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【ヒカルの碁 第188局「終局」】 03/04/21


今週のダイジェスト。
・楊海はsaiと対局したことはないが、ネットで何度かみかけ、塔矢行洋との対局のときもみていたのだ。楊海によるとあの一局は噂になったから、棋譜をみた棋士も少ないないだろうとのこと。
・saiは強さだけをみせつけて正体は不明のまま。先ほどの「秀策が蘇ったような」の話から、saiが本当にそうだったらおもしろい、と楊海は言い出した。
・対局は、副将戦は日煥が中押し負けでアキラの勝ち。三将戦は三目半の差で秀英が社に勝った。検討室から駆けつけた面々が、大将戦を見守っていた。
・もしsaiが秀策の亡霊だったら…面白がって楊海は語りだす。ネットから出てこないのは出てこれないからだ、と。亡霊であればもうこの世から消えた可能性がありますねという楊海に、自分はもう一度彼と打ちたいから消えたら困るという行洋。
・ただひとつ疑問がある、と考え込む楊海。なぜ彼は今頃、この世に現れたのか? それに対して行洋は、「私と打つためだよ」と答えた。
・大将戦も終局したが、状況が細かいために渡辺は整地してみないと勝敗はわからないという。
・楊海は対局室に向かおうとしたが、行洋はそのまま帰るという。シンセンで「台湾に非常に才能のある子がいる」という話を聞いたので、台湾にすぐに行くつもりなのだ。
・楊海が去ったあと、行洋はひとりモニターを見ながら呟いていた。「成長したな 進藤君と私は同じなのかもしれない saiの強さを追っている」
・楊海が対局場についたとき、整地も終わっていた。

さて。これでピースは全て出揃いました。そのピースを全て集めて、誰が最初に「saiの謎」というパズルを完成させることができるのでしょうか。

アキラは楊海さんから「sai=秀策の幽霊説」と、河合さんから「因島での秀策ゆかりの地めぐりでのヒカルは何かを探しているようだった」という話を聞くことができたら、ほぼ正解にたどり着くことができるのではないでしょうか。
(名人からアキラにこの楊海さんの仮説を話すことはないと思います。)
アキラがパズルを完成させることができるのは、いつでしょうか? このまますぐに表彰式で、終わったら選手たちも解散するとなると、アキラが楊海さんとゆっくり話す時間はなさそうですし、河合さんたちと知り合いになる機会もなさそうです。また後日、ということになるのでしょうか。

楊海さんは、この「saiの謎」については部外者ではありますが、逆に部外者だからこそここまでかなり正解に近い答えに思い至ったのかも。もっとも楊海さん本人はヨタ話のつもりでしょうし、興味はあってもsaiの謎に本気で取り組むつもりはなさそうですよね。
楊海さんの今回の役割は探偵というより、塔矢先生に「sai=秀策の幽霊説」を仕込むことだったんですね。この段階では「sai=秀策の幽霊説」は単なる妄想扱いではありますが、次に塔矢先生がヒカルと二人きりで会い、「saiと対局させてほしい」とヒカルに懇願したときに、トリガーは発動するのではないでしょうか。
今ちょっと心配なのは、このままでは息子よりも先に父親の方が答えにたどり着きそうなこと。アキラの方が持っている情報は多いですが、アキラはヒカルに問い詰める権利を放棄しましたからね。名人は「なぜだ?」と聞くことができますから。

「秀策の幽霊」が現れた理由が話題に上ったのは、名人がもし「saiの謎」に辿り付くとしたら、その役目はヒカルに「理由」を教えることではないかと個人的には考えています。佐為はなぜ1000年の時を越えて蘇り、突然消えてしまったか、そのわけは読者には示されているものの、ヒカルはまだはっきりと知らないのです。(それでも自分が佐為から受け継いだものがあるということをヒカルは自覚していますが…)
塔矢先生であれば、事情を聞けばその「理由」を感覚的に理解できるんじゃないかという気がするので。

塔矢先生が息子に声もかけずに帰ってしまうのは、アキラを一人の棋士として認めているからこそ…というのもあると思いますが、ヒカルと顔をあわせない⇒まだトリガーが発動する時期ではない、という物語的な必要性もあるのではないかと思います。
でもすぐに台湾に行くなんて、寂しいですが… その「素質のある子」は新キャラの予感がしますが、個人的には今度こそ、女の子キャラがいいなあ。
二部のキーワードとしては「国際化」「オープン化」があげられますが、塔矢先生はそれを象徴するキャラになっています。天元として存在して、周りにさまざまな影響を与える。そのきっかけとなったのは、saiとの対局で、saiはその対局で「千年の答え」にたどり着いてしまって… なんだか感慨深いものがあります。
塔矢先生はいつかヒカルにsaiと対局させてほしい、と頼み込むことになりますが、そのときヒカルはなんて答えるのでしょうか。まだまだ先の話になりそうですが。

塔矢先生と楊海さんの話で長々と書いてしまいましたが、本筋の北斗杯の対局に戻って。副将、アキラが見事に勝利。それにしてもアキラのガッツポーズは初めてみたような気がします。それだけ気合いれて戦ってたんですね。
三将戦は、やっと秀英くんが出てきたかと思ったらもう終局ですか… 秀英くん、2勝おめでとう。でも社くんは2敗になっちゃいましたね。でも社くんはプロになったばかりで、まだまだこれからですから頑張ってほしいものです。このままで大阪に帰るのはかわいそうなので、それまでにもう1エピソードくらいなにかほしいなあ。
大将戦も終わりました。整地しないとプロでもわからないほど状況は細かいということは、差は半目とか、それくらい微妙なんでしょうね。最後のコマ、第59局の最後(若獅子戦でケンカのあと碁石拾いをしていた和谷くんがふと振り向いたら、ヒカルの対局を緒方さんとアキラが真剣にみていた…シーン)のコマを思い出しました。静かな空気の中に緊張がはらむ一瞬をうまくきりとったなあ、と。
あの若獅子戦のシーンは作中時間でちょうど2年ほど前になりますが、あの頃のヒカルにとっては若獅子戦にでることがいっぱいいっぱいだったんですよね。それがいまや韓国のトップ棋士の一人である永夏と対等に戦えるほどに成長して。
さて、ヒカルと永夏の対局は、盤面が出ていますから、囲碁がわかる人であればどっちが勝ったのかはもうわかっているんでしょう。私は整地の仕方がわからないので、来週読むまでどっちが勝つかわかりません… 次回予告が「北斗杯のクライマックス!ヒカルの答えが、今…!?」となっていますから、ヒカルが勝つかな?という気はしますが(やはり勝って、答えを高々と告げてほしい!!)、永夏という高い壁をたった一度で乗り越えるような話にほったさんはするだろうか?という思いもありまして。もしヒカルが負けたとしても、永夏はヒカルの力を認めたし、他の棋士たちもヒカルの強さを感じたでしょうから、物語的にはそれでも十分な「成果」になりえるのですから。
で、そのヒカルの「答え」はどんなものになるんでしょうか。この状況では多くの人の耳に(アキラの耳にも!!)入ることになりますから、佐為の存在を直接明かすようなものにはならないと思いますが… 「秀策の弟子だ」「秀策の碁を受け継いで神の一手を目指すんだ」…もっと抽象的なものになって、ますます「電波棋士」としての名が高まっていくとか…

長かった北斗杯もそろそろ終わりです。寂しくなるなあ。この後には碁会所での秀英くんとの対局が控えていますが、大舞台後だけにちゃんと描いてくれるんでしょうか… 個人的には、その場で秀英がヒカルに三星火災杯の情報を教えて、参加を促すんじゃないかと予想しているんですが…
あとは5月といえば若獅子戦ですね。社くんは関西棋院だから参加しないし、門脇さんは年齢制限を越えているから(伊角さんは20歳ぎりぎりで参加できます)、アキラとヒカルが公式戦で直接対決の可能性という目玉はあるものの、正直北斗杯の後では物足りなさが… 去年はあっさりスルーされてしまった若獅子戦、今年はどうなるんでしょうか。


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