第132局「楽平(レェピン)」。ひとり中国棋院に残留することになった伊角。李先生から中国棋院の話を伊角は聞いていた。今、中国棋院で生活しているのは地方からの有力なプロたちであるが、それも成績が悪いと地方に帰させられてしまう。素質があると選ばれても思ったよりも伸びない子もいるのだ… 教練の李先生や劉や何人かの大人は日本の碁の勉強のためや海外棋戦のために日本語を勉強して喋ることができる。子供達は日本語はわからないだろうけども、言葉はわからなくても碁の勉強はできるはずだ…と劉に説明を受けながら、伊角は訓練室へ案内された。独特の雰囲気に気おされる伊角。そのとき、部屋からちょろりと出ていこうとする子供がいた。李先生はその子供・楽平を捕まえて「さぼるな」と怒鳴りつける。10歳くらいのその子供をみて伊角は驚く。和谷にそっくりだったからだ。思わず大声を出してしまった伊角を部屋にいる皆が注目する。李先生に問われて、日本にいる友達にそっくりだと李先生に説明して、先生は楽平にそれを教える。そのついでに李先生は伊角が日本から勉強にきたということを皆に伝えた。そのとき、楽平はいきなり服をめくっておなかをみせて、そのまま飛び出ていく。面食らった伊角に劉が「ワヤという子も自分と同じでデベソかと…」と通訳。楽平はあまり勉強熱心でなく、李先生から怒られてばかり。そんな彼も、すでにプロだ。去年、11歳でここにきたらしい。
お昼時間になったので、食堂でお昼をとることに。伊角がふと周りとみると楽平がご飯をほおばっている。「いけない小さい和谷になごんでちゃダメだ」と伊角は食事を始めた。
午後は持ち時間1時間半の対局でリーグ戦をやっていた。伊角もその中に加えてもらう。楽平が自分から「イスミクンとやる」と言い出した。伊角はまさかこんな小さな子に負けるわけにはいかない、と思いながら対局を始めた。しかしその見た目や行動の幼さとは裏腹な強さに伊角は次第に焦ってくる。楽平も選ばれた棋士の一人なのだ。そして伊角は力負けをしてしまった。楽平は何かを言って席を立ち、皆のところに喋りにいった。伊角に聞こえたのは「イスミクン」という自分の名前だけ。自分ことをバカにされたような気がした。中国の棋士たちの、伊角には何を言っているのかわからない言葉も、自分を嘲笑っているような気がして焦る伊角は、孤独を感じていた。そして食後の研究会。伊角には彼らが何を言っているかはわからないが、碁の内容はわかる。言葉がわからない分余計に発想の斬新さに伊角は圧倒されるばかりだった。こうして彼らは選ばれた棋士という特別な人たちと朝から晩まで碁の勉強を行ない、切磋琢磨している。あまりのレベルの違いに、焦燥感を感じる伊角。高いレベルの人たちと打てることで勉強になると思って伊角はひとり中国に残った。しかし、このままでは自信を失ったまま終わりかねない。悔しいうちはいい。悔しさが惨めさにかわったら……伊角の孤独な戦いは始まったばかりだった。
今回は丸々伊角さんのお話でした。少しは精神面で強くなったかのように思えた伊角さんですが、やはり脆さがでてきます。年下の子供にコテンパンにやられたらそりゃ精神的にダメージを受けるよなあ。小さい子の方がどんどん伸びてゆく可能性があるだけに、年上としてはなおさら焦るでしょう。前回のプロ試験でも結局自分より年下にしてやられたんだし。
中国編はこの分だとあと2回くらいはありそうですね。ほったさんは伊角さんがいくら人気があってもサービスするような人じゃないから、このエピソードも本編に深く関わってくるのだと思いますが…どうなるのかな。いずれ国際棋戦の話になったときに、先週の趙くんや今回の楽平くんも出演するのでしょうから、それの顔見世という意味はあるにしても。伊角さん、このまま自信をつけてかえることができるのでしょうか。
楽平くん。かわいいです…きっと和谷くんが院生になった頃があれ位の年頃でしょうから、伊角さんもその頃とか思い出しちゃったりするんでしょうねぇ。楽平くんもいずれ和谷くんと対面する機会があるんでしょうか。
言葉が通じない環境というのはなかなかに孤独ですが、その上伊角さんは物事を悪い方に考えがちだからなあ。共通の言語である「碁」を通じて伊角さんは異国で何かを得られるのでしょうか。
「ヒカルの碁 かってヨミ。」(http://www1.plala.or.jp/haradai/hikago/hikago.htm)の掲示板での9月17日(月)19時33分のnekoさんの書き込みで、伊角さんが「たいしたことない」と中国の棋士たちに笑われて高い壁を感じ落ち込んでいる構図は、ヒカルが院生になったときと同じ構図であるという指摘がされていました。しかも伊角さんは、そのときはヒカルを笑う側にいたのですから。私は気づきませんでしたが、言われてみると納得。あの時のヒカルはプロになるどころか、一組にあがることさえかなり困難ではないかと思わせたものですが… あれから遠くにきちゃいましたねぇ。ヒカルは佐為の助けも受けながらも頑張って自力でその壁を乗り越えましたが、果たして伊角さんはどんな姿をみせてくれるでしょうか。
予告には「中国修行も連戦連敗の伊角!ある覚悟をし…!?」となっていますが、どうするんだ伊角さん!!
国際棋戦に行くまでにはまだまだ先が長そうだけど…ほったさんはどれ位先まで話を作っているのかなあ。
アニメ情報はあかりちゃんと加賀くんの設定画公開。またGBAの「ヒカルの碁」ゲームのプレゼント企画もスタート。
また、今週の「週刊碁」に「ヒカルの碁」アニメ化特集が1ページ。製作のスタジオぴえろを取材しています。「週刊碁」はコンビニや駅の売店などで販売されています。