今週のダイジェスト。
・大手合の日。ヒカルは母親のことに学校のことを頼むと伝えてでかけた。ヒカルの変化に喜びつつも、戸惑うヒカル母。
・日本棋院。村上二段は今回の対局には三段への昇進がかかっているが、対局相手がずっと手合いを休み続けている相手だからラッキーだと笑っていた。そこにヒカルがやってきた。久しぶりに対局に現れた気まずさや物怖じを全く感じさせることなく。
・不戦勝でなくなったことをグチる村上。そのとき辻岡二段がヒカルの手合復帰が嬉しいと話しかけてきた。辻岡の次の大手合の相手はヒカルだが、ヒカルは塔矢アキラがライバル視しているらしいと聞いて対局を楽しみにしていたのだ。
・それを聞いて驚く村上。そのときアキラもやってきて、ヒカルを鋭く見つめた後、自分の席に座った。時間がきて、村上もヒカルの向いに座り、対局が始まった。
・村上はヒカルとは去年の若獅子戦で対局をしていた。そのときのヒカルは大した相手ではなかった。そして対局後にアキラがしつこくヒカルの碁について聞いていたことを思い出して不愉快になる。アキラはそのときからヒカルをライバルとみていたのだろうか?
・村上は守りに徹した碁を打つつもりでいた。
・葉瀬中囲碁部。あかりは金子からヒカルが対局のために学校を休んだことを聞いて、ヒカルが元気になったと喜んでいた。葉瀬中囲碁部の夏の大会は、男子は決勝に進出したが海王にストレート負け。女子は一回戦を3-0で突破と、それなりに満足な結果を得ることができたのだった。しかし、三年生たちが卒業したら自分ひとりになってしまう…と小池が寂しがる。あかりは葉瀬中囲碁部は元々筒井がひとりで始めたもので少しずつ輪が広がっていったのだから、ひとりから始めるのも案外楽しいのかもしれないよ、と言った。…そうやってみんな少しずつ変わってゆく。あかりはまた頑張り始めたヒカルに思いを馳せていた。
・和谷の部屋では、伊角・和谷・奈瀬・本田たちで研究会をしていた。伊角は皆に、よくわからないけれどもヒカルはふっきれたらしいと伝え、皆それを聞いてほっとしていた。
・ヒカルの姿を見て顔をしかめる坂巻。天野と会ってそのことを話すと、天野があわてて対局室に見に行く。ヒカルの姿を確認したあと、緒方の家にヒカルがでてきていると連絡。
・編集部に桑原が原稿を届けにやってきた。考えこんでる天野に桑原が問いかけると、天野はなぜみんなそんなにヒカルのことを気にするんだろうか?と疑問を告げた。桑原は笑いながら、「なぜじゃと?みんなそれを知りたがっているのかもしれんのう。」と答えた。
・そして日本棋院。アキラの対局相手の女性は、こんな強い相手がなぜ低段者にいるんだと戸惑っていた。彼女はアキラの迫力に押され、つい投了してしまう。アキラはヒカルを一瞥したあと、さっさと帰ってしまった。
・そのとき辻岡も中押し勝ちで対局を終えたところだった。ヒカルの対局も見ずに帰るアキラをみて、なぜライバルの復帰第一戦をみないのかと訝しく思った。しかし…いやそれとも低段者との対局など見るには及ばないとでも思ってるんだろうか?
・アキラは対局場を後にしながら、ヒカルのことを考えていた。この前ヒカルがアキラの前に顔をみせたとき、あの目を見てアキラは悟ったのだ。ヒカルの力はもう自分でしかはかることができないのだと。名人戦一次予選一回戦でヒカルとアキラはぶつかるのだから。
「待てばいい 直接対局はすでに用意されているのだから――」
今週は原作1.2話をアニメ1話にしていますので、オリジナルエピソードがかなり加わっています。ヒカルと母親のやりとり、棋院に急ぐヒカル、和谷研究会、天野さん・緒方さん・桑原先生関係は全部オリジナル。囲碁部の部分も細かいエピソードの追加があります。
オリジナルエピソード追加のせいもあって、全体的にゆったりとした流れになりましたが、原作中では描かれなかった「見たかったエピソード」の追加は嬉しいかぎりでした。ヒカルも色々な人に心配かけただけに、ヒカルの復帰を聞いて皆がほっとしている姿がみたかったのもありますので。欲を言えば、森下先生に叱られるヒカルと、河合さんに叱られるヒカルも見たいものですが… 来週にやってくれないかなあ。次の話ではオリジナルエピソードを入れる余裕はなさそうだから、無理だけども。
絵は前半は結構きれいでしたが、後半はシーンによっては「あれ?」と思うようなところも… 予告でみる限り、来週は作画レベルは期待できそうにないです。ただ個人的には3/26放映の最終回の後半さえ絵が美しければ全て許す!!な気分ですので、最終回の作画監督の方にはぜひ頑張ってほしいものです。
ヒカルの復帰初戦は、若獅子戦で対局した村上二段。村上二段が噛ませ犬として再登場しそうだというのは連載当時でも予想していましたが、辻岡二段の使い方には驚いたものでした。
辻岡さんは2年前のプロ試験、アキラと真柴くんと同期で合格。彼が「噂」を聞いたというのは、アニメ24話でのアキラvs座間王座の新初段戦の時…なんですが、実はこれ関係のエピソードではアニメでは丸々カットされていたのでアニメしかみてない人は知らないと思います。
原作では、この時に真柴くんが院生をバカにするような発言をしたので伊角さんと和谷くんがヒカルのことを「アキラが唯一認めたライバル」であると言っちゃうわけです。もっとも伊角さんも和谷くんも当時はそれを信じてなかったんですよね。こっそり舌を出して笑ってますから。このときに辻岡さん、真柴さんの他に部屋にいたのは、天野記者。天野記者はこれをきっかけにヒカルを気にしながらも、もうひとつ納得できない状態が続いていたようですが、この前のアキラとヒカルの邂逅をみたら信じざるをえない状態になってきました。
伏線を逆に辿っていくと、伊角さんと和谷くんがこういうことを言ったのはヒカルが院生に受かった直後についうっかり「アキラが自分を追っていた」と口を滑らせたのが大元の原因。ヒカルはその段階では実力が伴ってなかったら、「新入りがカッコつけのために嘘を言った」と逆に見くびられるハメになったものです。これは後に様々に影響を与えました。伊角さんはプロ試験期間中に越智くんから「塔矢アキラが進藤のことを気にしている」というのを聞いて、この噂を思い出してしまい、「あれは本当だったのか?」と動揺することであのアテ間違いに繋がったのでした。…こういう何気ないセリフがさりげなく伏線となって、実に有効に後に繋がっていくのが、「ヒカルの碁」という美しく編まれた物語の魅力の一つなのでしょう。
さて、ヒカルとアキラの直接対局がすぐそこにきました。アキラとヒカルのすれ違いは終わりましたから、ついに正面対決になります。しかも、本当にヒカルが最初から最後まで打つのは初めて。連載第二回(アニメ1話)で邂逅をはたしている主人公とライバルの対決が今の今までなかったというのはすごいマンガだなあ。
葉瀬中囲碁部の、文化系の弱小サークルが和気藹々とやってる姿がとても微笑ましくて好きでした。神の一手を極めるために、頂上でしのぎを削る戦いもいいけれども、「ヒカルの碁」ではこうやって自分のペースで囲碁を楽しんでいる人たちの姿も暖かく描いているのが、話に広がりがでていいなあと思います。
原作でも好きなシーンでしたが、アニメで声による感情の微妙なニュアンスがつくことで、アニメではこのエピソードがさらに暖かく感じられました。
アニメと原作との違い。今回はすべてアニメで追加されたエピソードです。
(1)家を出て棋院に急ぐヒカル。
玄関でのヒカルと母親のやりとりがいい感じでした。
「本当に手会いにいくの?」「ああ」「今日だけじゃなく?」「これからもずっと。昨日言っただろ。そんじゃ学校の方、頼んだよ。」
美津子さん(最近原作でヒカル母の名前が判明)の戸惑いが伝わってくるようで。子供のことはもちろん心配だけれども、本人は何もいわないから過剰に心配しては逆効果になるんじゃないかとか気を使っていたところに、突然復活したら嬉しいけれども「一体どうして?」という感じになりそう。
(2)走って棋院にいくヒカル
ヒカルの意気込みが感じられます。
(3)村上二段と友達の会話。
少し会話が足されています。今日の対局が不戦敗を続けている相手だと聞いて、「ラッキーだな」という友人に「ま、本当は勝って昇段したかったんだけどな」と答える村上さん。
アキラがヒカルをライバル視していると聞いて、「おいおい本当かよ」「早くも本因坊リーグにはいった塔矢くんが?」と説明的なセリフが追加。
(4)対局での村上二段。
「お前のヨセの甘さを思い知らせてやる」というセリフが追加。
(5)葉瀬中囲碁部。
囲碁部のシーンに移る前に、担任の先生に聞きにいく金子さんのカットが追加。
あかりちゃんが囲碁部の成り立ちを説明するところで、原作では三谷くんまででしたが、アニメでは金子さんや夏目くんや久美子ちゃん、小池くんのことまでで話してくれて、嬉しかったです。
また、これからは小池くんの囲碁部になるという話題の時に、三谷くんが「いつか海王を倒せよ」と軽口を叩き、それに金子さんが「それは無理」とすかさずツッコミをいれるシーンが追加。この2人の今回のやりとりは楽しかったなあ。
(6)和谷研究会
和谷のアパートに、伊角さん、和谷くん、本田くん、奈瀬ちゃんが集まって対局しているシーンは全部追加です。デキの悪さをなげく奈瀬ちゃんをフォローしてくれる和谷くんのシーンはほほえましい。和谷くんは伊角さんにヒカルの家にいった時のことを聞きますが、伊角さんは「よくわからない。でも、ふっきれたみたいだよ。いい碁を打てた、お互いにね」とだけ答えました。いい碁が打てた、それで十分なんですよね。ずっと休んでた理由なんか知らなくても。
(7)ヒカルの復帰を気にするトッププロ
このあたりはすべてアニメオリジナルです。ヒカルの姿を見て顔をしかめる坂巻さんが、天野さんに伝え、天野さんが緒方さんに電話して伝えます。電話を切った後に「ふっ、戻ってきたか」と嬉しげに呟く緒方さん。原作では緒方さんがヒカルの不戦敗をどう思っていたかは全く描写されていないので、こういうシーンの追加は嬉しかったです。それにしても緒方さん、昼間なのに部屋を閉め切って暗くして怪しいです…
そして編集部にやってきた桑原先生の答え。今回も「シックスセンス」ネタがでてきましたが、桑原先生はカンの強さから本質的なものがわかっているんでしょうね。つくづくいしいキャラです。