99年3月に読んだ本。

●「慟哭」貫井徳郎[創元推理文庫](99/3/31)

1993年にハードカバーで出た作品の文庫本化。そのときから評判の高い作品だったので店頭でみつけたらすぐに購入したのですが、それほど薄くない(400ページほど)のとなんだか話が暗そうだったので読むのは後回しにしてました。
「幼女誘拐事件の捜査を巡る、キャリアとノンキャリアの確執」と、「新興宗教に魅入られていく男」の二つが絡み合っていく話です。
傑作でした。この本は二日位でのんびりと読むつもりだったのですが、話にひきずりこまれ、やりかけのゲームも放り出してイッキ読みしてしまいました。異様に筆力ありますよね。何気ない展開であっても、引き付けられるというか。この厚さが全然苦になりませんでした。
読み終わって残ったのが、タイトルにもなった「慟哭」という言葉。ミステリとしてどうのこうのいうよりも、なぜか胸が引きつるような感じを覚えるというか。
この作家の他の作品も読んでみたいです。はやく文庫本になってほしいなあ。


●「奥様はマジ」火浦功[角川スニーカー文庫](99/3/30)

あの遅筆で有名な作家・火浦功の新刊がでてる?って思ったら、雑誌掲載分(しかもシリーズものの方はかなり古い)をまとめたものでした。
気楽に笑える作品で楽しかったですが、この方なら「高飛びレイク」シリーズとか好きだったので、またああいう作品も書いてほしいなあ、と思うんですが……それ以前に書き下ろしの文庫自体がでないんだもんなあ…
かなり仕事量少ないみたいですけど、生活大丈夫なのだろうかと余計な心配をしてしまいます。


●「ラグナロク4 青き双珠」安井健太郎[角川スニーカー文庫](99/3/29)

「ラグナロク」シリーズ最新作。
今回は飛行船の中だとか、疾走する列車の上でのバトルです。強い敵もガンガンでてくるわ(であっという間にお亡くなりに)、もうひとつの“ラグナロク”とその意外なパートナーの登場と、激しく話が動きます。これだけ加速度をつけた展開で、今後持つんだろうか?といらぬ心配をしてしまうかも。
個人的にはベストラがかわいそうというか、なんというか。彼女に結構感情移入してしまいますね。ああいう風に、絶望的でありながらも、永遠とも言えるような長い時間、愛し続けるのはすごいなあ、と。
短編の方もはやく文庫本化してくれないかなあ。


●「風のケアル5 旭光へ翔かける翼」三浦真奈美[中央公論社](99/3/26)

「風のケアル」のシリーズ完結編です。
ライス領主となったケアル。着実に改革を行っていったが、「上」の支配階級の人々の中には、ケアルをよく思わない人もまだたくさんいた。廃嫡された兄ミリオが彼らを煽って、ケアルを亡き者にしようとし……その一方、デルマリアでは伝染病が流行りだしていて……
すべてが幸せに、あるべきところに落ち着いたわけではないけれども。あとひとつだけ、それが叶えられていたら…口絵のイラストがなんだか切なくて。
完結したんだなあ、としんみりしました。このシリーズは三冊目あたりから結構おもしろくなりました。剣も魔法も戦争もないファンタジーだけども。
マリナが今回もよかったです。本当に強いヒロインでした。ケアルも一冊目あたりから比べると、人間的に大きくなったなあ、と。
それにしても、子供たちの名前が(^ ^;)。…娘がおてんばになったのは、名前が悪いと思うよ。でもまあ、親よりも強そうな名前だし、幸せに育ちそうだよね。


●「悪魔の揺りかご」吉田縁[集英社コバルト文庫](99/3/25)

「聴罪師アドリアン」の作者の、新シリーズ(?)。タイトルがホラーぽいですけど、ホラーではないですね。オカルトではあるけど。
これは、悪魔の“器”となった少女ディアと、婚約者の魂を悪魔に奪われてしまい、取り戻す方法を探すために悪魔を捕らえようとした騎士のレオン、お調子者の風来坊のカイが織り成す話です。
悪魔としては赤ん坊であるディアの、無垢な残酷さがなかなかいいですね。いいキャラだなあ、と。
話自体はまだまだプロローグという感じで、少々物足りないものを感じますが、続きをよんでみたいです。


●「裸足の夏」菅野彰[ビブロス](99/3/25)

これまた古い本です。戦争が色濃くなってきた頃の日本を舞台にした表題作は、あとがきどおりメロドラマでしたねー。
あとの日本は現代を舞台にしたお話。連作となっています。話の雰囲気が「JUNE」って感じだったなあ、と。話のバランスは悪いけれども、真摯な気持ちがこっちにも伝わってきました。


●「砂漠に花を咲かせましょう」菅野彰[ビブロス](99/3/23)

菅野彰さんは最近ごひいきの作家さんで、過去の作品を探し回ってるんですが、これなんかかなり古い(95年発行初版)なのにゲットできて嬉しかったです。
高校2年生、進学校で受験ために勉強に励んでいた純は色々なことに疲れ、人の声が耳に入らなくなってきていた。そんなとき、突然誘拐されてしまうが…
いや、なんていうか。昔の作品だけあって、若いなあ、というか…突飛な設定にリアリティを与えるための説得力が不足してるし、作者の言いたいことはわかるんだけど…って感じになってますね。でもそういうところも含めて、この作品は好きです。ラストの方とか、じーんときました。
ここにでてくる、美貌のテロリスト向坂が「モダンタイムス」の千尋で、自衛官の林田が同じく「モダンタイムス」の健吾なんだそうです。なるほど、たしかに。ちなみにこっちの作品ではふたりはデキあがってます。


●「サミア」須和雪里[角川ルビー文庫](99/3/22)

これも掲示板で勧められたので。
ボーイズラブものの3つの短編集。
表題の「サミア」は、高校生の友則のもとに訪れた、金髪美形の美青年はエイリアン“サミア”で、「私を殺してほしい」と友則に懇願した。サミアは死ぬことができない運命で、そのサミアを殺すことができるのは友則だけだという…
切なくていい話でした。「JUNE」って感じで。


●「タブー」須和雪里[角川ルビー文庫](99/3/20)

掲示板で勧められたので、読んでみました。
ボーイズラブものの4つの作品からなる短編集。なかなか切ない、いい短編でした。この中でも一番いいと勧められた、「いつか地球が海になる日」の作文にはぐっときました。この作者のファンが多いのも、わかる気がします。


●「モダン・タイムス欄外 木蘭の 沙棠の舟」菅野彰[新書館](99/3/19)

「モダン・タイムス」の、慈雨様中心の番外編です。
今までの本編でも少し話に出てきた、慈雨様が抱えていた闇の話…切なかったです。慈雨様〜(T T;)。
長七郎の隠し子騒動の話はほのぼのしてて(?)よかったし。
とても素敵なお話でした。読めて幸せでした。


●「モダン・タイムス2」菅野彰[新書館](99/3/18)

「モダン・タイムス1」の続編。すっごく読みたかったんですけど、なかなか置いてる本屋がなくて…やっとゲットできました。幸せ。
舞台は江戸時代、黒船が時々はやってくるけどまだ平穏だった頃の話。長崎帰りの蘭学医者の千尋の元に、長崎時代のゆかりの青年がやってくる。彼は仇討ちで千尋の命を狙っていて…
…すごくよかったです。前作で思わせぶりに出てた千尋の過去の話に泣かされ、慈雨様の血も涙もない仕打ちには大笑いで。キャラのやりとりが本当に楽しい。それがただの能天気な話には終わらない深みもあって。
慈雨様、素敵です〜。最高!!朝顔姐さんもよかったな〜。
出版社が出版社ですが、このシリーズは別にボーイズラブでもやおいでもないですので、ぜひぜひ色々な人に読んでもらいたいです。…でも、よほどの本屋じゃないと「〜1,2」のようなちょっと古い作品は置いてないのが問題ですが(^ ^;)。


●「ジェームス・ディーンの向こうに日本が視える」明石散人[講談社文庫](99/3/17)

94年にハードカバーで出ていた作品の文庫本化です。1年ほど前に出てたんですけど、ついこの前まで文庫本化されているを知らなかったの(^ ^;)。
作者の明石散人は、非常に博識な方で、あの京極夏彦さんが師匠と仰ぐほどの方です。(京極堂シリーズにも「築地の明石先生」として登場してます)
 「完全な空想は事実に同様する」
自由な想像と幅広い知識で、刺激的な仮説をどんどん組み立てていく、魅力的な知的ゲーム。今回は、ジェームス・ディーンとエゴン・シーレ、そしてエゴン・シーレと写楽をダイナミックに結び付けるゲームでした。いやあ、おもしろかった。読んでてわくわくしました。…でもひとつ。クリムト自体も琳派の影響受けてるんじゃないかと思うけど、そういう意味ではクリムトを通じての琳派の影響の影響を受けたのでは?…と思うんですが、どんなだろ?
私は映画の方はうといんで、そのあたりは読んでて「ヘー」って感じになっちゃいましたが、絵関係の話はかなりおもしろかったです。それよりも、ビリー・ワイルダーとエリア・カザンの間で行われたいた「ゲーム」。このシチュエーションにドキドキしたなあ。
この作者の「謎ジパング 誰も知らない日本史」もオススメです。


●「蒼白の城XXX」田中啓文[集英社スーパーファンタジー文庫](99/3/16)

この本を「オススメ」としているページがあったので、読んでみようかなあ、と。
惑星間警察の特命部に属するブルーは、任務を受けて、脱出不可能の収容所XXXに犯罪者として潜入することになった。XXXには宇宙海賊ラ・ビットのボス<ギザ耳>がいるというのだ…
感想は続編の「慟哭の城XXX」にて。


●「慟哭の城XXX」田中啓文[集英社スーパーファンタジー文庫](99/3/16)

「蒼白の城XXX」の続編で完結編です。
えっと……アイデアや設定は悪くないなあ、とは思うんですが、細かいところがひっかかっちゃって。XXXにくるのはかなりの凶悪犯のはずなんですが、そういう感じがしないとか、ラ・ビットの連中が凄腕の海賊とは思えないほどマヌケだとか…あとブルーがあまりに頼りなくてちょっとイライラしました。彼の場合は、若くて経験も浅い刑事だから仕方ないとはいえ…
重箱のすみつつきになるんですけど、1000ミリリットルって、1リットルですよね?それだけの麻薬を血管注射するのは可能なんでしょうか?……いくらわけて打ったとしても、かなり大変だと思うんだけどなあ……一回あたり50ミリリットルというのもかなりの量なんじゃないかなあ。
あ、でもシルバーはいい男でした。この作品はある意味シルバーが主役だから、シルバーさえカッコよければそれでいいのかもしれないですね。


●「飛躍 中田英寿」S.ピエールサンティ監修[講談社文庫](99/3/15)

イタリアメディアでどのようにヒデのことが報道されているか、イタリアの新聞・雑誌・テレビなどで流れた記事を翻訳してまとめたものです。イタリアに行ってから前半戦の総集編という感じかな?
イタリアメディアでの報道のされ方は、日本のサッカー雑誌などでも紹介されているから、特に新鮮味はないですが……でもまあ、ファンにとってはまとめて読めるからファンにはありがたい本ではありますが。


●「グランドホテル 異形コレクションIX」井上雅彦監修[廣済社出版](99/3/12)

書き下ろしホラーアンソロジー「異形コレクション」の新作です。このシリーズは「月の物語」は買ったんですが、好きな作家だけ読んであとは読んでなかったりします(^ ^;)。
今回買ったのはもちろん、京極夏彦、恩田陸というすごーく好きな作家さが書いてるってことなんで。…そういうみーはーな動機で買った人、今回は多かったんじゃないかなあ。なんたって京極さんですから。
今回のテーマは「グランドホテル」。高原のクラッシックホテル「グランドホテル」には、ひとつの噂があった。「ヴァレンタインの夜に、そこに泊まると幸せになれる」−と…。そして、そのヴァレンタインの夜の物語……というかなり縛りのあるテーマを、様々な作家が色々な角度から魅せてくれるのがとてもよかったです。
目的であった、京極さんと恩田さんの作品もよかったし。
かなりオススメの本です。


●「ガルシアと呼ばれた男」花郎藤子[白泉社花丸文庫](99/3/10)

掲示板でだったと思うけど、結構よかったとオススメされたような。
人工生命・ALのイリアは、主人を失い、廃棄処分になったところをキングと呼ばれる男に拾われる。キングの元で意にそわない殺人を強要され、繊細な神経が壊れかけた時、ガルシアと呼ばれる男に出会うが…
花丸のわりには、あんまりボーイズラブとかやおいとかの感じじゃないですよね。傍若無人でパワフルな「ガルシア」がなかなか素敵でした。あと、スガナレルがいいキャラだったなあ。
話的にはまだまだ序盤のような感じがするんですが、続きはでないんでしょうか。


●「水棲少年 凍てついた記憶」柴田明美[集英社コバルト文庫](99/3/10)

なんとなく買った本ですが、結構拾いものだったかも。
若き洋画家の冬樹の家には12年ぶり封印していた部屋があった。そこの水槽に久しぶりに水を入れた翌日、その中には少年がいた…
表紙のイラストとか、設定とか帯のせいでボーイズラブだと誤解されそうですねー。全然そんなんじゃないんだけども。
水のイメージとか、冬樹の家での雑居生活の描写とか、とてもよかったです。


●「銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖綺談」高里椎奈[講談社ノベルズ](99/3/9)

第11回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞は、私は第6回で挫折したんですが、今回のは大森望さんの推薦文と、あとはあらすじを読んで私の好きそうな話だろうって思って買ってました、が。
……あまり客の来ない薬屋。そこに住んでいる3人の少年たちは実は人間ではなく妖怪である。彼らは薬屋を営む傍ら、妖怪が絡む事件の探偵を副業として行っていた。ある日依頼にきたのは、うっかり悪魔と契約をしてしまった男で……
ライトノベルズ的なミステリとのことですが……うむむ。あんまりおもしろくなかったです。ライトノベルズとしても、ミステリとしても。
ミステリとしては、やはりあの「密室トリック」はいただけなかったし、ライトノベルズとしてはキャラにそれほど魅力を感じませんでした。個人的には、主役の3人が「妖怪」という特殊な存在でありながら、その妖怪がこの世界に生息している“ルール”がきちんと描かれていないのが、落着かないというか。…いくらライトノベルズでも、その世界の“ルール”はきちんと描かないとダメなんじゃないかなあ。
メフィスト賞って、今までも色々と問題のある作品が受賞してきましたけど、おもしろくはなくてもどこか変でとんがった作品が多かったんですが、今回のはなんで?って感じで。「メフィスト」を引っ張り出して対談を読んでみたら……なるほど。でもさ、リベザル、あんまりかわいいとは思わなかったけどなあ…


●「鉄コミュニケイション(2) チェスゲーム」秋山瑞人[電撃文庫](99/3/8)

「鉄コミュニケイション(1) ハルカとイーヴァ」の続編で、完結編です。原作はマンガで、そのノベライズ…というよりは初期設定が同じだけの全然別の話、です。
−戦争により、人類が絶滅した世界、そこではロボットだけが密かに暮らしていた。その世界で、5体のロボットたちと、彼らと暮らす人間の少女・ハルカ…最後の人類かもしれない少女…のところに、彼女とそっくりな少女ロボットのイーヴァとその相棒のルークがやってきます。そして……
夏休みの終わりのような、底無しの楽しさと不安が背中あわせのような空気を描くのも、スピードのあるバトルシーンの描き方も、どれもが生き生きとしてて本当にうまいです。擬音の使い方とか、効果的な反復や改行の仕方、見事です。うますぎ。
そして、この人って「E.G.コンバット2nd」でもそうだけど、ロボットの描き方が素晴らしいですよね。けなげなロボットって私にはツボなんで、ルークには泣かされました。
ハルカもかわいいし。
最後の方はボロボロ泣いちゃいましたが、最初の方の花火のような何気ないシーンも、なんだか泣かせるというか。すっかりハマっちゃいました。
オススメです。ただし、これは(1)の方を読んでないと意味不明でしょうね。
次は「E.G.コンバット」の続きで、そのあとにはオリジナル新作の予定だとか。これだけの力がある方ですから、原作というしばりがなくなるとどれだけの話がかけるのか、とても楽しみです。


●「堕落天使」星野ケイ[講談社X文庫ホワイトハート](99/3/6)

「香港超常現象捜査官」シリーズ「ホンコンシティキャット」シリーズの星野ケイの新シリーズです。
今回は舞台は(一応)日本。…といいつつ、後半ほとんどホンコンになってしまったのは、やはり作者の業なんでしょうか。
話に勢いがあったなあ、と。まだよくわからない部分が多いですが、今後の展開に期待です。


●「この貧しき地上にII」篠田真由美[講談社X文庫ホワイトハート](99/3/6)

「この貧しき地上に」の続編です。大地と雪生のその後の話。
今回はジュネものの王道な展開であったなあ、と。もうちょっと普通じゃない展開を期待してたんだけど…うむむ。
とにかく、三部完結編を楽しみにしています。


●「ホームズ・ホテル」毛利志生子[集英社スーパーファンタジー文庫](99/3/5)

「カナリア・ファイル」シリーズの作者の読み切りの単発ものです。
女子大生の冬輝は、冬休みに地方にあるホテルの住み込みアルバイトに。そのホテルは奇妙なことが立て続けに起こって…
一応は…ホラー?なのかな。ほー、こういう終わり方になりますか。…つまらないわけではないけど、私の感想としては「ふーん」になります(^ ^;)。


●「星界の紋章読本」早川書房編集部[早川書房](99/3/4)

タイトルどおりというか。現在WOWOWでアニメが放映されている、「星界の紋章」のムックです。原作者・森岡浩之さんの手による、外伝を3作+αが載ってます。うち一作は書き下ろし、二作はSFマガジンに載ってたやつですね。私もそちらで読みました。
巻末についてるアーヴ語解説がおもしろかったです。
アニメ、まだみたことないんですよ。ビデオがレンタルに並ぶようになったらぜひみてみたいなあ。
それよりも原作の続編、はやく書いてくれ〜


●「猫は好き?」剛しいら[小学館パレット文庫](99/3/4)

健太の家に、下宿人がやってきた。一見美少女風の少年・静流で、猫7匹を連れて。それもただの猫ではなく、不思議な能力を持っていて…
ちょっとボーイズラブが入ってます。
作者が好きな人なので買ったんですが、今回は軽く読める話で、ちょっと期待したものとは違って残念でした。猫はかわいかったけど。


●「雪華鬼呪異聞」和住夏央[小学館キャンバス文庫](99/3/3)

鬼退治モノです。新人さんの作品なんですが、この手のジャンルが好きなので一応チェックしてみました。デキは悪くはないんですが、もうひとつインパクトに欠けるというか。もう一ひねりあればなあ。犬神の白は健気でよかったです。
イラストがやぎざわ梨穂さんなんですが、元OUTの読者としてはなんだか懐かしいというか。


●「僕達の永遠性 泉君シリーズ6」あさぎり夕[小学館パレット文庫](99/3/2)

「泉君シリーズ」の最新刊。いつものように、というような内容でしたが、久しぶりに彗ちゃんの話がでてきたのはよかったかも。


●「大江戸爆裂攻防記 虚船2」松浦秀昭[ソノラマ文庫](99/3/2)

第二回ソノラマ文庫大賞受賞作の「虚船 大江戸攻防珍奇談」の続編。舞台は江戸時代。地球に訪れ、人を攫う虚船(うつろぶね)……UFOに対抗すべく、密かに作られた「青奉行」。ところが「青奉行」は新しい奉行・鳥居妖蔵の元、弱体化していってしまった。鳥居が開発させた兵器・ボンベンは、放射能を撒き散らす危険な兵器であった。青奉行の暴走の危機の中、前奉行の浅葱が立ち上がった……
前回と同じく、バカノリで勢いのある話でした。最後のアレには笑ったなあ。今回、こういうことまでやってしまうと、次は何が動くようになるのやら(笑)。
今回は「向こう側」の事情とかも色々書かれてましたが、そのせいでちょっと普通のSFみたいになってしまったのが残念だったかも。
おもしろかったです。


●「子供は止まらない 毎日晴天!2」菅野彰[キャラ文庫](99/3/2)

「毎日晴天!」の続編です。ボーイズラブもの。帯刀四兄弟+2名の奇妙な同居生活。末っ子で高校生の真弓は、兄弟の前では甘えんぼだが、高校では普通の少年であった。その二面性に苛立ちを覚えた勇太は……
いやあ、ツボでした。真弓が私の好きなタイプのキャラで、萌えました〜。
ああいう、一見ただのかわい子ちゃんで、そのくせ結構芯が強くて、したたかで、笑顔のかわいい天使でありながら悪魔のしっぽもついているようなタイプが。いいっす。
それにしても、菅野さんは傷を抱えながら生きていくキャラを描くのがうまいですよね。人を愛することと守ること、しばりつけてしまうこと。子供のままでいられないってことと、大人になること。うまく描いているなあ、と思います。
続編が6月頃にでるそうで、それが今から楽しみです〜。


●「闇の運命を背負う者 エピソード3」神坂一[角川スニーカー文庫](99/3/1)

「闇の運命を背負う者」の続編です。
「エピソード2」で完結したと思ったら、新たな刺客が出てきて…という展開ですが、この「エピソード3」はちょっと「蛇足」かなあ、と思います。わざわざちゃんと完結した「2」の続きを書く必要はあったのかなあ…うむむ、でした。


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