今週のダイジェスト。
・辻岡が見守る中、ヒカルは復帰第一戦を中押し勝ちで決めた。ヒカルの見事なうち回しをみて、辻岡はヒカルがやはりアキラのライバルだったのか、と思う。
・ヒカルは対局後、事務の坂巻に対局をサボっていたことで説教を受けた。ヒカルは名人戦一次予選でアキラと対局するが、手合いはアキラのスケジュールの都合でいつになるかはまだわからなかった。
・ヒカルが帰った後に、天野記者がやってきてヒカルに期待していいのかについて話題に。
・プロ試験予選が始まった。片桐、門脇、伊角、フク、奈瀬などの姿があった。試験監督の篠田は天野に伊角がたくましくなって帰ってきたことを話した。
・ヒカルと辻岡忠男二段の大手合は、ヒカルの中押し勝ちだった。
・一方アキラも破竹の進撃を続けていた。王座戦二次予選ニ回戦松永利之六段相手に中押し勝ち。天元戦二次予選一回戦上前津宏七段相手にも中押し勝ち。高段者を次々と屠ってゆくアキラをみて、天野は「新しい波」が来るのかもしれない、と思うのだった。
・碁聖戦第5局。緒方精次十段が乃木を下し、タイトルを手にした。そこに桑原がやってきて、ベテランである乃木がやられたことを軽く牽制する。桑原の挑発的な言葉をあっさりといなす緒方。桑原は緒方に貫禄がついてきたことを感じるのだった。
・一方、桑原本因坊への挑戦権を決める本因坊リーグが始まった。アキラの対局相手は新初段戦での相手でもあった座間。彼は2年前、新初段戦であたった相手がここまで来てることに驚きながらもまだまだ胸を貸してやるつもりだった。
・日本棋院出版部は毎朝新聞から塔矢行洋が中国の北京チームと契約をしたのだという情報を聞いた。塔矢行洋は引退することでスケジュールが自由になった分、世界の強豪と対局できる中国リーグに参加するのだった。
・中国棋院でも楊海と同僚が元名人のリーグ参加の情報で盛りあがっていた。同僚は元名人のファンで、彼の参加で中国リーグも盛りあがると喜んでいた。行洋を「神の一手に最も近い男」だと賞賛する同僚に、楊海は「神の一手はこの中から生まれる」と目の前のパソコンを叩いた。囲碁のプログラムは現段階ではまだまだ人間に対抗できるものではないが、楊海は大丈夫だという。開発のスポンサーもつき、プログラムの作成に入る。データ入力も既に始まっているのだ。
・日本棋院出版部、行洋に連絡がつかなくて皆慌てていたが、中国のサイトからすると噂は本当であるようだった。天野は一言呟く。「何か大きく動いていないか? 囲碁界が。」
・ヒカルは家でひとり石を並べながら、「塔矢と打ちたい」と切望していた。
佐為やヒカルの苦しみにあわせて停滞していた物語ですが、魔法がとけたかのように物語に急激な加速がかかりました。前半の「新しい波」のプレリュードを経て、それを迎え撃つベテランたち、そして世界に向けての大きな流れ、新しい「神の一手」へのアプローチ…といくつもの旋律が高らかに奏でられたお話でした。
こうやって大風呂敷を広げた先の部分ですが、今回のアニメシリーズでは描かれることなく終わるのが残念。現在第二部の話を掲載中の原作ではその部分にも話が広がっていっているんですが、物語のストックが十分になったら、いつかその部分もアニメでやってくれるといいなあ、と思います。
今週は原作ほぼ2話分をアニメ1話にしていましたが、作画が… 微妙… それでも見るに耐えないほどではないし、個人的な気持ちは最終話さえ絵がよければ全て許す!!なので。ヒカルやアキラが崩れが酷かったですが、オヤジたちはわりときれいで、緒方さんもそこそこだったのでそのあたりは満足でした。
プロ試験予選組、去年苦い思いをした片桐さんですが、今年も参加したようでよかったです。門脇さんも今年は参加。作画が悪いから気が付かなかった人がいるかもしれませんが、あの派手なアロハを来ていた人は、去年プロ試験申し込みをしに棋院に来て、そこで力試しとしてヒカルに対局を申し込んで、佐為にばっさりやられた門脇さんです。
プロ試験のあたり、原作では奈瀬ちゃんは映ってなかったんですが、アニメではカットが追加されていました。
「人生遠回りは悪くない」というのはいい言葉ですね。苦しんで、もうダメだと思っても、いつかは夜明けが来る。少年向けマンガで「やりなおしだってできる」というのを見せてくれるのはいいことだなあ、と。ヒカルが佐為を失うという「取り返しのつかない」ことになってしまっても、もう一度歩き出せるのと同じように。
「新しい波」を迎え撃つプロ側なんですが、今回の話での棋戦のシステムや、新キャラについての説明は、今回のアニメシリーズでは関係ないせいかカットされていました。
原作ではどういう説明があったかについて。まず、緒方さんがタイトルをゲットした碁聖戦の話。これは塔矢行洋先生の引退のため現在は空位、新タイトルは挑戦者決定戦の決勝進出者2名による5番戦で決まることになり、対局が行なわれていて緒方さんが見事にタイトルホルダーになったのでした。
また本因坊リーグは、座間、一柳、乃木、緒方、畑中、倉田、アキラ、芹澤の間で行なわれ、桑原本因坊への挑戦者を決めることになります。
流れは「新しい波の台頭」になってますから、これからオヤジキャラを若い人たちがなぎ倒していくことになるだろうけども、「ヒカルの碁」のオヤジキャラは一癖も二癖もある人たちですので、そう易々とはやられはしないでしょう。…というか、してほしくないという気持ちもあります。でも、プロを辞めたことで舞台から降りた名人の動きが、大きな影響を及ぼすことに。あの人、これでますます力をつけてラスボス街道まっしぐらでしょうか。アキラと名人の親子対決も、国際棋戦という大きな舞台でいつかみることができるかもしれません。
楊海さんのコンピュータの中に見出す「神の一手」の話ですが、プログラムの元データにsaiのも使うことで今までのネット碁の話もそれに絡んでくるのではないかと期待してたりします。
それにしてもアニメの楊海さん、ディスプレイに女の子の画像がでてましたが、一体どんなページをみてたんですか…
アニメと原作との違い。
(1)坂巻さんと天野さん。
ヒカルに期待している人の名前として坂巻さんが桑原先生の名前を挙げると、アニメでは天野さんは「ああ」と知っていると笑います。アニメでは桑原先生直々に話を伺っていますもんね。
(2)プロ試験予選
原作では奈瀬ちゃんは登場しなかったんですが、アニメでは試験会場で伊角さんと顔を合わせるカットが追加されていました。
(3)棋戦の説明。
碁聖のシステムの説明や、本因坊リーグの説明がアニメではカット。
(4)「塔矢と打ちたい」
最後の、ヒカルが家で打ちながら「塔矢と打ちたい」と思うシーンはアニメオリジナルです。