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【ヒカルの碁 第130局「もう打たない」】 01/09/3

第130局「もう打たない」。葉瀬中の職員室にて。「藤原佐為なんていない?」ヒカルは社会の松井先生に佐為のことを調べてもらったらしい。いないとは断定できないが、少なくとも文献や資料としては残ってないという話を聞いたヒカルは、「いたよ 佐為は!」「オレだけは知っている」と心の中で呟く。たまたま日誌を持って職員室にきたあかりは自分が少し上達したこと(金子さんに置石がひとつ減った)、たまには打ってほしいと話しかけてくるが、ヒカルは目もあわせずに「…もう打たねェ」と言うばかり。そんなヒカルにアカリは腹を立てた。
ヒカルは思いつめた顔で、森下九段の研究会にももう行かない、河合さんのいる碁会所にももう行かないとひっそりと誓う。ヒカルの中の佐為をみているアキラの目を自分に振り向かせたかったけど、佐為を越えることなんてできるわけなかった。「佐為 なんで消えたんだろう」
放課後葉瀬中の校門を流れに逆行してくぐりぬけてきたのは、海王中の制服をきたアキラだった。理科室でヒカルの居場所を聞くアキラ。あかりは知らなかったが、金子が図書館にいたと教えてくれた。
図書館。机に顔をうつぶせたまま、ヒカルは佐為のことばかりを考えていた。佐為の様子がおかしくなったのは、塔矢元名人とのネット碁での対局の後だった。あのとき、一体何があったのだろう…そのとき、横に突然人の気配。名前を呼ばれて顔を上げると、そこにいたのはアキラだった。あまりに驚いて思わず叫んでしまうヒカル。そんなヒカルに、アキラは若獅子戦や大手合に来なかったのはなぜかを問い詰める。「オレなんかじゃダメなんだよ」そういうヒカルの言ってる意味がアキラにはわからない。「オレなんかが打ってもしょうがないってことさ」そう投げやりにいうヒカルに、アキラは真剣なまなざしで「ボクはそうは思わない」と答えるのだった。
でもそんなアキラの言葉も、ヒカルにとってはアキラが自分の中に佐為をみてるからだ…と思えて仕方がなかった。「オレはもう打たない」と宣言したヒカルに、激昂したアキラは「ふざけるなっ!」と怒鳴って席を立つ。そんなアキラの真剣さにヒカルは「ごめん」としか言えなかった。アキラが待ってるのは佐為なのに、もう佐為は消えてしまったのだから…
そしていたたまれず、逃げだすヒカル。ヒカルは佐為のことばかりを考えている。「なぜ消えたんだ!? 佐為! なぜ!?」
アキラも必死でヒカルを追いかける。「なんのためにプロになったんだ キミは!」「ボクと戦うためじゃなかったのかっ!!」
一方、一人暮らしを始めた和谷のアパートに遊びにきた奈瀬、本田、小宮。一人暮らしとはいっても、洗濯や食事は家でするというお気楽なものらしい。囲碁の勉強のための部屋のようだ。毎週土曜日には冴木・岡田・中山といったプロも遊びにくるらしい。「進藤は?」と聞く奈瀬に、ヒカルは棋院でも森下九段の研究会でも顔を合わせなから誘ってないという。森下九段は怒ってはいるものの、「放っておけ」と言ってるらしい。土曜日の勉強会に来てもいいか?という本田の言葉を聞きながら、奈瀬はレベル下げそうで来づらいとぼやく。それから今年のプロ試験の話題に。奈瀬は今年も予選から。小宮と本田は予選免除。飯島は院生をやめてしまったらしい。そして、奈瀬の口から、九星会(囲碁の塾)の何人かの棋士が勉強と交流を兼ねて中国棋院に行ってるが、それに伊角もついていったらしいと話がでた。伊角はプロは諦めていなかった。外来だから、プロ試験は予選から受けることになるが、本選で自分たちとぶつかりあうのだ、と本田と小宮は考えていた。
その中国棋院では、伊角が真剣な顔で対局をしていた。


今週はアニメ化記念ということで表紙と巻頭カラー。表紙はテレビの中のアニメ絵のヒカルにかじりついてるヒカルと、佐為。…佐為だぁ…
本編の表紙は、ヒカル、和谷、伊角さん、越智くん、あかりちゃん、奈瀬ちゃんと若手組の元気なイラスト(+後ろにアキラが)。今、本編のヒカルの表情が痛ましいものだけに、元気な顔のヒカルをみるとほっとします。はやくこういう顔に戻ってほしいものですなあ。

うわー、伊角さんがこんな形で登場するとはっ。ほったさんはわりと長いスパンで物語を作ってるから、今回の中国取材ももっと先のネタかと思ってたら、こんなところで…最初は作画資料なしでやるつもりだったのかなあ。それが急な取材になったとか?
久しぶりの伊角さんは、りりしさとたくましさを感じさせるようになってますね。今年はかなり期待できるかな? 予告からするとしばらく伊角さんの中国編となるようですが、それが一体どう本筋と関わってくるんだろう… 今年のプロ試験は門脇さんも参加するから、かなりキツいものになりそうですね。個人的な合格希望者は、門脇さん・片桐さん・伊角さんなんですが、奈瀬ちゃんにも本田くんにも小宮くんにもフクにも受かってほしいです…

和谷くんのなんちゃって一人暮らし…面倒な部分は全部親任せで、自由だけ手に入れるなんてなんて羨ましい!! 親の干渉をうっとおしく思ってる子供なら一度は夢に見るよねぇ。いいなあ。
和谷くんがsaiと名人のネット対局のときに一人暮らしの話を持ち出したときにはあまり意味のない繋ぎのセリフかなあと思ったのですが、こうやって実際に一人暮らしをするということは、ストーリー上でなんらかの役割があるかもしれませぬ。すぐに思いつくのは、「色々あって家出したヒカルの避難場所」という感じかなあ。
小ネタ。中山さんは去年の若獅子戦で和谷くんが対局した相手ですね。院生の先輩で、和谷くんと親しかった様子。岡田さんはまだ顔はでてないのかなあ。大手合のときに冴木さんの口から名前がでてたから、仲良しさんなんでしょう。

さてさてさて!! 久しぶりにアキラがやってくれましたっ!! ネットカフェの前で「キミの前にはもう二度と現れない」と言ってから約2年ぶりにアキラからヒカルに声をかけました。久しぶりの正面きってのストーカーです。(裏では色々とやってましたが…)
こうやって、激昂して「ふざけるなっ!!」がまさにアキラって感じで、いやもう嬉しかったです。昔みたいでね〜。
でも昔と違うのはヒカルの気持ち。佐為はもういないから。
このマンガにおける構造で面白いのは、ライバル関係がヒカル→アキラ→佐為(でもアキラはヒカルだと思っている)→名人という不思議な一方通行の構造になっていることなんですよね。ヒカルとアキラの関係は、思い込みとすれ違いのせいで幻想だけが膨れ上がっている状態で。…これって、構造だけでいえば恋愛ドラマに近いものがあるんですよ。それを少年マンガのライバル関係に取り入れたのが斬新じゃないかと。
でもこれでますますアキラにはヒカルが不可解に思えるだろうなあ。
で、ヒカル…ヒカルは、アキラがすでにヒカルを通した佐為だけではなく、ヒカルそのものも見出しているというのを知らないわけです。(vs秀英戦はアキラもみとめてますからね)だから最初はアキラが自分じゃなく佐為を見ていることに苛立ちを覚えて、それがプロになるための原動力となったんだけども、今はアキラが求めていたのは佐為だったのに佐為を失ってしまって申し訳ないという考えにハマってしまっているから。完全にすれ違ってるなあ。切ない。
こういう、微妙な気持ちの見せ方がうまいです、ほったさん。
でもいつまでこのすれ違いを続けていくつもりなんでしょうか。最後までだったらすごいなあ。…でもさすがにそれはしんどすぎるか。このままヒカルとアキラが対局する機会がないなんてことはなさそうだし。ヒカルがプロを辞めないかぎりは。…まさか、ね。

ヒカルはそう簡単には立ち直れないでしょう。ヒカルが贖罪(または願かけ)のために自分では碁を打たないと誓った以上、すぐにその誓いを覆すとは思えないし。
私はヒカルが立ち直るきっかけはアキラだと思ってたんですが、今回のあの程度では無理だしなあ。ほったさんのことだから思いもがけない手を打ってくるような気はしますが。

アニメ情報は、佐為が現世に蘇るシーンをいくつか。これをみるかぎりは作画には結構期待できそうな。放映まであと一か月ちょっとですね。


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