加賀はスクーターに乗って葉瀬中に向かっていた。卒業以来、足を踏み入れてなかったが将棋部の顧問に後輩を鍛えてくれと頼まれたのだ。
二学期になって、囲碁部は小池ひとり。部員を集めようと勧誘のチラシを配ったりしてもまだ誰もきていなかった。それでも声をかけてくれるあかりに心配をかけないよう、小池は元気よく答える。
放課後、理科室に向かった小池は中に人の気配を感じる。ふたりの一年生がいた。ただし一人は将棋部の人で友達の付き添い。その入部希望(?)の1年生・矢部は、部員がひとりしかいないのにがっかりし、学校にいるプロ棋士も囲碁部には来ないことを知ると入部する気をなくしていった。相手がいつも同じだとつまんないし、しかもその先輩が自分より弱かったりしたらたまらない。そういうと、小池は喜び勇んで打ってみよう、と持ちかける。「ボクがキミより強かったらさ 囲碁部に入ってくれるんだろ!?」
葉瀬中についた加賀は将棋部に行く前に囲碁部に寄ってみようかと思いついた。理科室では、矢部と小池が打っていた。小池の弱さに囲碁部に入る気をなくした矢部。加賀は囲碁部が1名しかいないと聞いて、またふりだしに戻ったのか?と思い、ひょいと窓枠を乗り越えて理科室に入ってゆく。この程度の腕でよく囲碁部っていえるなあと暴言を吐く矢部に、だったらお前が部長をやれよとけしかける友人。そこに突然現れた加賀は盤面を覗き、偉そうなことを言ってるわりにはどっちもヘボだと切って捨てる。「部外者は出ていってください」という小池に加賀は3年前の囲碁大会で大将をつとめたのは自分だというと、小池は加賀のことを「たったひとりで囲碁部を作った伝説の筒井先輩」だと誤解してしまう。その状況をおもしろがった加賀は、矢部に自分が一局打つから、もし負けたら囲碁部に入れと言い出す。それも七子置きで遊んでもらうのがいいか、互戦であっという間にやられてしまうのかいいか選べ、と。加賀が自分も忙しいから互戦でやることにしたが、小池はその筒井(?)の圧倒的な力に驚嘆していた。これだけ強いから、葉瀬中囲碁部は生まれたんだし、皆がついてきたんだと。この人がいたから進藤先輩もプロになれたに違いない。
負けは認めたものの、矢部はたとえOBの筒井(?)が強くてもいつも打ってもらえるわけじゃないし…とブツブツ言うが、加賀は「お前が人を集めたらいいんだ」と切って捨てる。
矢部の友人が囲碁部に比べて将棋部は体育会系のノリで厳しく、今日も加賀という怖い人がくるからサボったんだ…という話をしていた。帰ろうとしていた矢部に小池は必死で囲碁部に勧誘をする。部長の座は明渡して、面倒な雑用は全部自分がやってもいいから囲碁部に入ってほしい、と。その熱心さに押されて、矢部はつい入部を承諾してしまう。部長は自分にはふさわしくないから小池にやってもらいたい。自分も勧誘するのを手伝うから、そのかわり小池にはもっと強くなってほしい、と矢部はお願いして小池は喜んで承諾した。
なりゆきを聞いた加賀は矢部の友人についでに囲碁部に入れと言い出す。3人いればとりあえず大会にはでることができるのだから。文句を言う友人に、加賀は将棋で勝負を挑み、負けたら囲碁部に入れという。しかも、加賀はハンデをつけて、六枚落ちでかまわない、と。
翌日、廊下であかりをみつけた小池は昨日筒井先輩がきて、彼のおかげでふたり部員が増えたと嬉しそうに報告する。そこに筒井の名を聞きつけてヒカルが、そして三谷もやってくる。小池の語る「カッコいい」「碁がものすごく強い」という筒井先輩の話に、頭をひねるヒカルと三谷だった。
話としてはいかにも番外編、わりと「どうでもいい話」なんですが、テンポがよくておもしろかったです。何より加賀くんが、もうカッコよくてっっっっっっっ!! これだけ魅力的なキャラが本編ではもう用済みなんてあまりにももったいなさすぎる…それを言い出すと「ヒカルの碁」では出番のなくなってしまった魅力的なキャラがたくさんいますが、脇キャラにすら魂をきちんと吹きこめるほったさんと小畑さんの力が凄いということで。
表紙のイラストの加賀くんからしてもうたまらんです。ビジュアル的インパクトの強さ。あまりにも加賀くんがカッコよくて… あ、でもこの絵に小畑先生のお友達のマンガ家・浅田弘幸さんのティストを感じたのは私だけでしょうか? 浅田さんのイラストもスタイリッシュでカッコいいんですよね。
あと「6枚落ちでいいぜ」のシーンがもう!! カッコいいよ〜小畑さんの絵にも力はいってて、いいデキですなっ!!
こねずみのような小池くんも健気でラブリーすぎます。かわいい…失礼な言動をとってる矢部くんではありますが、きっと小池くんの熱心さに感化されて彼も更正(?)してくれるでしょう。囲碁部、発展するといいね。
最後にヒカルもちょろっとでてくれて嬉しかったです。三谷くんはまたヒカルへの反発というのは捨てきれないみたいで。これの解消は本編でしてくれるのか、それとも三谷くんの番外編でやってくれるのでしょうか。
それにしても、これだけ強い加賀くんでも岸本くんよりは弱いし、その岸本くんもフクには勝てないだろうし、まして今のヒカルの強さといったら… 加賀くんが「100メートル10秒」だとしたら、アキラやヒカルって「何秒くらい」になるんでしょうか。
さて、次の番外編は奈瀬明日美ちゃんで「囲碁に燃える女の子の悩みとは…!?」で31ページ。ただし2週お休みで16号に掲載。またしても待つのは辛いですが、毎週31ページも書いてたら持つわけないもんなあ、小畑先生。5月1日発売のイラスト集もあるんだし。
コミックス16巻は3/4発売で、表紙は伊角さんだそうです。あと新情報としては、ジャンプjブックスで「ヒカルの碁」が3/22発売。表紙書き下ろし。これは小説なんですが、誰がノベライズするのかなあ? 集英社のページをチェックしてみましたが情報は載ってませんでした。あのレーベルの中には腕のある作家さんもいるんで、そういう方にやってもらえればいいんだけどなあ…
「朝鮮日報」にほった先生が取材で韓国トップ棋士のチョ・フンヒョン九段の元を訪れたという記事が載っています。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/02/24/20020224000006.html
おそらく第二部の日韓中Jr.杯、もしくはもっと先の展開の取材なんでしょう。韓国編ということは秀英くんもでてきますね、楽しみです。
記事によるとコミックスは累計で1200万部売れているそうです。「はなまるマーケット」でも同じ数字を出していましたから、これが公式販売数(出荷数?)なんでしょう。1冊平均80万部。(ちなみに「ONE PIECE」の最新刊22巻だけでジャンプ12号によると238万部だそうです。「ヒカルの碁」はその1/3ですね。)
個人的にびっくりしたのは、担当編集者の高橋雅奈さん(男性です)の年齢… 「はなまるマーケット」2/19放映での「子供の囲碁ブーム」特集で高橋さんもVTR出演してたんですが、それをみて「あ、思ったより若い人なんだ〜。20代後半くらい?」と思ってたんですよ。まさか40近いとは!! そんな風に見えなかったのに。