5月に読んだ本。

●「氷の肖像 〜ブローデル国物語」橘香いくの[集英社コバルト文庫](97/5/31)

京都シアターのチケット並びのときに、読む本がないので買った本。表紙につられてかいました。
この話は、「翠緑の森の騎士 〜ブローデル国物語」の続編で、そのときの悪役(?)の美形の貴族が主人公。クーデターに失敗して、他国に逃げ込んでから、人が変わったように遊び暮らすようになって…
結局は、その美形と、侍女とのラブロマンス(^ ^;)なんだけど、なんか中途半端な感じがするんですよね。本編ではなくて外伝というか。私は本編を読んでないせいもあるのか、…もうひとつでした。
恋に進展はあっても、話に進展がないんだもん(^ ^;)。
子供の頃のエピソードはよかったけどさ〜。

●「罠が聴こえる」平野肇[祥伝社](97/5/31)

帯の推薦文が大袈裟で、「ホントかな〜(^ ^;)」と思って手にとって、あらすじを読んだらなかなかおもしろそうなので買いました。
渋谷の週末、ミニFM局の番組が「コウモリ」という男に電波ジャックされる。正義を謳う「コウモリ」があげた「静粛リスト」のとおりに人が殺されてゆく…盲目の元ミュージシャンでFM局のDJの由井敬一は、「コウモリ」の正体を“音”からみつけるが…
後半部分の少々説教くさいところが気になりましたが(^ ^;)、渋谷の町の描き方、ハンディをものともせずに生きてゆく主人公、都市に漂う噂、この話を形作るひとつひとつの要素がみごとに描かれています。
クライマックスでの、マラソン大会と共に進行してゆく事件…のところがよかったです。
これはオススメです。

●「敵は鬼畜」笹沢左保[カッパ・ノベルズ](97/5/30)

表紙に書かれていた、「見た目は人間でも、中身は人間じゃない」というのを読んで、「どんなんだろ〜」と期待して買ってみました。
取調室シリーズの第四弾。「落としの達人」と言われる水木警部補が、黙秘を続ける「鬼畜な」犯人に挑む!!
…すみません、↑は少々嘘が入ってます(^ ^;)。私はこういう話を期待してたんだけど、実際に取調室のシーンになったのは、最後の80ページほど。それまでは、犯行の発生と、捜査状況の細かい説明。
「リアリティ」を追及するために、あれだけ細部の描写にこだわったんだろうけど、正直言ってだらけてしまいました。取調室での攻防になったらおもしろかったけどね。全編取調室だけでもよかったのでは?
この作品の一番の不満は、タイトルです。殺人は残酷ですが、でも“鬼畜”というほどだっただろうか? 現実に起きている事件の方が、よっぽど残酷ですものねぇ…悲しいことだけれども。

●「五分後の世界」村上龍[幻冬舎文庫](97/5/29)

ここしばらく、ずーっと軽いものしか読んでなかったので、本当に久しぶりの村上龍は、読みはじめるまでに覚悟がいりました(^ ^;)。
説明するまでもなく、3年前出版された時にかなり話題になった本です。読みたかったけど、ハードカバーは手が出なかったから(^ ^;)。
内容は、5分ずれた、パラレルワールドの日本に迷い込んだひとりの男からみた世界を描き続けた話。その世界の日本は、第二次世界大戦で降伏することなく、“アンダーグランド”という地下に組織を作って、ゲリラ戦で連合軍相手に、「誇りと勇気」を持って戦い続けている…という話。
とにかく、克明な戦闘シーン(しかも肉弾戦)や世界描写にひたすら圧倒され続けました。言葉にならない状態ですね、まだ。
まあ、色々と考えることはあったけど、ふと「ああいう戦いが今現在も“現実”として起こっている国があるんだよな…」ということを思い出しました。ただ日常生活をこなしていると、そんなことや、もっと色んなことをつい忘れてしまうけど…
今、私は何をしているのか、何をするべきなのか、振り返って考えるとかなり辛いものがあるなあ…
(これからやることは、京都シアターのチケットとり(^ ^;)だもんな〜)
続編もはやく文庫本化してほしいです。

●「カオス・ロワイヤル」尾鮭あさみ[角川ルビー文庫](97/5/27)

すみません、ルビー文庫です(^ ^;)。雷&冥シリーズ第二弾。今回も笑わせていただきました。一応学園モノのBOYSラブモノなんですが、全然普通じゃないです(^ ^;)。あいかわらずぶっとんだ設定と展開が楽しい!!地の文の表現の仕方や言い回しが好きなんですよ、この作者の。このシリーズも楽しいけど、でも潮くんのシリーズの続きはもう書いてくれないんだろうか…(←これが一番好きなの。)

●「満月物語」薄井ゆうじ[ベネッセ](97/5/26)

図書館で借りました。前の「竜宮の乙姫の元結いの切りはずし」が「浦島太郎」の物語だったけど、今回は「かぐや姫」です。「竜宮〜」とキャラ設定が似てるのはわざとなのかなあ…わざとなんだろうけど、物語として同じ構造をとるメリットと、「似てる話だよなあ」って印象を与えるデメリットを考えると、果たしてよかったのかなあ、って思います。
いつもながら、ファンタジックなきれいな話だったけど、なんだか今一つ世界に入ることができなかったです(^ ^;)。向こう側の世界をみてるような感じで。

●「グイン・サーガ56 野望の序曲」栗本薫[ハヤカワ文庫](97/5/25)

今回は、モンゴール・ユラニア軍と、クム軍との戦です。
「ちょっとそれはあまりに卑怯じゃ…」って思ったけど、でもイシュトだからいいんだろうなあ(^ ^;)。カメロンと一緒にいるときのイシュトがとてもかわいかったけど、でもこれから先のことを考えると、なかなか辛いっすよね。
イラストが天野さんから変わるかもしれないそうで、それは残念。

●「長い長い殺人」宮部みゆき[カッパノベルズ](97/5/23)

待望の新書化!!でも文庫化の方がよかったけど(^ ^;)。
これは、ある殺人事件に関わる人々を、その財布の目を通して描いた小説です。
感想は、ひたすら「うまいな〜〜〜」になってしまいました。話のおもしろさよりも、手法や語り口や、キャラの造詣の巧さにひたすら感心してしまいます。この話も、ストーリーの骨格自体はそれほど非凡なものではないけど、財布という持ち物に語らせることによって、ひとりひとりの人間がくっきり浮かび上がってくるんですよねぇ。
あと、少年と老人がいいですね〜、ほんと。

●「金田一少年の事件簿4〜鬼火島殺人事件」天樹征丸[講談社 マガジンノベルズ](97/5/22)

なんとなく買ってしまいました。ノベルズ版を読んだのは初めて。孤島での密室殺人で、メイントリックは、「あ、なるほど〜」と感心しましたが…なんか、それだけだったような(^ ^;)。マンガだったら、おもしろかったかな、って気がする…悪い話じゃないけどね…

●「平将門魔法陣」加門七海[河出文庫](97/5/22)

私の場合は、高橋克彦から入ったんだけど、御霊信仰とか、結構好きなのだ。で、これもその手の本なんだろうなあ、と思って読んだけど…そういえばそうだけど、でもどっちかというと、平将門のミーハー本でした(^ ^;)。「それはいくらなんでもないでしょ(^ ^;)」といいたいこともあったけど、山の手線結界説とか結構ウケました。次の本も、文庫本落ちしたら読んでみようかな〜。

●「ぼくのミステリな日常」若竹七海[創元推理文庫](97/5/21)

−−社内報を担当することになった若竹七海は、先輩の知り合いに連載短編小説を依頼する。その毎月の短編が全部揃った時に、あるひとつの謎が…
これ、ハードカバーで出てきたのが、もう6年前になるんですね(^ ^;)。文庫本を買う時に、「ひょっとして図書館で読んだかも…」と思ってちょっと迷った末に買ったけど、どうやら昔読んだことがあるみたいでした(^ ^;)。…でも、全体の謎がぼんやりと記憶に残ってただけで、あとはほとんど忘れていたから楽しく読めました。
内容は、北村薫登場を機に流行った、「日常の謎を解く」タイプのミステリです。
この話、編集者の提案で、最後に全部まとめあげたところがあるそうで、だからちょっと強引なんですよね、あのあたりは(^ ^;)。でも、それって別に疵にはならないし、おもしろかったです。

●「しゃべくり探偵」黒崎緑[創元推理文庫](97/5/20)

関西弁で、ボケの保住(探偵)とツッコミの和戸(ワトソン)が繰り広げる漫才推理小説…としか言いようがないですねぇ(^ ^;)。
4つの連作短編。ふたりの会話だけがひたすら続く(日記とFAXだけという話もありましたが)けど、全然苦にならない、おもしろいです〜。
文章のおもしろさだけじゃなく、「謎」などの骨格も結構しっかりしてて、ちゃんとした正統派の「安楽椅子探偵もの」に仕上がっているのがすごいですよね。
続編もはやく文庫本落ちしてくれないかなあ。

●「ちょー美女と野獣」野梨原花南[集英社コバルト文庫](97/5/19)

−−−魔法使いの呪いで、野獣の姿に変えられた王子様。ダイヤモンド姫との“愛の誓い”で人間の姿に戻った王子に、姫が言った言葉は、「イヤ〜かわいくない〜」…
「美女と野獣」が元ネタのコメディです。気弱な王子様に「野獣が好み」のお姫様、魔法使いなどなどが繰り広げるラブコメディ。タイトルがタイトルなんで敬遠してたんですが、某所で「おもしろかった」っていう意見があったので、買ってみました。
コメディにしては、地の文が普通なので、読みやすくていいです。楽しく読めました。ストレスたまってる時とかに、いいかもしれない。

●「夢の宮〜亞心王物語〜 上/下」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/17)

−−−ロアン国の王女の元に、次王である弟の誘拐を告げる手紙が来た。弟を助けるために、王女は“亞心王”の元にひとりで赴くが…
「夢の宮」の7,8冊目です。…悪くはないんだけど、今回の話はいまひとつのめり込めませんでした。
話の展開がゆっくりしてるわりに、文章量としては長くないかなあ。今回のキャラも、亞心王とか悪くはないけど、でも私にはピンとこなかったです。

●「夢の宮〜十六夜薔薇の残香〜」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/16)

−−−ロアン国の王子・茨木は、お告げのために生涯“夢の宮”からでることはできない。そこに、麗国の王女・郁李が嫁いできた。そしてふたりと、月季・山さとの4人で過ごす日々が続くが、秋になって…
「夢の宮」の9冊目。「薔薇の名の王」の続編なので、刊行順を無視して先に読んじゃいました。前回とは逆に、今回は舞台のほとんどは夢の宮です。
過酷な運命にも負けずに、ただあるがままにしなやかにすべてを受けいれ、優しさと無邪気な部分と、強さと賢さを兼ね備えた王、茨木。本当に、魅力的なキャラクターなのに…ねぇ(T T;)。
郁李も、このシリーズの女性キャラでは珍しいほど、強くてたくましくて、素敵です。
あいかわらず不器用な、月季と“さんさ”もよかったし。
前半部分の夢の宮で4人で過ごす日々があまりにも楽しい分、中盤が悲しいですねぇ…
それにしても、ロアンの神様って一体どんなのなんでしょう?どんな形をしていて、どんな教義を持っていて、どんな行事をするんだろう?
このシリーズでは前から「予言」というのが重要なキーワードになっていたけど、歴代の王は、一般庶民はこの予言を本当に信じているの?
…このシリーズでは、そういうこともわざと詳しくかかないようだけど、なんか気になっちゃうなあ。
とにかく、この「薔薇シリーズ」はオススメです。「薔薇の名の王」を読んでから、「十六夜薔薇の残香」を読んでほしいな。

●「夢の宮〜薔薇の名の王〜」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/15)

−−−ロアン国宰相の息子山さ(漢字がでない)が王宮の片隅で美しい「少年」月季と出会う。とあるいきさつから、月季の旅のお供をすることになるが、山さは次第に月季に惹かれていって…
「夢の宮」の6冊目。タイトルがタイトルだし、表紙の月季は妖しく美しいし、私、このシリーズのことを知らない時にこの本の表紙をみて、「その手」の本かと思ってました(^ ^;)。
まあ、誤解されても仕方ないけどね(笑)。
この話の続編のストーリー紹介をうっかりと読んでしまったために、ネタはわかってましたが、ネタバレしててもおもしろく読めました。この話は、このシリーズにしては初めての(それまで、本中の物語としてはでてきたけど)王宮の外を中心に話が繰り広げられています。
それまで見えなかった、外の部分が少しずつ見えてくるのがよかったです。
この話自体、明るくて楽しかったのがよかったですね。(設定はいつもなからヘビーなところもあるのに)さんさの性格のせいか(笑)。

●「夢の宮〜奇石の侍者〜」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/15)

−−−ある装身具屋の語る、ふたつに別れた、玉珥(イヤリング)にめぐる不思議な話…
「夢の宮」の5冊目。今回は雰囲気が違って、番外編という感じ(でもこれも本編なんだそうな)。メインにかたられるのが、「夢の宮」でのできごとじゃないせいかもしれないですね。
「砂漠の涙」という玉珥にまつわる話の連作短編です。それぞれの味わいが違うし、なかなか楽しめました。物語としてかたられる話とはいえ、「外」の世界の話がでたのも珍しかったなあ。

●「夢の宮〜古恋鳥〜 上/下」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/14)

−−−ツオイ国の王女は、10年間ずっと思い続けてきた初恋の相手のロアン国の王子の元に嫁いだ。しかし、彼は王女に冷たくて…
テーマは「禁断の恋」なんでしょうね〜。でもブックカバーみかえしのストーリー紹介でネタバレしないでください、集英社さん(^ ^;)。(下巻の方ね)
今までの話は、美しい話だけど、ストーリー的にはわりと単純というか、話の展開などがある程度想像がついたけど、今回はかなり複雑で、ミステリー的な要素もあります。
特に下巻は話の展開が急激で、「えっ、どうなるの〜〜〜」と思う場面もしばしば。計里のエピソードはなかなか壮絶だし。どきどきはらはらさせていただきました。
キャラクターとしては卯月がいいですね〜。この本はオススメ!!このシリーズはどの話から読んでもOKですし、ぜひ読んでください。

●「夢の宮〜諸刃の宝剣〜」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/14)

−−−ロアン国に滅ぼされた剋国の王女は、復讐のためにロアン王の後宮に入るが…
「夢の宮」の二冊目。前作が「大人になりたくない、子供の恋」であれば、今回は「子供が恋を知って、大人になる話」って感じかなあ。生きていくことって結構切ない。
それにしてもすさまじいのは剋国の習慣。完全な一夫一婦制で、一生にひとりの人しか愛してはいけなくて、いかに「死ぬか」の掟というか、美学がある国。“武士道”が生きていた頃の日本を彷彿させますね〜。(日本は完全な一夫一婦制ではなかったけど)。
キャラクターもなかなか魅力的です。

●「夢の宮〜竜のみた夢〜」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/13)

「スリピッシュ!」がおもしろかったので、「夢の宮」全シリーズ揃えてみました。
「夢の宮」は、中国風の、架空の国の「ロアン国」(本当は漢字で書くんだけど、おそらく機種依存文字だろう(^ ^;))の王宮の離れにある、美しい小宮殿「夢の宮」を舞台に繰り広げられる話です。
−−−予言により、将来の正妃の座を約束され、「幸福の姫君」として育った少女。小さい頃から一緒に育った、ふたりの王子のうち、ひとりを王として選ばなければならなくなって…(竜のみた夢)
−−−ロアン国の王子は、毎夜夢の中で美しい少女と会い、彼女に恋をするようになるが…(眠りの姫)
中国風のファンタジーは今は結構色々とありますが、この本で珍しいなあって思ったのが、物語の舞台がほとんど「夢の宮」もしくは「王宮」で終始してて、あまり外には行かないんですね。
特に一作目の「竜のみた夢」は世間知らずのお姫様の視点で描かれているせいもあって、王宮の外の世界の様子などが全くわからない…知らなくてもかまわないというか、そんな感じで描かれていて。
その世界のシステムをきちんと説明してないことがかえって、起きがけにみた夢のような、現実と夢との中間にいるような曖昧な美しさがあって、いいです。(わざと説明してないそうです)
この二つの物語は、ひとつは切ない、ひとつはほほえましい話です。どちらも恋物語で。ふたつとも、「子供の恋」なんですよね。特に一作目は大人にならなくてはいけない、それゆえの悲劇だったのかなあ、と思いました。
ちなみに、このシリーズ最初の数冊は漫画家のかわみなみさんがイラストを担当してるんですね。あとがきを読んで初めて気づいた(^ ^;)。

●「ポケットに名言を」寺山修司[角川mini文庫](97/5/13)

この本、元の文庫も持ってるけど、この本にはこのサイズってふさわしいような気がして、つい買ってしまいました。
高校生の頃、寺山修司にハマってました。きっかけは、「詩とメルヘン」(これで結構この手のものが好きなんですよ、私(^ ^;)。今は読んでないけど…)に載ってた、寺山修司の短歌でした。
これのイメージ鮮烈さ、言葉選びのすごさにガツン!!となって、ハマりました。この当時は本屋に寺山修司の本などが全然おいてなくて、短歌集を取り寄せたり、図書館で短歌・俳句全集を読んで、好きな歌を書き写したり…これ、もう10年ほど前の話になるのねぇ(あ、年齢がバレる(^ ^;))。
そのあと、第何次だかの寺山ブームがきて、本が新装で刊行されだして、簡単に手に入るようになりましたが。
私は短歌と俳句が好きですね。戯曲は舞台をみたことないし、よくわかんないです(^ ^;)。エッセイも好き。「海に霧」という短歌・俳句集の本は、ずっと枕元においてます。いつでも読めるように。
生きている寺山修司をみてみたかったなあ、って思います。私がもうちょっと生まれるのが早ければ、もしくは寺山修司がもう少し長生きしてくれていたら。
この「ポケットに名言を」は、詩・小説・映画などなどから、寺山修司が切り取った言葉を集めたものです。「言葉の魔術師」の選んだ言葉を、ぜひ見てください。

●「モンガイカンの美術館」南伸坊[朝日文庫](97/5/12)

帯にかかれた、「芸術とは冗談である?」という内容そのまんまの本です。
美術雑誌に連載されていたものを単行本にまとめ、それのさらに文庫本化されたもので、収録図版の著作権などの関係で単行本・文庫本化が遅れたせいもあって…ようは、書かれてから、15年もたってるんですね。それで、表現が古い…竹の子族とか、「ナウい」とか(^ ^;)。
まあ、そういうのはおいといて、ある意味極端な主張でしたが、なかなかおもしろかったです。共感できる部分もあるし、「違うんじゃない?」って思う部分もあるけども。
でも、「芸術はもっと気楽に楽しむものだ」っていうのは、「そうそう」って思うな〜。
私は今はコンテンポラリーアートのあたりが一番好きなんだけど(今一番好きな画家はマーク・ロスコです。部屋にポスターが3枚も張ってある(^ ^;)。ちなみに光GENJIのは1枚しか張ってないんですけど(^ ^;))、コンテンポラリーアートあたりの作品は、「一体、何を考えてるんだ(笑)」って思っちゃうような作品が結構多くてみてて楽しいです。
もっとも、私が好きなあたりはもう「古い」芸術なんだけど(^ ^;)。バリバリの最先端のは、なんかどうも肌にあわないので…
前につき合ってた人が、この手の展覧会にいくと、「よくわからん」ってブツブツいうばかりの人だったけど、つき合ってた頃にこの本が出てたら、読ませたかったですね〜。
あと、この本、全部わら半紙で作られてるんだけど、それは
 (1)本を軽くするため
 (2)「芸術をもっと気楽に楽しもう」っていうコンセプトを、「わら半紙」で表した
っていう理由を思いついたけど、他にもあるんだろうなあ〜。
軽いのはいいけど、そのせいでページ数の割には厚いんですけど(^ ^;)。

●「日本再発見 〜古寺探訪ガイド」井沢元彦[角川mini文庫](97/5/10)

一冊二百円の小さな文庫です。文章量から考えると、単価が高いような気がするけど(^ ^;)、でもお手軽なのはいいよね。
で、この本。仏教の基本とか、お寺の見所についての基本的な話ですが、これがとてもおもしろい!!
私は結構仏像とか見るのが好きで…宗教心とかはあんまりなくて、彫刻に近い見方をしてるけど、「目に見えないものをなんとか形にする」ために費やした工夫や努力をみるのが好きなんでしょうね。
それで、基本知識があんまりないので、仏像関係の基本的な本を読んだりしたけど、よくわかんなかったのに、この本はツボの抑え方や説明の仕方が本当にうまくて、すごく分かりやすいです。
さすが小説家ですよね。ただ、あまりにも分かりやすすぎるから、「丸々全部解釈とか信用していいのか?」という気はしますが、仏教の流れの勉強のとっかかりになりますし。オススメです!!
この作者の「逆説の日本史」、読みたいんだけど、図書館で一冊目が見つからないんですよね(^ ^;)。

●「マヨイガ 下」霜島ケイ[小学館 キャンバス文庫](97/5/10)

封殺鬼シリーズの第14巻。
このシリーズは、陰陽師系統のゴーストバスターモノで、1000年以上の時を超えて生き続ける鬼たち−クールな弓生(雷電)、陽気な聖(酒天童子)を主人公にした話。番外編で過去の話として、安部清明も出てきています。切ないところも、笑えるところもあるし、キャラがいいので結構おもしろいです。オススメ。
さて、今回の話は…前に「マヨイガ」が出た時に「中」と書いてあって、「なにぃ〜〜〜〜!!」と思ってから早数か月。やっと完結です。とにかく、三吾、よかったよね〜〜〜〜〜(T T;)。この一言に尽きます。それにしても、聖はある意味スゴイですねぇ…千年以上も生きてきてて、この性格(笑)。彼のでてくるシーンは楽しくて、よかったけど。全体的にこの話は重苦しかったから、聖の存在が救いでしたよね。やっと新たな敵の存在がわかったし、次からまた色々とキツい話になるかもしれないですが(^ ^;)。「どーなっちゃうの〜」っていう話はキツいけど、そうじゃなきゃおもしろくないっていうはあるからね。

●「サカナの天 〜異邦のかけら」今野緒雪[集英社 コバルト文庫](97/5/10)

「スリピッシュ!」がおもしろかったので、他の本も買ってきました。
一言でいうと、「SF版 人魚姫」。オーナという、海だけで覆われた、美しい惑星を舞台にした、地球人カイと人魚のアーレリアの恋物語。
情景描写とか、イメージがキレイでした。
ただ、個人的には…キレイな話だなあ、だけで終わっちゃったところ、あるんですが(^ ^;)

●「ポケットペディア 建築」長谷川 堯監修[紀伊国屋書店](97/5/9)

こういうのを入れるのもなんですが(^ ^;)。
前からキレイな建物をみて歩くのは好きだったんですが、朝日文庫の「建築探偵」シリーズを一気読みしてから、もっと建築史を勉強したいなあ、って思うようになりました。
関係ないですが、篠田真由美の“建築探偵桜井京介の事件簿”シリーズもなかなかおもしろいです。最新巻の「原罪の庭」(講談社ノベルズ)は…泣きました。ものすごく重い話で、読んでて痛かったけど、“すごい話”なのでぜひ読んでほしいです。シリーズものだけど、この本から読んでも大丈夫。
話それましたが(^ ^;)、そういうのがあって建築史の基本的な本を探していたところ、この本を見つけました。小さなサイズの割には図版が多くて、みてて楽しいですが、もっとコラム部分が多かったらなあ…というのは、この本の編集意図に反しているかもしれないけど(^ ^;)。
このシリーズ、他にも「岩石と鉱物」(こういうのも好きです)とか、「宇宙」とか、なかなかおもしろそうなテーマがあるので、なにか本がほしい時にひとつずつ買っていこうかなあ、って思ってます。だた、値段がもうすこし安ければ…980円なの(^ ^;)。このカラーの量から考えると、この値段がするのはわかりますが(^ ^;)。

●「ロンドン園遊会(ガーデンパーティ)殺人事件 上/下」井上ほのか[講談社 X文庫ティーンズハート](97/5/9)

「セディ・エロル」シリーズの第4弾。これまた「ニューウエイヴ・ミステリ読本」(原書房)で紹介されていたので、探してみました。…あと、あのじゃあなさんのお姉さんってことで、興味もあったんだよね。
−−−内気な少女・マユコには、少年探偵「セディ・エロル」という、もうひとつの人格が宿っていて、難事件が起こると彼が登場して、みごとに解決を果たします。そこに、怪盗だとか、美形のテロリスト、熱血刑事、マッドサイエンティスト、その助手(マユコの恋人)…などが絡んできて、恋の三角関係にも大忙し。
ウィンタース家には、「ラコシ」という大きな猿の化け物の呪いの話が伝えられていた。そのウィンタース家の若い伯爵と、アーロン卿のひとり娘の婚約披露パーティの夜、“ラコシの呪い”としか思えないような、殺人事件が起こる。それは連続殺人事件の幕開けだった…

講談社X文庫は、ホワイトハートの方はよく読んでるけど、ティーンズハートの方は、小野不由美の「悪霊」シリーズ以来なんですね〜。
そのせいか、最初は設定とか文章の「少女マンガノリ」についていけなくて、上巻は戸惑ったんですが、事件が起こりだしてからは一気に読みました。
構成の骨格とか、展開はかなり「本格」でした。館、過去の因縁、呪い、貴族、名探偵、そういうのが好きな方は読んでみてください。最後のオチもなかなかよかったし、おもしろかったです。
ただ、あの人称の変更がちょっと…同じ章で、三人称が途中から一人称になったりするのがねぇ…

●「バイバイスクール」はやみねかおる[講談社 青い鳥文庫](97/5/7)

−−−廃校が決まった、山奥の小学校の、最後の夏休み。小学校の七不思議どおりに不思議なできごとが起こって…
「夏休み」。社会人になってからも、ささやかな夏休みはあるけど、学生時代の夏休みは格別でした。
そういう、昔のことを思い出しながら、懐かしく読みました。
トリックそのものはわりとあっさりとわかるようなものですが、エピソードのひとつひとつや、山奥のすがすがしい空気までも伝わってくるような情景描写がとてもいいです。
最初の動機よりも、途中からの動機の方が素敵ですね(笑)。
北村薫でも特に「空飛ぶ馬」(本じゃなくて、短編名の方ね)が好きな方は、ぜひ読んでくださいませ。ああいう読後感が得られる本だから。

●「消える総生島」はやみねかおる[講談社 青い鳥文庫](97/5/7)

「名探偵 夢水清志郎」シリーズ第三弾。
−−−三つ子の姉妹が映画のイメージキャラクターに決定して、名探偵・夢水清志郎と共に、予告編のロケのために海の孤島・総生島に行く。そこに現れる「鬼」、次々と起こる不思議な事件。人が消え、山が消え、島が消える…
今回もメインとリックは力技です。伏線がわかりやすいために(ジュニア小説だから?)メイントリックはすぐに見当が付きますが、トリックがわかっててもおもしろく読めます。
(メイントリックには有名な前例があるそうですが、私は思い出せません(^ ^;)。…読んでない本かな?)
この話は彩辻行人へのオマージュなんでしょうね。館の名前が「霧越館」だし、中村青司の名前もでてくるし。(設計を依頼したら、断られたんだそうだ(笑)。)
全体の構成がしっかりしてるし、キャラがいいし、エピソードのひとつひとつがいいですね〜。
ラストも、こういうのって結構好きなので、満足でした。
この本で、このシリーズ全部読んじゃいました。はやく続きでないかな〜。

●「亡霊は夜歩く」はやみねかおる[講談社 青い鳥文庫](97/5/7)

「名探偵 夢水清志郎」シリーズ第二弾。
−−−三つ子の姉妹の通う中学校は学園祭準備の真っ只中。そこに、「亡霊(ゴースト)」と名乗る怪人が現れ、学校に伝わる四つの伝説どおりの怪事件が起こるが…
あいかわらずキャラがいいので、会話だけでも楽しく読めます。
今回のあのトリックは…●●するためだけに、あそこまでやるか(^ ^;)?って思うけど、発想がおもしろくていいですね〜。島田荘司ばりの力技が素敵です。(誉め言葉です、これでも(^ ^;))
話の中で描かれる、文化祭の描写が懐かしく感じられます。
それにしてもレーチくんってこの後のシリーズには出てきてないですが、亜衣ちゃんとはどうなったんでしょうねぇ?

●「そして五人がいなくなる」はやみねかおる[講談社 青い鳥文庫](97/5/6)

「魔女の隠れ里」がおもしろかったので、本屋をハシゴしてゲットしました。
「名探偵 夢水清志郎」シリーズの1作目。
−−−遊園地に現れた、「伯爵」と名乗る怪人、不可解な状況から消えてゆく子供たち。
最初の作品で、まだこなれてない部分があるせいか、舞台や展開の仕方が、マンガ的な感じがするのが気になるし、動機やトリックはわりとはやいうちにわかってしまいますが、…いいですよぉ〜〜〜。
教授と三つ子のキャラが本当にいいし、最後の方の温かさが、読み終わってほんわかした気持ちになれます。
作者は小学校の先生なんだそうだけど、きっと授業が楽しくて、明るいクラスなんだろうなあ…

●「魔女の隠れ里」はやみねかおる[講談社 青い鳥文庫](97/5/6)

「ニューウエイヴ・ミステリ読本」(原書房)という本に紹介されていたので、探してたんですが、やっとゲットできました。
「青い鳥文庫」っていうのは、子供向けの文庫のシリーズなんだけど、この「名探偵 夢水清志郎」のシリーズはなかなかデキがいいと、ミステリマニアの間では評判だったそうです。
大学で論理学を研究していた教授で、自称名探偵(でもだらしなくて、食い意地が張ってて、ものぐさなのだ)と、美少女(?)の三つ子のお話です。
この「魔女の隠れ里」はシリーズ4作目。中編二つと短編ひとつが入ってます。
スキー場を舞台にした、「魔女のシュプール事件」、山奥の桜の里で起こる「殺人“ゲーム”」、分量から考えると話も充実しているし、トリックも小技がきいてます。
二編目の構成はみごとでした。伏線もうまいし、なによりあのミスディレクションがきいてますね。
三つ子と教授の会話も楽しいし、三つ子のお母さんもいい味出してるんですよね〜。
大人でももちろん楽しめる、上質のミステリです。ぜひ読んでくださいませ。

●「孤島の殺人鬼」鮎川哲也・編集[光文社文庫](97/5/5)

これまた旅先の別の本屋で買った本です。
かの鮎川哲也先生編集の「本格推理」(ミステリ短編の投稿作品集)の新装開店第一号だとか。「本格推理」は私は1と2は読んだけど、あまりにあんまりな話が多くてそのあとは読んでませんでしたけどね…
感想としては、列車での時間を潰すのにはいいかなあ、程度です。それぞれの話の感想は、
「僕を悩ませるミステリーについて」:“犯人当てクイズ”だから、こんなんでもいんだろうなあ。細かい部分に気が付かなくても、ミステリ慣れしてる人ならすぐにトリックはわかると思うんですが。
「ゆり荘事件」:説明くさいセリフをなんとかしてくれい。あとトリックは…結局最終的にごまかしきれるものではないと思うけどなあ。
「遺産相続ゲーム」:私には見えなかったです(^ ^;)。距離が空くと難しくなるからなあ。
「ともしび」:これはよかったです。でも最後の返しは余分な気がするけど。無理矢理話をひっくり返すのだけが、ミステリではないと思うけど。
「ふたたびの葬送」:致死量を考えると、このトリックはあまりに無理すぎだと思うけどね(^ ^;)。たしか、青酸カリは数百ミリグラムが致死量だけど、数百って、結構量あるんですよ(^ ^;)。
「見えない足跡」:こんな手間をかけなくても、いくらでも偽装なんてできそうな気がするけどなあ。
「仮面のアリア」:こういう、“特殊業界モノ”って好きなので、この話も楽しかったです。でも、あのトリックは絶対にバレると思うけどなあ。細かいニュアンスの違いなども全部完璧にできるだけの力量があるのかもしれないけど。
「蜘蛛の塔」:移動の方法もちゃんと明かしてほしかったが。このトリックって、以前読んだことがあるような気がするのは気のせい?
「逆密室の夕べ」:真相はすぐ見当がついたけど、この発想はおもしろいです。でも、料理がちっともおいしそうに思えなかったけど(^ ^;)。なにより、知人が殺された(しかもその死体を目撃した人もいるのに!!)話をしなから、食事ができる神経が信じられん(^ ^;)。
「オニオン・クラブ綺談」:“論理で詰めてる”んでしょうか、これ(^ ^;)?
「鎧武者の呪い」:プロの作家だけあって、うまいですね。動機もいいし、オチがまたいい。
「踊る警官」:話の展開は予想がつくけど、あの死体の隠し場所はみごとです。文章も読みやすくてよかったです。

●「一の悲劇」法月綸太郎[祥伝社 NON POCHETTE](97/5/4)

これも同じく旅先でゲットしました。のりりんの本では、これだけ読んでなかったのね、そういえば。
−−−少年の誤認誘拐、そこから引き起こされる悲劇…
またしても、重苦しい話ですねぇ(^ ^;)。でも話にぐいぐい引き込まれました。愛情のすれ違いがあまりにも悲しすぎる。
他の方の感想で、「(名探偵の方の)法月綸太郎が登場する必然性がない」というのがありましたが、私も同感です。でてこない方がよかったんじゃ(^ ^;)。
とにかく、のりりんには新作を書いてほしいものですねぇ…

●「淋しい狩人」宮部みゆき[新潮文庫](97/5/3)

旅先で読む本がなくなっちゃって、本屋の棚を漁ったら…いつの間に文庫本化してたんでしょうか(^ ^;)?チェックが甘かったっ!!ハードカバーがでたときから読みたかったけど、さすがに高いからねぇ(^ ^;)。
東京の下町の古本屋で本をめぐって繰り広げられる連作短編ミステリー。
さすが宮部みゆき。うまいですねぇ…老人と少年を書かせたら本当にうまい人だから、今回も堪能させていただきました。ガンコなところもある、店主のおじいさんと、孫息子の会話がいいんだよねぇ、ほんと。ストーリーはいくつか無理な展開があるのもあったけど、そんなの疵にもなりません。読んだことない方は、ぜひ読んでください。

●「スリピッシュ! -東方牢城の主-」今野緒雪[集英社コバルト文庫](97/5/2)

表紙のイラストに惹かれて買っちゃいました。
−−−いとしい人に会うために牢城に忍びこんだ少女が出会ったのは、アカシュという少年の囚人だった。その少年は城主とも顔見知りだというが…
おもしろかったですっ!!ストーリーが牢城の、しかも非常に限られたエリアの中だけで進むけど、その牢の外の世界もたしかな存在として感じさせてくれます。話の底には暗い部分もあるのに、それを吹き飛ばすほどの明るさと強さのある話です。アカシュがキュートでいいです(*^ ^*)。これ、シリーズものになるらしいですけど、アカシュが牢に入ることになった事情とか、ぜひ読みたいですね。この人の他のシリーズ(「夢の宮」とか)をまだ読んだことないので、これから読むつもり。
あと、あとがきに少々ネタバレを含んでいるので(でもまあ、知っても作品そのものは楽しめると思いますが)、気を付けてね。

●「招魔の淵 〜デーモン・キラー」尾崎朱鷺緒[講談社X文庫ホワイトハート](97/5/2)

ライトノベルズの、「ゴーストバスター」モノや、「超能力」モノ(この二つが組み合わさっているのも多いよな)って、なんだかんだいいつつ結構好きなんで、その手の本だろうなあ、って思って買ってみました。
舞台は山の上の全寮制の中・高校、そこに髪の長い美形の「道士」の主人公が転校してきて…って、「ありがちな設定だなあ」と思ったら、ストーリー展開もどこかで読んだ話のようでした(^ ^;)。全然怖くないし(^ ^;)。…それに加えて、主人公の存在感のなさはなんなんでしょう。文中で「美形」だと描写されているけど、読んでいる方は「美形」だと実感できないし、「力」も大したことないように思えるんだよね(^ ^;)。「お化け退治ができるよ」っていうようなことを言い出すのも、あまりにも唐突だし…続編、本当にでるのかなあ、これ。

●「妖鳥(ハルピュイア)」山田正紀[幻冬舎](97/5/1)

帯の法月綸太郎の推薦を読んで買った本。
−−−「聖バード病院」で囁かれる、「人が死ぬ時には黒くて大きなものが飛んで来る」という噂。
無菌室(密室?)で殺された、意識不明重体の患者。女の謎の微笑み。「女は天使なのか悪魔なのか?」

……この独特の雰囲気はなかなかよいです。最近の講談社の弁当箱シリーズほどではないですが、500ページっていうのはちょっととっつきにくてて、なかなか手が出せなかったけど、読み出したらイッキでした。
ふたりの「女」に関する、色んな謎はなかなか楽しめましたが、肝心なトリックがなあ。最後のとってつけたようなどんでん返しもなんだかなあ、だし。
全体的にはGOODです。でも、推理小説としての、なぞ解きを楽しもうと思わない方がいいです。

●「罠 〜キル・ゾーン」須賀しのぶ[集英社コバルト文庫](97/5/1)

「キル・ゾーン」シリーズの最新刊。発売日に買って、その日に読んじゃったので読んだのは大分前だけど、どうしても書きたいので書いちゃいます。
「キル・ゾーン」シリーズは、私が今一番楽しみにしているシリーズものです。23世紀の地球で統一政府軍VSレジスタンスの大戦争の真っ只中に生きる、キャッスルという治安部隊の女隊長の物語です。
「コバルトだから」って思わないでほしい。読み応え、なかなかあります。(たしかに、戦争ものにしては甘すぎる部分はあるけどね。)
ストーリーもしっかりしてるし、なによりキャラクターがいいっ!!
いい男がたくさん出てきます(*^ ^*)。エイゼンもカッコいいけど、ラファエルもかわいい。(私のイメージでは、ラファエルは香取慎吾くんです。)シドーもいい味出してるし、火星陣の話も好きだし。でもイチオシはサリエルくんなのだ。冷酷なんだけど、一途過ぎて、「赤と黒」の彼のモノローグの部分に泣きました、私。こういうタイプには弱いんだ〜〜〜。…幸せになってほしい人です。(無理だと思うが(^ ^;))
「ブルーブラッド」のシリーズの方は(これは「キル・ゾーン」のシリーズともリンクしてるんですが)、男と男の命をかけた戦いが好きな人は、ぜひ読んでくださいませ。
あ、感想とかがないや、ただの宣伝だ(^ ^;)。このシリーズは、1,2巻はいまいちだけど、3巻からぐっとおもしろくなりますよん。
この巻の「罠」の感想は…エイゼンの過去がわかりましたねぇ。あとで今までのシリーズを読み返したら、あらちゃんと伏線ひいてあるじゃないですか(^ ^;)。なんで気づかないだ>>私(^ ^;)。
エイゼンにはもっと自分の気持ちに素直になってほしいものです。ラファエルくんも好きなんだけどさー、私がキャッスルだったらエイゼンの方を選んじゃうだろうな(^ ^;)。ああいう強がる男の弱音を吐くシーンっていうのには弱いのだ(^ ^;)。なんかエイゼンの立場が弱いから、頑張ってほしいです〜(でも女装は嫌(笑))。

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