今週のアニメは原作91局、92局の話を一話にまとめたものでした。アニメオリジナル要素も今回は多かったです。また、今回は絵がきれいだったのがよかったです。全身図のバランスの崩れはやはり気になってしまいますが、原作をかなり参考にしたと思われるアップはとてもきれいです。題材が碁だけにキャラの動きはあまりないですから、アップさえしっかりしていれば印象はいいんですよね。
和谷に追い詰められたヒカルだったが、ヒカルは「もし佐為だったらどうするか」と考え、突破口を見出し、見事に和谷に中押し勝ちをおさめました。このヒカルが追い詰められたときに「佐為だったらどうするか?」と考えるという話は、この前の回の佐為とのエピソードからきてますが、実は今後も色々と影響のある話だったりします。対局後、和谷がsaiの話を持ちだしますが、和谷くんにとってヒカルがsaiかもしれないという疑いはもう整理がついちゃったんでしょうか。和谷くんは当時のヒカルの実力というのを知っているから、あのときのヒカルの嘘をそのまま受け入れちゃったのでしょうが。
さて、これで残り一戦で和谷くんとヒカルが三敗、伊角さんが四敗で合格はこの中の二人にしぼられてきました。本田くんはあとちょっというところで戦線離脱になっちゃいましたね。この本田くんが落ちた描写は、原作に比べてアニメではかなり細かく描かれています。詳しくは後で。
越智くんの家にやってきたアキラ、やはりヒカルのことだけを気にしていて、自分なんかてんで相手にしてないことに気がついている越智くんは苛立ちを隠せません。そして越智くんは最終戦で自分がヒカルに勝てばアキラにライバルとして認めてほしい、塔矢名人の研究会に通わせてほしいと言いだしました。ここで久しぶりに緒方さんの話がでてくるわけですが、実はジャンプ掲載時にはここは「王座戦の挑戦者になった緒方九段」だったんですよ。その数週間後、王座戦の挑戦者は別の人にかわってました… 緒方ファンとして長いこと待ってただけに、どれだけがっくりきたことか。(その週のジャンプの巻末コメントでほったさんが変更について謝ってました) でももうちょっとしたら、緒方さんも再登場するのでそれまで我慢。
話戻って、越智くんにとってこの最終戦は消化試合ではなく、アキラにライバルと認めてもらうための重大な試練となりました。越智くんもこれまで順調にきただけに、アキラが自分を歯牙にもかけてないのを感じるのは屈辱でしょうが、越智くんはその悔しさを前向きなエネルギーに変換できる子ですから。
最終戦、誰が合格するかをあれこれ予想する奈瀬ちゃんと飯島くん。なんだか原作よりも二人は雰囲気がい感じに。見つめあってるシーンが多かったせいかな? あと飯島くんは原作よりもカッコよく描かれてました。
研修センターで越智くんとばっかり出会ったヒカル、「毎晩塔矢と打ってきた」と言いだす越智くんにヒカルは驚く…ところで話は続くに。
原作との違いです。
(1)落ちた本田くん
原作では、「泣きながら走り去る本田くん」→「碁石を片付けて立ちあがる片桐さん」という三コマだけで表現されています。ちょっと前の伊角さんに勝った時の本田くんのガッツポーズと今回の泣きっぷりの対比が印象的でした。
アニメではその前後を補っています。まずは片桐さんと本田くんの対局の最後の方、本田くんが負けを認めるところ。そして、本田くんが棋院を出てバスを待ち、やってきたバスに乗ろうとするものの涙が止まらずに立ちすくんでしまい、バスの運転手がそれに気が付いて「来年頑張れや」と声をかけ、駅まで歩くことにした本田くんはバスが走り去った後、大泣きする…ところがアニメでは追加されてました。原作の一瞬を切り取った表現も見事ですが、アニメではシーンを補うことで余韻が生まれているのではないでしょうか。
(2)saiの話を切りだされて。
和谷くんが「sai」と呟いたときに驚いて返事して、自分を呼んだのかと思ってびっくりする佐為…がカットされてました。シリアスな和谷くんやヒカルに対して、佐為はコミカルに描かれているので、アニメでは雰囲気を切りかえるのが難しいからコミカルな佐為をカットしたのではないかと思います。
(3)奈瀬ちゃんの呟き
ヒカルが控え室から去る前に、奈瀬ちゃんがヒカルち何か声をかけようとしてやめてしまいます。そのあと飯島くんに聞かれて、こう答えます。勝てば合格のヒカルに頑張ってと声をかけようと思ったけれども、声をかけたところでどうなるわけでもないし、むしろ頑張らなきゃいけないのは自分の方だと。そして「来年どうしよう」と呟きました。切ない話です。
長かったプロ試験があと少しで終わり。
それぞれどんな未来につながる道ができるのか、お楽しみに。