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【パクリの心理(2)】 01/03/22

3/17の日記の「パクリの心理」の続き。
今回の話はとりあえず個人サイトの件にしぼります。パクリサイトが2ちゃんやYahoo!掲示板などで晒され、糾弾されてるのは珍しいことではありません。なんでそんなにパクリをするサイトがあるんでしょうか。

なぜパクリをするか…の一番の理由は、パクった方が楽だからに尽きるでしょう。自分で一からアイデアをひねりだして構成し、デザインを考え、コンテンツを作成するのはとても大変なことです。でもすでにできあがっているサイトを参考にして、ちょっといじればとても簡単に立派なものができますから。しかも、デジタルデータはコピーも加工もとても簡単。
でも実際に大半の人はパクることはありません。それは、
 (1) 良心を咎めるから。モラルの問題
 (2) バレたときが怖いから
 (3) 自分で一から作成しないと満足できないから
私は3と1が半々ってところです。自分の中から沸いて出てきたものじゃないのを誉められたって嬉しくなんかないもの。

じゃあ、パクる人はなぜ平気でパクってしまうか?について考えてみました。
 (1) パクリはまずいだろうけど、バレなきゃかまわないと思っていた。
誰がみてるかわからないという、インターネットの恐ろしさをよく知らないんでしょうね。
 (2) 本人はオマージュのつもり
好きなマンガをまねて絵をかいたり、好きなバンドの曲をコピーして練習するのと同じ感覚で、好きなサイトのデザインをまねたり似たネタを使ったりするような人もいるようです。こういう人の場合は無邪気にオリジナルのところに相互リンク願いを出したりするんですよね。で、パクられた側からするとあまりにも「そのまんま」やタチの悪い「デットコピー」でムカつくこともあるわけで。誰かに影響を与えること自体は嬉しいことなんだけども…相手が自分なりに消化してうまくアレンジしてくれれば不快感はないんだけどねぇ。
 (3) 資料を参考にひき写すのと同じ感覚
学校に提出する読書感想文やレポートのために、参考になる本の文章をそのまんま転載することを気を咎める人って少ないと思うんですね。特に読書感想文を書くために解説をまんま引き写ししたことがある人って結構多いんじゃないかなあ。それと同じことをサイトの文章や画像についてやってしまう、と。
 (4) 素人の趣味のサイトだからかまわないと思っている
3の続きですが、3のような感覚を持つのって、「素人の趣味なんだからプロのマネしてもいいよね」という甘えがあるのではないかと思うんです。これも学校に提出するレポートのようなプライベートに近いものならまだ被害は大きくないから構わないんでしょうが、ネットというのはパブリックな、誰でも見る可能性のある場なんですよ。素人だってプロだって同一線上にいる。「素人だから」のいい訳はきかないのだから。そのあたりの感覚がわかってないんでしょうね。
 (5) いつの間にか自分が作ったものだと思いこんでしまう
電波の領域ですが。同人文化研究所の3/13の日記のリンク先より、Atelierエロール。人の作った曲を何度も聞いてるうちに自分が作ったものだと思いこむようになってしまったそうです。怖い話ですな〜。

でも不思議なのは、パクリをやってる人に限って著作権をハデに主張したり、「引用禁止」とか明記してあったりすることですね。たとえ鏡があったとしても人は自分の正面の顔しか見えないように、自分のことを客観的に見ることは難しいものです。パクリを平然とやる人にとっては、自分の作ったものは大切な「著作物」だけど他人のものは「資料」「素材」にしかみえないんでしょうね。相手も同じ人間であって、自分の作ったものを大切にしたいと考えてるという気持ちがある…という考えが浮かばないんでしょう。

とまあ色々と書いてきましたが、人間誰からも影響を受けずに済ませることはできないわけだし、レベルの高い作品のマネから入ることは表現を磨く上で重要なトレーニングでもあるわけです。要は、パクリにすぎないものをあたかもすべてが自分が全部作ったものであるかのようなふりをしなければいいんじゃないかなあ。オマージュであれば許されるのでは? パクリとオマージュは用語が混合されて使用されてますが、この二つは似て非なるものだと思うんですが。この二つの違いは、ネットサーフィンして見つけたこの言葉に尽きるかと。「ネタ元を言うことができるのがオマージュで、言えないのがパクリ」
あとはオリジナル作品への「愛」があるかどうか。オマージュとはたしか「憧憬」の意味だそうですから。

また、「パクリ」か「単に影響を受けた」かの差は、インプットからアウトプットまでの距離…というかどれだけ消化吸収してとりこんだか? とではないかと。原型を留めずうまくアレンジしているならOKだけども、わりとそのまんまでしかも表面をなぞってるだけのデットコピーはみっともないからやめてほしいものです。でも商業ベースでもそういうデッドコピーって頻繁に行われてますよねぇ。(マンガ、邦楽、ドラマ)…そういう風に「パクリ」を平然と行う風潮が日本にはあるから、「パクリ」に関する感覚がマヒしちゃう人もいてもおかしくないのかも。

オマケ。アニオタニュースより、造型の世界のタブー。ファンのかいた同人誌をそのままオリジナルの方がマネするようなもん? オリジナルの方が一次著作権を持っているとはいえ、やっていいことと悪いことがあると思うんですが。もしこれが法廷闘争となった場合はどういう結末になるのか、知りたいものであります。


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