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【ヒカルの碁 第130局「もう打たない」】 01/09/3

第130局「もう打たない」。葉瀬中の職員室にて。「藤原佐為なんていない?」ヒカルは社会の松井先生に佐為のことを調べてもらったらしい。いないとは断定できないが、少なくとも文献や資料としては残ってないという話を聞いたヒカルは、「いたよ 佐為は!」「オレだけは知っている」と心の中で呟く。たまたま日誌を持って職員室にきたあかりは自分が少し上達したこと(金子さんに置石がひとつ減った)、たまには打ってほしいと話しかけてくるが、ヒカルは目もあわせずに「…もう打たねェ」と言うばかり。そんなヒカルにアカリは腹を立てた。
ヒカルは思いつめた顔で、森下九段の研究会にももう行かない、河合さんのいる碁会所にももう行かないとひっそりと誓う。ヒカルの中の佐為をみているアキラの目を自分に振り向かせたかったけど、佐為を越えることなんてできるわけなかった。「佐為 なんで消えたんだろう」
放課後葉瀬中の校門を流れに逆行してくぐりぬけてきたのは、海王中の制服をきたアキラだった。理科室でヒカルの居場所を聞くアキラ。あかりは知らなかったが、金子が図書館にいたと教えてくれた。
図書館。机に顔をうつぶせたまま、ヒカルは佐為のことばかりを考えていた。佐為の様子がおかしくなったのは、塔矢元名人とのネット碁での対局の後だった。あのとき、一体何があったのだろう…そのとき、横に突然人の気配。名前を呼ばれて顔を上げると、そこにいたのはアキラだった。あまりに驚いて思わず叫んでしまうヒカル。そんなヒカルに、アキラは若獅子戦や大手合に来なかったのはなぜかを問い詰める。「オレなんかじゃダメなんだよ」そういうヒカルの言ってる意味がアキラにはわからない。「オレなんかが打ってもしょうがないってことさ」そう投げやりにいうヒカルに、アキラは真剣なまなざしで「ボクはそうは思わない」と答えるのだった。
でもそんなアキラの言葉も、ヒカルにとってはアキラが自分の中に佐為をみてるからだ…と思えて仕方がなかった。「オレはもう打たない」と宣言したヒカルに、激昂したアキラは「ふざけるなっ!」と怒鳴って席を立つ。そんなアキラの真剣さにヒカルは「ごめん」としか言えなかった。アキラが待ってるのは佐為なのに、もう佐為は消えてしまったのだから…
そしていたたまれず、逃げだすヒカル。ヒカルは佐為のことばかりを考えている。「なぜ消えたんだ!? 佐為! なぜ!?」
アキラも必死でヒカルを追いかける。「なんのためにプロになったんだ キミは!」「ボクと戦うためじゃなかったのかっ!!」
一方、一人暮らしを始めた和谷のアパートに遊びにきた奈瀬、本田、小宮。一人暮らしとはいっても、洗濯や食事は家でするというお気楽なものらしい。囲碁の勉強のための部屋のようだ。毎週土曜日には冴木・岡田・中山といったプロも遊びにくるらしい。「進藤は?」と聞く奈瀬に、ヒカルは棋院でも森下九段の研究会でも顔を合わせなから誘ってないという。森下九段は怒ってはいるものの、「放っておけ」と言ってるらしい。土曜日の勉強会に来てもいいか?という本田の言葉を聞きながら、奈瀬はレベル下げそうで来づらいとぼやく。それから今年のプロ試験の話題に。奈瀬は今年も予選から。小宮と本田は予選免除。飯島は院生をやめてしまったらしい。そして、奈瀬の口から、九星会(囲碁の塾)の何人かの棋士が勉強と交流を兼ねて中国棋院に行ってるが、それに伊角もついていったらしいと話がでた。伊角はプロは諦めていなかった。外来だから、プロ試験は予選から受けることになるが、本選で自分たちとぶつかりあうのだ、と本田と小宮は考えていた。
その中国棋院では、伊角が真剣な顔で対局をしていた。


今週はアニメ化記念ということで表紙と巻頭カラー。表紙はテレビの中のアニメ絵のヒカルにかじりついてるヒカルと、佐為。…佐為だぁ…
本編の表紙は、ヒカル、和谷、伊角さん、越智くん、あかりちゃん、奈瀬ちゃんと若手組の元気なイラスト(+後ろにアキラが)。今、本編のヒカルの表情が痛ましいものだけに、元気な顔のヒカルをみるとほっとします。はやくこういう顔に戻ってほしいものですなあ。

うわー、伊角さんがこんな形で登場するとはっ。ほったさんはわりと長いスパンで物語を作ってるから、今回の中国取材ももっと先のネタかと思ってたら、こんなところで…最初は作画資料なしでやるつもりだったのかなあ。それが急な取材になったとか?
久しぶりの伊角さんは、りりしさとたくましさを感じさせるようになってますね。今年はかなり期待できるかな? 予告からするとしばらく伊角さんの中国編となるようですが、それが一体どう本筋と関わってくるんだろう… 今年のプロ試験は門脇さんも参加するから、かなりキツいものになりそうですね。個人的な合格希望者は、門脇さん・片桐さん・伊角さんなんですが、奈瀬ちゃんにも本田くんにも小宮くんにもフクにも受かってほしいです…

和谷くんのなんちゃって一人暮らし…面倒な部分は全部親任せで、自由だけ手に入れるなんてなんて羨ましい!! 親の干渉をうっとおしく思ってる子供なら一度は夢に見るよねぇ。いいなあ。
和谷くんがsaiと名人のネット対局のときに一人暮らしの話を持ち出したときにはあまり意味のない繋ぎのセリフかなあと思ったのですが、こうやって実際に一人暮らしをするということは、ストーリー上でなんらかの役割があるかもしれませぬ。すぐに思いつくのは、「色々あって家出したヒカルの避難場所」という感じかなあ。
小ネタ。中山さんは去年の若獅子戦で和谷くんが対局した相手ですね。院生の先輩で、和谷くんと親しかった様子。岡田さんはまだ顔はでてないのかなあ。大手合のときに冴木さんの口から名前がでてたから、仲良しさんなんでしょう。

さてさてさて!! 久しぶりにアキラがやってくれましたっ!! ネットカフェの前で「キミの前にはもう二度と現れない」と言ってから約2年ぶりにアキラからヒカルに声をかけました。久しぶりの正面きってのストーカーです。(裏では色々とやってましたが…)
こうやって、激昂して「ふざけるなっ!!」がまさにアキラって感じで、いやもう嬉しかったです。昔みたいでね〜。
でも昔と違うのはヒカルの気持ち。佐為はもういないから。
このマンガにおける構造で面白いのは、ライバル関係がヒカル→アキラ→佐為(でもアキラはヒカルだと思っている)→名人という不思議な一方通行の構造になっていることなんですよね。ヒカルとアキラの関係は、思い込みとすれ違いのせいで幻想だけが膨れ上がっている状態で。…これって、構造だけでいえば恋愛ドラマに近いものがあるんですよ。それを少年マンガのライバル関係に取り入れたのが斬新じゃないかと。
でもこれでますますアキラにはヒカルが不可解に思えるだろうなあ。
で、ヒカル…ヒカルは、アキラがすでにヒカルを通した佐為だけではなく、ヒカルそのものも見出しているというのを知らないわけです。(vs秀英戦はアキラもみとめてますからね)だから最初はアキラが自分じゃなく佐為を見ていることに苛立ちを覚えて、それがプロになるための原動力となったんだけども、今はアキラが求めていたのは佐為だったのに佐為を失ってしまって申し訳ないという考えにハマってしまっているから。完全にすれ違ってるなあ。切ない。
こういう、微妙な気持ちの見せ方がうまいです、ほったさん。
でもいつまでこのすれ違いを続けていくつもりなんでしょうか。最後までだったらすごいなあ。…でもさすがにそれはしんどすぎるか。このままヒカルとアキラが対局する機会がないなんてことはなさそうだし。ヒカルがプロを辞めないかぎりは。…まさか、ね。

ヒカルはそう簡単には立ち直れないでしょう。ヒカルが贖罪(または願かけ)のために自分では碁を打たないと誓った以上、すぐにその誓いを覆すとは思えないし。
私はヒカルが立ち直るきっかけはアキラだと思ってたんですが、今回のあの程度では無理だしなあ。ほったさんのことだから思いもがけない手を打ってくるような気はしますが。

アニメ情報は、佐為が現世に蘇るシーンをいくつか。これをみるかぎりは作画には結構期待できそうな。放映まであと一か月ちょっとですね。


【ヒカルの碁 第131局「中国棋院」】 01/09/10

第131局「中国棋院」。中国棋院。伊角たち九星会の面々は北京空港から中国棋院に向ってタクシーを飛ばしていた。一度は九星会まで辞めてしまった伊角だが、気持ちを立て直して今年こそはプロ試験に受かるつもりでいた。同行の女流プロ棋士・桜野は伊角びいきか、伊角の実力は十分プロに値するし、自分もプロ試験に受かったのは二十歳を過ぎてからだったという話をしていた。九星会の成澤先生(体を悪くして引退した棋士)も伊角のことを気にかけていたから、今回の中国との交流訪問に伊角を誘ったらしい。伊角も今回の中国訪問には気合いが入っていた。今回の対局をプロ試験だと思って受けてみよう、と。
中国棋院に辿り着き、さっそく対局が始まった。伊角の対局相手は趙(チャオ)という12歳くらいの子供だった。その彼に伊角は負けてしまった。周りは悪くない対局だと言ってくれたが、伊角は納得がいかない。気持ちが力んで自分の力を出せなかった、それで負けて納得がいかない…と。時間もきたのでお昼にすることに。

一方、ヒカルは近所の公園で、かつての佐為との思い出に浸っていた。石ころを碁石に見立てて打つ練習をしたときのこと。…ヒカルは気がついてないようだが、それは名人を前にして初めてヒカルが「打ちたい」という気持ちを押さえきれずに自分の意志で一手を打った、そのあとのできごとだったのだ。ヒカルが、今のヒカルになってしまった分岐点。
そこに和谷が現れた。手合いも研究会も休み続けるヒカルを心配して、家まで見にきたらしい。森下先生も怒っている、一体どうしたんだ?と苛立ちながらヒカルを問い詰める。しかしヒカルは何も答えない。ヒカルにとってもう囲碁はどうでもよくなってしまった。ただ佐為に会いたい…和谷はヒカルに、ひとり暮らしを始めてそこに院生のみんなも来てるからこい、と言う。目さえ合わそうとしないヒカルに和谷は「おまえだけだぞ 止まってんのは!」と。和谷は大手合は2勝1負、越知はなんと4連勝している。院生の面々もプロ試験に向けて頑張っている。伊角も中国棋院で修行をしている…伊角が中国に行ってることに少し驚くヒカルだが、和谷は「今年伊角さんゼッタイ受かる」、伊角がプロになったときにさぼってましたとでもいうのか?とさらに問い詰める。
「はずかしくねーのか! 碁は打ちてえんだろ!」
今のヒカルはその言葉に答えることができない。和谷は突然「16の四 星!」と叫び、続きを考えただろ、と。碁打ちなら反射的に次を考えてしまうものだから。しかし自分では打たないことを誓ったヒカルは慌てて、何かから逃れるようにその場から走り去った。

そして中国棋院では、桜野が中国棋院の劉と話していた。今年は成澤先生は腰を痛めたせいでこられなかったこと、そして伊角の話。劉も伊角はプロでないのが不思議に思える、と実力を認めていた。桜野は言う、伊角は自分をもしのぐだけの力もあるのに、モタモタしていて…成澤先生も伊角に期待を抱いているだけに歯がゆく思っている、そしてその分伊角本人も今年のプロ試験には期するものがあるに違いない、と。
伊角たちは交流対局の予定をすべて終えて、あとは帰国するだけになった。買い物だとか観光だとかの話をする同行者の中で伊角はひとり思いつめた顔をしていた。趙との対局、納得のいかない負け方をしたまま帰国できない、と。プロ試験に向けて自信を付けたいという気持ちもあった。伊角はひとり帰国を1日遅らせても、もう一度趙と対局をするつもりだった。同行者たちにそのことを告げると、あの趙という子供は特別なんだと諌められる。中国大陸全土のプロ棋士の中からさらに才能がある子が集められてこの中国棋院に暮らしている。趙はその中の一人なのだから、と。しかしそれでも引き下がらない伊角の意向を劉に伝えると、中国棋院の李先生は、趙は対局のため今は地方にいると教えてくれた。落胆した伊角に「あと数日間滞在して、趙の帰宅を待ちながら他の者と対局して修行してはどうか」と逆に劉は持ち掛け、李先生も賛成してくれた。予想外の成り行きだったが、伊角は「いい勉強になるかもしれない」とそれを受け入れることにした。


おお、ここで噂の(?)桜野千恵子さんが登場ですか。でも勝手に監修の梅沢由香里さんのような清楚な雰囲気の美人に違いない…と思い込んでいたので、イメージが違って残念。それにしても伊角さんと仲いいですねぇ。なんたって「慎ちゃん」ですもの。同じ九星会出身だからそれだけ伊角さんに目をかけて可愛がってるのでしょうが。でも「慎ちゃん」って…
伊角さんは見た目の頼りなさは相変わらずなものの、精神的には1年前よりもかなり強くなった感じがしますね。最後まで諦めないで力を振り絞ろうという気力がでてきたのはいい感じがします。こういう風にいけば今年は合格できそうな…いやでもあのほったさんですからねぇ。あの人なら容赦なく落とすこともありえそうですもの。簡単に合格はさせてくれないような気がします。
とにかく今回の伊角さん中国武者修業編は単に「人気投票一位のキャラを出すことで人気とりをする」ものじゃないのは確か。そんなほったさんがキャラ人気に左右される人であったなら佐為は消えることはなかっただろうし、三谷くん、筒井さん、加賀くんも意味なく頻繁に登場するはずですから。ということは今回のエピソードもちゃんと本編に絡んでくるとは思いますが、一体どういう方向で…国際棋戦に趙くんが登場するエピソードの前振りであるというのは確実でしょう。でもほったさんはひとつのエピソードに何重もの意味を持たせるということをよくする人ですから、それだけで終わるとも思えませんが。

本編の日時は、すでに越智くんが大手合を4戦済ませてることからしても5月下旬あたりではないかと思います。ヒカルの制服がまだ冬服ですから6月にはなってないでしょう。佐為が消えたのが5月5日の早朝ですからそれから3週間くらい経ったのかな? ヒカルはまだ佐為が完全に消滅としたとは思ってない感じですね…いや、本当に大切な人がふうっと消えてしまったら、たった数週間で「もう帰ってこない」と思いきれるようなものじゃないでしょう。ましてヒカルにとっては初めての喪失なのですから。あがいて探しまわることはすでにやってしまった。今の彼にできるのはささやかな願いを心の底に持ちつづけることだけ。
ヒカルは囲碁への情熱を無くしてしまったように見えるけれども、それは今は佐為への思いが心のすべてを占めているせいと、佐為への贖罪というか今まで自分で碁を打ちたいから佐為に打たせてやることができなかった気持ちへの反動だとは思いますが。こうやってじわじわと何かを失っていくということは、そう簡単に情熱を取り戻して復活はできなさそうですが、その決定打はどこからでてくるのかなあ。それにしても、誰にでも分かるような壊れ方をするんじゃなくて、表面上は日常生活を続けながら心の底でひっそりと悲しみを反芻している…という状態の方がみてて辛い。どれだけ深い悲しみに囚われているのか、あの作中の登場人物は誰もわかってあげることができないのですから。

ずいぶんご無沙汰の越智くんですが、密かに頑張っています。今後は物語上用なしかと思ってましたが、彼にもなんらかの役割はまだあるかもなあ。アキラが抱えてる「ヒカルの秘密」を唯一知ってるプロ棋士なんだし。

さて、予告では次週は伊角さんが何かトラブルにあうそうですが…

アニメ情報はアキラと名人の設定画が載ってました。名人の声優は津田英三さんだそうです。アニメ放映まであと一か月となりました。不安はあるものの、私は結構楽しみにしています。


【ヒカルの碁 第132局「楽平(レェピン)」】 01/09/17

第132局「楽平(レェピン)」。ひとり中国棋院に残留することになった伊角。李先生から中国棋院の話を伊角は聞いていた。今、中国棋院で生活しているのは地方からの有力なプロたちであるが、それも成績が悪いと地方に帰させられてしまう。素質があると選ばれても思ったよりも伸びない子もいるのだ… 教練の李先生や劉や何人かの大人は日本の碁の勉強のためや海外棋戦のために日本語を勉強して喋ることができる。子供達は日本語はわからないだろうけども、言葉はわからなくても碁の勉強はできるはずだ…と劉に説明を受けながら、伊角は訓練室へ案内された。独特の雰囲気に気おされる伊角。そのとき、部屋からちょろりと出ていこうとする子供がいた。李先生はその子供・楽平を捕まえて「さぼるな」と怒鳴りつける。10歳くらいのその子供をみて伊角は驚く。和谷にそっくりだったからだ。思わず大声を出してしまった伊角を部屋にいる皆が注目する。李先生に問われて、日本にいる友達にそっくりだと李先生に説明して、先生は楽平にそれを教える。そのついでに李先生は伊角が日本から勉強にきたということを皆に伝えた。そのとき、楽平はいきなり服をめくっておなかをみせて、そのまま飛び出ていく。面食らった伊角に劉が「ワヤという子も自分と同じでデベソかと…」と通訳。楽平はあまり勉強熱心でなく、李先生から怒られてばかり。そんな彼も、すでにプロだ。去年、11歳でここにきたらしい。
お昼時間になったので、食堂でお昼をとることに。伊角がふと周りとみると楽平がご飯をほおばっている。「いけない小さい和谷になごんでちゃダメだ」と伊角は食事を始めた。
午後は持ち時間1時間半の対局でリーグ戦をやっていた。伊角もその中に加えてもらう。楽平が自分から「イスミクンとやる」と言い出した。伊角はまさかこんな小さな子に負けるわけにはいかない、と思いながら対局を始めた。しかしその見た目や行動の幼さとは裏腹な強さに伊角は次第に焦ってくる。楽平も選ばれた棋士の一人なのだ。そして伊角は力負けをしてしまった。楽平は何かを言って席を立ち、皆のところに喋りにいった。伊角に聞こえたのは「イスミクン」という自分の名前だけ。自分ことをバカにされたような気がした。中国の棋士たちの、伊角には何を言っているのかわからない言葉も、自分を嘲笑っているような気がして焦る伊角は、孤独を感じていた。そして食後の研究会。伊角には彼らが何を言っているかはわからないが、碁の内容はわかる。言葉がわからない分余計に発想の斬新さに伊角は圧倒されるばかりだった。こうして彼らは選ばれた棋士という特別な人たちと朝から晩まで碁の勉強を行ない、切磋琢磨している。あまりのレベルの違いに、焦燥感を感じる伊角。高いレベルの人たちと打てることで勉強になると思って伊角はひとり中国に残った。しかし、このままでは自信を失ったまま終わりかねない。悔しいうちはいい。悔しさが惨めさにかわったら……伊角の孤独な戦いは始まったばかりだった。


今回は丸々伊角さんのお話でした。少しは精神面で強くなったかのように思えた伊角さんですが、やはり脆さがでてきます。年下の子供にコテンパンにやられたらそりゃ精神的にダメージを受けるよなあ。小さい子の方がどんどん伸びてゆく可能性があるだけに、年上としてはなおさら焦るでしょう。前回のプロ試験でも結局自分より年下にしてやられたんだし。
中国編はこの分だとあと2回くらいはありそうですね。ほったさんは伊角さんがいくら人気があってもサービスするような人じゃないから、このエピソードも本編に深く関わってくるのだと思いますが…どうなるのかな。いずれ国際棋戦の話になったときに、先週の趙くんや今回の楽平くんも出演するのでしょうから、それの顔見世という意味はあるにしても。伊角さん、このまま自信をつけてかえることができるのでしょうか。
楽平くん。かわいいです…きっと和谷くんが院生になった頃があれ位の年頃でしょうから、伊角さんもその頃とか思い出しちゃったりするんでしょうねぇ。楽平くんもいずれ和谷くんと対面する機会があるんでしょうか。

言葉が通じない環境というのはなかなかに孤独ですが、その上伊角さんは物事を悪い方に考えがちだからなあ。共通の言語である「碁」を通じて伊角さんは異国で何かを得られるのでしょうか。

「ヒカルの碁 かってヨミ。」(http://www1.plala.or.jp/haradai/hikago/hikago.htm)の掲示板での9月17日(月)19時33分のnekoさんの書き込みで、伊角さんが「たいしたことない」と中国の棋士たちに笑われて高い壁を感じ落ち込んでいる構図は、ヒカルが院生になったときと同じ構図であるという指摘がされていました。しかも伊角さんは、そのときはヒカルを笑う側にいたのですから。私は気づきませんでしたが、言われてみると納得。あの時のヒカルはプロになるどころか、一組にあがることさえかなり困難ではないかと思わせたものですが… あれから遠くにきちゃいましたねぇ。ヒカルは佐為の助けも受けながらも頑張って自力でその壁を乗り越えましたが、果たして伊角さんはどんな姿をみせてくれるでしょうか。

予告には「中国修行も連戦連敗の伊角!ある覚悟をし…!?」となっていますが、どうするんだ伊角さん!!

国際棋戦に行くまでにはまだまだ先が長そうだけど…ほったさんはどれ位先まで話を作っているのかなあ。

アニメ情報はあかりちゃんと加賀くんの設定画公開。またGBAの「ヒカルの碁」ゲームのプレゼント企画もスタート。

また、今週の「週刊碁」に「ヒカルの碁」アニメ化特集が1ページ。製作のスタジオぴえろを取材しています。「週刊碁」はコンビニや駅の売店などで販売されています。


【ヒカルの碁 第133局「試される伊角」】 01/09/24

第133局「試される伊角」。中国棋院にいるエリート棋士たちの力に圧倒されている伊角に、別の18歳くらいの棋士が声をかけた。一手10秒の早碁をやろうと誘っているようだ。そういう碁自体は伊角も九星会でよく打っていたが、違ったのは相手の強さだ。彼は伊角と年はほとんどかわらなくみえるが、日本の九段クラスの力の持ち主だった。伊角は早々と投了したが、その後の感想戦で「こういう手があったのに」と指摘されてしまう。対局者は何か言葉をかけてくれたが何を言ってるのか伊角にはわからない。唯一分かる碁では、力の差を感じるだけ。すこし落ち込み気味だった伊角に、日本語で言葉がかけられた。二十歳前後にみえるその青年は楊海(ヤンハイ)と名乗った。彼はその日1日部屋にいたから伊角のことをその時初めて知ったらしい。語学が趣味で、日本語だけでなく英語も韓国語も話せるらしい。伊角がホテルにひとり泊まっているときいて、楊海は二人部屋でひとつベッドが空いてるからこっちに泊まったらどうだ?と誘われる。しかし伊角はうつむきながら、ホテルでひとりになりたいし、長くいるわけでもないから…と断った。また楊海に一局持ちかけられたが、目を伏せたまま伊角は断った。
ひとり沈み込んで、伊角は自問自答する。去年のプロ試験、ヒカル・和谷・フクと三連敗したあと立ち直った原動力は、越智に対する意地だった。「オレの碁がオレを支えている 自分の力を信じよう そう思うことができた あの時は」「だがこの中国棋院でその気持ちを持てるだろうか オレの碁はオレを支えてくれるだろうか」去年、プロになったヒカル・和谷・越智に追いつくことができるのだろうか。対等になれるのだろうか。焦りばかりが大きくなるが、「弱気になるな」と自分を叱咤する。このまま自信を失って帰ったらプロ試験に臨むことはできないのだ。
そのとき、楊海が伊角に電話をとりついだ。日本にいる伊角の父からだった。父親は桜野から伊角が残ることを聞いて心配して電話をかけてきた。「残るのは2,3日なのか?」という父の問いに、決意を固めた伊角は答える。「プロ試験がはじまるまでいるよ 2か月」と。滞在費を心配する父に心配ないことを伝え、伊角は電話を切った。
その日の夜、伊角は宿泊していたホテルを解約して、楊海の部屋を訪れた。恐る恐るやっていた伊角を楊海は気楽に受け入れる。楊海の部屋は日本人のとあまり変わらず、壁にアイドルの写真がはってあったり、パソコンが2台もあったりした。伊角が喜んだのは碁盤が部屋あったことだった。碁盤があれば夜でも勉強ができるからだ。楊海はパソコンを使うから、碁盤を自由に使っていいと伊角に告げる。今日のことを聞かれ、「楽平ともう一人と打ってまけた」と伊角が言うと、それまで我関せずという感じだった楊海がいきなり怒りだす。「あんな奴は叩きのめしてくれよっ」 そして碁盤の前に座り、伊角の力だめしを始めようとした。伊角が楽平に勝てない程度の力の持ち主ならばこの部屋にはおけない、と。
「2子置いて」


今回も「伊角の碁」でした。ヒカルが今あんな状態だけに、正直いうとヒカルサイドの話の方を読みたい気分ではありますが…でもきっとこれも物語に必要な布石なんでしょう。
で、今回読んで一番最初に思ったこと。「ビザはどうするっ!!」日本人が中国に滞在するにはビザが必要ですが、観光ビザの場合は滞在日数が30日までなんですね。それ以上だと別の申請が必要になります。元々数日の滞在予定のつもりできたのでしょうから観光ビザでしょうし、それだと2か月もいることはできないんですけども… まあきっと次かその次くらいの話でフォローがされるとは追います。今までも「あれ?」と思ったことはそういう形でかかれたことが多いですから。
それにしてもほったさん、お金は誰が払うとかいくらかかるとか、そういうことには妙に細かいですねぇ。家計を守る主婦の感覚がそういうところにでてるような気がします。

楊海くんと楽平くんにはなにか因縁がありそうですが…ひっとしたら楊海くんも「年下のガキ」にすぎない楽平くんにしてやられたことがあるのでしょうか。その上、楽平くんが全然まじめじゃないから、腹が立つとか?
楊海くんがパソコンをやっているということは、当然ネット碁もやってるでしょうし。そこからsaiへ話が繋がることとかあるのかなあ。もしくはネット碁でZELDAと対局することがあったりして。
伊角くんは弱さを克服して日本に帰ることが出切るのでしょうか?

正直いうと、この「伊角の碁」シリーズが本編でどういう役割をするかがまたみえてこないから、読んでてもちょっと落ちつかない感じがします。もっとも「ヒカルの碁」の場合は、そのときはわからなくてもかなり先になってから「あの話はこういう意味付けだったのか」と分かることも多いですからねぇ。話の先を読んでみないことには、なんとも。

来週の予告は「弱点を指摘され、驚愕の伊角!?」となっていますが、ってことはあの楊海くんとの対局に負けるということなのかな? 負けたら追い出されるんじゃ…

巻頭にジャンプフェスタの情報が載っていましたが、そこで上映される「ヒカルの碁」のオリジナルアニメはなんとほったさんが原案を作ったそうです。しかも、ヒカルが中学1年の夏、海王中との対戦で負けた後の葉瀬中囲碁部の話。あの頃の雰囲気ってすごく好きなのに本編ではあっさり飛ばされて残念だった分、その部分の話をみることができるなんて嬉しいかぎり。本当は小畑先生の手でマンガ化されるのが一番ですが、そこまで贅沢は言うまい。絶対にみたいなー、これ。たぶんいつかはビデオ化され市販されると思いますが… ジャンプフェスタ、私は大阪会場を申し込みしていますが、当たるといいなあ。
あと、会場販売グッズの一部が載ってましたが、「ヒカルの碁」は卓上カレンダーが掲載されていました。ジャンプのカラー原稿を再利用したもののようですが、これほしいなあ…
10月からのアニメ情報は、市川さんと白川九段と緒方九段の声優さんが発表されていました。雪乃五月さん、遊佐浩二さん、藤原啓司さんです。私は声優に詳しくないので、名前を聞いても誰が誰だかわからないんですが…
また、テレビ東京に「ヒカルの碁」のオフィシャルサイトができています。要FLASHですが、第一話の予告(ヒカルの声付き!!)もみることができますよ〜。
http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/hikaru/


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