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【ヒカルの碁 第76局「オレの名は」】 00/7/10

秀英との対決、ヒカルの悪手かと思われた手は先の先を読んだ上での有効打だったことが判明(佐為だけ分かっていた)。これが本当に読みきったものか、それとも感覚的に打ったらそうだったのかは不明だけど。(今までもヒカルは「悪手とも好手ともとれる手を直感的に打つという表現はあったわけで)
白熱した戦いはヒカルの1目半差で勝利。秀英、負けたことが悔しくてぼろ泣き。こういうのは年相応で子供でかわいいねぇ。プロとなってヒカルと再戦することを誓う秀英。これが数年後の日韓新鋭戦への伏線でしょうね。
さて、ユン先生の登場。ヒカルの碁を褒め称え、最初にみた(佐為が打った)碁も「たしかにキミが打ったものだと」。保護者的にヒカルが誉められるのを最初は単純に喜んでいた佐為だけども、自分をみてほめられたことが嬉しくて舞い上がり、「塔矢の中の佐為だっていつかオレが消してみせるさ」というヒカルの言葉にかすかな不安を覚える佐為でした。
でもユン先生の登場がこういう展開に使われるとは。今回のエピソードは、若獅子戦での緒方さんに語りかけた佐為の1人芝居からこうやって繋がってきたわけですな。ユン先生が佐為をジャンクションしたヒカルと、弱い素のヒカルを同時にみたキャラであることをこうゆう有効打にするわけね。ユン先生が最初にみた佐為の対局は、「ヒカルに見せるための一局」であって佐為の全力ではないけれども、佐為の存在がこうやってなかったことにされてしまう。元々佐為はヒカルにしか見えない不安定な存在なだけに、こうやってヒカルに佐為のアンデンティティーを脅かされる日がいつかくるとは思ってましたが。ヒカルも身勝手だけども佐為もワガママだから、こういう状態にいつまでも甘んじることができるかどうか。
今までうまくいってた二人の間のかすかな亀裂が見えたエピソードでした。
…で、これが今後どう関わってくるか。ありがち展開としては、佐為が自分の存在意義に疑問を感じてしまって、1度消えてしまい、ヒカルも佐為のありがたさをやっとわかってから帰ってくるとか。…でもほったさんがこんなベタな展開をするとは思えないしなあ。
一番いいのは、佐為の存在が碁の強い第三者に見えるようになることだけど。個人的には倉田6段にそれを期待してるんです。…もっとご都合主義な展開だったら、緒方さんが車の事故で死にかけて生還したら幽霊が見えるようになった、とかだったらいいのになー。いや、そんなバカな展開であっても緒方さんの出番が増えるなら私は許すぞっ。
それにしても今回は佐為ファンが怒るだろうなあ。ほったさんはコミックスでみるかぎり佐為のことがかわいくて仕方ないみたいだけど、それでもあの人はストーリーのためならキャラにどんなことでもしちゃうから、人気投票一位のキャラだってどうなるかわかんないもんね。
インターネット碁編での佐為の活躍が胸のすく展開であったように、いつか(ヒカルではなく)佐為の力をみせつけてくれる展開にはなると思うんですけどね。
来週はいよいよプロ試験本選。力をつけたヒカルは破竹の勢いで進むのでは? 今の感じからするとヒカルの合格は確実として、問題はあとの二人ですね。はたして伊角さんは受かるのか?最近のあまりに美しくなった伊角さんをみて、「美人薄命」という言葉がふと頭をよぎってしまうのだ…とにかく、さっさとプロになって、緒方さんに「ようこそ、プロの世界へ」と迎えてもらってください。

今回読んでしみじみ思ったんだけど、「ヒカルの碁」という作品は特定のキャラに肩入れせずに、俯瞰してストーリーの構造を楽しむのが一番かもしれない。これはそういう物語なんでしょう。ただ不幸なことには、なまじキャラが魅力的なために、キャラ萌え文脈で読んじゃう人がたくさんでてくることでしょうか。もちろん私もその1人なんだけど。この作品の場合は、他のジャンプ作品と違って人気のあるキャラであっても甘やかしたりせずに、ストーリーのパズルをはめてゆくことを優先するから、「緒方さん、いつ復活するんだ〜〜〜」「加賀くんカムバック」「三谷くんはどうした」状態になっちゃうんですよね。
コミックスの書き下ろしページをみてるとほったさんはキャラに愛情あるなあと感じられますが、その上でキャラをストーリーを動かすための駒に徹しているあたりがすごいなあ、と。自分のキャラに思い入れがありすぎて、ストーリーが迷走したりいびつになってしまったマンガなんていくらでもありますもの…小説でも多いけどね。…そのあたりが2ちゃんねるの漫画板でほったさんが「豪腕」という称号付きで呼ばれる所以なのかもしれません。


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