今週のダイジェスト。
・塔矢アキラvs陸力は互いに強気の攻めぎあいをしていた。
・大盤解説はほとんど大将の話ばかり。囲碁がわからないヒカルの母親・美津子は、平八にヒカルの状況を聞くが、平八は口を濁した。
・控え室では、楊海はアキラの予想以上の強さに参っていた。また社の意外な頑張りに、楊海は倉田に社は本当にプロ1年目なのか?と聞いてしまう。倉田にとっても社のがんばりは計算外だった。
・アキラの意外な一手に永夏は「冷静ないい手だ。戦い方を知っている」と感心する。その一方で永夏は、ヒカルの散々なデキについて期待外れだったと秀英に話しかけた。黙るだけの秀英。
・倉田もヒカルを発奮させて一勝計画が大失敗だと思っていた。
・大盤解説では、やっと副将・三将戦のも行なわれた。解説の渡辺棋士は社の奮闘を誉め、そしてヒカルの対局は「終わっている碁」だという。他の客のヒカルを罵倒する言葉に居たたまれなくなった美津子は会場を後にした。
・ヒカルは、なぜ自分の碁がここまでダメになったかと考えていた。もう自分ではここから立てなおすのは無理だと思ったヒカルの脳裏に、夢の中で佐為から扇子を受け継いだ情景が浮かんだ。
・だけども、自分しかいない。自分の力で戦うしかない。ヒカルは永夏の姿を思い浮かべ、発奮する。反撃が始まった。
「ここにいるオレしかいない」のシーンで、なんだか泣けてしまいました。佐為を思い浮かべたときのヒカルの微妙な表情が見事です。
そっか、「本因坊秀策がいればやっつけちゃうのに」というのは、ここに繋がってきたんですね。
第176局の感想でも書きましたが、劣勢な盤面を鮮やかに逆転してくれるヒーローはもういません。ヒカルは、どんな窮地に追い込まれても、自分の力で戦うしかないんです。もちろんヒカルはアキラに追いつくのだと決めたときから、自分の力だけで戦ってきています。でも、佐為はいつも側にいてくれたのですから。
佐為がいなくなってから、自分が戦うしかないんだ、ヒカルがそうはっきりと覚悟したのはこれがはじめてではないでしょうか。
ヒカルが森下戦で感じた「自分に足りない何か」も、この戦いを通じて「何か」がわかるのかもしれません。
「ヒカルの碁」は、「囲碁を全く知らない少年に、平安時代の天才棋士の霊がとりつき、神の一手を目指し始めた…」というような感じで始まりますから、最初の方しか読んでない人には「幽霊バトル」だとか「他力本願バトルマンガ」だと思われることもあるようです。というか、私も最初の頃は、「ヒカルって主人公のはずなのに影薄いなあ」とか思ってましたから。ごめんなさい。でも今ではこの物語はまさしく「ヒカルの碁」なんだと思えるようになりました。
もうひとつ、今回際立ったのは、苦戦している息子がて見ず知らずの人に罵倒されているのを見てるのが居たたまれなくなって出ていってしまうという「母親」のリアルな描写でした。美津子さん…やっと名前がでてきましたが、この名前はひょっとしたら「ヒカル」の母親だから「光子」で、漢字を変更して「美津子」にしたのかなあ。美津子さんはおっとりしているけれども優しい人で、子供を大切に思っているけれどもあまり干渉しすぎてはいけないということもわかっている、いい母親だと思います。自分の子供のためになることをしてあげたい、でもどうしていいのかわからない。ヒカルはそんな母親を邪険に扱ってしまいますが、あの年頃だと親の愛情がうっとおしく思えてしまうというのはよくわかります。親離れしつつある年頃なんですから。
そんなヒカルと母親の関係も少しずつかわってきています。そういう何気ない描写が極めてリアルなのは、ほったさんが「母親」だからというのもあるんでしょうか。
でも、これからがヒカルの本領発揮なんですから、美津子さんにはぜひみてほしかったけれども。
で、覚醒状態になり、これから巻きかえしをはかるヒカルですが、果たして逆転はあるのでしょうか? でも、もしヒカルが負けても、永夏くんとの対局の可能性はあるのではないかと思いますが… 社くんが期待以上のデキだということもあって、安太善さんだけには負けたくない倉田さんが、ヒカルを大将、アキラを副将とすることで、副将・三将の二勝を狙いにいく、という可能性もあると思うんです。で、観客が「進藤を捨てゴマにしたのかよ」と毒づいていたら、ヒカルは永夏と堂々と渡り合ってびっくりさせる…という展開もあるかも、と。さて、どうなるんでしょうか。来週が待ち遠しいです。
それにしても、小畑マジックがまた始まったというか、選手団たちのみなさんの美形化が進行していってます。日煥もどんどんカッコよくなってゆくし。あれで17歳というのは反則です。中国チームの陸力も、最初はただのメガネ男だったのに、最近はうるわしいメガネ様になりつつあるし、王世振もカッコよくなってきたしなあ…
実はやっと20巻をまともに読みかえしたんですが… コミックス発売当時は風邪で体調が悪かったので、「ネームの日々」とカラーページのみ確認してずっと読んでなかったんです。ジャンプ掲載時に何度も読みかえしていますし… で、初登場時は永夏くんの睫毛ってあんまりなかったんですね。再登場した170局(韓国棋院でのインタビュー)で少し睫毛が増えて、その後再登場するたびに増加一体何が小畑さんにそうさせたんでしょうか。
まあそれても永夏くんの眉毛程度は、緒方さんや伊角さんの変わりっぷりからすると大した変化ではありませんが。