日記  今の日記 / 「ヒカルの碁」感想INDEX     …………… 本の感想ページ

【アニメ ヒカルの碁 第40局「白星の行方」】 02/07/21

伊角が打ちなおしをしたかどうかはっきりは分かってないヒカルは佐為に相談。伊角に言おうか迷っているヒカルに佐為は「この続き…打ちたくないんですか?逆転を狙っている手があるんでしょ?」というが、盤上での形勢が悪く逆転の秘策はあっても勝てる可能性は薄いヒカルは、目の前の一勝の誘惑に逆らえなかった。ヒカルが伊角に反則をしたのか聞こうとする直前、耐え切れなくなった伊角が「負けました」宣言して去っていった。
和谷の一局をみていた越智は白星のハンコを押すヒカルをみて驚く。対局表でヒカルの中押し勝ちをみて、「あの局面から何があったんだ」と越智は悩んだ。ヒカルは勝ちを拾ったものの、その後味の悪さがやりきれない。
翌日の対局は伊角vs和谷、ヒカルvsフク。伊角もヒカルも、前日の後味の悪い対局を引きずっていいところもないまま負けてしまう。和谷は自分に話もしない伊角を心配しつつも、「心の乱れは命とり」「ここにいる連中は誰ひとり甘くないんだ」と思っていた。一敗を保った和谷は、「今年はイケるかも」と手応えを感じていた。
家に帰って、マクラに当たるヒカル。いつもなら勝てるハズのフクに負けてしまったのは、伊角との対局で、自分の可能性を試すよりも目の前の反則勝ちに飛びつこうとしたから。それは「オレが弱いからだよ」…ヒカルにはそれがあまりに悔しく、もうあんな無様な対局はしない、強くなりたい、と決意。佐為はカタをつけるために伊角との一局の続きを打とう、と提案した。…「ヒカルのその決意、黒星のひとつふたつ払う価値があります」
第14戦。越智の対局相手は和谷だった。越智は全勝合格のハードルは今となっては伊角ではなく和谷だった。しかし、なぜ伊角はおそらく「ポカ」で負けたヒカルとの一局は越智には謎のままだった。棋院の控え室で伊角を見つけた越智はヒカルに負けたのはビビったからなのかと問い詰め、伊角は一言も答えずに去ってゆく。その光景をみた和谷は越智に食ってかかった。伊角は和谷にさえヒカルとの一局のことを何も言ってくれないのだ。どっちにしても動揺して連敗した伊角も、伊角に勝って舞いあがってフクに負けたヒカルも大したことないという越智に、スネたように和谷も「ホントにな」と答え、それを立ち聞きしていた伊角は暗い顔のまま去っていった。
ヒカルは伊角との一局から完全に立ち直り、快勝。和谷は越智に惜敗だった。伊角はまだショックを引きずったまま、フクにまで負けてしまう。
越智は家で祖父と対局しながら、話題はアキラのことになっていた。本因坊戦などの棋戦も勝ちあがっていってるアキラが時間があるかぎりみてくれると言ってるんだから来てもらえばいいのに、と祖父は言うが越智はアキラは必要ない、このまま全勝優勝できるという。
第15戦。越智の対戦相手は伊角だった。対局前、全勝優勝に向けて思いをめぐらす越智は、この先不安はなく、アキラの手助けなんかいらないと考えていた。伊角と盤面をはさんで向かい合った越智は「全勝優勝のハードルは伊角さんかと思ったけど、ガッカリだ」と伊角をバカにするような暴言を呟いた。じっと聞いていた伊角がついに口を開いた。「越智、黙れ」。伊角の瞳には力が戻っていた。そんな伊角に越智は気圧されていた。そして、対局が始まる…


ついに「黙れ」になりました。このあたりの話がジャンプで連載されていたのは今から約2年前なのですが、あの精神的に弱く「ヘタレ」な伊角さんの豹変ぶりが当時のジャンプ読者の間で話題になったものでした。
「黙れ」が効果をあげたのはほったさんの丁寧なネームの展開はもとより、なんといっても小畑さんの絵の迫力が大きいですから今回のアニメの作画は心配してたんですが… 全体的に微妙に崩れた顔が多くて(特に和谷くんやヒカル)かっかりでしたが、「黙れ」はいい感じでほっとしました。声やBGMで迫力でますしね。

伊角の打ちなおしという反則、それはヒカルにも影響しました。全く望みのない負け碁だったらまだしも、ほんの少し勝つ可能性がある劣勢だっただけに、「目の前の反則勝ち」に気持ちが揺れてしまう自分の弱さが悔しかったんでしょうね。でもヒカルの「反則勝ち」はそのあとの相性のいいフク戦で負けることで「罰」は受けました。ヒカルは自分の弱さを真正面から見つめることでさらに精神的に成長することができました。でもあの「強くなりたい」の下りはいいなあ、と思います。
実は私は最初の方はヒカルは特に好きでも嫌いでもなく、キャラクターとしては私にはもうひとつ魅力的には思えませんでした。でもプロ試験編の中盤から後半でどんどんたくましくなっていくヒカルを「いいなあ」と思うようになり、あの「事件」以降からはどっぷり感情移入するようになりまして… 今は自分の中の「ヒカルの碁 好きキャラランキング」でも結構上位にきてたりします。

このプロ試験編は中盤からどんどん息詰まる展開になってゆきます。プロ試験が始まる前に和谷くんがヒカルにプロ試験のキビしさを言うシーンがありましたが、あれを連載当時読んでたときは流してみてたんですが、実際に試験が始まってハラハラしながら毎週読んでる頃に読みかえすと「確かになあ」としみじみ感じたものでした。

伊角さんの失速と復活。伊角さんの反則負けは、今まで伊角さんの精神的弱さをじっくり描かれたからこそ陥穽に落ちこんだような衝撃があったのではないでしょうか。あれで開き直れたり、さっさと切り替えできるようなタイプだったらプロ試験にはとっくに合格してたんでしょうが… 囲碁のプロはテクニックだけではなく精神的な強さがないとやっていけないそうですから、伊角さんがプロになれるかどうかは今後の精神的な成長次第なのでしょう。

アニメと原作との違い。佐為のセリフがほんの少し説明的になっています。あと、ヒカルvs伊角の対局後、控え室で落ちこんでいる伊角さんと、自動販売機でジュースを飲みながら後味の悪さを覚えるヒカルはアニメオリジナル。
越智くんが伊角さんとの対局前のシーン、少し弱気になって、伊角さんとの対局で負けたら少し不安になるだろうけどと思う部分がアニメではカットされました。特になくてはならないシーンではなかったと思います。

さて、次回はブラック伊角さんが越智くんにどんな反撃をみせるのか、お楽しみに。


HOMEへ / 麻弥へのメール