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【ヒカルの碁 読みきり番外編シリーズ 第四回「三谷祐輝」】 02/03/25

三谷の部屋に姉が入ってきて、見なれぬCDを見つけ、お金の出所を問いただす。不景気ゆえ、三谷は小遣いをあまりもらってないのだ。姉がバイト代から少しあげてはいるものの、それでは追いつかないはずなのだ。反抗的に姉に怒鳴り散らす三谷。
学校の廊下で三谷は囲碁部員募集の詰碁ポスターをみつけ、正解を書き込む。それをたまたまあかりがみていた。放課後、筒井が詰碁の正解を書いた人がいると喜びいさんでヒカルに報告する。それをみていたあかりにつめよる筒井とヒカル。
三谷はのんびり遊んでいるだけの囲碁部には興味がない。碁会所に行く途中、三谷は欲しかったMDプレイヤーが特価19800円で販売されているのをみつけた。
碁会所で、常連との賭け碁でそこそこ三谷は儲けていた。碁会所のマスターの修さんは三谷を可愛がってはいたが、三谷が打つところを痛ましそうにみつめていた。碁会所の常連が三谷は勝ちすぎだと喋っているのを聞いて、「これ以上勝っちゃイケナイヨネ」と修さんは呟いた。扉が開いて、碁会所にヒカルがやってきた。
局面が少し不利になった三谷は、続けてズルをすることのリスクを感じつつもMDプレイヤーほしさに整地のごまかしを行なった。
とある麻雀荘、イカサマをしようとした男の手をダケさんが取り押さえる。ダケさんはそういうタチの悪い「熊」を退治を請け負っているうさんくさい男だった。
対局に三連勝した三谷は何かいいたげな顔をしたヒカルを無視して碁会所をでていった。これでやっと1万円くらいたまったが、MDプレイヤーはまだ遠い。千円ずつの対局では時間がかかる、賭けのレートが高ければ楽に稼げるんだが…
夜、修さんがダケさんに電話で頼みごとをしていた。整地でいじる困った客がいるのだ。タチの悪い熊ではなく、掛け金も千円にすぎないかわいい子猫ではあるが。まだ中学1年生、客とのトラブルが起らないうちに追い出さなければならない。ダケさんはカワイイ子だったら自分を呼ばずに修さんが一言言ってやればいいだろうと皮肉を言う。ダケさんは見ぬいていたのだ、修さんが息子や孫とうまくいってないこと、そしてその子猫に嫌われたくないんだろう、と。「寂しいなァ 修さんも」
碁会所でダケさんと修さんは打ちながら三谷を待っていた。やがて三谷がやってくる。ヘボなうち方で修さんに負けたダケさんは1万円を手渡す。ヘタなのに大金をかけるダケさんをみて、MDプレイヤーの資金ほしさに三谷はダケさんに1万円の賭けを申しこんだ。ダケさんはにこやかな顔のまま、「簡単だねェ 子猫はよ」と心の中で呟いていた。


原作3巻のエピソードの裏話。ダケさんエピソードは好きなところではありますが、正直今回のは…。匂いまで漂ってきそうなダケさんのうさんくささの描写や、修さんの気持ちの描き方とかうまくてそれはそれで読み応えはあるんですが… でも、修さんが三谷が憎くてハメたわけじゃないとか、ダケさんが裏世界に近いところに住んでそうとか、三谷くんのズルが「バレなきゃいい」という感じのちょっとしたデキ心から程度だったとか、そういうのは本編の描写だけでも十分想像できる範囲じゃないですか。「ヒカルの碁」本編の魅力のひとつに「ムダのないエピソード展開」というのがあります。書かなくてもいい話はバッサリと切り落とす。本編のそういう思いきりのいいところが私には魅力的だっただけに、今回のような「この話がなくても支障がないし、読者にとって既知の話を語りなおす」というのでは物足りないものがありました。
それでも小畑さんがノリノリで描いたであろう「ダケさん」の描写は見事でしたし、三谷くんがかわいかったし、三谷姉もでてきたからいいか。

ほったさんは番外編は本編とはかかわりがない話に徹底するつもりなんでしょうね。だとすると、三谷くんとヒカルの和解は本編でいずれやってくれるのでしょうか。
以前にも書いたことありますが、ほったさんって金銭的なことにはとことん細かいんですよね… 私はそれはほったさんの「主婦魂」から来てるのかと思っているんですが、以前「子供にはお金にルーズになってほしくないという親世代としての願いも込められているのでは?」という意見をいただきまして「なるほど」と思ったものでした。
「バレなきゃいいや」と倫理観が少しマヒしてしまっている…そういうのは特別な「不良」な子供ではなく、ごく普通の子にも少なからずいるのではないかと思います。本来見本となるべき大人達だって日常業務の一環で「不正」を行なったりするし。そんな大人の背中をみていたら、子供のモラルハザードが起こるのも無理はないかも。
ただ、こういう場合は大人がちゃんと自分の口で注意するべきなんですよね。修さんは息子や孫との気持ちのすれ違いを体験してしまったせいで、臆病になったんでしょう。自分が嫌われたくないからダケさんを頼って。でも修さんのそういう気持ちをダケさんに見ぬかれてしまい、ダケさんは三谷くんにわざと修さんが絡んでいたことをバラしてしまったんですよね…
ただ三谷くんもお金儲けじゃない囲碁に燃え、囲碁部でヒカルやあたりや筒井と交流することでちょっとヒネてた気持ちが変化して。
三谷くんもマスターが自分を嫌いで罠にハメたわけじゃないと分かっていて、夏休みにはあの碁会所に行こうかと三谷くんも思えるようになるという救いがありましたが、それには「ちゃんとそういうのがわかる子でいてほしい」という「母親」としてのほったさんの思いが伝わってくるような気がしました。

残念ながらまたしても休載。次は21号…って3号も間があるじゃないですかっ。それは辛い… 今度番外編の主役は倉田さんで、囲碁と出会う前、中学生の頃の話だそうです。この番外編は人気キャラしか主役をはれないのかと思ってました(失礼)。それだったら緒方さんの話もすごく読みたい…

ファンブックが4/4に発売。ここに佐為の読みきりが入るそうですが、これはジャンプのキャラ番外編予告にあった「藤原佐為」がこっちにきたということなんでしょうか?あと、今年の夏にGBAの「ヒカルの碁2」がでるそうです。今度は院生編。一作目は囲碁初心者向けのキャラゲーとしてのデキは悪くなかったので、今度も期待。今度は緒方さんもでるといいのになあ。


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