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何て映像的な!


 ザッパの音楽のひとつの特質として、その音の持つ映像的なイメージがある。映画音楽的、という面もあるが、それよりも、その音の持つイメージが映像的な広がりを持つ、という方が正しいかと思う。つまり、ザッパの楽曲を聴くことによって、あたかも映画を見ているかのようなイメージを得られるのだ。
 そのことの是非は、ここでは問うまい。音はあくまで音として存在すべきであるという意見もあるだろうし、そういった意味で素晴らしい音楽は、世の中にいくらでも存在する。また、是非を問うような問題ではない。

 しかしながら、音楽によって映像的なイメージが得られると言うのは、実を言うと驚くべきことであって、余程の音の構成力を必要とする。映画という具体的な映像イメージが背景にある映画音楽ならいざ知らず、純粋に音だけでこのようなイメージを構築するのは、並大抵のことではないと思う。

 そんな映像的なイメージを体験したい人達には、次の3作品をお勧めする。

200 Motels (1971)
Studio Tan (1978)
London Symphony Orchestra Vol.2 (1987)
 "200Motels"は、同名の映画のための映画音楽である。時間にして数分という、わりと短めの曲が多数収録されているが、全体の構成のなせる技か、ドラマチックに仕上がっている。実際に私がその映像を見たのは、アルバムを購入してから随分経ってからだが、音で得たイメージと映像とが大分異なっていたのを記憶している。
 "Studio Tan"はGreggery Peccaryが、また、"LSO2"ではBOGUS POMPが出色の出来映えである。アナログ版の片面を一杯に使って収録されたこれらの曲は、映画音楽のパロディであるともいえるが、具体的な映像無しでここまでイメージを創り上げていることは、まさに驚嘆に値する。音楽による映像イメージとは、確かに漠然として捕らえどころのないものであるが、これらの曲には、それが確かに存在する。

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