第19局「ヒカルの実力」
二学期。囲碁部でヒカルは三谷と打っていた。ヒカルはネット碁ができなくなったので、佐為に「自分と打つか?」と言いだす。でもヒカルは碁盤を持ってないのでじいちゃんにねだることにした。三谷との対局はヒカルが置き石をしているとはいえ、勝利をおさめた。そこに筒井がやってきた。折りたたみの碁盤と碁石を2セット部費で購入してもらった。あかりが友達の津田を新入部員として連れてきたり、囲碁部はにぎやかになってゆく。
折りたたみでも1万円はするということで、ヒカルはじいちゃんちにおねだりに行った。互戦で勝ったら足つきの碁盤がほしいとヒカルにじいちゃんは自分の強さを自慢し、ヒカルが勝ったら自分の碁盤をあげてもいいと言った。そこからは話は蔵の中の碁盤に。その碁盤には烏帽子をかぶったお化けがでるという噂があるという。碁盤はじいちゃんの兄が骨董屋で買ったのを形見分けしてもらったらしい。じいちゃんと打ちだしたヒカルをみながら佐為は今までの千年の日々を思い出していた。平安の都での日々、虎次郎との思い出、そしてヒカルとの出会い…「私は未だに碁盤の前にいる 神様はいったいいつまで私のワガママをおききくださるだろう」
その頃、囲碁教室ではあかりちゃんがにこやかな阿古田と打っていた。白川先生はあかりにヒカルをまた連れておいでという。
打ってみて、囲碁を始めて1年足らずなのにメキメキ腕をあげたヒカルにじいちゃんは驚く。対局はじいちゃんの勝ちではあるものの、ヒカルのやる気を認めて一番安い足つきの碁盤(5万円)をヒカルに買い与えることにした。
家に届いた碁盤を前にはしゃぐ佐為。ヒカルがムキになることもあって、佐為が手を抜かないで互戦をし、ヒカルは佐為にコテンパンにやられ続ける。
囲碁部、ヒカルは筒井に二子置かせて勝つことができた。ヒカルの急激な成長をみて筒井は冬の大会を楽しみにする。今度の大会は前みたいな惨めな思いをしなくても済むんじゃないかと。
囲碁教室、遊びにきたヒカルは阿古田さんと対局をし、みごとに勝利をおさめる。白川先生はヒカルの集中力に舌を巻き、碁を始めて1年あまりとは思えない成長に関心した。ヒカルは帰り道、あかりと歩きながら阿古田は強かったんだなとしみじみと思った。自分が強くなければ相手の強さはわからないのだ。大会のときにヒカルが今くらい強ければアキラに「ふざけるな」と怒鳴られなくこともなかったのにね、とあかりは言うが、ヒカルは「アイツはな、ちょっとやそっと強くなったくらいじゃダメなんだよ」とボヤいた。
ついにヒカルは三谷に互戦で勝利をおさめる。それを知った筒井は、ヒカルなら打倒海王という自分たちの夢を叶えてくれるのではないか?と期待した。
本屋でヒカルは海王囲碁部の大将、岸本と偶然出会う。「今、時間あるかな?」と岸本にヒカルは誘われた。
先週の緊迫した雰囲気と比べると、今回はほのぼののんびりとした雰囲気のお話です。ヒカルの急成長の話。先週に比べると作画には不満は残りますが… まあ今のアニメ製作体制からすると仕方ないことなんですよね。でもギャグ佐為の作画だけはもう少しなんとかならないかなあ。
今週も原作2.5話分をアニメ1話にしましたが、ヒカルがじいちゃんちで碁を打ってから部屋で初めて佐為と打つところまでの話のタイトルが「千年のワガママ」なんです。連載当時ははしゃぐ佐為がかわいいなあと思ったものの、エピソード自体はあまり意味がないんじゃ?と考えてたんですね。でも今からみると、非常に感慨深い話でした。今回のアニメも切ない思いでみてたり。
三谷くんとヒカルのやりとりもかわいいんですよね。原作での「三谷、カモ〜ン」がなかったのが残念ですが、原作にはなかったオデコをグリグリ〜とやるのがかわいかったです。
原作にない部分といえば、あかりちゃんに「ヒカルくんのこと好きなんでしょう?」と聞かれて真っ赤になって「私、こんなところで何やってるんだろう」というところ。うーん、それは「あかりちゃん」ではないような気がします… それじゃ主人公にまとわりつくだけのウザいヒロインになってしまう。あかりちゃんはたしかに最初はヒカルについていくようにして囲碁を始めたんだろうけども、続けているのはヒカルとは関係なく「あかりちゃん」が囲碁に魅力を感じているからなのに。あかりちゃんはヒカルのオプションじゃない。ちゃんと意志を持った一人の女の子として描いてほしいんですが。
(あと、あんなに胸があるのはあかりちゃんじゃないよ…)
細かいツッコミといえば、なんで佐為が扇子で碁盤を指す時に、なぜ影ができてるのかなあ…と思ってたら原作でもありますがな。たぶん佐為に実体がないのを小畑さんもアニメスタッフもうっかり忘れていたんでしょう。アニメでは第4話、夕暮れの公園にたたずむヒカルと佐為の図で、ヒカルは影は伸びていたのに佐為には影がなかったという描写があったんですが、そのときには「ちゃんと考えて作画してくれてるなあ」と嬉しく思ったものですが。
岸本くんが本屋で読んでたのは、高村薫の「李歐」。アニメは表紙の色が違っていたのであれ?と思ったんですが、コマ送りにして見たらタイトルははっきり書いてありました。ちなみに本物の「李歐」は桜色の表紙です。原作でみたときに「うわ、高村薫、しかも李歐を読む中三男子って!」と思ったものですが、岸本くんには高村薫の乾いたロマンチズムはぴったりかも。
ジャンプフェスタ2001で流れた小畑先生のアトリエ風景の映像に本棚が一瞬映ったんですが、結構マニアックな国産ミステリが並んでました。それから考えると、岸本くんの本を選んだのはほったさんではなく小畑先生かな、と思います。私も国産ミステリは結構好きなんですが、高村薫以外で岸本くんの本を選ぶとしたら笠井潔の矢吹駆シリーズもいいんじゃないかなあと思うんですがいかがなものでしょうか。