「このアルバムを聴かずしてザッパを語るなかれ。」
このSheik Yerboutiは、一言でいうと、こういった作品です。これ以前に発表された アルバムばかりではなく、これ以降に発売されたアルバムを含めても、ザッパの作 品の中で頂点を極めたものであるといっても言い過ぎではないでしょう。
上に書いたように、アナログ版では2枚組構成となっています。そして、各面はそ れぞれ異なるカラーを有しています。Side 1は、パロディ的な面が強調されています。 Adrian Belewがボブ・ディランの マネをして歌う"Flakes"もおもしろいですが、この面最後の 曲" I'm So Cute"は、大爆笑ものです。これは明らかに当時のパンクムーブメント をおちょくった曲で、自分勝手で独りよがりなパンクの歌詞を見事にパロっています。 この曲では、Terry Bozzioの"軽薄な"(彼のファンの方々、済みません)ヴォーカル がいい味だしてます。
Side 2は、混沌とした面です。昔のザッパを思わせるような実験的な(実験済みな?) 曲が多数収められています。また、"Rat Tomago"で聞かれるザッパのソロは、あくまで ソリッドで聞き応えがあります。このソロは、数あるザッパのソロの中でも、私が好きな ものの一つです。
Side 3は、ポップな面です。この面の"Dancing Fool"は、ビルボード(だったと思う) のチャートでも40位くらいにランキングされていました。この曲では、コーラス・パートに 日本語のフレーズがあるらしいです。
そして、最後の面であるSide 4の"Yo Mama"は、このアルバムでの最大の聴きどこ ろです。この曲で弾かれる、Em7-Aの進行上で数分間にもわたるザッパのソロは、も う筆舌に尽くしがたい。ギタリストだったら、いやギタリストでなくても一度はこんな演奏 をしてみたい、そして聴いてみたい、そんなソロです。ソロというよりも、一つの交響曲が ザッパの指から生み出されていく、といった感じです。
このアルバムを境に、ザッパの作品の傾向が少しずつ変化していき、よりトータル的な、 あるストーリーを軸に展開していくといった作品が増えていきます。
This album is "Double Jacket". |
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