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【ヒカルの碁 第142局「走り出した二人」】 01/12/03

第142局「走り出した二人」。辻岡が見守る中、ヒカルは復帰第一戦を中押し勝ちで決めた。ヒカルの見事なうち回しをみて、辻岡はヒカルがやはりアキラのライバルだったのか、と思う。
ヒカルは対局後、事務の坂巻にずっと対局に来なかったことで説教を受け、謝っていた。その後、話は名人戦予選のことに。一次予選、ヒカルの対局相手はアキラ。ヒカルは前日に組み合わせ表が郵送されてきて、それをみて知っていた。アキラがタイトル戦の予選を勝ち進んでいてスケジュールが詰まっているために、アキラとヒカルの手合はまだいつになるかわからないらしい。坂巻は最後に、ヒカルに期待している人もいるんだから頑張るように告げ、ヒカルは帰った。入れ替わりに出版部の天野がやってきて、ヒカルに期待していたというのは誰か聞いた。坂巻は桑原本因坊がヒカルとアキラがまるで対等であるかのようなことを言ってたと天野に告げる。「なァ天野さん 我々は囲碁界の未来を楽しみにしてていいのかね」
プロ試験予選が始まった。片桐、門脇、そして伊角の姿があった。試験監督の篠田の元に、天野がやってきてプロ試験の話となった。「門脇くん、伊角くんあたりが本命ですか?」と聞く天野に、篠田は今年の伊角はたくましくなったと嬉しそうに告げる。囲碁界では才能の開花が早くないとダメなように言われているが、成長のペースは人それぞれ。「人生遠回りは悪くない」と。
そして、ヒカルと辻岡忠男二段の大手合は、ヒカルの中押し勝ちだった。天野はヒカルが勝ったのをみて密かに思う。「来るんだろうか 新しい波が 進藤くんの力は本物なんだろうか」
一方アキラも破竹の進撃を続けていた。王座戦二次予選ニ回戦松永利之六段相手に中押し勝ち。天元戦二次予選一回戦上前津宏七段相手にも中押し勝ち。高段者を次々と屠ってゆくアキラをみて、天野は「来るかもしれない 新しい波が 塔矢アキラを先頭に」と思うのだった。


このままだと、流れがいきなり「新しい波」にいっちゃうのかな。作中時間であと数年はかかるかと思ってたんですが…ううう、このままでは緒方さんがタイトルをとってもすぐにアキラにとられちゃいそう。でも「新しい波」はアキラとヒカルだけじゃなくて、和谷くんも越智くんも、伊角さんも関わってくるんだろうなあ。彼らが単なる「解説者役」で終わらないのであれば、絶対にその方がいいですから。こういう若い子たちが海外棋戦で活躍してくれそうで、楽しみです。

プロ試験予選組、片桐さんが今年もでてきてくれてよかったです。今年こそは受かってくれないかなあ… 話の展開からすると、門脇さんと伊角さんは合格しそうですから、枠はあとひとりだけど、それが片桐さんならいいのに… でも彩りを添えるなら、奈瀬ちゃんあたりですか? そういえば奈瀬ちゃんは予選に顔を見せてないってことは、今年はシードで本選から出場できたってことかなあ。あと、久しぶりのフク。後姿しかないけども、プクプクしててかわいいなあ…
「人生遠回りは悪くない」というのはいい言葉ですね。苦しんで、もうダメだと思っても、いつかは夜明けが来る。ジャンプが少年向けマンガだけに、「やりなおしだってできる」というのを見せてくれるのはいいことだなあ、と。ヒカルが佐為を失うという「取り返しのつかない」ことになってしまっても、もう一度歩き出せるのと同じように。

今はいつ頃なんだろ? せいぜい8月頭だとは思いますが。アキラとヒカルの名人戦予選での対決はアキラの都合で遅くなるかもしれないんですよね… その二人の対決までに、周平さんもくる「世界アマ碁大会」があるわけで、saiと名人との対局のことも合わせてそのあたりの話もでてくるんじゃないかと期待してるんですが…予告が「ヒカルやアキラだけじゃない!世界の囲碁界が動く!?」なってるから、世界アマ碁大会のエピソードになるかなあ、と思うんですが。でも中国や韓国のプロ棋士のエピソードかもしれないし。秀英も中国棋院組も好きなキャラなので、どっちがでてきても嬉しいんだけどなあ。

佐為やヒカルの苦しみにあわせて停滞していた物語ですが、魔法がとけたかのように前回今回と物語に急激な加速がかかりました。面白いのは面白いけども、ピリピリしすぎというか… ヒカルが復帰してからは外からの視点でヒカルやアキラを描いていますが、これはふたりが「注目される側」になったということも表しているのかも。佐為がいなくなった分、解説役は天野さんになっちゃってるですねぇ。物語を分かりやすくするための失言大王の役割も引き受けちゃってるし。事務の坂巻さんのヒカルへの印象は最悪のようですが、それはまあ仕方ないかなあ…最初はいきなり「院生の試験を受けさせてよ」でその次が「棋譜って?」ですから。あ、それなら坂巻さんは緒方さんもヒカルを気にかけていることを知ってるはずじゃっ!!

絵としては、ラストシーンのアキラの首筋というか、うなじがとてもきれいで。こういう刃物のようなアキラも美しいんですが、でもたまには笑顔もみたいような… そういえばヒカルも、佐為が消えてからこっち笑顔を(表紙以外では)見てないんですよね。いつになったら笑顔が見れのかな。今にして思えば、アキラとヒカルは最初に会ったときには和やかに笑いあっていたんだなあ… この二人が和やかに談笑するようなシーンは連載終了まで拝むことはできるんでしょうか。あのふたりの緊張関係こそが物語にピンとした筋を通しているから無理か…

小畑先生が巻末コメントで「ヒカルの碁」のTCGの絵がうまくかけてると誉めております。こういう書き方からすると、やはりあの絵は小畑さんが書いたものではないんですねぇ。ただ見覚えのある絵もあるから、原作から小畑さんの絵をトレースして、服やポーズを変更して、色付けしたんじゃないかと。ちなみに12月13日発売のブースターパックは、中学生編&院生たちのカードが中心だそうです。…ふっ、プロ棋士編はまだまだ先よね…緒方さん、いつ会えるかなあ。

今回の「手塚賞」の審査員のひとりがほったさんだったんですが、コメントがなかなかおもしろかったです。「5W1Hも、キャラクターの設定も甘いまま話を進められると、なかなか話に入っていけません。しかし、年齢を考えるとみんなすごいなァの一言です。」ほったさんの言ってることは物語作りの基礎でありますが、抽象的な話じゃなくて、こういう具体的なテクニックについてコメントするあたりがほったさんらしいなあ、と。前に「天下一漫画賞」の審査員をしたときのコメントも非常にテクニカルなコメントでおもしろかった記憶があります。調べてみたら、去年のジャンプ32号ですね。おいておけばよかった…
とにかく。ほったさんは物語の基礎を意識した上で話作ってるんだろうなあというのがよくわかるコメントでした。(これは「ヒカルの碁」を読んでいれば十分わかることではありますが)


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