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【アニメ ヒカルの碁 第22局「院生試験」】 02/03/17

第22局「院生試験」
院生試験、ヒカルは緊張のためか萎縮してしまい、あまりよくない碁となった。焦るヒカルに佐為はこのままでは負けは見えている、ヒカルが望むなら自分がかわりに打ちましょうか…と囁いたが、ヒカルは集中していて佐為の声は聞こえなかった。このままでは負けてしまう。ヒカルは、アキラの背中を遠く感じていた。 その時院生師範がヒカルに声をかける。この試験は負けたら落ちるとかではなくて、力をみるためのものだと。対局も終わり、検討の後院生師範は考えこんでいた。彼は正直ヒカルの力を物足りなく思っていたが、ヒカルは囲碁を初めてまだたったの1年、しかも師匠もなく囲碁部だけでここまで伸びたのは才能があるからなのだろうか?と考える。ヒカルの成長ぶりは倉田五段を髣髴とさせる。彼は囲碁を初めて2年でプロになった。そんな倉田五段でもすぐにしっかりとした師匠についたのだが… 院生師範はヒカルの持ってきた棋譜が初めての3面打ちだと知って、ヒカルに可能性を感じた。そしてヒカルに合格を告げた。
院生師範はヒカルと母親に院生研修の様子を案内する。伊角や和谷が対局後検討をしてるところをヒカルが覗きこむ。和谷はヒカルを見つけ、合格した?と声をかけた。和谷はヒカルが「打倒塔矢アキラ」と言ってたことを聞いたのだ。それから話題はアキラのことに。アキラの強さはそこにいた院生のみんなはもちろん知っている。彼らはヒカルにアキラの関係を聞いた。ヒカルは囲碁部の団体戦で対局したと話したが、みんなはあのアキラが囲碁部で大会にでるなんて信じていない。その疑うような口調に、ヒカルはアキラが自分と戦いたいがためだけに囲碁部に入り、大会で三将になって対局したのだと言いだす。それを聞いていた院生たちは驚きのあまり静かになってしまった。佐為に言われて慌てて口をつぐんだヒカルだったが、後の祭りだった。
そして院生研修の日。「塔矢アキラのライバルがやってくる」という噂は院生の間に広がってしまっていた。周りに注目されてヒカルは戸惑っていた。院生研修は一組と二組に分かれてリーグ戦が行われる。ヒカルは二組の最後からのスタートだ。ヒカルの初戦は二組5位の相手に負けてしまう。午前中二つ目の対局もヒカルは負けてしまった。ヒカルの対局をみんな気にして覗きこむ。しかしヒカルの棋力が大したことないのに拍子抜けしていた。ヒカルは和谷と伊角に誘われてお昼を買いにでかけた。和谷はヒカルにアキラとのことを疑わしそうに根堀り葉堀り聞く。「アイツはオレの、オレはアイツのライバル!!」というヒカルに和谷は「レベルが違いすぎる」と。和谷が、アキラがなぜヒカルをライバル視しているのか聞くと、ヒカルは自分の碁の素質を見ぬいて…と苦しいいい訳を。
お昼を食べながら、話は囲碁部の大会の話に。ヒカルは海王中はアキラ以外にも大将も強かったという話をしていた。そこにフクがやってきて、間違って買ってしまったブラックコーヒーの缶を伊角に押しつけてくる。それから昔院生で、中一のくせにブラックコーヒーを飲んでた奴のことを和谷が思い出して話に持ちだした。彼は1年ちょっとで院生をやめてしまった。ずっと二組で一度一組にあがってきたけども、和谷も伊角にとっても彼はたいして強くなかったと言う。しかし彼は頭がよくて、海王中にいて…和谷がついに彼の名前を思い出した。「岸本」だと。ヒカルの頭の中が真っ白になる。
海王の大将でさえずっと二組だった。オレ、一組になんかに行けるんだろうか…

前回の岸本くんの再登場は、「院生」という壁の高さ…ひいてはプロへの道の険しさにもつながるんですが…を示すためのものだったんですね。岸本くんはアキラとの対局のあとに「プロを諦めて正解だったよ」という言葉を残してますが、それは彼がかつて院生だったことを示していたわけで。しかも岸本くんは二組でくすぶって一度一組にあがってもコテンパンにやられてしまい、プロ試験へ辿りつくことさえどれだけ大変かを身を持って知ったはず。結局1年手歩とで岸本くんはプロへの夢に見切りをつけて、アマチュアとして囲碁を楽しむ道を選択しましたが…そんな彼の前に現れたのは、プロに余裕でなれるだけの実力はあるのにたった一人の少年に執着して囲碁部に入った少年・アキラ。複雑な気持ちだったんでしょうねぇ。あのアキラがそれほどに気にかけていたヒカルが岸本くんにとってもひっかかるとは当然で、ヒカルと本屋で会ったときの一連のやりとりをみてるとヘラヘラしてみえるヒカルになんか一言いいたくなる気持ちはよくわかります。アニメ第20話で、院生の話になったときの岸本くんの一瞬痛みを感じたような表情はそれをうまく表していたのではないかと思います。

ヒカルがまたしても失言…といってもアキラが「ヒカル」を追いかけていたのは事実ではありますが、今のヒカルの実力ではその言葉は本当だと誰にも思ってもらえないのも無理はない話。この失言のためにヒカルは院生たちに必要以上に警戒され、そして実力が判明してからは逆に侮られることになってしまいました。ヒカルの立場はこのせいで一時的には少し悪くなってしまいましたが、実はこの言葉であとでじわじわと色々なエピソードに影響を及ぼしてゆきます。原作でここを読んだときに「うわー、こんなこと言わなきゃいいのに…」と思ったのですが、後から考えるとこれがあったからこそ、あの人がああなるハメになったわけで… 本当によく考えられたエピソード構成だなあとしみじみと思ったのでした。

今回院生師範が引合いに出していた「倉田五段」はアニメではエピソードがカットされたかどうか記憶にないんですが、原作第一話で白川先生(囲碁教室の先生)が「強い若手」として名前をあげていた方です。でもそのとき(作中で1年前)ではまだ四段でしたが。倉田さんの名前はこれからもちょくちょく出てきますので要注意。ちなみに初登場のときのインパクトは強烈でした…


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