和谷がふとヒカルの対局はどうなったか気になってみてみたら、そこには緒方とアキラが盤面をみている姿があった。しかしすぐに緒方もアキラも去ってしまう。対局は6目半差でヒカルの負け。皆が去ったあと、和谷がヒカルに声をかけた。ヒカルは負けたものの、手応えを感じていた。アキラのことを聞くヒカルに、アキラが食い入るようにヒカルの対局を見てたことを話した。
翌日、都内の熱帯魚店。アキラは緒方を探してその店までやってきた。若獅子戦でのヒカルの対局のことを聞きたがるアキラをはぐらかす緒方。アキラが盤面をみたときには終盤、村上のヨセのうまさにヒカルが押されているところだけだった。しかし、ヨセで圧倒されて6目半であれば、中盤まではヒカルはプロ相手に互角だったということ。しかも見なれぬ手順が想像できない石の並び、一体何があったというのか? 緒方はアキラに答えを与えなかった。アキラはあのあとヒカルの対局相手の村上にも聞いてみたが、自分よりも院生16位のことを気にするアキラに苛立ちを感じただけで、アキラの聞きたいことには答えなかった。緒方は車でアキラを家まで送りながら、焦らずともすぐに答えはでる、という。2ヶ月後にはプロ試験が始まるのだ。アキラが去年通った道を1年遅れでヒカルも歩いてゆく…
一方、院生たちは院生研修の日、お昼をファストフードショップでとっていた。結局若獅子戦は、一回戦を突破したのは伊角、足立、越智の3人で、2回戦も突破したのは越智だけだった。そこから越智の話に。本田は越智にこのところ連敗、伊角や和谷は五分の戦歴だった。本田は越智が負けたらトイレにこもってブツブツ呟きながら扉をトントン叩くクセがあるらしいことを話した。本田は、越智は相手がプロであっても負けたら思いっきり悔しがるだろうと言う。ヒカルの午後の手合いが越智で、皆に軽く頑張れと言われたのに対して、真剣に「もっと強くなる」と呟くヒカルだった。和谷はそんなヒカルをみて、緒方とアキラが見ていたのはやはりヒカルだったのか?と思うのだった。
そして夏にはプロ試験が始まる。仲のよい院生たちでも、真剣勝負が続く。そうなればお互い星の潰しあいなのだ。
エレベータで降りてきた桑原本因坊とすれ違った。桑原はただならぬ何かの気配を感じてヒカルを振り返る。院生であるヒカルのことを桑原はチェックし、記憶にとどめておくことにした。
ヒカルは仲間から本因坊というタイトルの説明を受けていた。タイトル戦は2年がかりで予選を行い、そこを勝ちぬいた人がタイトルホルダーに挑戦できるのだ。
ヒカルは家で佐為に教えを受けていた。佐為はヒカルが一段上にあがったことを感じ、指導の内容をよりレベルの高いものにするのだった。ヒカルはしみじみと思う。ヒカルが土日に院生研修を受けてる部屋で、アキラはプロとして水曜、木曜に対局をしているのだ。顔を合わすことはなくても、どこかつながっている。改めて夏のプロ試験の決意をするヒカルだった。
桑原本因坊は北海道にやってきて、本因坊戦第二局の前夜祭が行われているホテルにたどりついた。そこには挑戦者である緒方が既にいた。一見穏やかながら互いの底をさぐるような舌戦が行われ、タイトルをとってみろと挑発する桑原に、緒方は新しい時代の波がやってくるという。緒方は、新しい波を迎え撃つタイトルホルダーは自分でありたいと言い放った。
院生研修で、ヒカルはアキラが二段に昇格したことを仲間から聞いた。
和谷が家でネット碁をしていたところ、数年前に学生の棋戦で三冠をとった門脇がプロ試験を受けるらしいということを聞いた。それを研修の帰りに伊角に話している頃、棋院の入り口にはその門脇が…
今回は止め絵の顔アップはきれいでしたが、動きだとか全身バランスとかはもうひとつで… 作画スケジュールやスタッフのやりくりが大変なんでしょうね。
今回は話の順番やセリフが微妙に原作と違います。原作での説明を。
(1)若獅子戦
前回の「振り向いた」アキラの直後、真柴とケンカをした和谷や他の院生たちが散らばった碁石片付けをさせられてます。院生メンバーの勝敗を報告しあったあとで和谷はそこにいなかったヒカルはどうなったのか、振り返ってみたところ、周りの喧騒から切り取られたかのような静寂の中で対局をするヒカルと村上、そして盤面を凝視している緒方とアキラが目に入ります。ここの動から静への移り変わりがきれいで、印象的なシーンでした。
で、和谷が近寄ろうとしたときに緒方は去ってゆき、それに気が付いたアキラも去ります。院生たちがヒカルの周りに集まり、和谷はふたりがみていたのは村上二段だったのかそれもヒカルだったのか考えこむ…というシーンで終わります。原作では対局終了まで描かれず、どうなったのかは院生同士のマクドナルドでの会話でわかるしかけになってました。和谷がヒカルにアキラがみていたことを告げるシーンはアニメオリジナルですが、正直これは蛇足だったような気がします。和谷は「アキラがヒカルをライバル視している」ということはまだ疑問符が付く段階ですし、ヒカルはアキラが自分を気にしている「はっきりした証拠」を知るのはまだ早いかなあ、と。…和谷くんが言わなくても、佐為も知っているわけですからヒカルにもし聞かれたら教えるだろうけども。ただ原作では「情報の伝達」がされた場合はそれははっきりと描かれてまして、描かれてない場合は「聞いていない」ことがほとんどなので、佐為は言い忘れていたのか、もしくは言わなかった可能性が高いんじゃないかと思います。…ここは大勢には影響はありませんが、ヒカルとアキラの関係はあのすれ違いがおもしろいんで、ヒカルは知らないままの方がいいと思うんですが。
(2)ナックドナルドでのお昼→夏のプロ試験話
原作では熱帯魚ショップでの話よりこっちが先にきます。院生師範に碁の内容を誉められたのは、原作では伊角さんの2回戦での対局。越智くんの「負けるとトイレにこもる」というのは原作読んだときから実にうまいキャラ立て方法だなあと思ったのでした。越智くんの「負けず嫌い」はある意味では某「ヘタレ」キャラとの対比でもあるんですよね。その性格の差がこの後のストーリー展開にドラマを生むわけで。
あと、「もっと強くなりたい」のヒカルの力強さも印象的でした。アニメでも今までのヒカルとは違ってきていることを感じさせてくれてよかったんではないでしょうか。
夏のプロ試験、「みんなで星のつぶしあいだ」というセリフ、原作で当時読んだときには意味が実感できなかったんですが、プロ試験編に話が移ったときに思いだしてしみじみしたものです。
(3)熱帯魚ショップ
原作よりも「わかりやすく」するためか、緒方さんの方からアキラにヒカルの話をふっています。うーん、ここでは原作どおりに、緒方さんはアキラが何を聞きたいか知ってるのに知らないふりで熱帯魚や本因坊戦の話をしていた方が「アキラを翻弄している」感じが強くていいんですが… でも原作よりもアニメの方が、声つきということもあってかエロ度が高いです。「乗るんだな」とかがもう…
(4)桑原本因坊→前夜祭
このあたりはほぼ同じです。緒方さんを桑原先生が夜の町に誘ったときの「興味がありませんので」という断りの言葉はアニメオリジナルですね。緒方さん、遊び人ぽい感じがするんでこのセリフには違和感が。たぶん興味はあってもジジイと一緒なんてまっぴらだというのが正直な気持ちなんじゃないかと思いますが。
(5)佐為の指導碁→アキラが二段に
後半の「同じ部屋で対局」というあたりのヒカルのセリフは原作ではありません。「つながってる感じ」を分かりやすいように表現したのではないかと思います。原作ではその部分は、ヒカルのモノローグという形で、ヒカルが院生順位をあげていったこと、同じ部屋でアキラもプロとして対局を行っていて二段に昇格したことが語られています。また若獅子戦はアキラの優勝で幕を閉じたという話もここで。こういう感じで、原作では本筋に深く関係がない話はあっさりと処理されることが多いんですよね。
(6)門脇登場
和谷が家でネット碁をする描写は原作ではありませんでした。ちなみに作中ではこの時点で6月下旬か7月頭あたりだと思われます。
それにしてもこのあたりの緒方さんの活躍ぶり(?)はすごくて、原作で読んでたときに「こんなに出番あっていいのっ?」って浮かれたものでした。その分、あとで反動くるんですけどねぇ…