12月に読んだ本。

●「八咫烏奇談」椹野道流[講談社ホワイトハート](97/12/31)

本業は小説家、裏稼業が霊障を扱う「組織」に属する追儺師(ついなし)の美形と、人間と植物の精霊のハーフの美少年による、ゴーストバスターもののシリーズ最新刊です。今回は、熊野の旅館の若女将が毎晩みる恐ろしい夢。それは古の復讐の始まりだった…という感じの話です。今回のは、なかなかおもしろかったです。夏ばてで半死状態の天本さんがなんかかわいかったし(笑)、サブキャラの龍村さんや小一郎もよかったし。ストーリー展開もラスト近くは思いがけない方向に行っておもしろかったです。今回もこの二人はなにも進展なしですが、個人的には今のままの家族的な絆を深める方がいいんだけどなあ〜。

●「キスの温度」和泉桂[講談社ホワイトハート](97/12/30)

「キスが届かない」の続編です。クールでニブい美形シェフ(♂)と若手証券アナリスト(♂)とのじれったい恋の話です。気持ちのすれ違いと誤解で、もう、「なにやってるんだ〜〜〜」って感じでした。
それにしても、私のお気に入りの睦くん、どうなったんでしょうか(^ ^;)?無事かなあ…心配です(^ ^;)。作者ホームページによると、次作は4月にでるそうで、それを楽しみに待ちましょう(^ ^;)。


●「不実な美女か 貞淑な醜女か」米原万里[新潮文庫](97/12/29)

日本のトップクラスのロシア語通訳の方が書いた、エッセイです。
通訳という仕事のおもしろさや大変さ、そして違う文化同士のコミュニケーションを仲介する仕事を通じて得られた、「言葉」と「文化」の実感。これらを、爆笑モノのエピソードと、ユーモアあふれる文体でつづられています。いやあ、おもしろかったです。
ののしり言葉のあたりと、他国の国語教育の話が興味深かったです。外国語習得のためには、母国語を深く学ぶ必要があること、とりわけ幼児期は数か国語にふれるよりは、母国語だけで育てた方がよい…という話は、新鮮でした。えっ?と思った方は、ぜひ本を読んでください。
なによりも、日本語で自分の考えを表現できるようになること、これが一番大切だと。
…それについては、耳が痛いです(^ ^;)。うーん、通信はじめてからはかなりマシになったと思うけどね〜。とにかく、学校での授業が、これに役に立たなかったのは私でもわかりますが(^ ^;)。
この後は余談。私も仕事柄、通訳の方のお世話になることもあるんですが、私の場合は、あんまりレベルの高くない方とのことが多いですよね(^ ^;)。あ、でも一度すごく勉強熱心で、「テキストを前もって送ってください」という連絡があって、送ったことがあります。たぶん、二度と使う必要のない知識なのに、当日も私の説明を理解するために質問を積極にしてくださった方がいました。…かと思えば、こっちの説明の大切な部分をポロポロ落として通訳した方もいたし(^ ^;)。テレビでみたのでは、サッカーのワールドカップ最終予選の、イラン戦のあとのマスコミ共同記者会見の通訳はひどかったですよね(^ ^;)。まあ、通訳さんにも色々とあるんだろうなあ…。

●「ポケットモンスター 1」首藤剛志[小学館](97/12/26)

アニメの「ポケットモンスター」のシリーズ構成をしている方が小説化しています。首藤さんといえば、「ミンキーモモ」の脚本家をやっていた人ですよね。あの第一シリーズの脚本はすごくよかったなあ…(私は再放送でみたクチですけど(^ ^;))
この小説では、世界設定について結構ページを割いています。個人的には、この設定では色々な齟齬を生みそうな気がするけど、その心意気はいいなあ。
私はゲームの方は好きだったけど、アニメの方はちょっとみるのもなあ…って思ってたんですよね。それでここ最近しかみてないんだけど(^ ^;)、アニメも最初の方は特に「少年の成長物語」として結構しっかりとした話なんですよね〜。フィルムブックも買っちゃったけど(爆)
これなら最初からみておけばよかったなあ。
アニメの方も、問題点が解明されて、レンタルが再開されるのを待っています。
ちなみに読書間隔がこれだけあいたのは、久しぶりにゲームのポケモンの方にハマっていたせいです(^ ^;)

●「スレイヤーズすぺしゃる12 家政婦は見たかもしんない」神坂一[富士見ファンタジア文庫](97/12/19)

人気シリーズ「スレイヤーズ」の番外編です。いつものノリで、楽しく一気読みしました。…あ、それしか感想がない(^ ^;)。


●「悲鳴」茅野泉[集英社コバルト文庫](97/12/18)

ある高校で、女の子5人グループのうち、ひとりの子が“いじめ”にあうようになる。それを、傍観者の立場の女の子から描いた話です。
この作者、「教室」を舞台にした話を書いていて、それの三作目ですが、書くごとに力をつけているなあ、って思います。これも、イジメそのものよりも、イジメに至る過程がこまやかに描かれています。それを読んでいると、イジメにあう少女−睦美−の描き方がなかなか怖くて、彼女が孤立し、異端視されていくのが…ある意味、わかるんですよね。たしかに、近くにいたら敬遠してしまいそうなタイプ。かといって、あそこまでひどいことされるのは、なあ…だし。
サイコサスペンスとかではないけど、自分の中にある汚いところ、それをどうしても思い出さずにいられない、そういう意味では「怖い」作品じゃないかなあ、と。
次回作も楽しみです。


●「怨讐の交差点 霊鬼綺談」小早川恵美[講談社ホワイトハート](97/12/16)

「妖狐の舞う夜」の続編。霊感の強い男の子と、神社の跡取りで妖狐を使役する少年のふたりの高校生のゴーストバスターものです。今回は、ある交差点に女の子が身をなげる事件が続出する。その少女たちには、あるつながりがあった…という、この手の話には結構ありがちな発端と展開です。でも、このシリーズは、キャラクターやエピソードの描き方が丁寧なせいか、けっこういい感じです。強烈なインパクトとかはないけど、佳作って言葉がぴったりくるような作品。
一作目よりもよくなっているし、これから先が楽しみな作者ですね。

●「降魔美少年」岡野麻里安[講談社ホワイトハート](97/12/14)

すごいタイトルだなあ(^ ^;)。サイキック系の話で、美少年二人がでてくるっていうお馴染みパターンです。
それにしても、16歳で会社社長だとか、マッドサイエンティストとか、まあこういうのを出すのはいいけど、もうすこしその設定に説得力を加えられないかなあ。いくらホワイトハートといえども、ちょっとひどすぎ(^ ^;)。
あと、ストーリーが説明的だし。
前のシリーズに引き続き、変態な父親が出てきますが、なんかあるのか?ってかんぐりたくなります(^ ^;)。


●「東大オタク学講座」岡田斗司夫[講談社](97/12/14)

ちょっと立ち読みしたらおもしろかったんで、つい買ってしまいました。オタクな文化人として有名な作者が、東大でやっていたゼミの内容を本にまとめたもの。13の講座よりなっています。オタクの入門編って感じなので、知ってる分野についてはつっこみの甘さが気になりますが、知らない分野はすごくおもしろかった。コンテンポラリーアートの話(アートの文脈についてもっと聞きたかった)と、軍事関係の話が個人的にはおもしろかったです。


●「龍猫 −ホンコン・シティ・キャット」星野ケイ[講談社ホワイトハート](97/12/13)

龍の次は猫です。香港を舞台にした、ポリス・ファンタジー…って一体なんなんだ(笑)。熱血刑事のジェリィが、麻薬取引きの現場に単独突入して瀕死の重傷を負います。そこに超絶美形が現れた美形に「生きたいか?」と聞かれ、「生きたい」と答えたジェリィは…
今回もイキのいい刑事さんが出てきます。前のシリーズと違うのは、ご主人様(笑)がいることでしょうか。“王様”はクールな美形で、うーむ、今回はこの手(?)の王道ですね(笑)。話に勢いがあって、楽しいです。次が楽しみ。


●「珍妃の井戸」浅田次郎[講談社](97/12/12)

あの、「蒼穹の昴」の番外編です。舞台は中国の清朝末。義和団の乱の時、紫禁城で井戸に落ちた光緒帝の愛妃、珍妃。彼女を殺したのは一体誰か?英独日露の貴族たちが犯人探しを始めるが…
本編の、圧倒的な「物語」に対して、こっちはじわっとくるというか…雰囲気が違います。
事件の関係者の証言が、みんな違うんですよ。それで浮かび上がってくるそれぞれのキャラクターや、時代というもの、その描き方がうまいです。さすが。
最後のモノローグには、ぐっときます。
ただ、春児や史了が、間接的な話としてしか登場しなかったのが寂しかったなあ。「続編」もちゃんと出てくれるのかなあ。
この話は、「蒼穹の昴」の下巻をざっと読んでから読んだ方がいいですよ。その頃の話と重なる部分が多いので。「蒼穹の昴」をまだ読んでない人は、必ずそちらを先に読みましょう。分厚いし、二段組だけど、一気に読めます。「蒼穹の昴」を読んでないなんて、人生損してます。ぜひ読みましょう。


●「グイン・サーガ外伝12 魔王の国の戦士」栗本薫[ハヤカワ文庫](97/12/11)

またでたっ!!…って感じですね〜。すごいペースですよ。ここしばらく、毎月読んでいるような気がする(^ ^;)。
今回もまた、外伝というよりは、もうひとつの本編。いよいよ、キタイ編です。今回も大きく話が動きます。グイン・サーガ、発刊ペースが極端に落ちた時はつまらなくなってたけど、ここしばらくのはおもしろいし。スピードが上がるほどおもしろくなるなんて、底知れない人ですよねぇ…今でも天狼星PATIOで鬼のようにレスをつけてるんだろうか?
1/23に次の本編が、3月上旬に次の外伝が出ます。次の外伝あたりで、グインもやっと本編に帰ってこれるかな??それにしても、マリウスくん……何をされてたんだ、一体(^ ^;)。


●「烈光の女神1 ハイスクール・オーラバスター」若木未生[集英社コバルト文庫](97/12/10)

久々の「ハイスクール・オーラバスター」の本編です。雑誌にも載った「来訪者」という短編も載っています。まあ、1ってことで、まだ始まったばかりだから…なんだろうけど、でもそれにしても、話、あんまり進んでないですよね…(^ ^;)。少なくとも、「怒涛の展開」って印象はない。まあ、まだプロローグだからっていうのはあるけど…でもこの一冊がまるごとプロローグだとしたら、本編の長さはどれだけあるんだか(^ ^;)。今回は全何巻?
今回からイラストが高河ゆんさんにかわりましたが、冴子さんや亜衣ちゃんはなかなかいいけど、男性陣はちょっと…かなあ。それと、表紙のイラストは……色使いとか、あとは線が固いし。コバルトの特集のときも表紙も、好みじゃなくて(^ ^;)。


●「サッカー劇場へようこそ」湯浅健二[日刊スポーツ出版社](97/12/9)

こういう本が読みたかった!!
最終予選からのにわかサッカーファンとしては、サッカー雑誌を買いあさっても「4バック」とか「プレス」とか「ボランチ」とかよくわからないんですよね(^ ^;)。私のサッカーの知識レベルって、「キャプテン翼」…なので(^ ^;)。(ちなみに日向小次郎くんが好きでした(*^ ^*))
初心者のサッカーファンのために、サッカーの「楽しい見方のひとつ」を親切丁寧に教えてくれる、本です。
作者によると、サッカーの醍醐味は、「ボールを持っていないときの動き」にあるとか。攻撃側、守備側の「騙しあい」のおもしろさを、図版を多用してわかりやすく教えてくれます。
年末に最終予選の試合をNHKでまとめて放送してくれるんですが、その時には、そのおもしろさがわかるといいなあ。理屈よりも、実際にいろんなプレーをみて覚えていくしかないんですよね。
作者もあとがきで「ビデオ作成もしたい」とかいていますが、ぜひお願いしたいですね〜。やっぱり映像の方がよくわかると思うもの。
あと、スタジアムに行きたいなあ、と思います。今は寒いから出歩くのがおっくうですが、もう少し気候がよくなったら、どこかのスタジアムに足を運んでみようっと。
ちなみに作者のホームページは、http://www.axisinc.co.jp/yuasa.htmlです。サッカー関係のコラムもおもしろいです。
出版社は日刊スポーツ出版社、ISBN4-8172-0178-9 1500円です。今年の6月5日が初版ですので、大きな本屋をマメに探すとおいてあると思います。


●「キル・ゾーン グッドモーニング・ボルネオ」須賀しのぶ[集英社コバルト文庫](97/12/9)

「キル・ゾーン」シリーズの番外編。雑誌「Cobalt」に連載されていたやつですね。話としては、本編の一巻と二巻の間の頃の話です。
…なんだか、今回はのほほんとした雰囲気というか、平和だったなあ、って感じが…でも、女性兵士が妊娠して、その父親がエイゼンかもしれない…とか、最後の方は戦闘シーンもあるし、話そのものは平和でもなんでもないんですが、それだけ本編が過酷ってことなんでしょうねぇ。
ラファエルのお子様ぶりがすっごくかわいいです〜〜〜。
(といいつつ、サリエルもアロイスも好きですが(^ ^;))
次は「ブルー・ブラッド」ですね。いつになるかなあ。楽しみ。


●「カーニバル・イヴ 人類最大の事件」清涼院流水[講談社ノベルズ](97/12/8)

あの、例のJDC(日本探偵倶楽部)シリーズです。妙な必殺技で事件を解決する、変な名前の探偵さんたちがたくさん出てくる話です。
今回は「犯罪オリンピック」のプロローグに当たる話。今回は薄い(300ページちょっと)なあって思ったら、一冊丸々プロローグ(笑)。話そのものはあんまり動かないし…ただ、巻末の「JDC用語集」はお役立ちです。これが一番よかったかも(^ ^;)。
…色々と悪名高い清涼院流水ですが、私自身は実はそれほど嫌いじゃないんですよ。このシリーズも、ミステリとして読むと、…なんだかなあって感じですが、キャラ中心で読めば結構楽しめますし。
まあ、とにかく本編を待ってます。今度はどういうオチになるか(^ ^;)。


●「創竜伝11 銀月王伝奇」田中芳樹[講談社ノベルズ](97/12/5)

やっとやっと、新刊でましたね〜〜〜!!創竜伝シリーズの新刊。ただし、番外編です。
…ある地方都市で、演劇祭が行われる。そこで、人が行方不明になる事件が起こり、竜堂兄弟たちが呼び寄せらせて…
感想としては、はやく本編進めてほしかったなあ…と。あと、アルスラーンの新刊は一体いつになるのかしら(^ ^;)。


●「末枯れの花守り」菅浩江[角川スニーカーブックス](97/12/4)

和モノのファンタジー、って感じでしょうか。
花に思いを寄せる人の心を狙う姫君たち、そしてそれを守る花守りの青年。5つの連作短編です。
イラストの波津彬子さんのイラストが美しいです〜。主人公の学生服姿がストイックでいいですよねぇ。
最初の二つの話がわりと平凡だったけど、あとのみっつはなかなかよかったです。
今回の話だけでは全部解明されてない謎があるけど、続編あるのかな?


●「六人の兇王子 サーリフの洗礼」荻野目悠樹[集英社コバルト文庫](97/12/3)

でました!!私の今のイチオシ煩悩シリーズですっ!!
−−−邪悪な秘密結社「家」の元でこの世ならざる魔の力を持つ「兇王子」として育てられたギヴァ。彼は人間としての心を保つために、「家」を裏切り逃走する。その彼に、同じ兇王子の追手がかかる……
「六人の兇王子」シリーズ第三弾。今回もヘンタイ(笑)サーリフ篇の続きです。
もう、またしてもやってくれますよ、サーリフ様。本当にこれ、コバルトでいいの?って感じのシーンの連続でしたが(^ ^;)。
それと、ついに待望のヴァレージ登場!!…でも、ヴァレージの「力」ははっきりとは書いてないんですよね〜。これは次のお楽しみってことかな?
今回も、身も心もズタボロなギヴァ。この作者の他のシリーズもそうなんだけど…この作者って、話運びが非情なんですよね。普通、こういうライトノベルズでは、主人公が大変な状況に追い込まれても、それなりに報われるところ、あるんですけど………今回の話も、最後で、ああなっちゃうんだもんなあ(^ ^;)。
それと、この作者って女性にも無情ですよね。普通ならアンジェラがこういう役回りになるとは思えないもの(^ ^;)。…そういう、セオリーとは違ったところが、先が読めないから、楽しいですが。
それにしてもあとがき…サーリフ、ヴァイサルでもいいんかい、あんたは(爆)。
とにかく、続きを早く書いてほしいものです〜。
このシリーズは一冊目の「六人の兇王子 ヴァイサルの血」から読んでくださいね。
ちなみに作者のホームページは、「荻野目悠樹」横浜西口店です。


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