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【ヒカルの碁 第122局「ヒカルのばかっ」】 01/07/02

第122局「ヒカルのばかっ」。いよいよヒカルのプロでの実質初対局が始まった。対戦相手の三段を圧倒する力を見せるヒカル。しかもヒカルは守っていれば勝てる状況でも、果敢に攻める。「これがヒカルか これが」「ここまで成長していたとは」そんなヒカルの強さを暗い瞳で見つめる佐為。そして、遂に対戦相手は投了した。
一方アキラも余裕の勝利。アキラの対戦相手の石原は、対局の感想を知り合いに聞かれたときに絶望的に呟いた。「…一生勝てない どれだけ碁の勉強をしてもアイツには一生勝てない」
棋院から駅への道を辿りながら、アキラの思考はまたしてもヒカルに囚われていた。「saiの一件以来整理のつかない頭でボクは考える 進藤 なぜキミはボクの前に現れたのだろうと なぜボクはキミを追い キミはボクを追うのかと」
その日の夜、ヒカルの部屋。佐為と対局をしながら、今日の手合いのデキを満足気にヒカルは語っていた。そんなヒカルに苛立ちを覚えたように、ヒカルの今打った手の不用意さを責め、「神の一手」に向かって健やかに成長するヒカルに嫉妬して、佐為は「ヒカルなんか私に勝てないくせに」と口に出してしまう。魂では、「もっと碁が打ちたい! 永遠の時間がほしい!」と叫びながら。そんな佐為にヒカルはついムッとして「おまえなんかオレがいなきゃ 碁石も持てねーくせにっ」とやり返してしまう。その言葉に傷ついた佐為はヒカルに背中を向けてしまった。ヒカルもつい言い過ぎたと思いながら、なんとか取り繕うと対局の続きを促す。それに答えない佐為にすねたヒカルはベットに寝転がって本を読み出した。少し考えこんで、そして「ヒカル 打ちましょ」と言った佐為に、今度はヒカルの方が拒否する。
次の日。ヒカルのおじいちゃんの家の蔵に泥棒が入ったという話がヒカルの家にももたらされた。幸い祖父母にはケガもないようだ。蔵にあった碁盤のことを心配する佐為に押されて、ヒカルはおじいちゃんの家に向かった。佐為が宿っていた碁盤は盗まれていなかったようだ。蔵の二階に足を踏み入れ、碁盤を確かめたヒカルは訝しい顔になる。ヒカルにだけ見えていた、あの吐血の跡が昔に比べると薄く見えるのだった。驚愕する佐為。


ぐわっ。……容赦ない攻めをするのはほったさんの方です。今回、ヒカルに絶対に言ってはいけない言葉を言わせてしまいました。佐為はヒカルを通さないことには、外部との接触を全く持てないこと。そのことについての佐為の悲しみは今までも何度も描かれているから読者は佐為の切実さを分かっているけれども、佐為はヒカルには直接ぶつけてないから、ヒカルはもうひとつ分かってないところがあるんですよね。かといってそれについてヒカルを責めることはできません。なぜなら中学生でそんな複雑な人の気持ちなんてわからないものでしょう。たとえば親がどんな思いで子供に接しているか、とか。人の気持ちがわからないことですれ違って、傷ついて、少しずつ相手の気持ちを思いやることを覚えてゆくものなのですから。
自負心が邪魔するから素直に気持ちをヒカルに告げることができない佐為。その苛立ちをついぶつけてしまう佐為も大人げないけれども。それでも、碁が好きなんだねぇ。気持ちは切ないほど伝わってくる。でも「永遠」なんて特権はたぶん神様…ほったさんは与えてくれない。ほったさんは「ネームの日々」をみるかぎりは佐為のことがかわいくて仕方がないようだけれども、それでも物語については容赦のない人だからなあ。
ここしばらくの展開は、ヒカルにも佐為にも特別の思い入れのない私にもキツいんですから、ヒカルや佐為のファンの人にはどれだけ辛いのか。

意味付けの話。今回アキラが自問自答してましたが、アキラとヒカルが「君の名は」ばりにすれ違っているのも、単なる物語上の趣向ではなく物語に深く関わる意味があるのかもしれません。普通ジャンプでの主人公と第一ライバルは戦いを通して友情や共感を育んでいくものです。(第一ライバルが固定ではなく、パワーインフレで代替わりしていくのもよくある話ですが) それなのに、アキラが別れを告げてから2年間、物理的距離は近いのにロクに言葉さえ交わしてない二人ってば。
「ヒカルの碁」自体は、手法がジャンプバトルものではなく「恋愛ドラマ」に近いと思うんですよ。誤解と思い込みとすれ違いが物語を加速させる。アキラとヒカルのすれ違い、そして佐為とヒカルの齟齬。これらが解消され、お互いの本当の気持ちを打ち上げたときこそが物語のクライマックスとなるはず。
…そこで今後の展開勝手に予想。佐為がヒカルとの葛藤を解消をしないままで消滅。ヒカルは失って初めてどれだけ佐為が大切だったか、また佐為を自分が傷つけてしまったことに気がつき、自分を責めるのだった。それで精神的に参ってしまい、衰弱するヒカル。その辛さを誰かに分かってもらいたくて佐為のことを周りの人やカウンセラーなどに打ち上げるが、誰もがそれは妄想だと決め付ける。極度の落ち込みの中、ヒカルはアキラと偶然出会った。ヒカルの様子がおかしいことを気にしていたアキラに、ヒカルはついに佐為とのことを打ち明ける。アキラだけはヒカルの言うことを信じてくれるのだった。アキラは何度も佐為と対局したし、それだと(幽霊だという非科学的なことさえ棚上げすれば)初期のヒカルの奇妙な強さと弱さが全部説明されるから。アキラが信じてくれたことでヒカルは救われたのだった。……えっとですね、私はアキラとヒカルが本当にケリをつけるためには、アキラが佐為の影ではなく本当にヒカル自身をみなきゃダメだと思ってるのです。その上で、佐為ではないヒカル自身をちゃんとライバルとして認めなければならないと。またアキラがヒカルのことをずっと理解できず不思議に思ってしまうこと、互いにすれ違ってることは、その誤解が解けてちゃんと向き会う時を盛り上げるために必要な展開なんじゃないかと考えているので。でもこの展開だと佐為があまりにかわいそうですから、佐為とヒカルがもう一度交信することができるとか、佐為の転生を匂わせるとかそういう救いがないと…ただ佐為がもう一度ヒカルの元に戻ってきてずっと一緒にいるというようなことにはならないでしょう。「ヒカルの碁」はある意味「オバケのQ太郎」「ドラえもん」の系譜である異界生物同居型物語なのです。物語の世界がギャグで時間がループしているのであれば「永遠に一緒」でもいいかもしれませんが、シリアスであれば「依存関係の解消」と「主人公の精神的成長」がワンセットで乗り越えるべき壁として登場します。…その葛藤を避けて「仲良く暮らしました」に逃げちゃう作品もありますが、ほったさんはそんなことはしないでしょう。物語中でも佐為とヒカルがいつかは別れるということは何度も示唆されてますし。…それでもこんなに早い段階でその日がくるかもしれないとは思ってもいなかったなあ。1年前は。
私の予想(というより願望?)ではネットを通じて世界中に広がったsai伝説やら、佐為と名人との因縁やらの伏線が全く解消されないままになってしまうんですよね。ほったさんが私程度が考えられるような展開にはしないだろうし。
ほったさんであれば、物語上の必然の葛藤を正面から描きながら、それをちゃんと昇華させてくれると思うのです。それを期待しています。

巻末の小畑先生の作者コメント「とにかくカラー原稿をいっぱい描いています。それが何に使われるか?夏をお待ちください。」と。カラー原稿……画集発売とかだといいんですけどねぇ。それともアニメ化発表がらみで色々と使われるとか?

図書館で「囲碁未来」のバックナンバーを2年分ほど読みました。ここの雑誌にほったさんの囲碁の師匠である水野春香棋士(注意:男性)のエッセイが載ってるんですが、それにほったさんが挿し絵と3コママンガをつけてまして。白川先生のモデルだという水野棋士は優しくてユーモアのある人ですし、ほったさんのマンガはヘタな囲碁愛好者への愛にあふれていてなかなか楽しかったです。残念ながら2001年の5月号あたりで連載は終了していますが、第一回から単行本化してくれないかなあ。


【ヒカルの碁 第123局「消えたくない!!!」】 01/07/09

第123局「消えたくない!!!」。佐為が宿っていた碁盤の、ヒカルにしか見えなかった染みが、なぜかヒカルには以前よりも薄く見えるというのを聞いて、一層不安を募らせる佐為。祖父に芝居に誘われたヒカルは、一泊二日で泊まりの仕事があるからといって断った。そのかわり、これから一局打とうという話に。自らの消えうせる運命を悟った佐為は、せめて…これから帰って二人で一局打とうとヒカルにお願いする。しかし、ヒカルは佐為とはいつでも打てるから久しぶりに会った祖父を優先させるつもりだった。とりあってくれないヒカルに焦れて、ついに佐為は告白する。「ヒカル! 私はもうじき消えてしまうんです」と。でもヒカルにはその佐為の叫びは伝わらなかった。それは佐為の「いつもの」ワガママじゃないかと軽く受けとってしまって、つい文句も言ってしまう。蔵から出ていくヒカルの後ろを促されながらとぼとぼヒカルについていく佐為は悲しげに呟く。「ヒカルなんか 私が突然いなくなってオロオロすればいいんだ」と。
翌日。観光ホテルで開かれた一泊二日の日本棋院主催の「囲碁ゼミナール」。ヒカルも手伝いとして参加する。緒方十段も参加することをスケジュール表で知ったヒカルは、saiのことであれこれ言われたくないからなるべく近づかないようにしようと決めていた。囲碁ゼミナールでは緒方十段と春木良子初段との公開対局。盤面解説は芦原弘幸四段と西川恵美三段。芦原と緒方のやり取りに会場から笑いが漏れる一幕も。その後は自由対局があったり指導碁があったり。ヒカルもオジさんたち相手に指導碁を行っていた。昼間はなんとか緒方から逃げ回ることに成功したヒカル。夜中、まだ会場に居残っているオジさんたちに指導碁をし、その教え方のうまさに感服するギャラリーだった。すっかりヒカルびいきとなっていたオジさんたちはヒカルの今後に期待をかけ、いずれは海外棋戦も頑張って日本のふがいなさを返上してほしいと発破をかける。その話を聞いて韓国の院生の子と対局して勝ったという話をヒカルはする。オジさんたちに指摘され、秀英もプロになっているのかも…と思いを馳せるヒカルだった。
突然、そこに緒方十段登場。緒方はすでにぐでんぐでんに酔っ払って、座った目で「saiと打たせろ」とヒカルに迫るのだった。ヒカルは慌てて否定するけれども、saiは落ち着き払った顔で「打ちましょう」これだけ酔っ払っていてはざれ事にしかならないだろうから、と。緒方がこんな状態ではまともな碁にはならないんじゃないか?と訝しがるヒカルに、佐為は今後緒方と打つ機会はないだろうから、たとえどんな碁であっても一局打って病院でみせた緒方のsaiへの思いに答えてあげたいと言う。それを聞いてヒカルも「十段祝いに打たせてあげようか」と思いなおした。そこで逆にヒカルは今から自分と打ってほしいと持ちかけて、緒方の部屋で対局を行うことに。冴えない顔をしている佐為にヒカルは苛立ちを覚える。そして部屋に移動するヒカルについていきながら、佐為は答えのない問いを誰にでもなく投げかけるのだった。「なぜ私ではなくヒカルなのですか? 神さま」自分は消えてしまうのに、なぜヒカルにだけ輝かしい未来があるのか。ヒカルへの嫉妬を押さえきれない佐為。でも嫉妬だけではない。「ヒカルと別れたくない」「虎次郎とも別れたくなかった」「あの時病の床から虎次郎は私に言った すまない佐為―――と。」「別れたくなかった」「別れたくなかったのに」


うわっ、酔っ払い緒方さん!!!!…はとりあえず後回しにして、まずは感想を。
最後の方のページ、泣きました。何度みても涙がじわりと溢れてきます。

人間というのは、他者からの視線によって自分の位置を確認しないとやっていけないのかもしれません。口汚くののしられるよりも、無視されたり空気のように扱われる方が堪える場合だってあります。佐為はとりついた本人以外の人とのコミュニケーションはとれません。それでも秀策にとりついていたときには碁を通して対局相手と語り合うことはできましたが、今は自由に対局ができない上に唯一の窓口であるヒカルは自分の気持ちをわかってくれない。…それも仕方のない話ではあるけれども。ヒカルにしてもせっかく佐為を喜ばせようとしたのに嬉しくなさそうな顔をされたり、自分をバカにするような言葉を言われたら機嫌損ねて頑なになるのも仕方がない。それと初期の何かあるとすぐに「対局!!」と言い出したことが今になって跳ね返ってくるわけです。「いつものワガママ」だととられてしまう狼少年状態に。そういうわけで佐為も自業自得といわれてても仕方ないと思うけれども。その上、自らの命を絶つという後ろ向きな選択をして、本来ならばこの世から消滅してたはずなのにそのまま魂だけは残り、秀策の運命を狂わせ、ヒカルやアキラ、名人といった様々な人の運命を変えていったのは佐為なのですから。でも今、佐為にはそれらの反動がすべて跳ね返ってきていますし…佐為はワガママだよなあとは思うけれども、今回の佐為の静かな慟哭は胸に応えました。ヒカルへの歪んだ嫉妬を自覚し、思いきって告白したのに自分の苦しさをわかってもらえないヒカルに「ヒカルなんか」とつい思ってしまうけれども。でも一番は、好きだから、大切な人だから、離れたくないという思い。…切ないなあ。

前から緒方さんはsaiの正体についてはキーとなる人物だと睨んでましたが(saiがらみの緒方さんの伏線が多数ありますから)病院での対局未遂に気を殺がれちゃいまして。でもそれで終わらずに、ここでこう絡んでくるとは。なりゆきの対局ぽい描き方ですが、ここまでの伏線をかんがみると、佐為は緒方さんとの対局をきっかけに、なんらかの転換があるのは間違いないかと。
ただ、ヒカルの佐為のことを分かってやれない数々の失言は、佐為を失ったときにヒカルが受ける痛手になるのはたしかでしょう。だからヒカルから佐為は離れてゆくだろうし……でもここでいきなり佐為vs緒方戦が実現したというのは、単に佐為が消えうせるような単純な展開になるとは思えないし。
いっそのこと、なにかのきっかけがあって(対局中にカミナリがいきなり落ちるとか)突然佐為がヒカルから離れてしまう。そのときに対戦していた緒方は倒れて数日意識を失う。そして病院で目が覚めたときに、緒方の側には緒方にしかみえない烏帽子姿の幽霊がいた…というのはどうでしょうか。ヒカルも佐為を失って反省するだろうし、佐為は物語から消えることなく済むし、緒方さんは出番が増えるし。そんなオバカな展開にはならないだろうとは思いつつも、なってくれたら…と妄想がとまりません。オカルトみたいなものはハナからバカにしてた緒方さんにいきなり佐為がとりつく!! うろたえる緒方さん!! 子供な反応をする佐為に手を焼く緒方さん!! 想像してると楽しいです。…実現してくれないかしら。(ムリだって)

それにしても緒方さん……タバコはスパスパ吸うわ、人をネタに賭けするわ、少年誌の巻頭カラーで女の家から朝帰りするわ、子供の教育上悪いことばかりやってる上になんだか情けない緒方さんですが、来週の巻頭カラーも酔っ払い緒方さんから……いいのか、ジャンプ。私としてはカッコつけてるわりはみっともない緒方さんもかわいくて仕方ないんですが(あのジャンケン!! うわー、たまらんです〜〜〜)未来のある青少年にこんなダメダメ大人を見せちゃっていいんですか? あ、反面教師とか?

でもなぜアキラが今回は参加してないんでしょうねぇ。収入も経験も少ない低段者に優先して棋院が仕事を斡旋していたとか、単に順番とかその程度の理由なのかなあ。

第121局の感想で物語中の日付をまとめてみましたが、あれは間違いでした。「ヒカルの碁かってヨミ」の掲示板で「プロの対局は低談者は水曜日に行われる」ということを教えてもらい、翌日は休みということから、ヒカルが東京でアキラが名古屋で対局していたのは5/3。5/4がおじいちゃんちの蔵での話で、6/5,6が囲碁ゼミナールとなります。ついでに若獅子戦はおそらく5/19。
ちなみにほったさんが去年の7/31の第79局「ヒカルVS椿」の回の近況報告に「取材で二泊三日の囲碁ミナールに参加しました」と書いてあるんですが、それが今回の話ですね。もう1年前にこのあたりのエピソードの構想はできてたんですか。元々ほったさんのネームは発売より10週程度は先行しているのは分かっていましたが…こうやって私が毎週ジタバタしてるところなんて、とっくの昔にほったさんは作り終えてるわけで。なんかお釈迦様の手のひらで遊ばされてる感じだなあ。でもいいや、おもしろいから。次のマイルストーンになるエピソードは、85局のときの近況報告でほったさんが書いていた「京都・山陰、そして秀策の出身地である因島にまで取材で足を運んだ」でしょうが、今の佐為の存在問題がカタがついたらその話に移るのかなあ。
あと、今回秀英の話がでてきましたから、日韓戦へのヒカルの出場もさほど遠くない頃にあるかもしれません。

次号はまたしても巻頭カラー。…あの、つい先々週が巻頭カラーだったんですが。小畑先生、酷使されすぎです。次号は衝撃の展開だそうですが…いよいよ、佐為消滅のカウントダウンの終了ですか? でもここで緒方さんが絡んでくるあたり、一筋縄の展開にはならないと思いますが。

以降、クサレ話。→ヒカル、酔っ払った緒方先生の部屋に行くなんて(芦原くんがいたとしても追い出されるに決まってるでしょう!!)あまりにも無防備!! この前病院で襲われそうになったこと(少し違うか)は忘れたんでしょうか。何かされたらどうするんだ〜〜〜!! ……いやジャンプだからそんなことはないでしょうが。でもほったさんって分かてて煽ってるような気がして仕方ありません。それとも煽っているのは小畑先生ですか?


【予告】 01/07/11

ジャンプ公式サイトで次号予告が公開されてます。珍しく更新が早い。…で。次回は「ヒカルの碁」が巻頭カラーなんですが、表紙イラストが思いっきり物語のネタバレとなっていますので、知りたくない方は見に行かない方がいいでしょう。それをみた感想。→夕日の中、穏やかに微笑む佐為。そして第124局のサブタイトルをみたときに、凍り付きました。「さよなら」…やっぱり。物語の必然とはいえ、ついにその日が来てしまうんですね。コピーが「抗えきれない運命を受け入れた時に、見えてきたのは―――」で佐為のあの微笑をみると…せめてちゃんと自分の思いをヒカルに伝えて、神に誰かのための道具にされていたんじゃないかとかそういう自分を卑下するような思い込みはやめて…できれば安らかな気持ちで消えてほしい、と思います。でもそうなると辛いのはヒカルだよね。今まで佐為のことを分かってやれなかったこと、読者も「それはちょっと酷いんじゃ…」と思ってた言葉が全部自分に跳ね返ってきてくるんだから。かけがえのないものを失ってしまった苦しみを乗り越えるのは、ヒカルが人間的に成長するために必要な糧となるのでしょうが。なんかあれこれ考えこんじゃって、佐為の顔が穏やかなだけにこっちの胸が苦しくなって少し泣いてしまいました。さあ、本編はどうなるかな〜。←


【ヒカルの碁 第124局「さよなら」】 01/07/16

第124局「さよなら」。「ごめんね ヒカル もうじき私はいく」
緒方十段についていって、ホテルの部屋にきたヒカル。緒方と芦原は同室だったが、芦原は既に眠りについていた。芦原を起こさないように、電気を消して窓際で打つことに。冷蔵庫から取り出したビールを飲みながら、緒方はヒカルのことを高く評価していることを話すのだった。酔ってるせいか、妙に素直で饒舌な緒方。十段になった嬉しさがやっと実感できるようになったとか、世間に認めてもらうためには来年防衛しなくてはダメだとか、今後の野望とかをなんとはなしに緒方はヒカルに話続けた。そして、「saiと打たせろ」と。「オレで我慢してよ」と笑うヒカルに、「まァいいか」とふたりは対局を始めるのだった。
皆が寝静まってる中、かすかな月明かりの元での緒方と「佐為」の対局。そして対局は苦りきった顔の緒方にヒカルが勝利を宣言して終わった。緒方の敗北は酔いのための単純ミスもあるが……それだけではない。ヒカルの練達な打ち方にsaiの影を緒方はみたのだった。でも酔いのためか、確信はもてなかった。
翌朝。緒方が起きた頃には、仕事が終わったヒカルは既に帰路についていた。家に戻ったヒカルは眠くて仕方ないが、「ヒカル一局打ちましょう」という佐為に、「ヘトヘトだぜェ〜」と言いながら付き合うヒカル。
「140年前 私にその身を貸し与えた 虎次郎」
「虎次郎が私のために存在したというならば」
「私はヒカルのために存在した」
「ならばヒカルもまた 誰かのために存在するのだろう」
「その誰かもまた 別の誰かのために」
「千年二千年がそうやって積み重なってゆく」
「神の一手に続く遠い道程」
「私の役目は終わった」
「ああそうだヒカル」
「ヒカル」
「ねェ ヒカル あれ?」
「私の声 とどいてる? ヒカル」
「楽しか―――――」
眠そうな顔で頬杖をついていたヒカルは、佐為がなかなか次の手を打たないのに焦れて顔をあげた…
そこにはただ、風が吹き込んでいるだけ。
「佐為?」と不思議そうな顔をするヒカル。


ついにその日が来ました。WEBジャンプの予告ページが水曜日に更新されていて、そこで表紙をみて知っていたから覚悟はしていたけれども。
物語の必然として、こうなるのは分かっていたけれども。
でも、さみしい。

先週の終わり、秀策が亡くなるときに佐為に「すまない」と謝っていたというエピソードがあったけれども。佐為も、自分が消えることを覚悟した時に、浮かんだ言葉は「ごめんね ヒカル」でした。大切な人において行かれることは辛いことだから。ヒカルにちゃんと取り合ってもらえなくて、一時は「ヒカルなんか 私が突然いなくなってオロオロすればいいんだ」と思ったこともあっても、でも佐為にとってもヒカルは大切な人で。だから謝罪の言葉に… 一番最後の言葉は「楽しかった」でよかった。色々と苦しい思いをしたけれども、最後は前向きな気持ちで。
綿々と続く人の営み。佐為は自ら生を断ち切り、そのために大きな流れからはぐれた形になってたけれども。バトンをきちんとヒカルに渡すことができて、自分は「神の一手」を極めることはできなかったけれども、それでも前に進むことができたと分かって。…佐為がそれで安らぐことができたのなら、それはそれでいいです。
ただ私としては、誰かのためとかじゃなくて、ひとりひとりが自分の力で立ってちゃんと生きてゆくこと、その大切さを(ジャンプ読者のためにも)分かってほしかったけれども。
今回の話は、佐為視点でカメラが動いているから、佐為の表情はほとんど見えてないんですよね。でも背中やネームだけでも十分気持ちは伝わってくる。特に最後の「いない」シーン、描かないことによる衝撃をあれだけ見事に伝えることができるとは。風の吹き込みや空気の穏やかさまで伝わってくるような、見事な絵でした。ほったさん、小畑さんお二人の力があればこそですな。消えるときの佐為の顔は見えなかったけれども……表紙のような穏やかな顔で微笑んでいたのでしょうか。ヒカルが、その佐為の顔をみることができなかったのが残念だけれども。…ヒカルの最後の記憶に残る佐為は笑顔でいてほしかったのに、苦りきった顔の佐為になっちゃったね。そのことがヒカルを苦しめるんだろうなあ。

それにしてもこの表紙は見事だなあ。穏やかな微笑みだから余計泣けてしまう。言葉にしづらい微妙な気持ちをよく伝えていると思います。3週前がカラーだったので、今週またカラーだと知ったときには頻繁すぎると思いましたが、このネームを読んだら担当さんも「カラーでみせなくてはっ」と思うに違いないですな。物語が一番のクライマックスに辿りついたのだし。ジャンプのカラーの順番がどうやって決まっているか知らないから私の邪推にすぎないんでしょうけどね。

佐為は自分の夢をヒカルに繋いで、最後は「楽しかった」と穏やかな気持ちで消えたことを、ヒカルは知らないから。佐為の辛さを分かってやれなかったことを、ヒカルは苦しむんだろうなあ。ヒカルは今まで大きな挫折を知らなかったと思うんですよ。多少友人(三谷)と齟齬があったり、なかなか棋力が伸びなくてヘコんだことはあっても、結果としてはプロ試験は一発で通過したし、色んな人に可愛がられているし。そして初めて本当に大切なものを失ってしまって。残ったのは「分かってやれなかった」という苦さだけで。
その上、ヒカルは佐為を失った悲しみを誰とも共有することができないから。自分の中だけにおさめておくにはあまりにも大き過ぎる悲しみを、ヒカルはどうやって乗り越えることができるのでしょうか。
その苦しさがヒカルを大きく成長させる糧になると思います。
そういう意味では、これからの物語が本当に「ヒカルの碁」となるのでしょう。

佐為復活の可能性はあるのでしょうか。またもとのように「ふたりいっしょに」なることはないにしても、佐為がヒカルに気持ちを伝える機会があればヒカルも救われるだろうに。もしくはめちゃベタな展開ですが、成長したヒカル元に弟子入りした子が佐為の生まれ変わりだとヒカルが気がつくとか……ベタでもいいから、そういう救いはほしいなあと思います。ただヒカルの成長やひとり立ちを描くのであれば、もう一度佐為が戻ってきてヒカルと一緒に暮らすという展開はまずありえないでしょうね。佐為が自分こそが神の一手を極めるという執着をなくしてしまった以上、霊体として存在するだけのパワーもなくなってしまっただろうし。

それにしてもほったさん、こうして佐為が消える展開はいつから考えていたんでしょう。6巻あたりでは確実だと思うんですが…「なぜヒカルに引き寄せられたのか」についての問いは1話からでているんですよね。そのときからこの構想を持ってたりして。…それだとちょっと嫌かも。準主役の佐為を最初からほったさんは消すつもりでいたとは思いたくないんですよ。「明日のジョー」の力石の死のように、初期設定から必然的に物語がそちらに転がってしまった、であってほしいのです。作者にもコントロールしきれなかった、物語の神様の手による悲劇であってほしい。もちろん、「ヒカルの碁」の魅力があの見事な構成にあり、ほったさんはいきあたりばったりでなく先々まできちんと構想をたてて書いているのはわかっているけれども。
「ヒカルの碁」が完結した暁には、ほったさんにはぜひそのあたりのこともどこかのメディアで語ってほしいなあ。

次週の予告は「意を決し、ヒカルが向かった先は…!?」となっています。「じいちゃんちの蔵」じゃ「意を決し」というのからなんかズレてるし…ほったさんが去年の夏に「京都・山陰、そして秀策の出身地である因島にまで取材で足を運んだ」と近況報告に書いてましたが、そのエピソードがくるのでしょうか。ヒカルが佐為の姿を求めての旅に。

さて、緒方さんの話。萌えな話は後回しにして、まずは「緒方さんのsaiがらみの伏線は一体なんだったのですかっ!!」と叫びたい気分。あなたが求めていたsaiは目の前にいたのに、酔っ払って無様な碁をしただけで終わっちゃって。…いやこれもまた長期的にみれば今後に続く伏線かもしれないんですけども、短期的に見れば緒方さんへの期待が裏切られた気分。いきなりの対局が決まって、これが何かのきっかけになるかと知れないと期待してただけに。あう。
…でも酔っ払ってるせいか、相手がヒカルためか、妙に素直な緒方さんがかわいいんですよぅ。アキラの前ではあんなにカッコつけてるのにねぇ。野心家でありながらヘタレな雰囲気をかもし出してるところもラブリーで。
外からさし込むほのかな明かりだけを頼りにした対局というシチュエーションも素敵だし。2年前から緒方ファンですが、ファンになった当時は緒方さんのこんな姿が見れるなんて思ってもみませんでしたよ。1年前の緒方日照りのときにも、まさか1年後にこんなことになるなんて…さあて、今後緒方さんは自らの野心をかなえることが出きるのでしょうか? あっさり倉田さんやアキラやヒカルにタイトルを奪われそうな気がして仕方ないんですが。

巷では佐為が消えたことで「最終回も近いんじゃないか?」という噂もちらほらありますが、まだまだ伏線が残っているからまだまだ続くでしょう。個人的にはこのあたりが折り返し地点じゃないかという気がします。
でも人気投票一位と二位のキャラが物語から消えたジャンプ連載作品なんて前代未聞じゃないかと思うんですが…第一回人気投票の二位キャラ(加賀くん)も消えちゃってるしねぇ。普通は物語としての完成度よりも人気とりの方が重要視されて、人気キャラを優遇し、物語をそれにあわせて捻じ曲げられることはよくある話なのに。ジャンプの体質も変わってきているのか。現に作家に定期的な休載を許すようになったし(ハンターとジャガーはそれは別ですが)。佐為がいなくなったことはとても悲しいけれども、ほったさんには物語至上主義をこれからも貫いてほしいと思っています。
人気キャラがいなくなったことで「ヒカルの碁」の人気は落ちるかもしれないけれども、それを跳ね返すだけの力強い物語を見せてほしいものです。

以降、クサレ話。→緒方さんがヒカルを部屋に連れ込むシーンはなんだか淫靡です。うわー、やらし〜と思ったのは私だけですか? これで芦原さんがいなかったらもっとシャレにならん雰囲気になってそうだ… 緒方さんも酔ってるせいか、なぜかヒカルには気を許してしまっていて。なんか緒方×ヒカルってすごくいいかも。クールにみせようとしつつも、無邪気なヒカルに振りまわされて感情を剥き出しにしてしまう、自分がコントロールできない緒方さん!! うわー、萌え〜。
ヒカルが緒方さんのマンションに出入りするようになって、偶然緒方さんの部屋でアキラと出くわし、嫉妬にかられる(どちらへの?)アキラというのもいいですなっ!! 緒方さんの物語での立ち位置はどうなるのかなあ、これから。
あと、芦原さんの生足につい目が… 色っぽいですな〜〜〜


【ヒカルの碁 第125局「佐為が消えた?」】 01/07/23

第125局「佐為が消えた?」。目の前に佐為がいない。少し怒りながら、佐為を探して部屋のあちこちを探すヒカル。いない。腹を立てて寝ようとしてしまうけれども、じっとしてられなくて、家のあちこちを探し出す。窓を開けていたから風で飛ばされたのかな?と日本棋院に。「棋院にいないならどこに行ったんだよ もーっ まさかあいつ消えたんじゃ…」と今度は慌てておじいちゃんちの蔵に。あの碁盤の前にも佐為はいなかった。そして盤面を覗いたヒカルは、シミが見えなくなっていて驚く。何が起きたのかわからなくて呆然とするヒカル。その時やっとヒカルは佐為が「自分はもうじき消えるのだ」と叫んでいたことを思い出した。鼓動が高まる。「あれはどういうことだ!? まさか…!? 本当に消えた!?」ずっと一緒にいた自分に何も言わずにそんなことになるはずはない。胸騒ぎを押さえて、懸命に考えるヒカルだった。幽霊が消えるのは思い残すことがなくなった時。佐為はまだ神の一手を極めてないのだから、消えるはずはない。だったら部屋のどこかにいるはずだと自分の部屋にヒカルは慌てて戻った。
部屋のドアを開けても、そこには風が吹き込んでいるだけで、誰もいない。高まる不安。それでも「最近ふてくされてたし、どこかに行ってるだけだ」とヒカルは自分に言い聞かせていた。どこに…ヒカルは祖父に電話で、幽霊だったら自分のお墓や思い出のある場所に行きたがるのではないかと聞いた。佐為にはお墓はない。自分との出会いの場所である蔵にはいなかった。すると…虎次郎。秀策がらみの思い出の場所じゃないかとヒカルは思った。佐為はヒカルには文句を言ってたけども、虎次郎のことは好きだったし。佐為と虎次郎が出会った因島は広島にあり、東京からは日帰りが大変な距離にある。しかしまだ連休は1日残っている。一晩たっても佐為が戻ってこなかったら、ヒカルは因島に朝イチで出かけるつもりだった。
「絶対につかまえてやる」「突然何も言わず消えるなんて そんなこといやだ!」「いやだからな! 佐為!」
翌朝。駅に向かうヒカルの前に一台のタクシーが止まる。ヒカル行きつけの碁会所の河合さんだった。乗せてってやろうか?という河合さんの言葉に甘え、タクシーに乗り、東京駅に向かう間に因島に出かけることを河合さんに話すと、河合さんは車を会社に戻して、ヒカルと一緒に行くと言い出す。GWは働きづめだったせいもあってちょうど旅行に行きたかったらしい。


表紙のヒカルの少し惚けた顔が、一瞬の時間を切り取ったようで見事。風の表現もこれまた素晴らしいし。
ヒカルはそれまでの(少し異常な)日常が永遠に続くと思ってたんですよね。絆は絶対だと。まだ子供でかけがえのないものを失った経験がないから、穏やかな日常なんて危ういバランスの上に立っているものだとは知らなくて。
ヒカルは、最初は佐為は隠れてるんだと思って苛立ちをおぼえて、それが少しずつ不安に変わりながらも「そんなことあってほしくない」から懸命に打ち消そうとあれこれ自分に納得させる言い訳を考える。そのあたりの気持ちの変化の仕方や不安の高め方などのネームでの手腕は毎度のことながらお見事。
ヒカルは佐為がいなくなって落ち込むかと思ったんですが、その前にまず行動。やれるだけのことをやってあがいてみる。そういうところが黙って消えていった佐為との対比になっているような感じがします。
「絶対につかまえてやる」。そう、その心意気で捕まえてほしい。ここまで何週もかけて佐為の消失をやった上であっさりと佐為が戻ってきたら拍子抜けするけれども、それでもいいから。…戻ってきてほしいな。

それにしても。今回のヒカルのセリフ、佐為が消える前に佐為に伝えてあげてほしかったよ… ヒカルにとって佐為は空気のような存在。大切だけどもいつも一緒にいるのが当たり前だったから。そういう気持ちは言葉にしなくてもそんなものわかってもらえると思ってたんだろうなあ。でもちゃんと言葉にしないとわからないことは沢山あるわけで、佐為はそれで思い悩んだし、ヒカルだって佐為の気持ちを誤解したままに。佐為は秀策のことが好きだったのはたしかだろうけども、ヒカルのことだって同じかそれ以上に好きだったのだから。物語を俯瞰できる読者にはわかってるだけにもどかしいんですよね。
なんか今回の状況って、いきなり家を出ていった妻(佐為)となんで出ていったのかわからない夫(ヒカル)みたいな感じ。夫は、妻が前の亡夫(秀策)のことを忘れらないんじゃないかとゆかりの地を尋ねて…ですか。

さて、これで話は因島に。1年前にほったさんが京都から山陰、因島まで取材してたことが生かされるけですね…というか、伊角さんの合否にハラハラしてた頃にほったさんはすでにここまでお話を仕込んでたんですね… 河合さんがタクシーの運転手(しかも不良社員)というのもちゃんと意味のあることだったんだなあ。見事な構成にうなりながらも、所詮は神様・ほったさんの手のひらで遊ばされてるだけじゃないかという無力感も味わってしまいます。連載開始時点でどのあたりまで構想を持っていたのか、ぜひ知りたいものです。連載終了したらどこかでインタビューをやってくれないかなあ。

さて。ヒカルが因島にいったことで何かがかわるんでしょうか。物語としては佐為の消失→ヒカルの自立と成長となるでしょうから、佐為は帰ってこないんじゃないかと思うけれども。ヒカルの気持ちの何かが変わるのかなあ。次回予告は「広島・因島で何かが起こる…!?」「佐為を探しまわるヒカルが見つけたものは…!?」大増23ページだそうです。ヒカルの碁はページ増が多くて小畑先生毎回大変だなあ。


【ヒカルの碁 第126局「佐為をたずねて」】 01/07/30

第126局「佐為をたずねて」。新幹線で広島に向ったヒカルと河合。広島県尾道からバスで因島に向かい、本因坊秀策ゆかりの地である「石切神社・秀作記念館」「竹原の宝泉寺」などを訪ねてゆく。河合は興味深く秀策の話を聞いてるが、ヒカルは気がせいて落ちつきなくあちこちにいって佐為を探し回っていた。佐為がみつからなくて焦れたヒカルは「もういいっ オマエなんか帰ってこなくたって」とスネる。それでヒカルは東京に戻ろうかとしたが、時間はすでに遅くそれから帰ったとしても深夜になるような時間。河合は一泊して、もう二ヶ所ほど秀策ゆかりの地を回るつもりで、それを聞いたヒカルも河合にお金を借りてもう一泊することにして、自宅に電話をする。遅くまで帰ってこないばかりかなぜか広島にいる息子をヒカルの両親は心配し、「誘拐された?」と誤解をしてしまうほどに。これに怒った河合さんが電話に出てあれこれ事情を説明したせいか、なんとか誤解は解けた。
そして次の日。朝から二か所の秀策ゆかりの場所「糸崎八幡宮」「慈観寺」を回るが、佐為はいない。落ち込み気味のヒカルをお好み焼き屋に残して、河合は近くの碁会所に一局やりにいった。因島にいないならば、佐為は東京にいるに違いない。もう一度東京を探そう、と決意するヒカルだった。ヒカルは今回の不意の旅行で貯金がなくなったことを少し悔やんでいたが、佐為を連れてまた来よう、そうしたら佐為は喜ぶぞ…とそのときのことを想像して、ヒカルの顔はほころぶ。
さっさと東京に戻るつもりで、碁会所に河合を迎えにいったヒカルを迎えたのは「冗談じゃねェや! なんだよ5万円ってのは!」という河合の怒鳴り声だった。


今回は観光ツアー的な要素が大きかったので話はほとんど動いてなかったんですが。もうなんだかじっとしてられないヒカルの気持ちがよく伝わってきてます。でもヒカルって、佐為と会えないとは微塵も思ってないんですよね。「いつかいっしょにもう一回こっちへ来よう」のときのヒカルの顔になぜか胸が締め付けられるような気がしました。だって、ヒカルはもう二度と佐為と会えないかもしれないことを知らないのだから。…いや、ヒカルがあくまでも前向きに進むことで佐為を捕まえることが、ひょっとしたらできるのかもしれない。捕まえてほしい。

それにしてもヒカル、学校欠席しちゃったねぇ…すでにお金を稼いでいる社会人であっても、まだ中学生なんだし、もっと早く親に連絡をしなきゃ。あの年頃の子どもは、親の心配なんて全然気にしないものではありますが。

今回は一体どういう意味を持つエピソードなのかわかりづらいのですが、最後の「5万円」がなんかキーワードになるんでしょうか? あのもっさりとした男の後ろ姿は今まででてきたキャラの誰とも違うようだし。一瞬椿さん?かと思いましたが、それにしてはヒゲないしねぇ。
5万円って、「賭け碁」「席料」「指導碁料金」…どれにしてもあまりにも値段が違いすぎるし。なんでしょうか。ヒカルが悪いやつをやっつける、というだけの展開にほったさんがするとは思えないし。

次週予告は「一刻も早く帰りたいヒカルがとった行動とは!?」「帰郷を急ぐヒカルに思いもよらない障害が!?」
さて、来週はポスターがついてきます。また「ヒカルの碁」の重大発表があるそうです。前から噂のあった、アレとアレが正式発表かな? 楽しみ。
コミックス13巻は8月3日発売。表紙は佐為です。
8月16日発売の「赤マルジャンプ」にもポスターが付くそうです。(ジャンプに付くのと続き絵となってる模様)それとほったゆみさんの中国取材を特集も。…中国ですか。今までの取材→本編に登場のインターバルから考えると、1年後位に国際棋戦の話になるのでしょうか。


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