今週は原作ニ話分をアニメ一話分に構成してましたが、演出が少し間のびしていたような印象は受けました。でも今回はアップの絵は結構きれいだった(特にヒカルはかわいかった)ので満足度は高かったです。それでも全身絵でのバランスの悪さはどうしても気になってしまいますが。
エピソードの流れはほぼ原作そのままでした。
佐為とヒカルの家でのやりとりから、和谷くんに声をかけられて席に急ぐヒカルを見守る佐為までが原作での一話なんですが、このときのサブタイトルは「いつもいっしょ」なのです。
これは前半の佐為とヒカルの家でのやりとりに呼応してますが、ずっと後から考えると奥が深いタイトルなのです …ヒカルが手に困ったときに「佐為ならどう打つか」と考えて打つことで佐為ぽい手になるという話で「いつもいっしょだからわかるんだよ」というヒカルの言葉で先行きに不安を感じる佐為。佐為の不安というのはヒカルvs秀英戦の後での、海王中囲碁部顧問・ユン先生の言葉が発動のきっかけですが、根元は佐為のアイディンティの危機ではないかと思います。佐為は「神の一手」を目指して幽霊として蘇ったほどの熱心な碁打ちです。その佐為はヒカル以外の人には見えず、佐為はヒカルを通さなければ碁を打つことはできません。
唯一の外への窓口であったヒカルが、碁に興味がなかった最初の頃はともかく、今は「本当の自分の力」で戦いたいというように思うようになったために佐為が自由に打つ機会は減ってしまいました。碁を打つことでしか自分を表現できない佐為。今はヒカルを育てることに力を注いでいても、「強い相手と打ちたい」という碁打ちの欲望をいつまで押さえておくことができるでしょうか。
初期設定から必然的に導かれる、ふたりの碁打ちとしてのプライドゆえの対立を原作では安易な妥協に向うことなく描かれてゆきます。
今回、佐為のモノローグ部分と、あと柿本先生がヒカルを「ちらとみて死活を即答しただけのことはある」とあの時の「佐為」を「ヒカル」だと認めたこと、それゆえに佐為の不安は少しずつ高まってきます。
それでも今はヒカルのプロ試験の方が大切だと思った佐為は、この不安をいったん封じ込めるわけですが。
第26戦、2敗の和谷くんと3敗のヒカルの対局。あと、伊角さんと本田くんが4敗。越智くんの合格が決まって残る椅子はあと二つ、和谷くんがこの対局に勝てば合格が決まり、もしヒカルが負ければ伊角さんや本田くんとのプレイオフの可能性が高くなります。ヒカルの最終戦の相手はトップ合格を決めた越智くんですからヒカルとしても負けられないところ。
さて、和谷くんの回想で森下九段の家での師匠からの叱咤激励シーンがありました。森下先生って口は悪くても思いやりのあるいい師匠なんだなあというのが伝わってくるエピソードでした。娘さんのしげ子ちゃん、無邪気な子悪魔という感じでかわいいです。彼女はちょっと変わった名前ではありますが、実は森下先生の名前が「茂男」なのでそこからとったようです。でも女の子に「しげ子」というのはあまりかわいい名前ではないし、かわいそうかも。そういえば、アキラの家は母親が「明子」さんなのでそっちからとった名前なんでしょうね。
さて、和谷くんが有利な状況、佐為には見えているヒカルの生きる道は果たしてヒカルは見つけることができるんでしょうか。