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【ヒカルの碁 第183局「永夏の問い」】 03/03/03


今週のダイジェスト。
・会場についた倉田は渡辺にオーダーを手渡し、渡辺はヒカルが大将であることに驚く。
・韓国チームもやってきてオーダーを渡すが、その直後に秀英がヒカルの名前が大将席にあることに気がついた。
・大盤解説室には、塔矢アキラの活躍を期待するファンたちが続々と集まってきた。
・北斗通信社の戸刈は、一般のファンに、もし日本が勝って3チームが1勝1敗になった場合は賞金は3等分するということを説明する。日本の勝ちを悲観するファンに、戸刈は代表に選ばれなかった若い棋士たちのためも日本チームは頑張ってほしいと答えた。その言葉を聞いて、OLの相川は主催者が特定チームだけを応援してはダメなんじゃないか、私は中国も韓国も応援している…と超石や永夏の顔を思い浮かべながら、主張していた。
・そのとき、対局のオーダーが発表され、塔矢アキラが大将じゃないということで一般のファンたちはどよめき、罵声まで飛び交っていた。
・そこに伊角・和谷・本田・越智、ユン先生と秀英の叔父、河合と堂本、筒井と友達がやってきた。皆、ヒカルが大将であることに驚いていた。
・対局室。自分の相手は進藤なのか?という永夏の問いに「ええ」と韓国語で答えるアキラ。安太善が前日の倉田の言動からヒカルが大将になることは予想していたという話をし、アキラは韓国戦の大将は中国戦の結果で決めると倉田が言ったことを話した。引き金は、やはり永夏の発言だったのだ。
・韓国語で交わされる会話についていけないヒカル。そのヒカルに秀英が話を通訳し「永夏の発言が許せなくてオマエが大将になったことにみんなあきれてるんだよ!」と怒鳴りつける。
・永夏は呆れて、なぜそんなに秀策に肩入れするなんて、オマエは秀策のなんなんだと呟き、秀英がそれを通訳する。
・ヒカルにとっては当たり前すぎて考えてこなかった問いを付きつけられ、「何?」「なぜって…」と答えを探すように考えこみ、「だってオレが碁を打つのは―」と口を開きかけたとき。
・対局時間になり、皆が自分の席に急いだ。
・ヒカルは大将の席で、永夏と向かい合って立っていた。

永夏にとっては呆れた気持ちから出た、問いかけというよりも厭味に近い「問い」でしたが、それを受け取る方にとっては、自分の根本に関わる深い問題で。
さて、ヒカルはなんて答えるでしょうか? それとも何も答えないのでしょうか?
ここでヒカルが答えを出したとしても、永夏は日本語がわからないですし、周りには通訳はいません。副将や三将の席はかなり離れた場所にありますので、アキラや秀英の耳にも届かないでしょう。日本語のわかるスタッフは側にいるかもしれませんが、彼らの会話の背景にある事情を知らなければ、ヒカルの正確な言葉は覚えてないかもしれませんし。
結局、ヒカルの「答え」は読者のみが知る、ということになるかもしれません。
かといって、終わった後にわざわざ「さっきはなんて言ったんだ?」とヒカルを問い詰めることは永夏や秀英はしないでしょうし… ましてアキラはヒカルの「いつか話す」の言葉があるから、自分から聞くわけにはいかないですもんね。

もっともヒカルが答えたとしても、佐為と自分の関わりまでくどくど述べることはないでしょうから、「オレは秀策の碁を受け継いでいるんだ!」というような抽象的なものになりそうです。事情を知らない人は、「熱心な秀策マニア」程度にしか思わないでしょうし。…いや、本当のことを全部喋っても、「頭のおかしい人」扱いされるだけなのは目に見えてますが… 

それにしても… アキラはかわいそうだなあ。自分があれだけ聞きたかったのに、我慢した問いをあっさりと永夏はヒカルに聞いてしまうし。もちろんそれは永夏が事情を知らないゆえにいぶかしく思っただけですが。そして、それに対するヒカルの答えが聞けるかも!!という状態でその場から離れなければいけないんですから。
ヒカルとの対局を夢見て日本語まで勉強したのに、ひたすら振りまわされた秀英もかわいそうですが。

今回は色々な人が見に来てくれました。北島さんと広瀬さんは昨日に続いて、道玄坂組では河合さんと堂本さん、ユン先生と秀英のオジさん、伊角さん・和谷くん・越智くん・本田くん、そしてそして!! 本当に久しぶりに登場の筒井さん!! 筒井さん、美人になったなあ… 筒井さんの登場は単なるファンサービスなのか、それともなにか今後のエピソードに関連するのか? 筒井さんは囲碁をはじめたばかりのヒカルは、極端に強かったり弱かったりしたことを知ってるひとりですもんね。当時はまぐれ勝ちだと思っていたようですが。単なるファンサービスであれば、加賀くんと一緒にきてほしかったですよ…
それにしても佐為がらみのヒカルの妙な行動(?)を知ってる人たちが一同に会しているんですから、その情報を繋ぎ合わせて…なんてことにはならないとは思いますが。もしそういうことになるのであれば、三谷くんのお姉さんという重要キャラが欠けているから決定打にはならないでしょうし。なんせ三谷くんのお姉さんはヒカルがあの夏休み中、ずっとネット碁をしていたことを知っているし、和谷くんへのメッセージをヒカルのかわりに打ったのですから、ヒカルとsaiを結びつける証拠を握っているのですから。
単にヒカルに関わりある人たちが応援にきてくれただけだとしても、このメンバーだけでは物足りない。あかりちゃんにもきてほしかったなあ。あと、美津子さんにも息子さんの勇姿をみてほしかったです。

そういえば、塔矢先生はいつになったら来てくれるんでしょうか。もう帰国しているはずなのに。

今回の戸刈さんと相川さんの会話はほほえましかったです。第153局とは主張していることが全く逆になってしまって。戸刈さんは予選での越智くんの心意気に打たれたんでしょうね。その一方で相川さんの気持ちも十分にわかりますが、ビジュアルだけだったら日本チームも負けてないとは思うんですけどねぇ。
それにしても今回の「だって」のヒカルが目を閉じたシーン、次の見開いたシーン、「オレが碁を打つのは」のシーン、きれいだなあ… 眼球の立体感とそれに映り込む光が印象的でした。

さて、今後の北斗杯の展開。アキラはヒカルの「答え」が気になって気持ちが乱れるかもしれませんが、アキラであればそれを克服して勝ってくれると思います。それでも、きっと一部の囲碁ファンに「高永夏に勝てないものだから、逃げた」とか言われてネットで陰口言われたりするんだろうなあ… アキラは悪くないのにね。
ヒカルは、永夏に勝てるんでしょうか。いくらヒカルが覚醒状態になったとしても、今のヒカルではまだ力の差がありすぎるような。この日が5月5日、佐為が消えてからちょうど1年たつ日だけに、ヒカルには勝ってほしいけれども…
もし、ヒカルが負けたとしても、もし社くんが秀英に勝てば日本チームは勝って、各国1勝1敗で並びますし。そうなると、結果しか知らない一般人であれば、アキラや社を誉めてヒカルを「大したことない」と思うでしょうが、でも実際関係者が一番注目していたのはヒカルだった…という展開になるのもおもしろいかも。「佐為編」のときも、塔矢名人・緒方さん・桑原先生・倉田さんという名だたる棋士たちがヒカルに注目しているのを周りの人たちはそれがなぜかよくわかっていない、という風に描写されていたところがありましたから。
ヒカルが負けた方が、次のエピソードだと予想している「三星火災杯」で、ヒカルが永夏にリベンジという形で繋がりやすそうですし。
でも、心情的にはヒカルには勝ってほしいなあ。

これで来週は「作者取材のため休載」だというのが残念です。そのかわり(?)、アニメの脚本をやっている横手美智子さんによる、「ヒカルの碁」ノベライズ「ヒカルの碁 KAIO VS HAZE」が3月10日に発売されます。表紙は小畑さんによる書下ろしで、中の挿絵もいくつか書き下ろしているようです。1冊目は個人的には満足な作品でしたので、今度も楽しみ。

来週は、「ヒカルの碁」は休載ですが、前からちょっと書きたかった駄文をアップする予定です。内容は、「ほったさんは最初から148局以降も構想していたのか?」です。


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