第150局「新しい舞台」。
2001年12月。本因坊戦リーグの一柳棋聖とアキラの対局が行なわれていた。余裕の一柳棋聖に対して、アキラは不利な状況でいるものの必死で食い下がっていた。同じ本因坊リーグの芹澤と乃木はリーグ戦での対局相手としてアキラを研究するために観戦しにきていた。ふたりともこの対局では一柳が手堅く、アキラの逆転は難しいとみていた。この程度であれば、アキラは恐れるに足りない存在だと。
そこにヒカルも観戦にやってくる。芹澤はヒカルを知らず、院生かアキラの友達なのだろうかと思った。ヒカルはアキラの棋譜をみて、苦しい一局ではあるが、逆転の道を見つける。
その頃、飛行機内でヤケ食いをする倉田の姿があった。倉田は韓国での国際棋戦・三星火災杯で、韓国の安太善(アン テソン)に惜敗してしまったのだ。人事移動で出版部を出ていった天野のかわりに出版部に来た小瀬村と渉外部の土井は国際棋戦での日本の状況について話し込む。半年前は日本には塔矢行洋がいたが、今は倉田でさえ負けてしまう始末。すっかり国際棋戦は韓国中心になってしまった。それから話は北斗通信システムが主催する日中韓Jr.団体戦の話になる。土井は日本に勝ち目がないのになぜ大会を開催しようとするのか理解できなかった。韓国は高永夏(コ ヨンハ)を中心に、金相烈(キム サンヨル)、張成豪(チャン ソンホ)、洪秀英(ホン スヨン)など十代の強い棋士が目白押しだ。日本で対抗できそうなのは塔矢アキラくらい。あと聞いたことあるのは、進藤ヒカル初段の名前くらい。しかし土井はヒカルが以前手合いをサボっていたとしか知らないこと、ヒカルにアマでの実績がないためになぜ彼の名前がでてくるのかが理解できなかった。その時、後ろの席にいた通訳が声をあげる。彼は韓国で洪秀英に日本語で「進藤ヒカルはプロになっていますか?」と聞かれたことを思い出したのだ。
一柳とアキラの一局、アキラの打った一手で一柳の表情が一変した。芹澤も乃木も思いもかけなかった手に驚きを隠せない。しかしそれはヒカルが思いついた一手と同じだったのだ。アキラは一本とったものの、まだまだ状況は複雑で少し気を抜くとあっという間にダメになってしまう。鬼のような形相で打つ一柳を冷静に受け止めるアキラ。そんなアキラに一柳はノータイムで打ちかえすのだった。
そして対局が終わり、ヒカルはひとり帰路についた。そのとき、悔しさを滲ませながら、一柳は怒りを撒き散らして対局室から出ていった。その様子をみて、芹澤は、一柳がよほど悔しかったんだろうと言う。あの一手は自分も乃木も思いつかず、あの場で思いついたのは塔矢アキラだけだったと。
レベルの高さだけではなく、気迫のこもった激しい戦いをみて、ヒカルは自分もあんな碁が打ちたいと思った。
しかしヒカルの手合いはまだ低段者が相手。ヒカルの対局相手はなぜこんな強い子が低段者にいるんだろうと困惑が隠しきれないまま、ヒカルに威圧され負けを宣言した。勝ったものの、棋聖戦1次予選一回戦を終えたばかりのヒカルの現状は、アキラと一柳戦とあまりにレベルが違いすぎる。少しヒカルはうんざりしていた。そこに出版部の小瀬村はヒカルに声をかけた。韓国プロの洪秀英を知ってるか、と。秀英がプロになったと知って喜ぶヒカル。昔院生のときに秀英と打って自分が勝ったことを小瀬村に話した。それを聞いて小瀬村は、あの秀英に勝つほどの強い棋士がいるならば、これなら5月開催が決定した日中韓Jr.団体戦「北斗杯」は日本の優勝だろうと喜んだ。「北斗杯?」ヒカルには初耳だったのだ。
ついに150回です。大体50回に1度人気投票企画をやってたから、もしやるとしたら155回(碁にちなんでか「ヒカルの碁」ではキリ番よりも5にこだわったときに企画をやってるのです)に何かまたやるのかなあ。
少しずつ動き出してゆく物語。新旧交代の波が少しずつ押し寄せてゆきます。アキラは前線で戦って少しずつ認められてゆくものの、アキラに匹敵する実力を持つヒカルはまだまだトッププロからするとアウトオブ眼中な状態。そういう対比の見せ方がうまいですね。
豹変した一柳棋聖の迫力、さすがキング・オブ・オヤジ描き(?)の小畑さんです。
第143局で初出、そして倉田さんの番外編で少しだけでていた彼の名前が「芹澤」だとやっと判明。ビジュアルが好みだったので本格参加を楽しみにしてたんですが、この分では噛ませ犬で終わっちゃいそうな感じで残念。それにしても彼、最初は軍人ぽい風貌だなあと思ってたんですが、どっちかというとロボットぽいよ…
乃木さんの方は、同じく143局で緒方さんと碁聖の座を争って負けた方ですね。
ついでにヒカルと対局したオバさんは第141局でアキラ相手にも同じく「こんな強い子が低段者なのよ」と言ってた方です。あのあたりの話と対比になってるのかなあ。
やっと日中韓Jr.杯が本決まり。5月ですか。作中であと半年くらい? その頃には伊角さんはプロになってるけれども、この時点で18歳以下ってことは参加は無理でしょうね。でも「なぜ開催するかわからない」という棋院の人たちの会話からすると、主催の北斗通信システムは日本企業の模様。日本企業だったら日本舞台になる可能性は高いし、そうであれば伊角さんもお手伝いなり見学なりで参加するだろうし、楽平や趙石との再会もあるでしょうね。楽しみ〜。
揚海さんは年齢はオーバーしてそうですが、4か国語が喋れるという設定からオブザーバーとしてきてくれないかなあと期待しています。でもほったさんが韓国取材に行ったことを考えると、韓国が舞台の可能性の方が高いかもしれませんが。
単なる邪推なんですが、ひょっとしてこの北斗通信システムって揚海さんの囲碁ソフトのスポンサーだったりして。社名からしてIT関係ぽいですし。
そういえば、天野さんは人事移動ですか。これからはよく知ってる天野さんよりも事情がわかってないネズミ小僧のような小瀬村さんの方がストーリーの展開上都合がいいのかもしれません。でも天野さんの移動先でもなんかあるのかも… ひょっとしたら中国に渡った塔矢名人の取材のために中国担当になったとか。
そして韓国の話。スヨンくんがいよいよ登場でしょうねっ!! でも「日本語」で聞いたということは、きっと今度はヒカルと通訳を通さずに直接話ができるように頑張って勉強したんだろうなあ… 健気でかわいい。彼は頭よさそうだから簡単にマスターできたかもしれませんが、でも勉強しながらヒカルのことを思い出してる姿を想像すると楽しいものがあります。あれから1年半、ヒカルも大人になったけれどもスヨンくんがどう成長したのか、見るのが楽しみです。
もう名前だけは何度もでてる高永夏さんですが、どんなビジュアルのかなあ。他にも韓国棋士たちの名前が挙がってましたが、その中のひとりくらいは女の子だったらいいんですが。華がほしい。現実に韓国棋士では男性と対等に渡り合えるトッププロの女性棋士もいるそうですし。
国際棋戦の日本代表は、実力勝負ではヒカルも当確でしょう。あの手合いのサボリを問題視する人はいたとしても、今の日本は勝つためにはキレイごとを言ってられない状態ですし、いざとなったら桑原先生や緒方さんあたりの口添えもあるかもしれないし。
この予選の話をするとしたら、当確が確かでない和谷くんあたりの視点からになるかな?
産経新聞で囲碁ブーム 何が子供たちの心をとらえたのかということで「ヒカルの碁」についての記事が載っていました。アニメ化する前でも原作はジャンプの中で人気作品だったのに、テレビというメディアの力は大きいんですねぇ… 棋院主催の子供囲碁大会の参加者が、今年は去年から倍増しそうな勢いだとか。