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【アニメ ヒカルの碁 第42局「一人目の合格者」】 02/08/04

実は、今週のアニメの方はビデオ録画に失敗したために見損ねてしまいました。
そのため、原作該当部分を読んでの感想が中心となります。
他の「ヒカルの碁」関係のファンサイトを読むかぎりでは、作画はあまりよくなかったとか…
あと、アニメで大幅にカットされた原作部分はなかったそうです。

プロ試験もいよいよ終盤、落ちる人/ギリギリな人/合格を決めた人と、それぞれの立場の気持ちが痛いほど伝わってくるエピソードでした。
たったひとつの可能性を求めてギリギリまで頑張ってもついに崖から手が離れてしまった。言葉もなくすれ違う片桐さんと椿さんのシーンが切なかったです。アニメではおそらく描写はなかったと思いますが、片桐さんは25才、プロ試験を受験することができるのは30歳までといえ、自分の人生の方向性を変えるのであれば早めに動かなければいけない年齢にさしかかっています。一方、椿さんは30歳、このプロ試験が最後のチャンスでした。前のエピソードにもあったとおり、プロ試験を受けるために会社も辞め、帰る職場はもうありません。普通の少年マンガであれば、ライバルの「負けるわけにはいかない悲しい事情」が描写されれば、たとえそのライバルが負けてもなんらかの救いなり、状況の変化なりがありますが、「ヒカルの碁」の場合はそれが一切ありません。そういう「残酷な」部分がこの作品にリアルさを与えているわけで。…ライバルだけでなく、メインキャラたちにとっても「都合のいい」展開にならないあたりもその「残酷な」リアルさに通じるものがありますが。
そして、ヒカルに夢を託した椿さん。このバイクで走り去るシーンは原作では名シーンのひとつだと思います。初登場の時にはなんだかよくわからないヘンなオジさんだった椿さんも味のあるキャラになりました。

またアキラのスパルタ教育ぶりもプロ試験編終盤の名シーンのひとつで、見損ねたのが残念です。アキラはヒカルの「謎めいた強さ」のことを知らせるために、ヒカルと打った2度目の対局(実は打ったのは佐為ですが)を越智くんの前で並べます。このとき越智くんに「誰にもこの一局はみせていない」と言ってますが、あのときには碁会所のオジさんたちがまわりをずらっと取り巻いてたんですよね… でも実はその中の誰もちゃんと覚えていないので、このときの対局の具体的な内容は緒方さんも名人も実は知らないということが後日説明としてでてきます。ってことは、あのときにいたオジたんたちは棋譜を記憶できない程度に弱い人達だったということなんでしょうね。ユン先生レベルの人が観戦者にいれば覚えているはずですから。…その、誰にも言えない秘密をアキラと共有することになった越智くん、それが今後物語にどういう影響を与えるでしょうか?

終盤の上位陣の潰しあいは和谷くんが2敗、ヒカルが3敗をキープ。本田くんがなんと伊角さんを破って、本田くん・伊角さん共に4敗。ぎりぎりで合格の望みを残した本田くんの喜びっぷり、そして受験者たちの間の緊張感、気持ちがよく伝わってくる描写でした。
さて、タイトルの「一人目の合格者」。越智くんがあっさりと合格を決めました。 …たぶん現在のメインキャラたちでは一番読者に嫌われているであろう越智くんが真っ先に合格を決めるあたり、この作品の「残酷な」リアルさのひとつなのでしょう。「ジャンプ的」な「友情・努力・勝利」路線でいけば伊角さん・和谷くん・ヒカルが合格者となりそうですが、この三人のうちの少なくとも一人は落ちることが既に決まっていますし。
プロ試験合格が最終目標であればそういう展開もあったかもしれませんが、プロ試験合格は過程のひとつでしかありませんから…

久しぶりにネット碁と「sai」の話題になりました。和谷くんがヒカルをsaiの弟子だと思ったことがありましたが、それが次の和谷くんとヒカルの対局の話につながるのかどうか…


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