日記  今の日記 / 「ヒカルの碁」感想INDEX     …………… 本の感想ページ

【アニメ ヒカルの碁 第16局「saiはだれだ」】 02/01/27

第16局「saiはだれだ」
夏休み、ヒカルはネットカフェでインターネット碁を打っていた。saiは世界中の強豪に連戦連勝を重ねていた。対局相手を探していたヒカルは、この前NCC杯のロビーでネット碁の説明を受けたときにみかけた「zelda」をみつけ、対局を申し込んだ。その相手は佐為が言うには今まで一番強いという。そのzeldaは中盤で中押し負けを告げる。佐為が言うには、強いからこそすばやく状況判断ができるのだ、と。ヒカルは三谷姉に頼んで、「ツヨイダロ オレ」とメッセージを送ったヒカルは、「オマエハダレダ コノオレハ'インセイ'ダゾ」という返事を受け取る。「院生」とは日本棋院で修行する、プロの予備軍なのだ。
日本棋院。プロ試験の予選が行われていた。その昼休み、「zelda」こと和谷は苛立ちを隠せない。院生友達であるフクに話しかけられていた和谷は、その場にいたのが、あの塔谷アキラだと気がつく。和谷はその場でネットに恐ろしく強い相手がいたことを話したのだった。
やがて、saiのあまりの強さはネット世界で国境を超えて噂されていた。その「ネットに潜む最強棋士」は、チャットで誰とも話したことがなく、正体がわからない。プロとしか思えない強さだが、プロがアマと頻繁に対局するとは思えない… 世界中の強豪達は、国際アマカップで日本に来たときにsaiの正体が分かるのではないかと期待した。
和谷はあれからsaiの対局を観戦し続けていた。saiは昼間から対局をしている。仕事はしてないんだろうか? 7月になってから急に現れたが… そのとき和谷に「saiは子供?」という考えが頭に浮かんだ。
日本棋院でアマの国際囲碁カップが開催された。師匠の森下九段が運営に携わっているために、和谷も手伝いに呼ばれてその大会にきていた。和谷は森下にネット碁に強い奴がいると訴えたが、森下は取り合ってくれない。それでも気になって、和谷は事務所でインターネットに接続して確認したが、saiはいなかった。そして和谷が去ったあとに、saiがログインしてきた。
saiは「JAPAN」だ。ひょっとして?と思って和谷は日本代表の島野の対局を見にくるが、彼はsaiではないと感じた。そのとき横に中国代表がいたが、彼の口から「sai」という言葉がでたのを聞いて驚く。saiを探しているのは、和谷だけではない。世界中からきたアマの強豪たちが、それぞれsaiに思いを馳せていた。


このあたりの話は原作ではすごく好きなところなんですが、アニメの方は演出のためか、もうひとつ緊張感に欠けていたのが残念。

原作ではこのあたりの話が描かれたのが1999年秋。たしか、ネット世界は一部のコンピュータマニアのものだけじゃなくなり、ごく普通の人たちも来るようになった頃。その頃の空気をうまく掴んだエピソードだと思います。
ネット碁エピソードで私が面白く感じたのは、佐為のアンディンティティがネット上では確立できるということでした。
ヒカルを通じてしか外部とのアクセス手段を持たない佐為は、ヒカル以外の人から「自分」を「自分」だと認識してもらう手段はありません。いくら佐為の指示で打ったとしても、目の前でヒカルが打てば他の人からはそれが「ヒカルの碁」だと認識されてしまう。
しかし、ネット碁であれば佐為の碁は「sai」としてちゃんと認識してもらえる。私はアンデンティティとは他者からどう認識されるかに深く関わると思っていますが、そういう意味では佐為はネット上では「自分」というものが確立できるわけです。
また逆に、「ヒカルの碁」の物語はヒカルのアイディンティティの問題でもあります。ヒカルはよくわかってない頃に佐為に打たせてしまったので、アキラに「佐為」を「ヒカル」だと勘違いされてしまいました。ヒカルにとってはそれは不本意なことなのです。だからこそ、佐為ではなく自分自身がアキラと戦いたいと思って行動した。そして自分の本当の実力にアキラは失望してしまう… いかにアキラから佐為の影を払拭させて、自分をみてもらうか、それがこれからのヒカルの戦いでもあるわけです。
ただ、それはもっと先のお話ですが。

アニメでは今まで「かわいい佐為」の演出はなぜか避けられてたんですが、今回突然入ってびっくり。でも作画が思いっきり崩れていてかわいくないのが残念でした。

原作との違い。和谷くんちは原作では団地だったのが一戸建てになってます。それはたぶん「子供?」だと思うときのエピソードをわかりやすくみせるためでしょう。あと、和谷くんがアキラに対して反感を抱いてる表現が全部削られています。これの理由はちょっとわかりません。
和谷くんの声はちょっとイメージとは違いましたが、きっと何回かすれば慣れるでしょうし。森下先生は思ったよりも普通のオジサンになってて残念でした。
あと、佐為がヒカルに指示を出すのに扇子を使ってましたが… あの、この段階ではその手段はとってないはずでは? 今後のエピソードとの整合性がとれなくなってしまいますが…

さてさてさて!! 予告をみて倒れるかと思いました。緒方さんがっ!! カッコよすぎる〜〜
私が緒方ファンになったのは、来週放映分のエピソードを原作で読んでからです。予告でみる限り、絵も美しいですし、声も素敵で!! 予告だけでこれだったら、来週の放映は正常心では見れないだろうなあ… 今からドキドキです。


HOMEへ / 麻弥へのメール