今週のダイジェスト。
・自問自答していた伊角は、「弱気になるな」と自分を叱咤する。このまま自信を失って帰ったらプロ試験に臨むことはできないのだ。
・伊角に日本の父から電話が入る。伊角は中国棋院にプロ試験が始まるまで2か月滞在することを父に告げた。
・その夜、伊角はホテルをキャンセルして楊海の部屋を訪れた。恐る恐るやっていた伊角を楊海は気楽に受け入れる。しかし伊角が楽平に負けたことを聞いて楊海は怒りだし、伊角の力をみるために対局しようと持ちかけた。
・対局の結果、楊海は伊角の力を認めた。翌朝、伊角は訓練室で碁の勉強に参加。中国トップ棋士の王星と対局を行なった。
・楊海によると、中国は若手が強く、30を過ぎたらもう下に追いつかれるので10代の頃に勉強をしっかりすることが大切なのだという。
・翌日は休日。人が少ない訓練室だが、そこに超石がやってきた。伊角が彼と対局するために中国棋院に留まったことを伝えようとすると、楽平がやってきて、超石を遊びに行こうと誘った。
・そこに楊海が現れ、遊んでばかりいる楽平を咎める。言い争いの末、楽平が「弱い」とバカにしている伊角に負けたらマジメに勉強するということになった。対局は一週間後。
・その頃ヒカルは日本棋院の階段をぼんやりと降りていた。外で奈瀬に出会って、奈瀬に手合いに来てないことを問い詰められるが、ヒカルは何も答えずに逃げていった。
・楊海は楽平にこだわる理由を伊角に話した。楊海と楽平は同じ雲南省の出身なので楊海は気にかけていて、遊んでばかりの楽平の行く末が心配なのだ。そのため伊角に痛い目を見せられたら、楽平ももう少しはマジメになるかと期待しての賭だった。
・楊海は伊角がなぜプロ試験に落ちたかを聞いてアドバイスする。心のコントロールが伊角は下手で周りを気にしすぎていると。周りは気にせず、碁石だけをみてればよい。それは生まれ持った性格ではなく、「習得できる技術」のひとつにすぎないのだ、と。
・伊角は落ちついて打てるようになり、リーグ戦でも勝てるようになってきた。
・一週間後、楽平と伊角の対局の日。対局室では楽平が時間になってもこない伊角をイライラしながら待っていた。
・10分遅れで楊海と伊角はやってきた。これは楊海が楽平を苛立たせようという作戦だったが、それを知った伊角は楊海に怒り、楽平に謝り、遅れた分の2倍持ち時間を減らして対局を始めた。
・作戦が失敗して頭を抱える楊海。しかし楊海が心配したようなことはなく、伊角は冷静に対局を進めることができ、勝負は、伊角のニ目半勝ちだった。
・それから楽平は伊角に対抗心を剥き出しにして、付きまとって対局をせがむようになった。予想以上の効果に満足そうな楊海。
・伊角は日本にいる父親に電話し、プロ試験への申し込みを頼んだ。伊角の目はプロ試験を通り越して、プロになった仲間達を見据えていた。
ううう… 今回は絵はわりときれいだったものの、原作2.7話分を1話に押しこめたために楊海さんのセリフのほぼ1/3、伊角くんも1/4くらいカットされ、話がスカスカになってしまいました。楊海さんってよくわかんない怪しい人になってしまったし…
その上、演出が平板で、なんか話が淡々と進んでしまいましたし…
たったこれだけで中国棋院編が終わるとわっ!!!
カットされた部分は話の本筋にたしかに関係はありませんが、でもそれがなくなったことで楊海さんのキャラが薄っぺらくなり、中国棋院編でのユーモア部分が大きく欠けてしまい、なにより「言葉が通じないゆえのコミュニケーションギャップ」という中国棋院編の一番キモとなる部分をごまかして、無くしてしまったことが痛い… そのために、伊角さんの決意や努力も分かりにくくなっていました。
原作では日本語は縦書き、それ以外の言語はカタカナ+漢字の横書きという区別の付けやすい表現ができましたが、アニメでは声優さんがみな日本語を喋べることになっているので、表現が難しいのはわかるんですよ… 同じように言葉の壁が重要な要素なったヒカルvs秀英戦では秀英くんがなんだか怪しい喋り方をするということで雰囲気を出してましたが、今回の話は原作を知らない人にはどの言葉を話しているのかよくわからないのではないでしょうか。
ちなみに中国棋院関係者で日本語を喋ることができると作中で判明しているのは、李先生、劉さん、そして楊海さん(彼は日英中韓4ケ国語がペラペラです)、今回は出番が後ろ姿だけになった中国トップ棋士の王星(ワンシン)さんの4人です。
また、伊角さんがホテルをチェックアウトして楊海さんの部屋にやってきた理由についても全部カットされました。まあ大体想像は付くと思いますが、その理由はプロ試験までの2か月中国棋院に滞在し続けるにはホテルではお金がかかりすぎるから、です。まじめで小心者の伊角さんにとっては、中国棋院のルール(外部の人間を泊めてはいけない)に反しているのを知りながら、ほとんど知らない楊海さんのお世話になるというのは相当に覚悟がいったのではないかと思います。それよりも、言葉がほとんど通じない場所で、まわりは年下なのに自分より強い子がゴロゴロしている世界、しかも逃げ場がない状態でいるということの方がキツいんでしょうね。そのあたりの伊角さんの覚悟は、父親からの電話を切った後に汗をかきながら訓練室を振り返り「勝つしかないここで」と心の中で呟くシーンに現れていると思います。ちなみにアニメではこのくだりはカットされていましたが。
今回のアニメでは大幅カットにより、そのあたりの味わいが抜け落ちたのが残念でした。
アニメと原作の違い。カットされたシーンがあまりに多く、全部解説を書くとキリがないので、今回はダイジェスト版で。
◆アニメで追加されたシーン。
(1)日本棋院の階段を降りて、外を出たところで奈瀬に会うシーン
これはアニメで追加されています。予告で原作にはないシーンが出てきたので期待したんですが、イマイチ… しかもせっかく奈瀬ちゃんの出番なのに。
不思議なのは、ヒカルが日本棋院に来ていたことです。 佐為を探してかな?…と思いましたが、でもこの段階でのヒカルは、思いつくところは全部探し終えて、絶望して、自分から囲碁を断ち切って、自分のところに佐為が帰ってくるのをじっと待ち続けてる段階なので、それではしっくりきません。
◆アニメでカットされたシーン
(1)伊角父からの電話。
伊角父「しかし滞在費は」〜伊角「勝つしかないここで」まで原作7コマ分。
(2)楊海の部屋の碁盤。
楊海「ガキの3人部屋にはないけどね、古参の2人部屋にはあるよ」1コマ分。
(3)マジメな伊角
伊角「今も〜消灯してたから」1コマ分
(4)洗濯物。
楊海「ああ洗たく物があれば」〜伊角「はい」2コマ分
(5)その日の対局説明
伊角「その後別の人と10秒碁で…」1コマ分
(6)翌朝。
楊海「衛生面は保証しないけどな」1コマ分
(7)王星(ワンシン)との対局
李先生「伊角君」〜伊角「お願いしますっ」4コマ分
(8)その日の夜楊海の部屋で
楊海「彼等は近くに家を持っているが〜ハハ」1コマ分
(9)中国の棋戦はハード
楊海「体力の衰えが〜ハードでね」1コマ分
(10)超石が帰ってきた
伊角「ええっと…困ったな」1コマ分。原作では伊角くんは日本語で喋っているので、超石くんには話が通じてないし、伊角くんは超石くんの言ってる言葉が聞き取れていません。
(11)説教。
楊海「楽平、逃ゲルナ!〜言ッタジャナイカ!」2コマ。
(12)通じてません。
楊海「――ということだ、伊角君」〜伊角「…あの、何の話してたんです?」2コマ分。原作では、楽平と楊海さんの会話は中国語なので伊角さんには全くわかってませんでした。ユーモラスなシーンなんですが。
(13)田舎のガキ
楊海「雲南省は北京から〜田舎のガキには北京がオモシロイんだな」1コマ分。
(14)負けた理由。
伊角「あと…楽平を正直甘く見過ぎてました」〜楊海「残ったんだって?」2コマ分。
(15)去年のプロ試験。
楊海「プロ試験ね〜思えないし」1コマ分。
(16)心のコントロール
楊海「幸い周りは中国語だから〜気にするなっつってんの!」2コマ分。
コミカルなシーンです。何言ってるかわからないから気になる伊角くん。
(17)伊角さんの噂
「ナァ李老師から〜イルラシイヨ」2コマ分
中国棋院の棋士のみなさんも、ナイショで伊角さんが楊海さんのところに泊まっているのは知ってたようです。
(18)苛立つ楽平
(楽平の回想シーンでの楊海)「イスミクンニ負ケタラ〜」〜楽平「待ッテンノニ!」5コマ分。
(19)楊海の部屋で。
楊海「あっという間に一週間過ぎたな」1コマ分。
(20)もし負けたら。
伊角「かといってホテルに何日も〜気持ち的にも」2コマ分
(21)対局室で。
伊角「楽平がどなってますけど?」〜楊海「楽平にもね」2コマ。伊角さんには楽平がなぜ怒っているのかがさっぱりわかっていません。楊海さんの楽平には日本語がわからないことを逆手にとった作戦(失敗したけど)
(22)作戦失敗
楊海「バラしたら逆効果じゃないかっ!」1コマ分
(23)検討。
「楽平ハ〜追及スルベキダッタ」1コマ分
(24)モウ一局!!
伊角「楽平!まだ打つって言うのか?」1コマ分。やはり言葉通じてませんが、なんとなく相手の考えてることが分かってきつつある感じです。
(25)李先生の心の中に。
「イスミクンテ休日モ」〜李先生「今ノハ聞カナカッタコトニシヨウ」4コマ分
伊角さんがこっそり泊まっていることはみんな知ってても李先生にはナイショにしてたんですが、ついうっかり超石くんが漏らしてしまいます。ルール違反を知った李先生は、知らなかったふりを。
◆原作からアニメで変更された部分
(1)楊海さんと超石くんの賭け事。
もし伊角さんが勝てば楊海さんが超石くんから貰えたものは、原作では「深キョンのストラップ」ですが、アニメでは固有名詞を避けて「アイドルのストラップ」になっています。