まずは今週のダイジェスト。
・ヒカルの二手目天元には社もギャラリーも度肝を抜かれた。その手に答えるように社はさらに5の5を打つ。睨み合うヒカルと社。その後、お互い一歩も譲らない攻撃的な手を打ちあう。
・和谷と越智の対局は、やや和谷くんが有利だが、越智も我慢強く手厚く打っている。
・ヒカルと社の対局を別室で検討しているギャラリーたち。二人の守りが薄い状態で攻め合う状況をまるで「空中戦」のようだ、と。
・これだけ打てるヒカルと社であれば中国・韓国戦もおもしろくなるだろうに、どちらかが北斗杯には出場できないことを残念がる棋院の先生。
・北斗杯の結果を見にきたアキラは棋院の入り口で倉田に声をかけられる。倉田はライバルの安太善が韓国チームの団長をやると聞いて、日本チームの団長をひきうけたとのこと。
・韓国戦でアキラの対局相手はおそらく高永夏（現在韓国タイトルのひとつ「国手」に挑戦中）。
・別室で検討していたメンバーの会話からすると、ヒカルvs社戦はほぼ決着がついた様子。それを聞いて対局室に駆け込むアキラ。アキラがみたのは、苦しそうな顔で向き合っているヒカルと社だった。

梅沢由香里先生、五段昇進おめでとうございます。
今週はテンポよく迫力もあっておもしろかったです。ヒカルと社くんの意地の張り合いからの展開、天元からの切りかえしで四方に伸びたあとの盤面、素人目にも「このあとどうなるんだ？」と思ってしまうような形で。そのあとの守りを固めずに攻め合う二人の対局を「空中戦」とはうまい表現です。先生も含めて別室で検討に入ってしまうのは（対局室での検討は対局のジャマになりますから）、やはりみなさん碁打ちゆえに、これだけとんでもない碁を目の前で打たれたら黙ってられなくなるんでしょうね。碁が好きなんでしょうね、本当に。そういうのも伝わってきました。
今回のヒカルと社くんの対局の棋譜は、実際のプロの対局の棋譜を元ネタにしているそうです。でもこういう碁を実際にプロが公式戦で打ってるというのも凄いですが…　今回のエピソードはほったさんがその棋譜をみて物語に使おうと思ったことから始まっているのではないかと思うんですが、それを最大限に生かすための状況設定、キャラクター配置などがお見事です。

社くんは今までクールに見えましたが、本当にムキになったら唇を突き出したりして、なんか子供だなあ。意外に子供でいじっぱりで、そういうところがかわいい。今まで社くんというキャラはもうひとつ掴み所がなかっただけに、この一週で印象が鮮やかになりました。これまでの社くんの描写では印象が薄かったのは、ひょっとしたらこういう効果を出すためだったのでしょうか。

なんとなく放って置かれた印象のある和谷くんと越智くんの対局ですが、手厚く手厚く我慢強く打てるようになったというのは越智くんも成長したんでしょうね。プロ試験当時、アキラに「地を気にしすぎる」ことを指摘されていた越智くんですが、その欠点は修正されてきているのでは。

アキラがついにやってきました。終わったらヒカルが碁会所に報告にいくかと思ったんですが、それまで我慢できなかったんでしょうか。ヒカルのことでダッシュしてしまうアキラをみたのは久しぶりな気がするんですが、それだけになんだか嬉しかったです。

久しぶりに登場の倉田さん、なんだかまた丸っこくなったような気がしますが、でもかわいいなあ…　安太善さんは150局で三星火災杯で倉田さんが負けた相手として話にだけでてきていますが、あの彼も今後物語に登場するというのは嬉しい限りです。顔が好みのタイプなので〜。
でも「団長」って何をするんでしょうか…よくわからないですが、日本の団長が倉田さんだとすれば中国の団長は揚海さんだと期待してもいいんですよね？　揚海さんもお気に入りキャラの一人なので、登場してくれるといいんだけどなあ。今からワクワクしてきました。
でも倉田さんは倉田さんらしいなあ。容易に勝てる相手じゃないのに、「負けるな」「勝てよ」って。そういう気持ちがあるからこそ、強くなっていくんでしょうね。

北斗杯の残り二人の代表ですが、私はヒカル・和谷くんの二人になると思います。実力からいえば明かに社くんの方が和谷くんよりも上でも、一度決まったことを覆すことにはならないのではないかと。倉田さんあたりは「進藤・社の方がいいのに」と言うかもしれませんが。
今回、棋院の先生が「進藤・社・塔矢アキラの3人であれば北斗杯がおもしろいことになるのに」というようなことを呟いてましたが、これは特に贔屓のキャラクターがいない読者であれば同じように思うのではないかと。でも、今の和谷くんの精神面の描かれ方からすると、今後強烈なショックを受けてどん底まで落ちて、そこを這いあがって成長することになるのではないかと思います。北斗杯代表の座を逃した程度では、そこまで強烈なショックにはならないでしょうから、代表に選ばれて、自分の力のなさをとことん思い知らされる…可能性の方が高いのではないでしょうか。
社くんについてですが、彼は北斗杯で終わるキャラではなく、今回のエピソードよりも今後の方が重要なポジションにつくのではないでしょうか。

とにかく、ヒカルと社くんの対局はどっちが勝ったのか、終わった後にアキラはどう言うのか（怒るのか？呆然とするのか？感心するのか？）、社くんとヒカルがどういう会話を交わすのか、来週がとにかく楽しみです。
あと、和谷くんや越智くんはヒカルが倉田さんとかなり親しいことは知らないはず。それでまたびっくりするのかな？