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【掲示板運営話 その1】 01/11/07 23:30

というわけで、掲示板運営話。
私がよく知っているのは個人サイトの掲示板の話ですので、まずはそれから。
サイトの規模が小さく、掲示板にくる人がさほど多くない場合は、主催者はホストorホステスとして書き込みしてくれる人全員に返事をつけて、「なごやかな」雰囲気を出すのが一番無難でしょうか。その位の規模だとルールを細かく書かない方がいいです。細かいルールは参加をためらわせてしまう可能性大なので。「楽しく●●の話をしましょう」とか大まかな方針を書く程度の方がいいかと思います。

でも、書き込みする人が1日100人とかになってしまったら、管理人が全部に返事をつけるのは不可能。この場合は管理人は「レフリー」となって流れを整えることに徹した方が掲示板はうまく回転します。
レフリーとして掲示板をうまくコントロールするためには、書き込みしている人たちの信頼と理解を得る必要があります。これは一朝一夜でできるものじゃないので、長い時間をかけて自分のビジョンや、ファールとフェアの線引きを分かってもらえるようにします。ただそれも押しつけがましいものだと反感を招くだけだから、参加者と「話しあって一緒に作る」姿勢をみせた方がいいでしょうね。ただし、参加者の意見を全部「そうですね」と受け入れるのはバカなので、自分が譲れない一線があるならそれは守るべきではないかと。
それで「ルール」がはっきりしてきたら、「掲示板のルール」という形でまとめます。「ルールがあると堅苦しい」という意見もありますが、書き込み数が多くなると過去ログを全部読むのは不可能になりますし、参加人数が多くなるとルール違反な書き込みが頻繁に現れて、注意するだけで大変になるので。(2ちゃんねるですら、続きのスレッドが立つときには発言の1〜10などの最初の方にルールが明記されるようになっています)

掲示板はお金を出して管理している人が一番偉いのです。管理人がルールブック。(法律違反でない限り) ただしそれは自分の王国だけで成立する魔法…ローカルルールにすぎないことを自覚しておくこと。
参加者は、そのローカルルールが合わないなら別の場所に行くなり、自分で作るなりすればいい。その掲示板で閑古鳥が鳴いても、管理人の自業自得なので。

「レフリー」であれば、掲示板の流れを悪くする発言に適時イエローカードを出したり、有害な発言を削除したり、別掲示板を作って掲示板の雰囲気を損ねる関連発言を隔離するのもお仕事となります。発言がOKなのかNGなのかの判断は、参加者にも線引きが分かるように努力するべきかと。気分によって削除したり、しなかったりは参加者に不信感を抱かれるだけだと思うので。対応に一貫性を持たせること。状況が変わったせいで、過去とは違った対応をとった場合は、その説明もちゃんとすること。

イエローカードもあまり早く出しすぎると「言論封殺」と受け取られかねないし、遅くなりすぎると解決できない状態に問題が発展する可能性があります。難しいんですよ、これが。個人的な体験からすると、騒ぎになりそうな一歩手前で出すくらいがちょうどいいでしょうね。沸騰するかなーという直前に水を挿すタイミングで。

ただし、管理人に対する批判だけは別。あからさまな脅迫であれば速攻削除でもいいと思いますが、それなりに礼儀を弁えている批判には「聞く耳を持つ」姿勢を見せることが大切です。…というか、参加者の信頼を勝ち取りやすい一番簡単な方法なんですよね、「自分への批判を聞く姿勢を見せる」というのは。本当に聞く耳持ってるかは別です。心の中では「何書いてんだよ、バカ」とか思っても、それを外には見せないように。
ちょっと話が長引きそうなときは、別掲示板を作って「じっくりご意見を聞きたいので」とか理由をつけて隔離して、「じっくり考える時間がほしいので」と言いながら返事を書くのは週末ごと…という風に引き伸ばし作戦にでて自然消滅を狙うとかいうのもいいかも。
またこの場合は、「私は頑張ってるのに、文句いうなんてヒドイ!!」と泣くとか、グチを書くとか、「私の方が正しいよねっ?」と周りに確認を求めるような「かまってちゃん」な行動をとると、掲示板を読んでるだけの人にバカにされたり、「●●ってどうよ?」いうような揶揄するスレッドが2ちゃんねるに立てられたりするかもしれません。
泣き言は親しい人にメールやインタスタントメッセンジャーでグチる位にしておいた方がいいでしょうねぇ。

これは、1日の書き込みが数百程度の規模の掲示板での話。私が分かるのがここまでなので。書き込みが数千になったりするようなサイトであれば、管理人は複数人必要で、役割分担を決めたり、ガイドラインを明確してコンセンサスを得なきゃダメなんでしょうけども… 大きなサイトの場合はどうやって管理してるんでしょうねぇ。一度話を聞いてみたいものです。

つづく。


【掲示板運営の話 その2】 01/11/11 20:44

掲示板運営のはなし。
実物を見ずに伝聞情報だけであれこれいうのはあんまり誉められたものじゃないというのは分かっていますが。LLLちゃんの日記を読む限りでは、鳴り物入りで生まれた1chももうダメな様子。しょうがないかも。枠組みが決まっていて互いの顔を知ってる規模の組織の運営でも大変なのに、枠組みが決まってなくて参加者が流動的な組織をまともに動かそうとしても、意図的にどうにかなるものじゃないのですから。まあ理念を具体化するためのシステムがお粗末だったという面もあるでしょうが。

コミュニティ中心サイトのメリットは、作成者がコンテンツの内容を全部作る必要がないということです。でも、長い目でみれば人に頼るよりも自分で作った方が楽で質もいいかもしれないかも。掲示板っていうのは、管理人の意思だけでコントロールしきれるものじゃないですから、思ったとおりに持っていくのって難しい。

1chだけでなく、今までみてきたサイトをまとめて一般論にしてみます。
まず、典型的な掲示板の一生を追ってみました。
(1)〔萌芽〕 掲示板が設置される。最初は閑古鳥。→閑古鳥のまま閉鎖のパターンも
(2)〔黎明期〕 個人サイトなら管理人の人柄に惹かれてくる人たちが少しずつ増加。大規模サイトであれば、何かの話題をきっかけにしたり(2ちゃんねるの場合は東芝事件?)、プロモーションに力をいれることで人がやってくる。
(3)〔正のサイクル〕 人が増えてくると、情報のやりとりやコミュニケーションが加速的に増加。参加者が場に愛着を感じたり、書込み内容に価値を認めて、自分からもどんどん情報などを提供しだす。
(4)〔輪の停止〕 しかし、参加者がある数を超えると、内容が多すぎて読みきれないために脱落者がでてくる。またコアとなる参加者同士が直接コミュニケーションを取り出して掲示板にはこないようになる。
(5)〔逆回転〕 評判を聞きつけた「空気を読めない参加者」が激増。場をわきまえない書込みが増え、初期を支えてたコアな人材が雰囲気を嫌って来なくなり、書込みの質が低下する
(6)〔負のサイクル〕 質が低くなったため、参加者が徐々に減る。人がいないと情報もなくなるために、さらに人がこなくなる。
(7)〔終焉〕 管理人が疲れて閉鎖or実質的に死んだまま放置。


実際はもっと細かくて、参加者の入れ替わりがうまくいって別の雰囲気のコミュニティに進化することもあるし、(3)から(4)に移りそうになったときに管理人が適切な処置をとることで、いい雰囲気のまま続く場合もあります。でもこの場合は、参加者の絶対人数が少ないか、会員制などの参加者制限システムをとっている場合が多いかな。

このサイクルは、ネットへの参加者が増えたことでどんどん短くなってます。極端なのが、2ちゃんねるのスレッドとか。2ちゃんねる自体は、全体的にはもう(5)の段階(逆回転)にあると思うけども、それでも時々「良スレ」と呼ばれる質の高いスレッドもでてきます。でも良スレ(特にエンターティメント系)はニュースサイトや他のスレへの転載を通じて評判がばっと広がって、頭悪い書込みや荒らしが増えて、駄スレにあっという間に転落…がたった1日(場合によっては数時間)で起こってしまいます。まあ、2ちゃんねるの場合は読む方も砂金探しやってるのはわかってるからいいのでしょうが。
…ということを実感してるから、2ちゃんねるでもいいスレッドは荒らされないようにsage進行になってたりしますよねぇ。私も、本当に好きなスレッドは絶対に日記にはかきませんもの。

Yahoo!掲示板の場合は、最初から流入者が多かったためか、ずっと書込みの質が高くないまま続いてるという印象が私にはあります。ひょっとしたらすごくレベルの高いトピックスもあるかもしれないけれども。発言ひとつずつみていかなきゃいけないから、砂金探しの手間がかかりすぎるし…

さて、掲示板サイクルの実例の話をします。もう時効だろうから詳しく書いちゃいますと。
それはサッカー日本代表がアジア予選の最終戦で劇的な勝利を飾り、初めてのワールドカップ進出を決めたときです。私もにわかサッカーファンになって最終予選をはらはらしながらみてたんですが、ヒデが素人目からしてもカッコよくてねぇ、ホレちゃいまして。それから熱病に浮かれたように色々な情報を探してある掲示板にたどりつきました。
そこはベルマーレのファンで、ヒデひいきの人がまったりとサッカー中心の話をしてる場所でした。私は読んでるだけでしたが、サッカー選手としてのヒデのすごさはどこにあるかとか、昔からのエピソードとか聞けてとても読んでておもしろかったです。当時の参加者は基本的にサッカーファン、そのためか男性が半数以上を占めていたようです。
ところが、それからしばらくしてヒデブームがやってきました。Yahoo!で検索してたどり着くヒデ関係の掲示板が少なかった(というかそこひとつだけだったような…)ためか、サッカーをよく知らない女性ファンが少しずつ増えてきまして。昔からいた人も、最初は新しい血を歓迎していたようですが… そういう「ミーハーな」女性ファンがある時期を境に急増しちゃいまして、話題はサッカーからヒデのプライベートについてや萌え話ばかりになってきました。ただそのプライベートの話が行過ぎたこともあって、一部の参加者からまずのではないか?という横槍がはいったんですね。そのときにプライベートについての話をしていた人たちが「ミーハーな話したっていいじゃない!!」と開き直り、管理人がそれを許容する発言をしたために、古くからの参加者は去ってゆきました。
そのあとは、プライベート話についての憶測(A子みたいなのがタイプらしいよ)からデマとなり(A子とつきあってるんだって!!)大問題が発生して(実社会でA子に嫌がらせする人がでてきた)。…結局は騒動に疲れた管理人が閉鎖したようです。あれは私が見出してから2か月もかからなかったんじゃないかなあ。
この場合は、管理人判断が間違いだったこともありますが(プライベート話は犯罪に発展する可能性があるので許容すべきものではない)、あれは悪条件が重なった不意の大波みたいなものだから、どんなにがんばったとしても防ぎきれないでしょう。
ちなみに現在のヒデのファンサイトでは、管理人がちゃんとしてていい雰囲気のところも結構あるようです。オフィシャル会員制サイトは入ってないのでどんな感じかはわかりませんが。

掲示板の質を長く保つためには、システム面では掲示板やスレッドを分散させることで目的別にわけてユーザーがほしい情報などを得やすくすることがまずひとつ。(質低下原因の公開メール状態をフリートーク掲示板を設置して切り離すのもこれに含まれます。) また、管理人が意識してコアとなる人材を育成して、そういう人たちを尊重してうまく動かすことがポイントのひとつであります。かといって、常連さんばかりを大切にして新参者を排除するような空気にしちゃうとコミュニティの新陳代謝がおかしくなって、老衰してゆくだけに。もし新陳代謝がうまくいってても、いつかは寿命がくるのは人間もコミュニティの場も一緒かもなあ。

昔は頑張って流れに逆らったこともあったけども、今はなるようになるのが一番だと思ってたりします。私自身は気心の知れた人たちとまったりできたら十分だし、そういう場所が私には既にあるからそれでいいので。
…枯れちゃってるなあ、と自分でも思いますが。


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