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【アニメ ヒカルの碁 第65局「伊角の碁」】 03/01/19

今週のダイジェスト。
・伊角や女流棋士の桜野たち九星会の面々は中国棋院に交流対局に訪れた。伊角は中国棋院に向うタクシーの中で、今年こそはプロに合格しようと誓い、今回の対局はプロ試験のつもりで受けようと考えていた。
・中国棋院で伊角は超石(チャオシイ)という子供に負けてしまう。気負いすぎて自分の力が出せなかったのだ。
・一方、ヒカルは近所の公園で、かつての佐為との思い出に浸っていた。そこに和谷が現れ、手合いも研究会も休み続けるヒカルを問い詰める。ヒカルは和谷の問いに答えられず逃げ出した。
・翌々日、中国棋院での交流対局の予定を全て終え、九星会のメンバーたちは帰国するだけになった。しかし超石に負けた対局に納得のいかない伊角は、帰国を送らせてでももう一度彼と対局し、プロ試験への自信をつけたいと思っていた。
・伊角に九星会のメンバーのひとりはこの中国棋院にいるのは、プロ棋士の中からさらに選ばれたエリートたちなんだと説明した。
・その超石は地方の棋戦にでかけていないという。中国棋院の劉や李先生の好意で、伊角は超石が帰ってくるまで中国棋院で勉強をする機会を設けられた。
・今、中国棋院で生活しているのは地方からの有力なプロたちであるが、それも成績が悪いと地方に帰させられてしまうらしい。
・棋院の対局室で、伊角はサボリで叱られている子供をみて驚いた。小さい頃の和谷にそっくりだったのだ。その子の名前は楽平(レェピン)で12歳、小さくてもプロである。
・午後に行なわれるリーグ戦に伊角も参加することになった。楽平は自分から伊角と対局すると言い出す。伊角は子供には負けるわけにはいかないと思っていたが、楽平の見た目とは裏腹の強さに圧倒され負けてしまう。
・中国語がわからない伊角は、周りで「イスミクン」と自分の名前がでるたびにバカにされているように感じていた。周りとのレベルの差に圧倒される伊角は、このままでは自信を喪失したままになってしまうと焦っていた。
・伊角に同年齢くらいの棋士が声をかけ、早碁を行なった。伊角は相手の力に圧倒されるばかりだった。
・落ち込み気味の伊角に、青年が日本語で話しかけてきた。楊海(ヤンハイ)は語学が趣味で、日英中韓の4カ国語がペラペラらしい。楊海は自分の部屋が2人部屋でひとり分相手いるから、長期に滞在するなら部屋にくるか?と誘ったが、伊角は長くいるわけでもないからと断った。
・ひとり沈み込んで、伊角は自問自答する。自分の力を信じることができるだろうか? そんな伊角の頭に、去年プロに合格したヒカル・和谷・越智が立ちはだかっている姿が浮かんだ。

今回は原作2.5話分をアニメ1話にしてありました。実は今回ビデオ録画に失敗しまして、前半はみたものの後半はみることができませんでした。どこまでの分放映したのかはメールで教えてもらったのですが、削除されたエピソードや追加されたエピソードの詳細はわかりません。
せっかくの楊海さんの登場なのに、残念です。前半をみてるかぎりでは、作画は微妙だったようですが…

今回の話で、今まで作中の噂で何度も登場していた女流の桜野千恵子さんが登場しました。個人的には勝手に原作の監修を行なっている梅沢由香里さんのような清楚な雰囲気の美人に違いない…と思い込んでいたので、イメージが違って残念だったのですが… でもアニメの桜野さんは原作ほどケバくはないようです。

今回の中国棋院編のエピソードでは、ヒカルと秀英くんの対局の時と同じように、言葉の違いによるコミュニケーションの問題が重要な位置を占めます。原作では、中国語では横書きされ、伊角さんに分からないことを強調するシーンでは「×××××××」というように伏字を使っていましたが、アニメでは今までと同様に中国語も声優さんは日本語で喋っていて、伊角さんは中国語の場合はそれがわかってないという感じになっていたようです。子供もターゲットとしたアニメでは、喋りをすべてその国の言葉にして、字幕を付けるというわけにはいかないでしょうし。
そういえば、現在の週刊少年ジャンプで連載中の原作では、またしても言葉の違いによる行き違いがトラブルに発展するというエピソードになっていますが、この発端の話は「声優さんは外国語でも日本語で喋る」というやり方ではうまく処理できなさそうですよね。まあ、アニメが原作のこの部分が放映するまでに終了すると思いますが。

作中の日時は、すでに越智くんが大手合を4戦済ませてることからしても5月下旬あたりではないかと思います。ヒカルの制服がまだ冬服ですから6月にはなってないでしょう。佐為が消えたのが5月5日の早朝ですからそれから3週間くらい経ったのかな? ヒカルはまだ佐為が完全に消滅としたとは思ってない感じですね…いや、本当に大切な人がふうっと消えてしまったら、たった数週間で「もう帰ってこない」と思いきれるようなものじゃないでしょう。ましてヒカルにとっては初めての喪失なのですから。あがいて探しまわることはすでにやってしまった。今の彼にできるのはささやかな願いを心の底に持ちつづけることだけ。
ヒカルは囲碁への情熱を無くしてしまったように見えるけれども、それは今は佐為への思いが心のすべてを占めているせいと、佐為への贖罪というか今まで自分で碁を打ちたいから佐為に打たせてやることができなかった気持ちへの反動だとは思いますが。こうやってじわじわと何かを失っていくということは、そう簡単に情熱を取り戻して復活はできなさそうですが、その決定打はどこからでてくるのかなあ。それにしても、誰にでも分かるような壊れ方をするんじゃなくて、表面上は日常生活を続けながら心の底でひっそりと悲しみを反芻している…という状態の方がみてて辛い。どれだけ深い悲しみに囚われているのか、あの作中の登場人物は誰もわかってあげることができないのですから。
あの公園でヒカルが思い出した佐為とのエピソードですが、あれはヒカルが佐為の言うがままに打つのではなく、「自分で打ちたい」と思うようになった話(名人がヒカルの力を知りたいと言って、対局を行なおうとした話。原作1巻に収録されています)の直後なんですよね。あそこでヒカルが自分で打つことを選んだからこそ、佐為を失ってしまったわけで… 分岐点となるエピソードなんですよね。
で、ヒカルがこんな状態になぜ伊角さんの中国修行の話が?と思った方もいるかもしれませんが、実は後で本編に関連する重要なエピソードのひとつになるので、広い心で(?)見守ってほしいなあ、と。

さて、原作とアニメとの違いです。今回は前半部分についてのみ。
(1)成澤先生
桜野さんが中国棋院の劉さんと話しているシーンがカット。今年は成澤先生は腰を痛めたせいでこられなかったこと、そして伊角さんの話。劉さんも伊角さんはプロでないのが不思議に思える、と実力を認めていました。桜野さんも、伊角は自分をもしのぐだけの力もあるのに、モタモタしていて…成澤先生も伊角に期待を抱いているだけに歯がゆく思っている、そしてその分伊角本人も今年のプロ試験には期するものがあるに違いない、と劉さんの質問に答えます。この一連のシーンがアニメではカットされていました。



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