第146局「ヒカルの碁」。アキラとヒカルの対局は序盤から激しい戦いが続いた。ヒカルにとって、アキラとの対局は囲碁部での対局以来、2年4か月ぶりにやっと叶ったもの。いや、あのときには佐為が途中まで打っていたから、最初から最後までヒカルそのものとアキラとの対局は今回が初めてなのだ。
ヒカルは早碁のようにみえても、きちんと読みきった上での一手を返してくる。アキラもそれにもちろん気づいていて、ヒカルとの対局に高段者相手のものとかわらぬ手応えを感じていた。
アキラは失望しながらもヒカルのことを気にとめずにはいられなかった日々を思い出していた。海王中でユン先生にみせてもらった、ヒカルと洪秀英の一局の棋譜。天野記者がプロ試験合格者について問い合わせたのを横で聞いていて、ヒカルが合格を決めたことを知った時。塔矢名人の引退宣言のあと、家を訪れた倉田がヒカルを警戒しているのを知った時。アキラは着実にヒカルが自分を追いかけてきたことを感じていた。アキラが知りたかったヒカルの実力は予想通りのものだった。アキラは思う、「まちがない キミはボクの 生涯のライバル」だと。
そのときヒカルが打った一手にアキラが動きを止めた。「――――sai」
日本棋院の出版部では、韓国の若手棋士の話で盛り上がっていた。洪秀英(ホン・スヨン)という14歳の少年が金康日九段を破ったという。天野は、今水面下で進んでいる「日中韓Jr.杯」に出てくるのは、この秀英少年や連勝を続けている16歳の高永夏(コ・ヨンハ)あたりではないかと思った。18歳以下の棋士が対象の団体戦「日中韓Jr.杯」をある企業がスポンサーとなって開催するという企画が進んでいるという話を聞いて、出版部の記者たちは色めきたった。若手が強い中韓に対抗できる若手棋士は日本に…いや、塔矢アキラがいる。また別の棋士は連勝を続けている越智の名前を挙げたが、別の記者は彼ではさすがに中韓に太刀打ちできないだろうと言った。そのとき、天野はヒカルの名前をあげた。
アキラとヒカルの対局は続いていた。アキラはヒカルにsaiの影がちらつくことが気になっていた。ヒカルの中に見え隠れするもう一人の影。それが、「ボクがずっと見てきた あの――――」
今回のサブタイトルは「ヒカルの碁」。そう、アキラと初めて打つ「ヒカルの碁」なわけです。
アキラがヒカルの実力に感心し、思い出しているのはヒカル自身の力で打った碁についての話なんですよね。アキラは佐為ではなく、ヒカル自身を自分の生涯のライバルとして認識していることが示されたわけです。ところがそのあとにヒカルの中にsaiを感じてしまって。…アキラは気がついたのでしょうか? 「もう一人の影」を。それがヒカルと違う存在で、saiであることを…
いくら師匠と似たような雰囲気の打ち手とはなっても、ヒカルと佐為では個性も違うはず。その部分にアキラも違和感を感じ、それがヒカルのことがわからない、アキラにとっての謎になってたわけで。うまい具合に、アキラがヒカル自身で打った碁をみたのは、ヒカルと秀英の一局だけなので、こうやってやっと対面で打つことでその違和感がわかった…という感じなのでしょうか。
142局でふたりが向かい合ったから、アキラはヒカルの謎に心を惑わされたり、ヒカルが佐為をみているアキラに苛立ちを覚える必要はなくなったとは思うんですが、ひょっとしてほったさんはちゃんと物語上ではっきりとそのあたりのけじめ…アキラとヒカルが向かいあうための…をつけようとしているのでしょうか。アキラが最初に追っていたのは佐為であっても、今自分のライバルは目の前にいるヒカルであるということを。
予告には「アキラとヒカルの対局中に起こった事件とは!?」となってますが、これはアキラがヒカルにsaiのことを問い詰めるとかそういうことなんでしょうか? 「もう一人の影」とアキラが言ってるということは、アキラにはヒカルと佐為が違う存在だと感づいているという気がするんですが… アキラが問い詰めたら、ヒカルは本当のことを話すのかなあ。もし話したとしても、そんな非科学的なことをアキラは信じてくれるのかなあ… ヒカルが佐為を自分の胸の中だけにしまっておくというのもいいんですが、誰とも共有できないのはヒカルにとっても佐為にとっても不幸な気がするので、個人的にはアキラに本当のことを話してほしいけどなあ。
ただ物語上、「saiの謎」をここで誰かに知らせてしまうというのは美しくないですしねぇ…
なんかの理由でまたしても対局中断というのだけはやめてほしいものですが、さすがに今回はそうはならないでしょうし。
そしてそして!! 日中韓Jr.杯ですよっ!! 今までに韓国や中国の話がでてきた以上、それが国際棋戦に繋がるのは予想できることですが、実際に話がでてくるとワクワクしますねぇ。しかも団体戦だし。ジャンプ的にも、個人よりも団体戦の方が燃えるというものです。
今、水面下で進んでいるということは、実際に開催されるのは早くても半年、普通に考えると1年後くらいでしょうか。団体戦ということですが、何人で戦うのかなあ。勝ち負けをはっきりさせるために奇数であるのは間違いないので3人か5人というところでしょうか。日本の対象年齢で、今まで出てきたキャラでそこそこ強いのは…アキラとヒカルと越智くんと和谷くんあたりかな? 伊角さんは年齢対象外だし、冴木さんもそうじゃないかと。真柴くんはザコだしねぇ。秀英くん、プロ合格してたようで、これまたおめでたいことです。秀英くんとヒカルの一局が語られることや、カラーイラストに秀英くんがでてくることは今までもあったけれども、物語上にでてくるのは久しぶり。どんな風に成長しているのか、ヒカルと再開したときにどういう態度をとるのか、今から楽しみであります。韓国で名前の挙がっていた高永夏さんは、第113局に名前がでてきてますね。佐為と名人がネット碁を打ってるときにアキラが参加していた若手の勉強会で「春蘭杯の中国の劉安と韓国の高永夏を検討していた」という形で名前のみ登場。 …「ヒカルの碁」では名前のみでてきたキャラが後で本格登場みたいなことがよくありますが(例・倉田さん、一柳棋聖、桜野さん)、プロ編では他にも名前だけのキャラがたくさんでてきてます。これらのキャラも全員ちゃんと登場するのか、楽しみであります。
さて、話戻して。日中韓Jr.杯の中国側の代表は、趙石くんと楽平くんの出場は間違いないでしょう。楽平くんの相手はきっと和谷くんで、そのために「ちっちゃい和谷」だったんじゃないかなー、と。趙石くんは、ああいうおっとりした子は好みなので再登場が今から楽しみです。楊海さんはおそらく対象年齢からは外れてますが、でも中国語・英語・韓国語・日本語が話せるという設定がある以上、通訳兼、解説役とかいう形で帯同してくれるんじゃないかなあ、と。伊角さんにしても、この大会が日本国内であるなら勉強のためや中国棋院の人たちと再会するためにきてくれるといいんだけど。
今回はカラーポスターつき。メインキャラたちが切り絵的なイラストで登場。…緒方さんの目が怖すぎ。
さて、3月に待望の小畑先生の「ヒカルの碁」イラスト集が発売されるそうです。どれだけ待ったことか。今から本当に楽しみです。「ヒカルの碁」ではカラーイラストが山のようにありますが、それだけじゃなくて本編のモノクロイラストでも小畑先生が力を入れて描いたものを収録してほしいんですが… コミックスでは印刷精度が悪くて、原画の線をきちんと再現してないですもの。コミックスは印刷の悪いジャンプ本誌と比べても、縮小している分だけ微妙な線の味わいが落ちてしまっているんです。あとがきコメントからすると、書き下ろしイラストもあるようです。
あと、TCGのブースターパックの第二弾が2月発売決定。またPSでのゲームの続報。囲碁アドベンチャーゲームですね。声つきの模様。発売は2002年5月。
そして今月からコミックス15巻と連携の「全員プレゼント」が開始。「ヒカルの碁」では佐為の扇子ですが、このイラストってちょっと前にジャンプでやったプレゼントの「ヒカルの碁」セットと同じものでは? あのときは湯のみセットがほしくてなあ。そのあと、ジャンプフェスタでヒカルと佐為だけは発売されましたが。
また、次号から去年のジャンプフェスタのビデオの全員プレゼント。「ヒカルの碁」のオリジナルアニメも収録されるそうです。それにしても次号が1月22日なんて、待つのが辛いよぅ。
そうそう、梅沢由香里先生、吉原選手(フロンターレのキーパー)とのご結婚、おめでとうございます。末永くお幸せに。