第18局「アキラ対sai」
十時。saiとakiraのネット碁の対局が始まる。アキラは「saiは子供かもしれない」という言葉を思い出してついヒカルのことを考えたが、「そんなはずはない」と打ち消す。
アキラが黒を持って対局は始まった。「さあ教えてくれ キミは誰だ」
プロ試験会場。開始から1時間がたち、アキラは不戦敗となった。和谷はアキラは自分たちを舐めているんだと不愉快になった。
ネット碁。アキラはsaiの強さに苦しんでいた。以前、ヒカルに負けたとき以上に高い壁を感じていた。「これは進藤ではない?」そう思った次のsaiの手に、アキラはであった頃のヒカルの手を重ね合わせてしまった。「今のは…まさか?」
saiとakiraの対局は緒方や世界各国のアマ強豪もネットで観戦していた。
そしてakiraは投了した。佐為に感想を聞いたところ、あの強さはアキラに間違いないという。「塔矢、強くなった?」と聞くヒカルに佐為は答えた。「強くなったのは私の方です」 そしてその佐為の対局をずっと観戦していたヒカルも力をつけてきたはずだという。
その頃、緒方はsaiの力に感嘆し、自分でも勝てるかどうかわからないと思っていた。しかし緒方は、saiの熟練した打ち方からするとあれは子供ではないだろうと呟く。
その頃アキラは放心していた。「彼だ…いや違う、絶対に彼じゃない」しかし、追いかけても捕まえられなかったヒカルをやっと捕まえた気がする…
翌日、碁会所に顔を出したアキラは市川にプロ試験の結果を聞かれて少し困った。そこにやってきた広瀬にネットカフェでヒカルをみかけたという話を聞いて、そのネットカフェに急ぐアキラ。「saiはキミか?」パソコンに向かっているヒカルを見つけ、振り向かせたが…ヒカルはマンガのページをみていた。ネットカフェの外でアキラはヒカルにネット碁をやったことがないか、問い詰める。ヒカルはしらばっくれたが、アキラからネット碁の世界でsaiの正体が誰か騒がれていると聞いて慌てる。しかしはぐらかし続けるヒカルにアキラは「もう二度とキミの前に現れない」と呟いて立ち去った。「オレの幻影なんか追っていると ホントのオレにいつか足元すくわれるぞ!」と引きとめたヒカルに、アキラは「キミが? いつかといわず、今から打とうか?」と皮肉気に答えた。ヒカルは何も言えず見送るだけだった。
ネットで話題になりすぎてしまったし、もうネット碁はできない。
夏休みももう終わりなのだ。
いやあ、今回はすばらしかったです。間のとり方がうまく、緊張感がでてました。絵もすばらしい。止め絵もよかったけれども、今週は動画もきれい。翻るアキラの髪が美しい。
声優さんたちもハマってきてて、微妙なニュアンスの演技をよくやってたと思います。
ここでのアキラの戸惑いと混乱、そしてヒカルとのやりとりは原作の140〜148局あたりを読んだ後に読むと、「ああ、こういう意味だったのか…」と改めて感じるものが。ネタバレになるし、うまく自分の中で言葉にならないのでここではかけないのですが…
昔よりも今の方が、アキラが「もう二度とキミの前に現れない」と言ってしまった気持ちも、ヒカルの複雑なコンプレックスもよくわかります。ヒカルは目の前のアキラに熱心に求められても、アキラのその目は自分じゃなくて佐為をみていることをヒカルだけは知ってるから、自分だけ除け者で辛い部分があるんですよね。でもそれをアキラに伝えることはできない。生身のヒカルはまだヘボで、でもアキラと直接向き合うときには佐為の力を借りずにヒカル自身の力で戦いたいのだから、「今から打とうか?」とアキラに言われても返事ができなくて。この段階ではアキラとヒカルの棋力の差はお話にならないのですから。それでもいつかは… 今までアキラがヒカルを追っていたけれども、今度はヒカルが追いかける番に。
アキラは割りきれない疑惑と失望を抱え、その思いはどういう方向に行くか? いつか縺れた糸は解けるのか? …これからそれもゆっくりと少しずつ描かれてゆきます。
私は「ヒカルの碁」の幹となっているのは、ヒカルとアキラの「誤解と思い込みとすれ違い」という捩じれたライバル関係だと思っています。これは恋愛ものにはよくあるパターンなんですが、バトルものの少年マンガにその構図を持ち込んだのが斬新だったのではないでしょうか。
いつもは原作2話分でアニメ1話としてたんですが、今回は原作2.5話程度を使っています。対局場面は原作よりもじっくり描いてる分、カットされたところがあったのは残念ですが。
原作からカットされたのは、プロ試験の昼休みの会話。伊角さんや奈瀬ちゃんがどんな声か楽しみにしてたのになあ。あと、アキラがネット碁を終えた後に「あなたは誰?」とチャットでsaiに呼びかけるも、saiはネットから落ちてしまうところ。アキラの「キミは誰?」という問いかけはシリーズを貫くモチーフだけに、ここはちゃんとやってほしかったです。
逆にアニメで表現がオーバーになっていたのは、相変わらずのストーカーぶり。アキラの(ヒカルのことになると周りが見えなくなる)非常識さをうまく表していました。
他のシーンでは、「原作まんま」のアングルやカットもあって、つい原作を片手にじっくりと見かえしてしまいました。原作ファンへのサービスかな? 嬉しかったです。
個人的には…緒方さん!! いやー、今回ももうカッコいいですねっ!! クラクラしました。原作ではここ、コミックスでみたときに100回以上は読んだので… アニメになってよかったなあとしみじみと思った瞬間でした。