98年4月に読んだ本。

●「トンデモ 世紀末の大暴露」と学会[イーハトーヴ出版](98/4/29)

毎度お馴染み「と学会」の本です。今回は97年の例会の様子と、97年の「日本トンデモ本大賞」について。
今回もあいかわらずで、楽しかったです。山本弘会長の前文には、ちょっと考えることがありました。…なんにしても、無条件で本に書いてあることや、人のいうことを信じちゃう人がね、少なからずいるんですよね。かといって、自分がどれだけ自分で考えて、自分で調べて…を実行できているかと言われると厳しいものがありますが(^ ^;)、でも何もかも疑ってばかりというのもそれはそれで寂しい。まあ、私の場合、何があっても無条件に信じられる人が一人いるから、それで大丈夫。…そういうのはビリーバーなんだろうけどね(^ ^;)。ファンってそんなものだと思うし。


●「明星快演 金陵城内記」真樹操[角川スニーカー文庫](98/4/29)

「明天快晴 金陵城内記」の待望の続編。「明星快演」に「スターのでばんだ」とふりがなが振ってあります。
舞台は、宋朝の金陵(現在の南京)。城下町で繰り広げられる、ドタバタコメディの今回は長編です。推薦文は田中芳樹。貧乏学者の公孫光のところに居候している田子玉は、ひょんなことから追われていた京劇のスター・簫国華を助けることになる。彼の巻き込まれた事件に、田子玉と巧娘も巻き込まれることに…
今回も、すっごくおもしろかった!!!!です。キャラクターが生き生きしてて、話は読んでてわくわくします。前回から引き続き登場しているシリーズキャラもいいけど、今回の新キャラの簫国華もなかなかよかったです。女にだらしなく、人の顔を覚えない、わがままで自己中心的などうしようもない奴なんだけど、プロ意識のすごさがいいなあ、と。
中国を舞台にしたものですが、地の文も会話文もすごく読みやすいし(でも雑でもいいかげんでもないんですよ)、とにかく読んでてわくわくする、楽しい素敵な話なので、ぜひ読んでほしいです。
シリーズ一冊目を読んでなくても、これだけ読んでもわかるし。(読んでいた方がいいけどね(^ ^;))


●「横浜バナナウォーズ」尾鮭あさみ[角川ルビー文庫](98/4/28)

雷&冥シリーズ第4弾。いやあ、相変わらず飛ばしてますっ!!これは学園ボーイズラブコメディアクション…とでもいえばいいのかなあ、むちゃくちゃな話で、それが楽しいんだけど。
…それにしても、今回はいつもに輪をかけてお下劣でしたね(^ ^;)。最後の話の「釣り」には爆笑でした。


●「闇の降りる庭」駒崎優[講談社X文庫ホワイトハート](98/4/28)

第五回ホワイトハート大賞佳作受賞作です。舞台は中世のヴェネチア。ギナッツィ家に、美貌の男性が客として訪れた。奥方を虜にした彼は、自分のことを「魔術師」だと名乗った。主人も篭絡した魔術師のたくらみを砕くために、庭師のシモーネは魔術師に近づくが、彼の口から聞いた衝撃的な話は…
話はしっかり作ってるとは思うけど、展開がタルいです。特に中盤。あと、中世の「異端審問」に対する私のイメージって「かなり苛烈なもの」だったんですけど、この程度のものなのかなあ…それがちょっとひっかかりました。作品の中でフォローしてほしかったな。そこそこは楽しめました。


●「城市幻影−愛しのナイトメア− ホンコン・シティ・キャット」星野ケイ[講談社X文庫ホワイトハート](98/4/27)

シリーズ3作目。これは、返還後の香港を舞台に、不老不死のバンパイヤの王・ファラオの気まぐれで猫人間にされてしまった、新米刑事・ジェリィくんの話です。…と書くとキワモノにしか思えないけど(ちなみにジャンルは“ポリスファンタジー”だそうです(笑))、結構好きです、このシリーズ。香港の町のてざわりやにおいまで感じられるし、まっすぐで一途な男の子って好きだから。
今回の話は、人間の心や想いを虫食む魔物。切ない話です。今回は、あのパワフルなタイガー先輩の悲しい過去とかもでてきます。…うまくいくといいよね。ラウ警部補の過去の話が出てこなかったのがちょっと気になります。


●「魔術士オーフェンはぐれ旅 我が夢に沈め楽園 上」秋田禎信[富士見ファンタジア文庫](98/4/25)

オーフェンシリーズ第二部スタートです。東部への旅の途中、温泉村に立ち寄ったオーフェン一行。もちろん、いつものごとく、貧乏魔術士・オーフェンに不幸が襲います。宿につくまでに荷物をなくしてしまって…
……これ、本編?と最初読んだ時に思いました(^ ^;)。「まわり道」なんじゃないかと…一瞬。
今回は最初の方はのん気な話です。一部のラストの方が緊迫した展開だったから、余計落差を感じるんでしょうねぇ。…と思ってたら、衝撃的なラスト!!えっ、まさかそれって……嘘でしょ(^ ^;)???
とにかく、下巻を早く出してほしいですねぇ。


●「歓びの娘 鑑定医シャルル」藤本ひとみ[集英社文庫](98/4/25)

鉱山で頭部が欠損したバラバラ死体が発見された。被害者とおぼしき男性の家庭は崩壊寸前、家庭の問題が事件の原因…鑑定医かつ心理学者のシャルルは思ったが、分析していくうちに、無口で無気力な男性像と家庭での暴君ぶりとの間に矛盾が生じてしまう。一体なぜ、そうなったのか?
鑑定医シャルルシリーズ第二巻。それにしても…前作のヒロイン・アニエスとはもう別れたんかい(^ ^;)。
前作は「まあまあおもしろいかな」だったけど、今回は「かなりおもしろかった!!」です。中盤での心理分析は圧巻だったし、特定の家庭、という狭い舞台なのに複雑な話になっていて。
このシリーズは特に前作を読んでなくてもわかりますし、この話だけでも読んでみてください。


●「西の善き魔女3 薔薇の名前」荻原規子[中央公論社C★NOVELS](98/4/24)

ついにでました、第3巻!!いよいよ王宮編です。アデイルとフィリエルは王宮に入り、ルーンは王立研究所にゆきます。舞踏会で衝撃のデビューを果たしたフィリエルは、ユーシスとの仲を噂されるように。一方、ルーンにはレアンドラの魔の手が伸びて……
今回も一気に読んじゃうハメになりました。いやあ、おもしろい!!!!宮廷での陰謀劇、謎の中心である「竜」や「物語」について、吟遊詩人など、今回も気になるところが色々と。でも私にとって一番衝撃的だったのは、142から143にかけてです(^ ^;)。……これって、やっぱり……そうゆう意味だよね(^ ^;)?うわぁ、ルーンかわいそすぎ(T T;)。
ルーンがこういうことになってしまって、これから先の展開が気になるんですが、あとがきによると、これは全5巻のシリーズ(の予定)なんだそうです。あと2冊で終わるとは、とてもじゃないけど思えないんですけど(^ ^;)。
169ページのイラストのルーンが素敵です〜。今回もアデイルはいいし、レアンドラはカッコいいし。どうなるかと思ったけど、フィリエルはフィリエルだし。いいなあ、このシリーズ。5冊で終わるなんてもったいないよ(^ ^;)。
表紙のイラストも、口絵のイラストも、素敵です。


●「見知らぬ遊戯 鑑定医シャルル」藤本ひとみ[集英社文庫](98/4/23)

これまた掲示板で勧められて読みました。
ノルマンディの憲兵隊員アニエスは、担当地区のレミ村で起こった強姦事件との共通性をパリで起こった強姦殺人事件に見出し、解決のために鑑定医シャルルに助けを求める。二人が捜査に乗りだしたが、パリで第二の殺人が起こり、村で起こった事件を洗い出したところ、意外な犯人が浮かび上がってきた…
この監察医シャルル(23歳)は心理学者でもあり、あと長くてウェーブがかった金髪で、美形(重要)で、分裂症ぎみでちょっと性格がひねくれてます。でもまあ、プライドの高いところが子供っぽくて、かわいいものだと思いますが。
話の構成や描写が丁寧で、しっかり作られている話だなあ、と思いました。おもしろかったですが、この手のミステリにしては華やかさがちょっとたりなかったかな、と。シャルルにももっと神がかった推理とかしてほしかったな。(そういう「神のごとき名探偵」が好きなんで(^ ^;)。)
二作目はバラバラ死体が出てきて、華やかになりそうで楽しみです。


●「閉鎖病棟」帚木蓬生[新潮文庫](98/4/22)

掲示板で勧められて読みました。評判の高い作家だというのは知ってたけど、なんとなく読んでなかったんです。(でも「賞の柩」は読んだことある、たしか…)
とある精神病院の開放病棟を舞台にした物語です。入院患者の視点から、病院での日常生活を淡々と描いた作品です。いつまでも続くかと思われた、退屈だけど平和な生活が、少しずつ変化していく様を描いています。あらすじを話しても、おもしろそうには思えないんですけど、最後の方まで特に大きな事件は起こらないのですが、話にグイグイと引きこまれました。おもしろいです。話の視点に優しさがあるというか、読んでて懐かしさを感じさせる話でした。最後には泣きました。
この作者のペンネームって、源氏物語からとったんですよね?きれいな名前ですね。


●「結婚疲労宴」酒井順子[講談社文庫](98/4/21)

「IN POCKET」の紹介文がおもしろそうだったので、買ってみました。
結婚というのは、見た目の華やかさとは裏腹に、ひどく疲れる大変なものである…という、ごく当たり前のことをつづったエッセイです。別に毒もないし、必要以上のデフォルメもなく、「そうなんだよね〜」という感じの話です。…まあ、軽く読み流すのはいいんではないかと(^ ^;)。


●「朱色の研究」有栖川有栖[角川書店](98/4/20)

お姉ちゃんに借りた本。火村・作家アリスシリーズの長編最新作です。
火村のゼミの教え子の朱美は、夕焼けの色に恐怖を感じる女性だった。その恐怖は過去の体験からきたもので、彼女は2年前の殺人事件のなぞ解きを火村に依頼する。火村が調査を開始すると、事件の関係者が殺されてしまった…
ミステリとしては、ちょっと…かも。でもまあ、火村先生の過去の一端がわかっただけでもいいか(爆)…私は火村萌えではないですけど(^ ^;)
それにしても、美しい装丁です。美しいけど、人を不安にさせる、そういう夕日の色に染められていて。しおりも同じく朱色であわせてるんですよね。


●「ストレート・チェイサー」西澤保彦[カッパ・ノベルズ](98/4/18)

本屋でみつけてびっくり。新刊でるなんて知らなかったですよ(^ ^;)。
「EQ」に連載したものを単行本化したもの……だったと思うけど…本をお姉ちゃんに貸してきたんで、今手元にないんです(^ ^;)。
今回は、SF新本格モノです。舞台はアメリカ。ヒロイン(名前忘れた(^ ^;))は酔った勢いで、トリプル交換殺人計画のターゲットとして、自分の上司の名前をあげます。冗談のつもりだったのが、翌日、その上司の家で殺人事件が起こったという知らせをうけて……
今回のSF味の部分はネタバレになるのでナイショです。最後の一行で驚愕するほどのものではないと思うけど、「●●●」だと思ってたのが「○○○」だとわかって、ちょっと「おっ?」って思いました。
楽しく読めました。


●「眠れるラプンツェル」山本文緒[幻冬社文庫](98/4/17)

以前、知り合いの方からこの作家さんを強力に勧められて本を借りたんですが、どうも苦手だったんですね。…おもしろいとは思うけど、でも私が目をそらそうとしていることを、目の前に突きつけてくるから(^ ^;)。…現実逃避しがちなもので(^ ^;)…もっとまじめに考えなきゃいけないこと、あるんだけどね。
それなのにこの本を買ったのは、帯に「主婦歴6年、13歳の少年と恋に落ちた」って書いてあったからです(爆)。……私はもう少し上位、16か17の方がいいですが、ってそういう問題じゃないですね(^ ^;)。(でも「みてるだけ〜」です(^ ^;)。)マンガでは大人の女と少年の恋を描いた話は結構あるけど、まともな小説ではあんまり知らないんですけど…(エロではいくらでもあるでしょうけど(^ ^;))
主人公は28歳の元モデルで、今は専業主婦として怠惰な生活を送っていた。ひょんなきっかけから猫を飼うハメになり、そして気になっていた隣の家の少年が家に遊びにくるようになって……という感じで話は進みます。ただ、恋がメインというよりも、結局それがきっかけになる「自分探し」の話なんですよね。マンションの主婦同士の付き合いのリアリティは圧巻だったし、話もおもしろかったけど……やっぱりどうも私には「あわない」です…


●「朝霧」北村薫[東京創元社](98/4/16)

「私」と円紫師匠のシリーズ第五作です。待ちに待って、発売されたと聞いてから探し回ってたんですけど、手に入れたとたん一気読みしてしまった:…もったいない(T T;)。これはゆったりと、おいしいお茶とケーキでも用意しながら、少しずつ楽しまなきゃいけない本なのに…文章のひとつひとつももっとゆっくりと味わいたかったです〜。
さて、話の方は、「私」が大学を卒業し、そして社会人となって数年が経過します。この頃はだれでも色々なことが変わる時期で、「私」のまわりの人たちも新たな道を選んでゆきます。(これで書きたいことあるけど、ネタバレなりそう(T T;))それがなんだか寂しいというか…かわってゆくことは仕方ないだけど、でもね…
今回はみっつの短編が入ってます。前作の「六の宮の姫君」と同じく、ミステリそのものよりも文学談義の方が比重が大きいような気がします。前作がダメだった人には、今回も不満に感じるかも…私はおもしろかったですが(固有名詞は知らないもの続出でしたが(^ ^;))
また気持ちにゆとりがある時に、この話をゆっくりと味わいたいと思います。


●「風のケアル1 暁を告げる鐘」三浦真奈美[中央公論社C★NOVELS](98/4/16)

表紙につられて買った本ですが、これはなかなかよかったです。
島の領主の三男のケアルは、母親が身分の低い島人であるために、疎外されていた。そんな彼の楽しみが翼を操り空を飛ぶことだった。ある日、空を飛ぶ彼の目に巨大な帆船が飛び込んでいた。それらは大陸のデルマニアからきた船だった。その日からケアルの運命は変わってゆく…
ちゃんとした、骨組みがしっかりした話だなあ、と思います。まともな小説というか。ライトノベルズって、どこか普通の小説読みからみると、破天荒な、いいかげんなところがあるんですが(それがライトノベルズの楽しいところなんですけど)そういうところがないですね、この話は。異なる風習の民族が出会うことでの誤解や猜疑心、保身のための残酷な行為、そういうものがちゃんと描かれていますし。
空を飛ぶシーンも爽快でよかったです。
続編が5月にでるそうですが、楽しみにしています。


●「クラック・ウィング」中追貴六[小学館スーパークエスト文庫](98/4/15)

リウイチさんのリウイチのホームページの書評を読んでおもしろそうだったので買ってみました。
舞台は、エレクトロニクスとオカルティズムが異様に発達した20世紀末の日本。犯罪組織も高度化されてゆき、テクノマフィアと呼ばれる集団となっていた。そのテクノマフィアに対抗する組織・非合法の犯罪始末人・クライムファイターの一員の“鬼姫”龍奈がテクノマフィアから押収したカプセルの中にいたのは、美貌の少年だった。龍奈によって“剣”と名づけられた少年は人造人間であるバイオロイドで、彼を巡る戦いが始まった…
あとがきによると、「アメコミ」の面白さを目指したそうですが、話にドライブ感があるし、キャラもなかなかいいし、一気に読ませるだけの力があります。うん、おもしろかったです。
ただ、オカルトとエレクトロニクスの融合の部分が、今回の話だけでは、私にはしっくりこなかったのと、イラストがあんまり好みじゃないのが残念でした。
シリーズの第一作…となる予定みたい…なので、続きが楽しみです。


●「月下に嗤う影 新・霊感探偵倶楽部」新田一実[ホワイトハート](98/4/14)

霊感探偵倶楽部の最新刊。とりあえず、蠱物師の嘉神さん再登場おめでとう、ってところかしら。今回は、久しぶりに大輔と竜憲に進展がみられた………うーん、あれを進展といえるのか(^ ^;)?……まあ、あいまいな状態をずっと続けてるよりはマシだろうし。さて、最後にああいうことになっちゃって、これからどうなるかなあ。さすがにシリーズもラストに近づいているのかな?


●「グイン・サーガ60 ガルムの報酬」栗本薫[ハヤカワ文庫](98/4/13)

グイン・サーガ最新刊。今回もイシュト中心の話で、タイトルがこれだから、どんな話になるか大体想像つくと思います。…でも、これで終わりじゃなくて、きっとこれからが悪夢の始まりなんでしょうね。カメロンさん、頼みますよ〜〜。


●「絶対音感」最相葉月[小学館](98/4/11)

本のたたずまいに惚れました。色がとにかく美しい。本の白の微妙な色合いや紙の風合、緑の帯の美しさ、中の青も……いいですねぇ…あまりにも装丁が美しいので、ハードカバーなのに買ってしまいました。
さて、中身。第四回21世紀国際ノンフィクション大賞受賞作だそうです。…私、この賞を全然知らなかったんだけど、第一回は「狂気の左サイドバック」、第二回は「乳房再建」が受賞しています。おおっ、有名な賞なのね。ノンフィクション分野は疎いんです(^ ^;)。
「絶対音感」とは、ある音を聞いて、それがどの音か(ドとかレとか…)わかる能力のこと。単音だけではなく、和音でも不協和音でも、どの音が出てるのか瞬間的にわかるし、音楽を聞いただけで楽譜に起こすことができるし、人によっては、ほんの1ヘルツずれただけでも、気づくそうです。また、すべての音楽が「ドレミ」で聞こえてしまう人、生活雑音もすべて「ドレミ」で聞いてしまう人…
「絶対音感」を持ってない人からすると、持っている人たちは、全然違う世界に住んでいるような感じです。こういう話を聞くと、「天才音楽家」のエピソードとかつい連想していますのが、実はそういう能力を持っている人たちはかなりの人数いるそうで。ある程度の素質…というのもあるでしょうが、早期の訓練により、取得できるものなんだそうです。
…で、「絶対音感」とはどういう感じなのか、どういうしくみで「絶対音感」が作られていくか、「絶対音感」というのは人間の脳や鼓膜のどんなしくみで認識されるのか、また「絶対音感」は音楽家には本当に必要な素質なのか?……そういうことを、作者は多数の音楽家へのアンケートやインタビュー、科学者たちへのインタビューなどで調べてゆきます。
で、たどりつくのは、音楽とは何なのか?なぜ人間は音楽で感動するのか?という問いかけ。その答は…読んでみてください。
最初の方はちょっととっつきにくかったんですが、途中からは夢中で読んでました。私自身は耳があんまりよくない…というか、音楽にさほど興味がないので訓練が足りないせいもあって、楽器の聞き分けとかはほとんどできません。音楽の知識もほとんどないのですが、ここにでてくる音楽理論とかわかりやすくかかれてて、興味深く読めました。


●「天使たちのラプソディー 〜御曹子はご機嫌ななめ〜」松本祐子[集英社スーパーファンタジー文庫](98/4/10)

とりあえず美少年がでてくるらしい…ので買ってみた本です(爆)。…全然期待せずに読んだんですけど、思わぬ拾い物でした。
バイトに明け暮れる大学生・高梨涼は、月10万円という高額の報酬で、司明輝の家庭教師を引き受けることに。ところが明輝は天才少年で、家庭教師を必要とはしてなかった。涼が明輝に命じられた役割は…
青春してる、コンゲーム(詐欺)ものってところでしょうか。元々コンゲームものが好きなので、わくわくしながら読みました。まあ、引っかけ方とか甘い面もありましたが、キャラの成長物語の部分のウエイトが高くて、そっちはしっかりしてますし、特に気にならなかったです。
美形と美少年が出てきても、妖しい話にはならなかったんですが(少なくとも今回は(笑))、今後はどうなんでしょうね。シリーズ化してくれると嬉しいんだけどなあ。


●「(C)の悲劇」平野肇[祥伝社ノンノベルズ](98/4/9)

タイトルは、「まるシー」の、著作権を表す記号ですんで。
「罠が聴こえる」の続編。盲目のミュージシャン・由井敬一は、アルバムに収録するため、「フェイ」という著作権者不明の曲の調査をはじめた。その「フェイ」にかつて関わった関係者が不自然な死を遂げていることがわかった。また、由井にも魔の手が伸びてきて…
主人公は盲目ということで、その分音とかにおいとかが重要な要素をしめてます。今回は音楽著作権という、非常にうっとおしいものが話に深くかかわってきてます。そうなんですよねー、JASRACが一手に管理してるから、色々と問題が起こるわけで(^ ^;)。……通信での扱いについては、さっさと答えを出してほしいぞ、ほんと。
話それましたが、この話は音楽業界内幕モノのミステリーとして、なかなか楽しめました。ただ、途中で人間関係がわかんなくなって(特に悪役関係)、話がわかりにくくなった……のは、私の記憶力のなさって問題もあるけどさ(^ ^;)。
あと、音楽で食べていくということ、その大変さに色々と個人的に考えてしまうことがありました。作者の経歴をみると、ご本人もミュージシャンなんですね。どうりで。


●「新世界〜ふたつの太陽がのぼる帝国」本沢みなみ[コバルト文庫](98/4/8)

「新世界〜鍵をひらく少女と皇子の青玉石」の続編。
ひとつの大陸以外はすべて沈んでしまった世界。新世界への扉を開くと言われている、<鍵見の少女>リリカを連れて、エリスニア帝国から逃げ出したルーイ。ルーイたちはプレトニア帝国へ向かう途中、砂漠の中の町・ニースに立ち寄る。そこで会ったヤンという少年は…
うーん……前作はまだ子供たちの視点で話が進んでいたからあまり気にならなかったけど……今回、国家的な陰謀や、簒奪や、そういうものがでてくると…話の甘さというか、雑さが目立ちすぎます(^ ^;)。
最初の簒奪は「おいおい(^ ^;)」って感じだったし、ナーエの言葉で町の人たちが全部引き下がるって、無理でしょ、いくらなんでも。だって、バレなきゃ済むことなんだから、誰か影でこっそりやれば済む話じゃない。それなりに大きな町だったら、各国のスパイがこっそり入っているだろうし。それにカイの行動、凄腕の傭兵とは思えない無防備さです(^ ^;)。…そのあたり、気にならない程度に書き込みしてほしかった。
私はライトノベルズを読むときには、それなりに割り引いて読んでるけど、でもこれはいくらなんでも……
あと、話に「ドキドキ、ハラハラ」が少ないのがね(^ ^;)。もっと主人公はイジめなきゃ(←それは私の好みなだけ(爆))
キャラやイラストはなかなかいいだけに、残念です。


●「聖ベリアーズ騎士団!」霜島ケイ[集英社スーパーファンタジー文庫](98/4/7)

「封殺鬼」シリーズの、霜島ケイの本です。かなり前に出た本なんですけど、読んだことなかったので。
セルフィアは何年も戦争が起こってない、のどかな国。そのため、騎士のなり手がなく、庶民や女性でも騎士になれる時代だった。庶民の少女・シャルは、何度も停学をくらいながらも、無事に騎士養成学校を卒業。そして配属された先は、「おちこぼれ」の第十一騎士団だった。そこのメンバーはかわりものばかりで…
コメディです。ノリはなかなかよくて、楽しいです。ストーリーもしっかりしてるし。ただ、ちょっと「かわり者」のキャラを、「作りすぎた」かなあ、って気がします。みんなおもしろいキャラばかりなんだけど、ちょっとしっくりこない人もいたというか。気楽に楽しく読める話ですので、疲れた時とかに読むといいかと。


●「斎姫異聞」宮乃崎桜子[ホワイトハート](98/4/7)

第五回ホワイトハート大賞受賞作。舞台は平安時代、道長が権勢をふるっていた頃。都では、人の顔を喰らう魔物が出没していた。中流の貴族、源義明の元に、帝の妹の姫君が降嫁ことになった。嫁いできた姫君は、義明に心を開かない。そして、魔物の出る夜、夜毎抜け出していた姫君に気づいた義明は…
平安時代の陰陽師モノ。…といえば、よくある話だし、中盤まではそう思ってたけど、中盤から終盤の展開はなかなかよかったです。キャラクターの描き方も、生き生きしててよかったし。ちょっと不満があるのは、会話文があまりにも軽すぎるというか……読みやすいようになんだろうけど、もうちょっと雰囲気出してほしかったなあ。
なかなかよかったので、その手の話が好きな人は読んでみては?
ちなみに夢枕獏先生の選評はネタバレしてますので、注意(^ ^;)。


●「倫敦(ロンドン)奇談」椹野道流[ホワイトハート](98/4/6)

本業は小説家、裏稼業が霊障を扱う「組織」に属する追儺師(ついなし)の美形・天本森と、人間と植物の精霊のハーフの美少年・琴平敏生による、ゴーストバスターもののシリーズ最新刊です。シリーズもすでに4冊目。
今回はタイトルからわかるように、ロンドンが舞台です。以前にちょっと話の出てた、天本さんの昔一緒に住んでた女性・美代子から助けを求める電話があって、ロンドンにでかけてしまいます。美代子の登場のせいで、天本さんと敏生くんの間にぎくしゃくしちゃって、ついにケンカをしてしまいます…それにしても、ふたりとも、ニブいなあ(^ ^;)。まあ、そういうところがほほえましいですが。
肝心の事件の方ですが、作者が監察医だけに、地下の部屋でのシーンは………書いてあることは最小限なんだけど、妙にリアルに感じられます(^ ^;)。
事件自体は、怖いというよりは、切ない話で…なかなかよかったのではないかと。


●「破剣戦鬼ジェネウ」荻野目悠樹[コバルト文庫](98/4/6)

いたいけな少年が、運命という名の作者にいたぶられる話(爆)。…この作者って、主人公イジメとヒロインの扱いのひどさが素敵なんですが、今回もなかなか、ですね。
舞台は、帝国ヴァーサ。(ちょっとモンゴル帝国を彷彿させます)ジュネウは少女のような容貌をした、病弱な、貴族の子息。軍人である父親に疎まれ、心の支えは幼なじみのミリッカだけだった。それまではごく普通に生きていたジュネウが、嵐のような残酷な運命に巻き込まれてしまう…
今回の話は、まだプロローグという感じです。これからジュネウはもっと不幸になるじゃないかと思いますが、ジュネウはギヴァやメムと違って、体弱いからなあ………手加減を少しはしてほしいものですが(^ ^;)。続きは6月にでるとのことで、楽しみです。


●「今はもうない」森博嗣[講談社ノベルズ](98/4/5)

犀川先生と萌絵ちゃんのシリーズ最新作。今回は、西之園家の別荘の近くで起こった事件の話です。……くわしく書くと、ネタバレしそうでなあ(^ ^;)。今回の一番大きなトリック、あれ私は直前まで気づきませんでした(笑)。…ちょっと、「…あれ?」って感覚はあったんだけど。個人的にはOKです、今回の話。
ただ、犀川先生の出番が少ないのが寂しい〜。でも喜多先生との昔の話がちょっとでてきたのが嬉しかった(*^ ^*)。(邪道なミステリファンでごめん(^ ^;))


●「《悪魔》でも恋に生きる 真・運命のタロット5」皆川ゆか[講談社X文庫ティーンズハート](98/4/4)

「運命のタロット」シリーズ最新作。やっとカサブ編にケリがつきます。
ティーンズハートとは思えない過酷なストーリーのこのシリーズですが、今回はライトノベルズでもまれに見る過酷さです。あと、ティーンズハートにしては分厚いですよね〜。400ページ位。京極夏彦とか清涼院流水とかに比べたら薄いものですが(^ ^;)。
ここしばらくの話は、ティターンズとプロメテウス、どちらが正しいともいえない…逆に今回なんかは…な展開。運命の無慈悲さ、自分の行動の責任を自覚することの過酷さ。
唯一の救いは、《女教皇》と《魔法使い》がいい感じになったのと、あのカップルの再登場ですね。それにしても、これから先はどうなっちゃうのやら。


●「キスさえ知らない」和泉桂[講談社X文庫ホワイトハート](98/4/3)

エリート証券アナリストと、無愛想なシェフのボーイズラブもののシリーズ。
なぜか(^ ^;)、この日大量に買った新刊の中で一番最初に読んでしまいました(^ ^;)。だって、私のお気に入りの「バンビちゃん」こと睦くんのあれからが気になって…
頼りなかった睦くんも、今回でずいぶん成長しましたね。よかった、よかった(*^ ^*)。個人的には、睦くんは、誰ともくっつくことなく、みんなのアイドルでいてほしいです。
今回は「夢を実現するということ」「夢をもう一度みつめなおすこと」をちゃんと描いていて、なかなか読み応えありました。ただ、主人公たちのまわりの人が、あまりにも男同士の恋愛に理解ありすぎるのがちょっと違和感感じますけど(^ ^;)。


●「僕達の第二章」あさぎり夕[小学館パレット文庫](98/4/2)

泉くんシリーズの大学生編スタートです。
相変わらずです、泉くん。今回は瑠偉の出番が多かったですね〜。


●「リバティ・ランドの鐘」秋山完[ソノラマ文庫](98/4/2)

宇宙に浮かぶ、遊園地惑星・リバティ・ランド。営業中に、ナパージ軍が攻めてきた。無慈悲で強力な軍隊を相手に、リバティ・ランドの従業員3人と、800万体のロボットが2000人の逃げ遅れた客を守るために闘うが…
無力な遊園地が軍隊相手にどう闘うか?そのアイデアはおもしろいし、話の基本トーンは明るいんですが………途中、半分泣きながら読んでました(T T;)。「ラストリーフの伝説」といい、この作者の話は、おとぎはなしのようでありながら、なぜこんなに苛烈なんでしょう…
最後はボロボロ泣いちゃいました。
おもしろかったです。


●「キル・ゾーン 異分子」須賀しのぶ[コバルト文庫](98/4/1)

「キル・ゾーン」の待望の第二部スタートです。火星に連れ去られたラファエルを追うために、商船に偽装して乗り込んだ、マックスとキャッスルとエイゼン。たどりついたコロニーEでは、大事件が起こっていた。
ふふふ、第二部ですよ、第二部!!いよいよ「ブルー・ブラッド」の面々も「キル・ゾーン」本編に登場したわけで。今回はなんといっても、「親子団欒」ですよね〜〜〜〜〜!!!!グラタンのあたりでは、読みながらつい叫んでしまいましたよぉ……こ、怖かったです(^ ^;)。ユージィン様はいったい何を考えてるんだか………………
エイゼンは相変わらずエイゼンで、マックスも活躍してたし、おもしろかったです。
あと、巻末にオマケのイラストアルバムがあります。キャッスルカッコいい(*^ ^*)。
さて、続きは夏頃だそうです。続きが早く読みたい〜。
ここしばらくほとんど毎月「キル・ゾーン」か「ブルー・ブラッド」が読めて幸せでした。


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