いよいよプロ試験本選がスタート。ヒカルは会場である日本棋院囲碁研修センターに電車で向いながら、アキラのことを考え闘志を燃やしていた。
会場には和谷、フク、伊角などのお馴染みのメンバーのほか、予選でヒカルが苦手としていた椿もいた。椿に声をかけられ、最初はビビってたヒカルだったが、碁会所「石心」の河合に比べたら椿もかわいい顔をしている、とヒカルは平気で椿に応対できるようになっていた。飯島はそんなヒカルをみながら、進藤は予選の頃から変わったと考えていた。
本選は日曜・土曜・火曜の週3日を2か月かけての総当り戦。今年の出場者は28名、そのうち合格するのは上位3名。対局場にヒカルが予選のときに負けた相手がやってきた。挑発するような顔をしたその相手に、ヒカルも負けずに睨みかえす。ヒカルは以前のヒカルとは明らかに違う。秀英との対局で持てる力を搾り出して勝利をおさめたことがヒカルにプラスの力を与えているのだろう、と佐為は考えていた。ヒカルは飯島のゆさぶりをかける言葉にも全く動揺しない。
そして時間に。初日には抽選を行なわれた。対局表はもうできているので、この日の抽選の結果で最終日までの相手は決まってしまう。ヒカルの初日の対局相手は飯島だった。持ち時間がそれぞれ3時間、秒読みは一手1分、コミは5目半で長いプロ試験本選がスタートした。
試験の監督でもある篠田は受験生たちの緊張感が伝わってきていたたまさを感じていた。対局始まっても間もないのにタバコを吸いにきたり、トイレにいったり、バイクで外を走ったり…とそれぞれが緊張感を顕わにしながらも緊張をほぐそうとしている。普通のプロの対局でもこういうことはまずない、それがプロ試験なのだ。
院生たちもそれぞれの決意を胸に盤面に向っていた。飯島はヒカルが予選の時とは違って落ちついているのをみて焦る。プロ試験は1年に1度しかない、飯島だって初日からつまづきたくはないのだ。
お昼の時間になった。椿に平然と対応するヒカルをみて、伊角と和谷は碁会所通いが効いたのかも、と話していた。それを聞いて飯島は「ライバルを強くしてどうするんだよっ」と怒り出す。和谷は「強くなるやつは放っておいても強くなる」と師匠が言っていたと平然と答えた。それにしてもなぜプロ試験前に手助けをするんだ、「ばっかじゃねーのっ」と飯島は怒って去った。和谷は自分は逆にヒカルが研究会にきてから伸びたと師匠に言われたと話すと、伊角も和谷はヒカルの世話をしながら自分を強くなったような感じがすると言った。和谷は今年は調子がいいし、今年こそ合格するぞ!!と嬉しそうに喋る。
伊角と和谷は対戦表を見にいった。和谷と伊角さんは13戦目、和谷とヒカルは最後から二つ目の対局。伊角は12戦目にヒカル、13戦目に和谷と当る。伊角は先ほどの飯島の「ライバル強くしてどーすんだよ」という言葉を思い出して、一瞬瞳が暗くなった。和谷はたしかにこれでヒカルが合格して自分たちが落ちたらマヌケだよなあ、と陽気に笑う。
そして午後の対局に。ヒカルは飯島相手に中押し勝ちをおさめた。一勝はしたものの、先はまだまだ長い。ヒカルは気持ちを新たにした。
そして、第二戦もヒカルは勝った。
学校はいつの間にか二学期になっていた。
試験は6戦まで進んだ。対局後、本田、奈瀬、飯島、越智などの院生たちが対局表をみながらあれこれ話していた。ここまで6連勝なのは伊角、和谷、越智、そしてヒカルの4名。本田は伊角と越智の連勝ともかく、ヒカルの連勝に首をかしげていた。そこに篠田がやってきた。まだ始まったばかり、6連敗してもそのあと全勝することもある。全勝も良し悪しで一敗してガタガタとリズムを崩すことがあるのだ。それを聞いた越智は連勝は良しに決まってる、自分は全勝合格を目指すのだと冷たく言い放つ。奈瀬が飯島に初日に当ったヒカルの様子を聞くが、飯島はヒカルが変わった、当ってみればわかるというばかりだった。
越智の家ではプロ棋士を呼んで指導碁が行なわれていた。裕福そうな越智の祖父は孫がプロを目指すことを喜び、孫の勉強のためであれば毎晩プロ棋士を呼ぶお金も厭わなかった。トップ合格できそうか?と聞く祖父に、越智は一応そのつもりだと答える。プロ試験前の最後の院生順位は、伊角を抜いて1位になったくらいなのだ。祖父は今週呼ぶプロ棋士はもう決まっているが、来週あたり塔矢二段を呼ぼうかと言い出す。彼は去年のプロ試験のトップ合格者、色々と参考になる話があるだろうと。越智はそれを受け入れた。アキラとはまだ対局したことないが、プロになればすぐに対局のある低段者同士、機会があれば一度打ってみたかったのだ。
アキラの家。アキラはネットで日本棋院のプロ試験の経過が載っているページをみて、ヒカルが6連勝をしていることに驚いた。長いプロ試験から考えればまだたったの6勝、でもここまで6連勝しているのは4人しかいない。今のヒカルの実力をアキラは心の底から知りたかった。そのとき、アキラに日本棋院から電話がかかってくる。家に出向いての指導碁の話に、自分の勉強時間を削りたくないアキラは難色を示していたが、その相手が現在プロ試験を受けてると聞いて目の色を変えた。「行きます!!」と。
さて、長いプロ試験が始まりました。原作ではこのあと毎週の展開にドキドキしたものですが、アニメは原作の倍のペースで進むからそれほどでもないかな? さて、合格するのはあの中の3名。その3名は誰なのか… 原作を知らない人はどう予想するのでしょうか。
この段階の実力では1番は越智くん、2番が伊角さんのようです。でもヒカルもぐんぐんと力を伸ばし、和谷くんも調子がいいわけで。もちろん実力だけではなくて精神的なものも大きいですから、それがどう効くのか? 今回の篠田先生の「連勝も良し悪し」という話は伏線なのかそうじゃないのか? …などなど。今までの伏線を考えながらみてると楽しいのではないでしょうか。
飯島くんの「ライバルを強くしてどーするんだ」っていうのはたしかにその通りですが、単にプロ試験に通るのがゴールならともかく、その先のことを考えると「ライバルを蹴落とす」ことだけを考えていてはダメなんですよね。和谷くんみたいに「ライバルと一緒に自分も伸びる」という気持ちでいた方が、先々にも繋がるような感じがします。
アキラの久しぶりのストーカーぶり(?)炸裂。ただもう少し「ガタッ」という音は大きくしてもらいたかったかも。でもこういう回りくどいことをしなきゃいいのにと思いつつも、そこがアキラなんですよね…
さて、アキラと越智くんの出会いが物語にどういう影響を与えるでしょうか。
プロ棋士を自宅に指導碁に呼ぶとどれくらいの料金がかかるんでしょうか? 日本棋院で行なわれる指導碁は九段で会員価格6825だそうですから、自宅に呼ぶなら万はかかりそう。それが毎日だと、一月で少なくとも30万? うわー、お金持ちだなあ。
今週も作画が結構よくて満足でした。ここしばらくは続けて作画がいい状態が続いていますが、このまま安定してくれたらなあ…
原作との違いですが、今回はストーリーに影響のない細かいセリフまわしが多少修正されているくらいです。あとは冒頭のヒカルがアキラを思い出しているシーンはアニメオリジナル、そして「二学期」の話は原作での描写は…ヒカルのいない教室で担任のたま子先生がヒカルの休む理由を告げて生徒がざわめいている…というものでした。アニメでは電車に学生さんが制服で乗ってる姿で表現をしていました。