその次は、表紙&巻頭カラーということで楽しみにしましょう。でも連載の区切りやジャスト回数でもないのに表紙と巻頭カラーっていうのはなんか企画あるとか? 前から噂になってた(4/19の朝日新聞の碁がらみの記事に載ってたからほぼ決定してるようですが)アニメ化の発表とかあるのかなあ。
【ヒカルの碁 第121局「塔矢行洋引退!」】 01/06/25
2週間ぶりの「ヒカルの碁」。第121局「塔矢行洋引退!」 名人の引退発言をうけて、囲碁関係者に衝撃が走る。四冠の名人が引退すればタイトル戦はどうなるのか? 棋院はおおわらわだ。出版部の天野は驚くばかり。名人の後援会会長も事情は知らされていなかった。森下九段の門下生たちはとまどいの中、体調不安のせいか?と推測していた。自分はまだタイトルを奪っていないのに、と子供のように怒る倉田。「…行洋の家に行ってみる」とだけ呟く、名人と同期の森下九段。タイトルと引退は関係ないだろうとイヤミったらしく言う座間。名人の碁はこれから新境地を開くものであるので、限界を感じての引退とは思えない緒方十段。名人がネット碁でアマに負けたという噂を聞きつけて棋譜を手に入れたらそれが名局、「saiに負けて引退」という噂は嘘だと売店のオバさんに一方的にまくし立てる一柳棋聖。何もかも悟ったかのように「―ったく、ワガママな男じゃのう 塔矢行洋」と呟く桑原本因坊。
そして、名古屋。アキラは対局のために日本棋院中部総本部に来ていた。そこで父親の引退は体調のせいか?と聞かれる。引退の理由はアキラも知らないが、父親の体は元気だと告げるアキラ。アキラの母の明子は、理由はしらないけど、「心配しなくてもいいわよ」と。なぜなら「あの人は思い悩んでるようなカオしてないもの」と。しかも名人の家には棋士が何人も来ているので、対局に困ることはない。それでも納得できない棋院の職員に、「父の好きにさせてあげて下さい 代わりにボクが頑張りますから」と笑顔で告げるのだった。そこにひょっこり現れたのは妻の実家の法事のために名古屋にきていた一柳棋聖。棋聖に名人の様子を聞かれ、「碁を打ってますよ。森下先生や大久保先生もきました」と答えると、「そういえば倉田くんも行ったってなあ」と棋聖の口から倉田の名前がでてくる。倉田の名前がでてくると、とたんに表情が思いつめたものになるアキラ。…倉田が名人のところにきて一局指したとき、アキラも側にいて対局をみていた。碁を自由に打つために引退したという名人の理由を聞いても納得のできない倉田。やはりタイトル戦の空気の中でしか打てないものもあるはず、だと。しかし名人にとっては、様々なしがらみや移動などで時間を潰さなければいけないことの煩わしさも無視のできないものであった。倉田は言う、「これからは先生はこの家にいるだけで対局相手の方がやってくるわけですか。このオレのように」 「また来ます」という倉田を玄関まで送っていくアキラ。倉田や緒方を目指して頑張る、この前は倉田に負けたが今度は勝ちますというアキラに、「キミは上ばっか見てるな 下にもコワイのがいるのを知らないだろう」と言う倉田。「キミのすぐ後ろに 進藤ヒカルがいる」と。思いがけなくヒカルの名前を聞いて、それまでの愛想のよいアキラの表情は険しいものに変わった。倉田までもがヒカルに注目している……対局を前にしてアキラは、今日の対局さえなければ東京のヒカルの対局を見に行けたのにと、ヒカルに思いを馳せるのだった。
そして東京。若手棋士ふたりの会話はやはり名人引退についてだった。片方の人(三段)の本日の対局の相手がヒカル。彼はヒカルは新人だし、プロ一戦目はアキラに不戦勝だったため実質これが初対局、ヒカルの過去の対局も去年の若獅子戦は一回戦負け、新初段戦もメチャな碁だった。正直大した相手だとは思っていなかったが、落ち着き払ったヒカルに少し動揺する。
なにか一皮剥けたかのような表情のヒカル。「19路の碁盤がいつもより狭く感じる 負ける気はしない」と。そんなヒカルをみて、「ヒカルが神の一手に続く道を歩みだす― 私でなくヒカルが― 神のさだめたこの運命にはあらがえないのか?」と寂しげな顔で自らの思いに篭る佐為だった。
一週あいてた分寂しい思いをしましたが、その分今週はオールスターキャストで満腹。しかもカラーですし。サファリルックのヒカルがかわいいです。質感の出し方があいかわらずうまい。眼福でした。
名人の引退へのトップ棋士それぞれの反応がキャラの個性を見事に表してるのがうまいですなあ。個人的には森下九段と名人との間にある絆を感じられたのがなんだか嬉しかったです。森下九段の訪問したときの様子は本編では描写されませんでしたが、なんか想像を刺激するというか。若手はオロオロという感じですが(ズルイって子供のように怒る倉田はとてもらしい)、オヤジたちの反応が深い。最後に桑原本因坊の何もかも分かったような感じのつぶやきでしめるあたりが、見事。
これでわかったのは、名人の引退がsaiに負けたせいであるという噂が流れているということ。やはりあの対局をみてた人は多いんでしょうねぇ。名人から直接話を聞く機会ができる日本ならともかく、世界中のネット碁ではそれが真実かのように語られていくのかなあ。
アキラは父親の引退に取り乱したりしなかったんですね。それについて詳しい描写はされてませんが、saiとのことでなにやらうすうす感づいていたのでしょうか。それにしても明子さんはさすがあの名人の奥さんというべきか。ああやってありのまま受けとめてあげる度量というのはすごいですね。でも作中でも語られてましたが、生活に困っていないとはいえ年収1億円がふいになるんですよっ。……お金にはあんまり執着してないんでしょうね、あの一家は。
アキラはあいかわらずというか、もうヒカルのことになったら盲目です。ある方のレポを読んでて気がついたのですが、アキラとヒカルって、「もう二度とキミの前には現れない」と5巻でアキラがヒカルに告げてから、この前の病院で「進藤?」「塔矢!」まで2年間、言葉交わしてないんですよっ!! …少年マンガにおいてライバルが物理的に遠く離れてるならともかく、顔を合わす機会が何回もあるのにコレって一体……そのくせ互いに気にはしてて、アキラはジャンプ編集部にさえ「ストーカー」呼ばわりされる始末ですから。変わったマンガだなあ。もうしばらくアキラとヒカルのすれ違いは続きそうですが、だとすると近々あるはずの若獅子戦は一体…これはまた後述。
まさしく一皮剥けたかのようなヒカルの顔。絵だけでそれまでのヒカルとは何かが違うことを一瞬で読者に悟らせてしまうんですから、すごいです小畑先生。19路という広さを持つせいで、現在のコンピュータでも処理しきれないような無限の可能性が生まれる碁盤でも、今のヒカルにとっては狭くすら感じるほどとは。急激な成長なんだなあ。そのぐんぐん成長するヒカルゆえに佐為は複雑な思いを抱いていますが、とりあえず3週ぶりに佐為が出てきたことはよかったとして、ヒカルも佐為があんな表情してきたら気がついてやれよ〜〜〜。佐為にしてもそんなにマイナス思考に入るなよ〜。ヒトはヒト、自分は自分であって、誰かが誰かの道具なんかではないのです。そのことに早く気がついてくれないかなあ…ほったさんのことだから、「自分はヒカルが神の一手を極めるための道具だ」という思いに佐為が囚われてるまま消滅なんてことはないと思いたいのですが…
あと今回の小ネタでは、アキラの口から出てきた「大久保先生」って誰?ってところでしょうか。森下先生と並んで名前がでたということは、実力派棋士なんでしょうね。本格的な登場が楽しみです。
さて、ここでここしばらくの展開を時系列で整理してみましょう。
4/4(水) ヒカルとアキラの大手合。名人が倒れ、ヒカルの不戦勝
4/7(土) 名人ネット碁開始。ヒカルが名人の病室にお見舞いに。名人、saiとの対局を約束
4/12(木) 十段戦第四局。名人vs緒方は名人の勝ちで2勝2敗に。
4/14(土) 名人とsai、ネットで対局。sai勝利。佐為、自分の存在を危うく感じ始める
4/15(日) ヒカルが名人の病室に。そこでの話を緒方に聞かれる。アキラとヒカルがニアミス
4/17(火) 森下九段の勉強会に参加するヒカル
4/19(木) 十段戦第五局。名人vs緒方は緒方の勝ちで緒方が十段位をゲット。
4/20(金) ヒカルと倉田が碁会所で一色碁を。名人の引退宣言。
4/21(土) 倉田と名人の対局。アキラが倉田からヒカルの名前を聞く。
4/22(日) アキラは中部で対局。ヒカルは東京で大手合。
ヒカルがプロになった頃が遠い昔のような気がしますが、まだ作中ではこれだけの時間しか動いていないわけです。作中の世界はジャンプでの連載とほぼ同時進行ですから、今は同じ2001年。佐為の砂時計が動き初めてからすでに一週間経ってます。数日の命であるかのような反応を佐為がしてたので心配でしたが、とりあえず一週間は持った、と。
今後の展開として、5月に入れば若獅子戦があるんです。ヒカルはもうかなりの力をつけてきてますから、去年みたいに一回戦負けとはならないでしょうし。勝ち続けるならアキラとの対局があるだろうし…でもここまで散々スカしてきて、若獅子戦程度でアキラとの対局が実現するとも思えないんですよねぇ。うーん。アキラかヒカルのどちらかがトーナメントに参加できないような事情がでてきてしまうとか? あんまり考えたくないけれども、ヒカルが佐為を失ってしまったせいでズタボロになって絶不調で一回戦負けになるとか…
そして、7月に入ればプロ試験の予選開始です。門脇さんは今年は挑戦するのか? 伊角さんの復活はなるのか? ぜひ書いてほしいんですけどねぇ。
ここしばらくの展開で現実との時間軸がズレちゃいましたから、また途中で季節をポーンと飛ばされちゃいそうな気はしますが。さあて。予告は「ヒカルの驚くべき急成長ぶりを目の当たりにした佐為の想いは…!?」となってますが、…まさかここで爆弾が爆発するようなことはないですよね? ジャンプの予告ってアテにならないかなあ。
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