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【ヒカルの碁 第131局「中国棋院」】 01/09/10

第131局「中国棋院」。中国棋院。伊角たち九星会の面々は北京空港から中国棋院に向ってタクシーを飛ばしていた。一度は九星会まで辞めてしまった伊角だが、気持ちを立て直して今年こそはプロ試験に受かるつもりでいた。同行の女流プロ棋士・桜野は伊角びいきか、伊角の実力は十分プロに値するし、自分もプロ試験に受かったのは二十歳を過ぎてからだったという話をしていた。九星会の成澤先生(体を悪くして引退した棋士)も伊角のことを気にかけていたから、今回の中国との交流訪問に伊角を誘ったらしい。伊角も今回の中国訪問には気合いが入っていた。今回の対局をプロ試験だと思って受けてみよう、と。
中国棋院に辿り着き、さっそく対局が始まった。伊角の対局相手は趙(チャオ)という12歳くらいの子供だった。その彼に伊角は負けてしまった。周りは悪くない対局だと言ってくれたが、伊角は納得がいかない。気持ちが力んで自分の力を出せなかった、それで負けて納得がいかない…と。時間もきたのでお昼にすることに。

一方、ヒカルは近所の公園で、かつての佐為との思い出に浸っていた。石ころを碁石に見立てて打つ練習をしたときのこと。…ヒカルは気がついてないようだが、それは名人を前にして初めてヒカルが「打ちたい」という気持ちを押さえきれずに自分の意志で一手を打った、そのあとのできごとだったのだ。ヒカルが、今のヒカルになってしまった分岐点。
そこに和谷が現れた。手合いも研究会も休み続けるヒカルを心配して、家まで見にきたらしい。森下先生も怒っている、一体どうしたんだ?と苛立ちながらヒカルを問い詰める。しかしヒカルは何も答えない。ヒカルにとってもう囲碁はどうでもよくなってしまった。ただ佐為に会いたい…和谷はヒカルに、ひとり暮らしを始めてそこに院生のみんなも来てるからこい、と言う。目さえ合わそうとしないヒカルに和谷は「おまえだけだぞ 止まってんのは!」と。和谷は大手合は2勝1負、越知はなんと4連勝している。院生の面々もプロ試験に向けて頑張っている。伊角も中国棋院で修行をしている…伊角が中国に行ってることに少し驚くヒカルだが、和谷は「今年伊角さんゼッタイ受かる」、伊角がプロになったときにさぼってましたとでもいうのか?とさらに問い詰める。
「はずかしくねーのか! 碁は打ちてえんだろ!」
今のヒカルはその言葉に答えることができない。和谷は突然「16の四 星!」と叫び、続きを考えただろ、と。碁打ちなら反射的に次を考えてしまうものだから。しかし自分では打たないことを誓ったヒカルは慌てて、何かから逃れるようにその場から走り去った。

そして中国棋院では、桜野が中国棋院の劉と話していた。今年は成澤先生は腰を痛めたせいでこられなかったこと、そして伊角の話。劉も伊角はプロでないのが不思議に思える、と実力を認めていた。桜野は言う、伊角は自分をもしのぐだけの力もあるのに、モタモタしていて…成澤先生も伊角に期待を抱いているだけに歯がゆく思っている、そしてその分伊角本人も今年のプロ試験には期するものがあるに違いない、と。
伊角たちは交流対局の予定をすべて終えて、あとは帰国するだけになった。買い物だとか観光だとかの話をする同行者の中で伊角はひとり思いつめた顔をしていた。趙との対局、納得のいかない負け方をしたまま帰国できない、と。プロ試験に向けて自信を付けたいという気持ちもあった。伊角はひとり帰国を1日遅らせても、もう一度趙と対局をするつもりだった。同行者たちにそのことを告げると、あの趙という子供は特別なんだと諌められる。中国大陸全土のプロ棋士の中からさらに才能がある子が集められてこの中国棋院に暮らしている。趙はその中の一人なのだから、と。しかしそれでも引き下がらない伊角の意向を劉に伝えると、中国棋院の李先生は、趙は対局のため今は地方にいると教えてくれた。落胆した伊角に「あと数日間滞在して、趙の帰宅を待ちながら他の者と対局して修行してはどうか」と逆に劉は持ち掛け、李先生も賛成してくれた。予想外の成り行きだったが、伊角は「いい勉強になるかもしれない」とそれを受け入れることにした。


おお、ここで噂の(?)桜野千恵子さんが登場ですか。でも勝手に監修の梅沢由香里さんのような清楚な雰囲気の美人に違いない…と思い込んでいたので、イメージが違って残念。それにしても伊角さんと仲いいですねぇ。なんたって「慎ちゃん」ですもの。同じ九星会出身だからそれだけ伊角さんに目をかけて可愛がってるのでしょうが。でも「慎ちゃん」って…
伊角さんは見た目の頼りなさは相変わらずなものの、精神的には1年前よりもかなり強くなった感じがしますね。最後まで諦めないで力を振り絞ろうという気力がでてきたのはいい感じがします。こういう風にいけば今年は合格できそうな…いやでもあのほったさんですからねぇ。あの人なら容赦なく落とすこともありえそうですもの。簡単に合格はさせてくれないような気がします。
とにかく今回の伊角さん中国武者修業編は単に「人気投票一位のキャラを出すことで人気とりをする」ものじゃないのは確か。そんなほったさんがキャラ人気に左右される人であったなら佐為は消えることはなかっただろうし、三谷くん、筒井さん、加賀くんも意味なく頻繁に登場するはずですから。ということは今回のエピソードもちゃんと本編に絡んでくるとは思いますが、一体どういう方向で…国際棋戦に趙くんが登場するエピソードの前振りであるというのは確実でしょう。でもほったさんはひとつのエピソードに何重もの意味を持たせるということをよくする人ですから、それだけで終わるとも思えませんが。

本編の日時は、すでに越智くんが大手合を4戦済ませてることからしても5月下旬あたりではないかと思います。ヒカルの制服がまだ冬服ですから6月にはなってないでしょう。佐為が消えたのが5月5日の早朝ですからそれから3週間くらい経ったのかな? ヒカルはまだ佐為が完全に消滅としたとは思ってない感じですね…いや、本当に大切な人がふうっと消えてしまったら、たった数週間で「もう帰ってこない」と思いきれるようなものじゃないでしょう。ましてヒカルにとっては初めての喪失なのですから。あがいて探しまわることはすでにやってしまった。今の彼にできるのはささやかな願いを心の底に持ちつづけることだけ。
ヒカルは囲碁への情熱を無くしてしまったように見えるけれども、それは今は佐為への思いが心のすべてを占めているせいと、佐為への贖罪というか今まで自分で碁を打ちたいから佐為に打たせてやることができなかった気持ちへの反動だとは思いますが。こうやってじわじわと何かを失っていくということは、そう簡単に情熱を取り戻して復活はできなさそうですが、その決定打はどこからでてくるのかなあ。それにしても、誰にでも分かるような壊れ方をするんじゃなくて、表面上は日常生活を続けながら心の底でひっそりと悲しみを反芻している…という状態の方がみてて辛い。どれだけ深い悲しみに囚われているのか、あの作中の登場人物は誰もわかってあげることができないのですから。

ずいぶんご無沙汰の越智くんですが、密かに頑張っています。今後は物語上用なしかと思ってましたが、彼にもなんらかの役割はまだあるかもなあ。アキラが抱えてる「ヒカルの秘密」を唯一知ってるプロ棋士なんだし。

さて、予告では次週は伊角さんが何かトラブルにあうそうですが…

アニメ情報はアキラと名人の設定画が載ってました。名人の声優は津田英三さんだそうです。アニメ放映まであと一か月となりました。不安はあるものの、私は結構楽しみにしています。


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