第151局「オレだって!」。
和谷の部屋にヒカルが行ったときに、すでに伊角がでてきた。ヒカルは伊角と和谷に日中韓Jr.団体戦の話をする。これは1チーム3名、18歳以下で行なわれる団体戦だ。和谷は予選は4月に行なわれると聞いていた。それを聞いて、伊角は今年の合格者もでれるかな?と意気込むが、すぐに和谷に「18歳以下」と突っ込まれてしまう。今年の合格者では、伊角と門脇は年齢を超えているが、本田は18歳だから参加できるのだろうか? ヒカルは秀英の話を持ち出す。彼も韓国でプロになっていて、「なんとか九段」をすでに破ったらしい。韓国は棋士の数が少ないし、棋戦のシステムが日本と違うから、低段者と高段者が一回戦で当ることもあるのだ。
伊角は韓国や中国の十代はすごくて、すでにトップに立っているものさえいるという。日本には塔矢アキラがいるが……その伊角の言葉を聞いて、ヒカルは「オレだっているさ!」と。ヒカルの次の対局は本因坊戦の一次予選決勝、それに勝てば次からは2次予選で高段者とも戦える。「いつまでも塔矢の背中を見てる気はねェ」と真剣な顔で呟くヒカルに、和谷も「オレだって!」と宣言する。今の和谷はヒカルに比べると足踏みしてるが、こんなところで留まるつもりはないし、森下九段だって自分はもっと伸びると言ってくれているのだ。「代表3名にオレも残るぞ!!」と真剣な顔で呟く和谷に、伊角は笑って「がんばれ」と。和谷そっくりな楽平と和谷が対局したらおもしろそうだ、と茶化した。
日本棋院、ヒカルは本因坊戦1次予選の決勝戦を戦っていた。中盤まではヒカルがやや劣勢であったが、終盤正確なヨセが効を奏して、ヒカルは1目半差で勝利した。
後日碁会所で、アキラとヒカルはこのときの対局の検討を行なっていた。アキラはヒカルのその碁を「ひどい碁だ」と切り捨てる。ヒカルが勝てたのは相手が甘い手を打ったからであって、ヒカルがうまい手を打ったからではない。その言葉にムッとするヒカル。観戦していたオジさんたちは、不穏な気配を感じて退避を始める。アキラの言い方がムカツク!!というヒカルに、アキラは「本当のことを言ってるだけだろ」と切り替えした。アキラは自分がヒカルの対局相手だったらこう打つ、とすらすらと述べるが、ヒカルも負けずに言いかえし譲らない。偉そうにしているアキラを見かえすためにもいつか公式戦でアキラに勝ってやるというヒカル。といってもアキラはすでに予選も先に進み、1次予選スタートのヒカルとの対局の機会はなかなかない。1次予選すらが始まっていない棋戦もまだまだあるのだ。いつになったらアキラと戦えるのか…ふとヒカルは北斗杯の代表を決める予選を思い出した。そこならアキラと戦える!!と意気込むヒカルに、アキラは冷たく自分は予選にでない、もう代表に決定していると告げた。せっかく戦えると思ったのに、アキラだけがでないなんてずるいというヒカルに、碁会所のオヤジたちが口々に言い出した。実績のあるプロがシードされるのは他の棋戦でもあることで、アキラはリーグ戦入りもしているのだ。まだ初段のヒカルとは違う… 「リーグ入りしてるヤツとただの初段との差か―」と呟き、碁石を片付けたヒカルは席を立った。「だけど力の差じゃねぇ」
その言葉を聞いて、碁会所の常連のオジさんの北島は「うぬぼれるんじゃねぇ」と怒鳴る。ヒカルは4月にある北斗杯の予選を通るまではこの碁会所にはこないと告げる。そのときには自分はアキラと同じ、日本チームの一員になっている、と。「若先生と対等ぶるんじゃねぇ」という北島の罵声を背にヒカルは碁会所をでていく。「一歩一歩いくさ でも足は止めない 神の一手はオレが極めるんだ」
ついに今年のプロ試験の合格者が判明。伊角さんと門脇さんは順当だろうと思ってましたが、あとのひとりが本田くんでしたかっ!! ……個人的には片桐さんに受かってほしかったからなあ。まあ本田くんは去年のプロ試験でも最後まで合格を争ってたひとりですから、順当とはいえ。メインに女の子キャラが少なくて華がなくて寂しいので、奈瀬ちゃんに受かってもらいたかったですが、実力からしたら仕方ないんですよねぇ。
北斗杯の代表の人数は3名ですか。現在物語中にでてきてる出場資格を持ってるキャラはアキラ、ヒカル、越智、和谷、真柴、本田というところでしょうか? アキラはすでに決定、実力からして残りではヒカルがぶっちぎりだろうし、あとのひとりは…実力からすると越智くんじゃないかと思うんですが、和谷くん代表枠に潜りこめるかなあ。北斗杯はその和谷くんの戦いを中心に描くのかも。プロ試験予選のとき、すでにヒカルは強くなってたし、「主人公特権」があるから読者はヒカルが「受かるのかなあ…」とハラハラすることがなかったんですが、そのハラハラの部分はサブキャラである伊角さんに背負わせていたところがありました。今回はそれの役割をするのが和谷くんかなあ、と。和谷くんは囲碁界のことを何も知らず、弱かったヒカルの面倒を今までみてきてたわけですが、そんな相手が自分に並び立ち、そして自分よりも先に行ってしまっている。…気のいい和谷くんでも屈託は残るでしょうし、プロとしての自負があるなら「仲良し友達」だけではいられないでしょうし。実際和谷くんは、149話でヒカルに北斗杯のことを言えなかったのですから。そういう意味での和谷くんの「戦い」もこれから描かれるのかなあ、と。
それにしてもあのヨセがヘタだったヒカルが、ヨセのうまさで勝てるようになったんですねぇ。しみじみ。でもヒカルを対等のライバルだと思っているアキラからすると、ヒカルが少しでも甘い一局を打つと許せないんだろうなあ… 容赦ないよ、アキラ。アキラは自分にとってどうでもいい相手には愛想よくて、あれだけ本気になるのはヒカルを認めているからだとはいえ… でも折角仲良く(?)なったのにこれでまた4か月はヒカルと打つ機会がなくなってしまいますが、アキラはヒカルが戻ってくるまでじっと我慢できるんでしょうか。さすがにもうストーカー(?)には戻らないとは思いますが…
元名人碁会所のオジさんたちはヒカルのことをよく思ってないんでしょうね。あそこの人たちにとってアキラは小さい頃から育っていくのを見守っていた特別な存在で、アキラは日本囲碁界にとっても特別な存在であると誇りに思っているでしょうし。そんな人たちからすると、なんの実績もないヒカルがアキラに率直な物言いをすることが「生意気」に見えるのかも。
今回の話が12月、ヒカルがアキラのいる碁会所に通い出したのが10月中旬〜末くらいのはずですから、2か月くらい? その間、緒方さんはやってこなかったのかなあ… 緒方さんも自分のタイトル獲りなどに気をとられているとはいえ、緒方さんにとっては「sai」のことはまだカタをつけてないはずですから、ヒカルと出会えばまたなんかあるんじゃないかと期待してるんですけどね。
アキラのいる碁会所にヒカルが出入りしなくなるということは、これから道玄坂に顔を出すようになるとか… そういえばヒカルは河合さんにお金は返したんでしょうか? お金のことはきっちり書くほったさんですから、いつかはちゃんと「お金を返した」という描写がでてくるはずですが。
5月に北斗杯が行なわれるということは、若獅子戦は今年はどうなるんでしょうか? 残留組だけで戦うとか。どっちにしても物語上はさらりと流される可能性が高いでしょうね。
次の話のポイントとなる「北斗杯予選」が4月ですから、物語はそこまであっさりと飛ばされる可能性はあるかも。でもその前の3月にヒカルの葉瀬中卒業式があって、三谷くんとヒカルのエピソードがあとひとつくらいはあるんじゃないかと。実質的にはたぶん三谷くんももうヒカルのことを許していて、表面上突っ張っているだけでしょうが、今までからするとそのあたりをもっとはっきりとさせるようなエピソードはあるんじゃないかと思います。
…ヒカルは進学はしないんでしょうね。アキラはするのかなあ。
卒業式より前に初段戦はありますが、これは話にすらでてこないかも… 物語上の意味なさそうだし。個人的には緒方十段・碁聖と伊角さんの対局とか、ぜひみたいものですが。脳内補完で我慢するしかないんでしょうなあ。
「神の一手」と「追いかけっこ」。ヒカルの「ずるいぞ」という言葉は、前に塔矢名人引退を知ったときの倉田さんの言葉と重なりますね。予選なしで参加するなんて楽するのが「ずるい」というよりも、折角公式戦で戦える機会だと思ったのに参加しないのが「ずるい」とヒカルは思ったのではないかと思うんですが。
148局で終息したと思ったヒカルとアキラの追いかけっこが、今回のエピソードで形をかえて再スタートしたのでは? ただし今回はお互いを視界に捕らえた状態なので以前ほどの緊迫感はありませんが。今のふたりの立場の差も、(物語中で)あと1年もすればヒカルも頭角をあらわしてくるでしょうから、アキラと公式戦で戦う機会などいくらでもあるでしょう。いくらアキラでもリーグ戦入りしているすべての棋戦でタイトルホルダーになるのは不可能。そうなると、リーグ戦でアキラとヒカルは戦えますから。
…ひょっとしたらその頃にまたヒカルとアキラが戦えない状況になるとか? それとも追いかけっこはさせないのかなあ。
「神の一手」という言葉を今回ヒカルが口にだしました。ヒカルが佐為の夢を受け継いだというのは扇子の描写などで表現されてますが、それをもっとはっきりと形にしたんでしょうね。でも「神の一手」はひとりで目指せるものじゃなく、同じだけの力を持った相手がいるとすでに物語上で示されているんですから、今回のヒカルの「オレが」というのが色々あって「お前と一緒に」に変化するのかなあ、と。
次回はセンターカラー。てっきり155回の時にカラーにするのかと思ってたんですが… ヒカルが初の高段者との対局とのことですが、予告の書き方からするとすでに出演しているキャラの様子。その対局は本因坊戦の2次予選の可能性が高いことからすると、緒方さんや倉田さんなどはリーグ入りしているからありえないとして… 思いつくのが森下九段、白川先生あたりなんですが。もしくは御器曽プロあたりというのもどうでしょうか。