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【無言の大衆】 01/06/19

みのうらさんの6/15の日記。「リンクしないで批判する人」がなぜ「自分のサイトの閲覧者は自分の意見に共感してくれるだろう」と考えてしまうのかについて、私なりに考えてみました。
人間って普通は「愛されたい」「認められたい」と思ってしまう生き物じゃないですか。そして、「こうなってほしい願望」を「事実」だと思いたい、という弱さを持ってるのではないかと。…さて、仮に一日100程度のコンスタトなアクセスがあって、一日に1通くらい好意的なメールを受け取っていると、メールをくれない残り99人の人も「自分に好意的なんじゃないか」と自分に都合のよい想像を事実だと思い込んじゃう場合もあると思うんですよ。特に「愛されたい」願望が強く、人を疑うことを知らない人は。実際サイトを読むのは、好意や共感を持ってるというだけではなく、なんとなく読んでたり、ひそかに嘲笑うために読んでたりする場合もあるけれども、読者からアクションを起こさないかぎりはサイト作成者は読者がどう考えているのかわからないじゃないですか。人間関係でイタい目にあったことがなかったり、「無言の大衆」の本当の怖さを知らないと、「自分は愛されている」と楽観的に考えても仕方ないじゃないかなあ。
以前にもネットでのトラブルの原因のひとつが「ネット感覚」の欠如ではないかと書きましたが、「無言の大衆の怖さを知る」ということは「ネット感覚」の重要な部分だと思います。インターネットのススメ的な本でそのあたりのことを説いている本にはお目にかかったことがないし、ネチケット関係のサイトでも対症療法的なことばかりといてあって、もっと本質的なそういう部分をきちんと説明しているところはないし。今のところは体験して身に付けるしかないという感じですから。私の「安全講座」にしても、表面的なことは説明しているけれども、きちんとそのあたりを書いたりはしてないからなあ。いや、やろうとしてなんとなくほったらかしになってるだけで。この、私が考える「ネット感覚」の話はいつかちゃんとやります。
話ズレたので元に戻して。魔法の笛と銀のすず4/23の日記「いじめの話」。なかなか興味深い捕らえ方をされてるんですが、その中の一説。

反論されるのが嫌なら(リンクされるのが嫌なら)web上に文章なんかアップするな、というのは、この状況とほとんどそっくり同じではないだろうか。彼の言うことは正しい。しかし正しければ何を言っても良いのか。相手が傷ついても、それは相手が悪いのか。web上で反論される、というのは単に論理的矛盾を指摘されるということだけではなくて、それが大勢の人の目に触れるということでもある。ほかに誰もいない倉庫で殴られるのと、大勢の人が見ている前で殴られるのとではどっちがより屈辱的か。そんなことは言うまでもない。

なるほど、こういう喩えはわかりやすいですね。そういう考えを持っている人であれば、リンクせずに対象をあいまいにしたまま批判を行なうことを是とするのかもしれません。(念のため、この文章の作者はリンクを厭ってはいません)
ただ世の中には、「人前で殴られた方がマシ」という人もいるんですよ。陰でやられたら被害の証明すらできないけれども、人前であればそれができますから。私もどっちかというとその方ですね。
自分としては「リンクして批判」が相手によっては「暴力」になりかねないことは自覚しているつもりです。それでも殴らなきゃいけない時は、ある。それに殴られた方だけではなく、殴った方の拳だって痛いのです。批判というのは諸刃の剣、ダメージはいつかは自分に返ってきます。私自身は、それを覚悟した上で、自分の大切な何かを守るためには戦いも辞さない気持ちは持っていたいと思っています。もちろん、人にそれを強いるつもりはありません。

「リンクについてのアンケート」の逆リンクその3。あう、毎日回ってるサイトを取り上げるのをうっかり忘れてました。

◇インターネット殺人事件 6/12
→そう言われてみると確かに「張る」ハズ。でも私もたまに「貼る」と書いてしまいます…
◇サイコドクターあばれ旅 6/15
たしかに異質なものがシームレスに繋がっているのはネットの魅力のひとつでしょう。…でも今はそれが悪い方向にでちゃってることもあるから、棲み分けができるようになった方がいいんじゃないかなあ、と個人的には思います。

メモ。
Webページ/IMから広がる新しいウイルスが出現
IEでWebページにアクセスするだけで感染するウイルスがみつかったそうな。これってActiveXを切っておけば大丈夫なの? とにかく、アンチウィルスソフトの常備はしておくべきでしょうね。
Webの「無料時代」は終わるのか
なんでもタダというのが終わるのは当然のことだと思います。ただ、ネットでの情報はすぐに拡散して価値が落ちますから。価値を守るために著作権強化→情報保護の方向に動きだすようにならなきゃいいけど。
●「インターネット掲示板と著作権〜ホテルジャンキーズクラブ掲示板で起きたこと〜」(同人文化研究所 6/19より)
ネットのリソースが商用出版に無断で利用されるというのは今までもよくありました。特にネット黎明期には、コンピュータ雑誌あたりはサイトオーナーに無断で画像やら紹介したりしたことがよくありました。私の友達もそれをやられたし、私もやられたことがあります。それであちこちで問題を引き起こしたせいか、今は大抵掲載前に「掲載してもいいですか?」メールが届くことが多いですね。コンピュータ関係の雑誌や本ではさすがにそのあたりの知恵がついても、一般本あたりはまだまだなんだろうなあ。

あと6/19の日本経済新聞一面トップ記事は「知的財産保護へ基本法 情報窃盗罪を創設 自民検討」となっています。ここでいう情報は先端技術情報とかだったりしますが。今まではこういう情報を電子データの形で盗み出した場合はモノを盗んでないだけに刑事罰には問えなかったんです。形あるモノじゃないと、保護はされませんでしたから。そのあたりもカバーできるような法律を目指している、と。
今後のネットの発展においては、形のない電子データをどうやって保護するかが重要となると思います。ネットの雰囲気はかつては「有用なものは皆でどんどん使おう」というようなおおらかものだったけれども、もう数年前からそのあたりの空気は変わっていっています。ネットが社会のインフラとなることで経済的な側面が無視できなくなってくるから自然な流れとはいえ。たとえ個人サイトであっても、ファンサイトあたりはオフィシャルとの関係でいろいろな制限をうけるようになったりして、すでに経済原則に呑み込まれてたりしますから。昔の自由な空気を懐かしんで、あの頃はよかったとグチるだけなら簡単。それじゃ今、何ができるんだろうか? とりあえずどうすれば他人の権利を侵害しない範囲で自分の自由を最大限主張できるのか考えてゆくためにも、世の中の流れやら法律やら経済やらも勉強していった方がいいのかも。


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