ザッパは、その活動の当初からオーケストラを意欲的に導入してきた。"We Are Only In It For The Money"や"Lumpy Gravy"、"200Motels"といったように。また、ジャズ的なアプローチでオーケストラを導入、またはオーケストラ的なアレンジを施した"Waka/Jawaka"や"Grand Wazoo"といった作品もあった。ストラヴィンスキーやエドガー・ヴァレーズなどに影響を受けてきたザッパにとっては、オーケストラはとても魅力的なものであった。
そんなザッパが、本格的なオーケストラ用の曲を書き、また実際に指揮をしたりしたのも、当然の流れであろう。また、そうした活動は、常に多大な評価を受けていた。ザッパの残した本格的なオーケストラ作品として、次の3作をお勧めする。
"LSO 1"と"LSO 2"は、共にタイトルが示すように、ロンドン・シンフォニー・オーケストラの演奏である。"LSO 1"がやや前衛(こういった表現も古いのかも)よりであるといえる。"LSO 1"において、オーケストラ楽器の1台1台に入念に施されたエフェクト処理は、驚嘆に値する。個人的には、名曲"Strictly Genteel"と素晴らしく映像的な傑作"Bogus Pump"が収録されている"LSO 2"が好みではある。"The Yellow Sheik"は、ザッパ自身が手がけた最後の作品である。至福の音の世界がそこにはある。心して聴いてもらいたい。
- London Symphony Orchestra Vol.2 (1987)
- London Symphony Orchestra (1983)
- The Yellow Shark (1993)
ザッパのオーケストラ作品としては、以上に挙げた作品の他にも、"LSO 1"や"LSO 2"のプロトタイプというに相応しい作品、"Orchestral Favorites"がある。これは、小編成で演奏されたものだが、上に挙げた"Strictly Genteel"と"Bogus Pump"が収録されている。聴き比べてみるのも良いだろう。