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【アニメ ヒカルの碁 第47局「プロの世界へ」】 02/09/08

いよいよヒカルもプロの仲間入りに。今回はエピソードの流れはほぼ原作そのまま、セリフは部分的にいじってありますが、意味が大きくかわったものはありません。でもカット割は原作と重なるシーンは少なく、頑張って色々と工夫したんだなあ、と。アニメも回によっては原作のカットわりほぼそのままの時がありますから。
カット割がかわったものの、絵はそれほど崩れてなくてよかったです。ヒカルは小畑ティストが感じられるかわいさ。佐為はちょっと顔がキツかったのが残念ですが。

今回の話を箇条書きに。
・伊角さんが院生も九星会(囲碁道場)も辞めたこと
・きたるべきプロとの対局を待ちわびるヒカルと、そんなヒカルに「自分はもう打たせてもらえないのだろうか」と不安に思う佐為。
・王座戦。座間王座vs塔矢名人(挑戦者)は塔矢名人の勝ちでタイトル奪取。
・桑原本因坊が、すれ違っただけのヒカルのことを覚えていて、合格したことをチェック。
・久しぶりの碁会所「石心」。あまりに囲碁界のことを知らないヒカルに、マスターは「週刊碁」を貸してくれます。
・家で週刊碁を広げながら、熱心に塔矢名人の棋譜を読む佐為、一方ヒカルは1年前のアキラの新初段戦のことを思い出していた。
・塔矢名人が新初段戦に出るのに、条件として対局相手にヒカルを指名。それを知った佐為は、ヒカルに「自分に打たせてほしい」と懇願。
・タイトルホルダーのひとりの名前判明。その一柳棋聖は、以前和谷くんとネット碁を打った方です。

今回は伊角さんの件といい、最後の佐為といい、苦さを感じさせる回でした。院生編に入った時も囲碁部があんな形で終っちゃって、苦かったですもんねぇ。次のステージに移るときにはそこから始まるのかもしれません。

伊角さんファンにとっては、「もう出番はないのでは」と心配になった先週の展開ですが、伊角さんの物語上の役割はまだ終わってません。ただししばらく出番はないので、気長に待っててください。院生師範の言葉の意味が分かってないあたりが和谷くんにしてもヒカルにしても子供なんですね。院生師範もいい加減にいってるわけじゃなくて、伊角さんの挫折も不安もすべて見守ってきたからこそ言える言葉なのであって。

真剣に「週刊碁」を読む佐為のくだりは、生身を持たない佐為の悲しさが伝わってきました。…どんなに欲していても、ページを繰る事さえ自分ではできないわけで。あの切羽詰まった真剣さが痛々しくて。それがちっともわかってないヒカルが、楽しげに去年のアキラの若獅子戦のことを思い出して、先の希望に思いを馳せているのと対照的。アニメのBGMがのどかなために、そのふたりのズレが強く伝わってこなかったのが少し残念でした。

今回の佐為のアイディンティティの不安。越智戦でのエピソードで「アキラの相手はヒカル」というようなセリフがありましたが、あれはヒカルに全てを明け渡すことを覚悟したわけではなかったようです。アキラはヒカルに譲っても、アキラパパは譲れないようで。
こんなに早く名人vs佐為の可能性が示唆されてから振りかえってみると、プロ試験前後からでてきた佐為のアイディンティティの危機を感じさせるエピソードは、今ひとたびヒカルのかわりに佐為が打つことを正当化するための伏線とも見えます。プロになって、昇進やタイトルにかかわる対局を佐為がヒカルのかわりに打つのは、読者からみると「ズル」に思えます。(物語中ではヒカルのプライドとして処理していますが) でもこれだけ佐為が自分で打つことを欲している、自分が消えるのではないかと不安がってる描写が続くと、読者としても(今後の成績に関わりがないお祭りである)新初段シリーズくらいは佐為に打たせてやってもいいじゃないか、という気分になりますし。

今回のエピソードのヒカルは前しか見えてない、ある意味非常に自分勝手で、そういうところがヒカルらしいですが、伊角ファンや佐為ファンの中にはムッとした人もいるかと思います。
ヒカルが「無知」であるのは、ヒカルを質問者とすることで読者に物語を分かりやすく説明できるようにするという意味と、あと「無知」ゆえにどんどん踏みこめるとという意味の両方が大きいのではないでしょうか。プロ試験の本当の厳しさをヒカルが知った後でしたら、さすがのヒカルでもアキラを追って院生になる決断はできなかったでしょうし。
それに、ヒカルはこの性格ゆえに物語がどう転がり、そしてヒカルがどう成長するのかを知ればなぜああいう性格に描かれていたのかがわかるのではないかと。…ということで、ヒカルの性格を疎ましく思っている方も、できればもうちょっと気長にみてもらえればなあ、と。

さて、新エンディングの感想。原作のこの先の展開のネタバレも含みますので、原作未読の方は読まないでください。こちら


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