各ページへ! ホームページへ 近況報告「修理人の独り言」 自己紹介 骨董市出店予定
カタログ: オルゴール エジソン蓄音機 光学機器
工具/パーツ類 修理サービス ヒント集: オルゴールのヒント 診断、修理 リンク集
よく聞かれる質問 修理人への道 修理参考書「オルゴール修理の実技」 地図(広域、詳細)

ハイランド アンティーク

ちょっと専門的なお話

オルゴール診断のためのヒント!


これからアンティークオルゴールを購入されようと計画されている方や、すでにお持ちの方でその修理やメンテナンスについて一般的な情報を求めていらっしゃる方へのページです。

最近は、海外へ出かけてご自分で購入されたり、オークションを通じてご自分で入手される方が多くなってきました。確かに国内の業者を通して購入するより安い価格で手に入れることができるとは思いますが、ある程度の危険性(リスク)が有ることを知っておいてください。

外観や写真では見えない故障が有ったり、修理箇所をうまく隠してあるかもしれません。
カタログや説明書に「Restored, Excellent condition!!」などと書かかれていても、要注意!

以下、チェックのポイントを簡単に挙げてみましたが、詳細についてご質問がある場合は、ご遠慮なく当方までお問い合わせ下さい。

ハイランドアンティークは、ごく一般レベルのオルゴールファンのみなさんのお役に立つことを信条としています。

1.木製ケースの外観と汚れ:
まずは外観から。 先ず何より、参考書の絵や写真を参照して、モデルと機械とが一致しているか確認しましょう。中の機械とケースとが一致していないこともまれにあります。
ニスの状態は(塗り替えた形跡は)? 木製部材の割れは無いか? 底板は割れていないか? 音を響かせる大切な部材です。
ヒンジ、ロックなど金物類はしっかりしていますか? 特にヒンジはがたついたり、取り付け部分が割れたりしていませんか?
施錠金物(ロック)の鍵(キー)はついていますか? (無ければコピーを作ることもできます。

2.機械部分の状態:
上蓋をあけると機械が見えます。鋳物製のベッドプレートの状態は?
その中央にあるスターホィールの状態は?

櫛歯はオルゴールの命です。折れている歯はありませんか? 表面の錆は? 低音の歯の裏のウェイトは?(酸化して白く粉を吹いていたり、外れたりしていませんか?)
また差し歯修理の跡は?

ちょっと専門的になりますがダンパーの具合は?
クランクを少し回してメインスプリングを巻いたときの感触は? ラチェットは確実に「カチッカチッ」と効いていますか?
スプリングを巻く途中や演奏中に、スプリングが「ズズッ」と一気に滑ることはありませんか? グリース切れの兆候です。
ガバナーと呼ばれる速度自動調整機構の様子は? スタートレバーを操作するとすぐに動き始めますか? 羽根が回転に応じてスムーズに開いたり閉じたりしていますか?

3.ディスク:
ディスクの爪は折れたり曲がったりしていませんか? 演奏途中で止まったりひっかかったりしませんか?
中途半端に残っている爪はかえって切り取った方が無害です。 「ステラ」のディスクは、裏面のなめらかさが一番重要です。 錆びているとスターホィールが途中で引っかかって回転を始め、櫛歯を折る原因となります。

とりあえずこれくらい見ておけば、大きな失敗を避けることができるでしょう。
(たとえ多少修理してあっても「動かないオリジナルより修理された完動品」の方が良いと思いますが、いかがですか?


(ディスク)オルゴールの修理/修復


1.機械部分(ムーブメント):
音を出す櫛歯/ベッド部分と機械の動力源たるモーター部分とから構成されています。

2.木製ケース(ボックス):
ボックス本体、底板(サウンドボード)蓋(リッド)とに3分されます。
よくある修理内容は、クラックの張り合わせ、足やコーナー飾りの修理、虫穴修理、等々。
金物類(ヒンジ、リッドサポート、ロック など)の修理、取り替えもあります。
    
3.修理の依頼:   
修理を依頼するときは、中古車の修理と同様に、依頼の仕方がいろいろあります。ちょっと知っておくと参考になると思います。
    
[修理]:
依頼主が指定した部分のみの修理で、全体の機能には依頼主が責任を持ちます。 そのため、依頼主がかなり技術的に詳しい知識を持っていなくてはいけません。
依頼した事項以外にも問題がある場合が多く、双方にとって不満足な結果が残る場合もあります。

[クリーニング]:
主要部品をばらして汚れを落とし、金色ペイントなどで化粧直しします。 部品の取り替えは含まず、機械的性能の改善はあまり期待できません。 むしろ、ガバナーの滑りなどかえって悪くなる事が多くあります。 欧米でよく使われる言葉ですが、結果に対する責任の所在が不明で、双方にとってあまり好ましい形態とは言えないでしょう。むしろ、技術的に腕のある人が自分で行った作業を、結果的に表現する言葉と思った方がよいでしょう。

[オーバーホール]:
すべての部品の分解とクリーニングと手作業程度の修理を含むもの。運転機能については修理を受けた側が責任を持ってオリジナル性能を回復する姿勢で取りかかります。 部品交換費用は通常別途追加になるでしょう。 ビスやワッシャーや小スプリング類の取り替え、軸受けブッシュの交換程度は含みます。 メインスプリングの巻き直し(グリースの詰め替え)を含むかどうか確認しておきましょう。
オリジナル性能を回復するとは言いながら、すべての部品が消耗方向に進んでいますので、自ずから限度があります。
見積もり的には購入価格の10−20%位。
    
[修復(リストア)]:
オーナーが納得するまで徹底的にオリジナルの仕様に近づける修理作業。 欠損部品の製作が必要な場合は、オリジナルと同じ素材と同じ工法を使って行います。
見積もりは程度次第で大変困難ですが、購入価格の20−40%あるいはそれ以上かかることもあります。

 

以上雑然と書きましたが、修理や診断についての詳細はご遠慮なく当方までお問い合わせ下さい!
      
なお、修理は魔法ではありませんので、100年も使われて程度の悪くなった(消耗、摩耗した)部品、特に櫛歯などを、完全にオリジナル通りにすることは不可能です。機能は何とか回復するように努めますが、やはり、最後は、どこかに妥協点を求めるしか無いでしょう。期待通りに回復しないのは必ずしも修理人の技量のせいだけでは有りませんので、ご理解下さい。


さらに詳しいことを知りたい方はこちらへ!:

〒408-0015 山梨県北杜市高根町下黒澤 3766-1
TEL:0551-45-8331 FAX:0551-45-8332


E-Mail でのお問い合わせは:

まで。



COPYRIGHT: (C) 2016  H. OHMORI