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【ヒカルの碁 第154局「上島見参!」】 02/07/01

第154局「上島見参!」。
1月末、葉瀬中。教室にいる金子のところに三谷が「今日も教わりにきてやったぜ」とやってきた。このままでは中学浪人の可能性がある三谷は、すでに一流高校に推薦が決まった金子に勉強を教わっていたのだ。三谷も口ではあれこれいいつつも、金子の出した宿題をちゃんとやってきたりとそれなりに頑張っていた。金子は教室を覗いていたあかりをみつけ、「進藤を探しに来たの!?」と声をかけた。否定するあかりだったが金子は気にせずにヒカルは今日も休みだと教える。ヒカルは休むことが増えているという。囲碁の勉強もあるだろうが、進学しないヒカルは受験一色のクラスにきても楽しくないんだろうと金子は考えていた。「…みんなバラバラになっちゃうのかな」と寂しそうに呟くあかりに金子は「進藤の家は近いんでしょ? 藤崎さん。大丈夫だよきっと時々会えるから」と励ます。あかりは否定しながらも真赤になった。久美子に塾に行く時間だと声をかけられて、あかりは去っていく。
一方、理科室での囲碁部。小池は碁盤を持ち出して、岡村に大会はもうすぐだから打とうと誘った。岡村は強くなる必要ないもんと取り合わない。彼は筒井…ではなく加賀の命令で囲碁部に来てるだけなのだ。小池も筒井…ではなく加賀が将棋部だと知って驚いたのだった。あんなに強かったら囲碁部のOBだと思うのも仕方がない、先輩たちに聞いて人違いはわかったものの… 岡村は将棋部の先輩たちに「加賀の言うこと逆らうな」といわれたこともあって囲碁部に顔を出していた。やる気のない岡村に小池は岡村も強くなってきているんだから打とう、と誘った。ちょっと岡村は興味を示したものの、この日ももう帰るという。大会前だから打とうと小池は引きとめるものの、岡村は「オレがいなきゃ大会出られないからってあんまり頼られてもねェ」と言いながら帰ろうとした。そこに矢部が新入部員の上島を連れていた。彼は関節痛めて陸上部を辞めたという。上島は初心者ではなく、家で親父と碁をよく打っているとか… それを聞いて岡村が「三将はオレだからな!」といきりたった。そんな岡村を矢部は「うるさい」と一喝する。「実力順に決まってるだろ!」と。怒り出す岡村の言葉が耳に入らないかのように、矢部はこれで大会に希望が見えてきたと喜んだ。そんな矢部に小池はもう大会には岡村で登録しているから、という。それを矢部は「関係ないですよ、そんなの」と一蹴。矢部は上島を岡村として出してしまえばいいという。それを聞いて思わず小池も「あそうか」と答えてしまい、それに岡村はますますいきり立った。肝心の上島は「岡村」として出てもいいし、「今回は」譲ってもいいと答え、ますます岡村は怒り出す。そんな岡村に矢部も苛立ちをぶつけた。岡村は勧誘を手伝うわけでもないし碁もろくに打たない岡村が大会に出ると言い出すのが「今さら」だと。矢部は「まとも」なメンバーで大会に出たいのだ。せっかく囲碁部に入ったからには葉瀬中囲碁部をマシなチームにしたいのだ。自分より弱い先輩にサボッてばかりの同級生。上島を頼りにする矢部に、岡村は選手は強い方がなるというなら、上島との勝負で決める!!と言い出した。上島はその勝負を受けて立つ。囲碁部で使ってる碁石が自宅で使っているものに比べて安いぽいと呟きながら上島は打ち出した。上島の石の打ち方はなかなかサマになっている。岡村も闘志を抜き出しに打ち出したが…
結果は岡村の大勝利。矢部は上島のあまりのヘボさにめまいがした。岡村は嬉しそうに踊り出す。小池は上島が五目並べじゃなくて囲碁を打っていると聞いて、「打っても打っても強くない人もいるもんね」と。

公立の入試まであと一か月。塾が終わる頃にはすっかり夜に。あかりは帰路についた。昼間の金子を言葉をあかりはつい思い出していた。ヒカルの家は近いんだから時々は会える、と… あかりはヒカルの家の前を通ったときに、ヒカルの部屋の電気を見上げていた。あかりはもう勉強しなくてもいいヒカルがちょっと羨ましかった。そのとき、ヒカルの母親にあかりは声をかけられた。遅くまで塾で大変ねとヒカル母にいわれ、あかりは第一志望がギリギリだと担任に言われたのだとグチる。ヒカルの母親はトイレの電球が切れたのでこの夜中に買い物にしにいったという。「ヒカルにいってもらえばいいのに」というあかりに、ヒカルの母親はヒカルの部屋から夜遅くまで碁石の音が聞こえてくるから、そんな熱心なヒカルにちょっとした買い物は頼めないのだと答えた。
あかりはもう一度ヒカルの部屋を見上げていた… 母親からの電話にすぐ帰ると答えて、「ファイト!」と呪文のように唱えながらあかりは走って帰った。


今回はどういう話になるかと思ってましたが、文字どおり「閑話休題」でした。しばらくヒカルがピリピリしてただけに、こういう気が抜けた話は読んでて楽しかったです。
でも、この「新入部員がきたけどすごくヘボ」というのは後になんか繋がる話になるんでしょうか… 弱小文化系クラブの悲哀というか、そういう雰囲気は楽しかったんですが、番外編みたいな話なんで「なぜこういう話が?」とつい思っちゃうんですよね。先輩たちが抜けたあとも囲碁部はちゃんとやっているよ、だけで終わるのかなあ…
ちゃんとした先生がいないクラブだけに、ヒカルが時々教えてあげるとかそういうのになるのが一番いいのになあ、と個人的には思っています。ヒカルは進学しないそうですが、プロ棋士同士の付き合いだけではピリピリしちゃうだろうし、そういうヒカルにとって囲碁部でたまに指導碁を打ってあげるのはいい息抜きになりそうなんだけどなあ。三谷くんさえ許してくれば… できることなら、ヒカルも含めて囲碁部のみんなが卒業してからもたまに中学にやってきて楽しく碁を打つ姿とかみたいものです。

その三谷くんですが、すっかり金子さんに懐いちゃって!! それでも突っ張るあたりがもうかわいいです〜。金子さん、三谷くんのあしらい方うまいなあ。三谷くんのような意地っ張りには、こういうどっしりと受けとめてくれる姐御肌の人がお似合いなんじゃないかと。

それにしてもあかりちゃんパートの話はまるで少女マンガのようでした。部屋のあかりを見上げて「がんばろう」と思うなんて、健気でかわいいなあ。時間経過はかかれていませんが、親が不審に思って電話するくらいは立ち尽くしていたのかな。
ほのかな気持ちを抱いている幼馴染が、少し遠くの世界にいってしまう。いくら家の距離が近くても、学生にとっては学校という狭い世界がすべてなところがあるだけに、不安になるよね… 特に今のヒカルは囲碁に夢中で、後ろを振り返っている余裕なんかないから。
今のヒカルは彼女を作る余裕なんてまるでなさそうですが、ヒカルの張りつめた神経が焼ききれそうになったときにあかりちゃんが側にいて安らぎになったらいいのに…と思います。「ジャンプ」の勝負モノの作品だけに恋愛関係に踏みこむようなことはないでしょうが、仄めかすくらいならあるかな?

さて、囲碁部。矢部くんと岡村くんが入部した詳しい経緯は「読みきり番外編」の「加賀鉄男」ででてきます。あの番外編って本編に影響しない話ばかりなのかなあと思ってたんですが、こうやって囲碁部のその後の話がでてくるとは… まあ一応あの番外編を読まなくてもなんとなく事情(岡村くんが将棋部なんだけども加賀くんの命令(?)で頭数あわせのために囲碁部にも在籍している)は分かるつくりにはなっていますが。
それにしても矢部くん、いつの間にか熱心になっちゃって… 「大会」とか「団体戦」には人を燃えさせるものがあるんでしょうか。岡村くんもやる気なさそうな顔をしてても、人に頼られて必要とされるのが気持ちいい部分があったんでしょうね。小池くんに引きとめてもらいたいからこそ、無意識に興味のないふりを続けていたのかなあという気がします。だから自分が必要ないといわれるとあんなにムキになって、勝ったらあれだけ喜ぶわけで。
それにしてもタイトルにさえなっている上島くんなのに、あの顔って一体!! 強烈な造形だなあ…

次回の予告からすると、伊角さんの新初段戦なんでしょうか? てっきり本編ではスルーされると思ってただけに、嬉しいです。個人的には緒方vs伊角を激しく希望!! 緒方さんはまだ新章になってからでてきてませんし。でもヒカルが伊角さんの新初段戦に行けば門脇さんと会うはずですよね。ヒカルにしても門脇さんにしても、週刊碁の細かい記事まで熱心に読むタイプではなさそうですから、お互いの正体(?)のことを未だに知らないこともありえるかも。門脇さんは数少ない「佐為ジャンクション状態」のヒカルと対面で対局した相手ですし、何かあると期待してもいいんでしょうか?
予告からすると、行く途中で思いもかけない人と出会うようですが、うーん誰だろ?


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