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【安全距離。】 00/04/14

今日、「作家の値うち」(福田和也 飛鳥新社)って本を買いました。日本の現役作家100名の代表作を100点満点で評価するという、なかなか刺激的な本でした。おもしろかったです。
正直な批評は評論家の使命とはいえ、「勇気あるなー」と感心しましたが、WEB上での書評サイトでは点数つけの評価も、ごく普通に行われていますしね。でも辛口批評に対するタブー感が弱いのは、Webオーナーの大半にとっては作家さんというのは別の世界の人で接点がないせいで、同じステージ上にいる相手ではないから、遠慮なくやってる…というのはあるかもしれません。こっちが何をいっても、向こうから殴られることのない、「安全距離」があると思ってるのかも。
ところが実際問題としては、ネットの特性のせいで距離は思ったよりも近いんですよね。ネットのメリットでもある強力な「検索」能力は、片隅でひそかに運営しているようなサイトでも(全文検索のせいで)簡単に太陽の元に引きずり出してしまいますから。
うちのようなサイトでも、定期巡回している作家さんはすぐに思いつくだけでも5,6名はいるんです。名乗らずにひそかにみている作家さんも他にもいるだろうし、定期巡回してなくても検索サイトからくる人もかなりいるだろうしね。…アクセス解析に「誰がこんなマイナーな作品をチェックするんだ?」と思うような作家さんの名前や作品があったりすると、「…ご本人かなあ」と思うこともあったり。

辛口批評をウリにしているサイトが、その作家さんご本人からのメッセージを受けたら手のひらを返すように媚を売り出した、なんてこともみかけたことあるんですが、ああいうのはみっともないなあ…たぶん別の世界の人だと思って好き放題していたのが、突然近くに現れてびっくりして、距離のとり方がわからずに舞い上がっちゃったんでしょうけど。

ネット上での批評といえば、同じステージに立っている「個人ページ」の批評サイトってあんまりないんですよねぇ。依頼を受けて「鑑定」しているページや、嘲笑する目的での紹介サイト、オススメサイトの紹介(これはうちもやってるけど)ならあるんですが。
自分はマンガや本やドラマその他について好き放題いってても、自分のサイトについて批判を受けると過剰に反応しちゃう人も少なくないような。誰だって批判を受けるのは楽しいことではないだろうけど、Web上に公開している以上、批評の対象になる覚悟は持つべきだと個人的には考えています。「言論の自由」を盾に毒舌を振るいながら、ちょっと人から文句を言われたくらいで閉鎖しちゃうのは……
Web批評があまり浸透してないのは、同じステージに立ってると、直接殴り合いの泥試合になっちゃうせいかもしれません。ネットケンカってリアルワールドでのケンカと同じかそれ以上にしんどいものですから。私自身はもうネットケンカにはこりごりですので、敢えて波風を立てるだけの勇気もないから、サイト批評はする気になれないけど。(批評されるのはいっこうにかまわないですが)
ネットも玉石混合の状態から抜け出すためにはきちんとした批評が必要だとは思うんですが…まあ、「オオスメリンク集」のようなプラス方向の批評システムは存在してるからいいのかな。でもこの手のでも、どこでも似たようなページばかりが登録されてたりして、おもしろいのは少ないのがね…
オススメのサイト批評or紹介をやってるところがあれば教えてくださいませ。


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