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【ヒカルの碁 第134局「楊海(ヤンハイ)の助言」】 01/10/01

第134局「楊海(ヤンハイ)の助言」。朝。伊角は目覚ましの音で起きて、支度をしてでていった。楊海はまだベッドの中だったが、伊角に「あるものはなんでも使っていいぞ」と言う。扉の閉まる音を聞きながら、楊海は伊角の昨晩の碁を思い出していた。楽平と互角くらいの力あるし、センスも悪くない、と。一方、伊角は昨日出ていけといわれなかったことは、認められていたんだろうか?と考え込んでいた。しかし昨日楊海と打った一局は対局というよりは一流騎士による指導碁みたいな感じで…力のある楊海が自分と打ってくれるのはありがたいが、彼は楽平に何かこだわりがあるんだろうか?
そのとき李先生が伊角を見つけ、声をかけてきた。そのとき李と一緒にいたのは、中国ナンバーワン棋士の王星(ワンシン)だ。王星の方から持ちかけられて、伊角は一局打った。
その日の夜。楊海に今日のことを伊角は報告していた。王星の対局のあと、華松力(ホア ソンリィ)も検討に加わってくれた。ふたりとも伊角でさえ知ってるような中国のトップ棋士。そんな人たちがいきなり現れて対局してくれたことに伊角は驚きながらも喜びを隠せなかった。楊海によると、ふたりとも棋院の近くに家を持っていて、よく顔をみせにくるという。楊海は棋院での生活が気に入っているので出ていく気はないようだが。それにしても中国のトップ棋士は若い。それを楊海に告げると、楊海は教えてくれた。中国では30を過ぎたらもう年下に引き摺り下ろされてしまう。体力の衰えが勝負に影響するから。だからその分、十代では頑張らないとダメなのに、楽平は… 「楽平?」と彼の名前がここで出てきたことに伊角は疑問を持ったが、楊平と夜を徹しての対局を持ちかけられ、伊角は喜んでそれを受けたのでうやむやになってしまった。
翌朝は休日。さすがに棋院にも人は少ない。そこにふらりと趙がやってきた。趙は帰ったはずの伊角がまだいることに驚いていたが、伊角はなんとかもう一度趙と対局したいから残ったということを告げようとした。しかし言葉の壁は厚く、うまく伝わらない。それでもなんとか伝えようとしているときに楽平が帰ってきた趙をみつけ抱きついて、遊びに行こうと誘った。趙が伊角のことを楽平に聞くと、楽平は、伊角はここに残って勉強するらしいが弱いからやっても無駄だろう、それより遊びにいこう…と趙に言う。その時、楊海が遊んでばかりの楽平を見つけて咎めた。今度楽平と伊角が対局したら、楽平が負けるだろう、と。言い争いの末、楽平は「もう一度伊角さんに勝てば文句いわないか?」と楊海に問いかけ、楊海は「それじゃ負けたら少しはまじめにやれ」と言い返し、伊角と楽平の対局は一週間後に行なうことに決まった。…全部中国語だったので、もちろん伊角には一体なんの話だったのかさっぱり分かってなかった。
そのあと楊海の部屋で詳しい事情を伊角は聞いた。楊海と楽平は同じ雲南省の出身で、楊海が棋戦で雲南省に行ったときに楽平の両親から楽平のことを尋ねられたらしい。雲南省から中国棋院のある北京はあまりにも遠く二人とも仕事が忙しいから会いにくるわけにはいかないし、電話をかけても楽平は遊びにいってていない。そのため心配している…と。田舎からきた子供には北京は珍しくておもしろいのかもしれないが、楽平がこのままの成績では地方に帰されかねない。同郷の人間としても楊海はそんな楽平が心配なのだ。だからこそ、伊角が楽平に痛い目をあわせてみせれば、楽平も少しはマジメになるのでは…と楊海は期待したのだった。利用しているようで悪かった、と伊角に謝る楊海だったが、伊角は逆に楊海に碁を打ってもらう機会を作った楽平に感謝したいくらいだった。もちろん楊海の期待に答えるためにも伊角は楽平に勝たなければならないが…そう口に出した伊角に、楊海は伊角が楽平に勝てると思ったからこそ勝負を持ちかけたんだと答える。そして、楽平に負けたときの様子を楊海は伊角に聞いた。小さい子に負けたせいで逆に力み過ぎてしまった、と。プロ試験でも人の言葉で心が乱れてミスをしてしまい、それから立ち直るのに時間がかかった、ということを伊角は告白した。それを聞いて楊海はアドバイスする。心のコントロールが伊角は下手で周りを気にしすぎていると。周りは気にせず、碁石だけをみてればよい。それは生まれ持った性格ではなく、「習得できる技術」のひとつにすぎないのだ、と。心の弱さは変えられない性質ではなく、訓練次第で「習得できる技術」なんだと聞かされ、驚く伊角。「それができればキミの大きな武器になるぜ」
中国棋院の棋士の間には楽平と伊角の勝負の噂、楊海が伊角を鍛えていること、伊角が楊海の部屋にいるんじゃないかということが噂されるようになっていた。そして周りの伊角を見る目も変わっていく。伊角と対局した棋士は「弱いなんて言われていたけども、彼は楽平よりも強いんじゃ?」と。また別の棋士は「伊角くんは前よりもビクビクしなくなって、落ちついた」と。また伊角は陳怡(チェンイー)をリーグ戦で破ったらしい。そして…


今週もまたしても「伊角の碁」。でもひたすら伊角のダメさを描いていた前2回に比べると、今回は光明が見える分、読後感はいいかも。
楊海が楽平に抱いていたのは、歯がゆい気持ちだったんですね。プロの世界は甘いものではないから。同郷だから放っておけないっていうのはあるとしても。でも、子供ってそういうものだよねぇ。ああいう風に小さい頃にプロになって、自由に使えるお金ができたら余計楽な方向に流されちゃうでしょう。お金を貰うというのがどういうことなのか、その自覚を持つのって難しいよね。
まあこういう展開になったら、伊角さんが楽平を負かして、楽平も気持ちをいれかえるようになり、伊角も精神的な強さを得てプロ試験に臨むことができる、という感じかなあ。そういえば伊角くんの2か月の修行ですが、李先生にちゃんと伝えているのかどうか。途中でバレて、「30日以上滞在するには改めてビザが必要だから一度日本に戻れ」と言われて中断になるんじゃないかなあ、と思っております。
ただその程度だと順当すぎる展開だから、もう一ひねりあるかなあ?

今回は中国での若手棋士の台頭についての話がでてました。中国が韓国で碁のプロができたのは(日本に比べると)比較的最近のことですが、囲碁愛好者が幅広い分、若手に勢いがあり、国際棋戦では日本が劣勢であると聞いたことがあります。(「ヒカルの碁」本編でも触れられていますが) 日本では若い子供の間で碁が活発じゃないから、新しい血がどんどん入ってきて頑張らないと。…でも「ヒカルの碁」で囲碁に興味を持った子供が、何年か後にはプロになってマンガの世界のような活躍をみせてくれるかも。
さて、「ヒカルの碁」の世界では、日本はまだまだ年寄りが幅を利かせています。でも、緒方さんや倉田さん、そしてアキラのような若手も力を伸ばしてきています。緒方さんのいうところの「新しい波」ですね。ヒカルが立ち直ったら、その「新しい波」と旧勢力との対決や、国際棋戦に話題が移るのかなあ。早くそういう話を読みたいのですが、ヒカルが簡単に立ち直れるとは思えないし…

来週は巻頭カラー&表紙。伊角さんと楽平くんの対局ですが、「一方ヒカルは…!?」という予告からするとヒカルも見れるかな? 来週号は月曜日が祝日ということで土曜日発売です。
あと、コミックス14巻は10月4日発売。表紙がポップな感じでヒカルがかわいいです。この巻に収録されるのは佐為と名人とのネット対局後半戦ですが、なんかもう緒方さんが大活躍…というかほったさんと小畑先生に遊ばれてるような気がしますが、とにかく「緒方祭り」状態で連載当時どれだけ踊られされたことか…いやいや、楽しみであります。
アニメは10月10日よりスタートですが、その前に10月8日午前8時〜8時半に放映前の特番があります。いよいよアニメ開始ですねぇ。楽しみだなあ。


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