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【ヒカルの碁 第156局「ヒカルvs門脇」】 02/07/18

第156局「ヒカルvs門脇」。
門脇とヒカルは棋院の2階の一般対局室にやってきた。一般対局室も1年半前とは様代わりし、棋院の一階の売店が2階に移り、一階は改装工事中だった。二人はジャマされないように隅の方で対局を行うことにした。
対局前にヒカルは「大変な一局だな」とためらった顔をみせた。なぜ?といぶかしがる門脇に、ヒカルは「1年半前の自分と比べられるから」と答える。それに門脇は「オレは1年半前の自分と比べてほしいね」と言う。1年半前に対局したときの「ヒカル」との差はつめてつもりだったからだ。伊角には負けたがプロ試験は1敗で合格。ヒカルもそのことは週刊碁の記事を読んでか知っていた。門脇にとってプロになったときの楽しみの一つが伊角にリベンジすることで、もうひとつはあのとき自分を叩きのめした院生…ヒカルと対局することだったのだ。思ったより早く望みが叶った、と門脇は呟いた。ヒカルが黒、門脇が白を持って対局を開始した。
ヒカルは「三連星」…3手目まで星に打つ。門脇は1年半前と同じように早めに絡んでみようか迷っていた。「あの時はもてあそばれたが今のオレはそうはさせん」と思いながら。しかし、一方で門脇には「もてあそばれたいのかもしれない」という気持ちもあった。誰にも負けたくないと思う一方で、自分よりはるかに先を歩いている人にも憧れてしまうものなのだ…
対局場にいた客の一人が、門脇に気がついて対局をみようとしたが、あまりに張り詰めた空気に怯えて帰ってしまった。
門脇は攻めながら、なかなか動かないヒカルに焦れた思いを抱いていた。そして1年半前とは碁から受ける感じが違うことに気がついた。と思った瞬間、ヒカルの猛反撃が始まる。
幽玄の間。桑原と伊角の対局は盤面が進んでいた。桑原は少し考え、「名はなんと言ったかの」と問いかけた。しかし伊角は集中していてその声に気がつかず、立会人が伊角の名前を桑原に教えた。伊角の名前を聞いて「覚えてやるか」と桑原は呟いた。しばらく新人がだらしなかったが、アキラが出てきた頃からおもしろそうなのが現れだした。そして…頭にヒカルのことを思い浮かべながら、「特にアヤツの真価はまだ問うておらんしの」と桑原は考えていた。そのとき伊角が繰り出した一手に、桑原は真顔になる。
一般対局室。ヒカルの打った手に門脇は驚きを隠せなかった。


今回はカラー表紙(浴衣の奈瀬・あかり・アキラとヒカル・伊角・和谷が縁側で碁を打っている)&ポスター扉絵(浜辺で水遊びをしているヒカル、和谷、伊角、あかり、奈瀬、越智)。夏らしくて楽しそうな絵で素敵でした。物語がピリピリしているだけに、こういう絵は嬉しいなあ。現在の物語上ではこのメンバーで遊びにいく図というのは想像できませんが、アキラもメンバーに加わってこういう感じで楽しく遊べる日はいつかはくるかもしれないなあ、と思ったり。
小畑さんのコメントによると扉絵はサイズ間違いで左端が切れてるようですが、画面に入らなかったのはひょっとしてアキラかな? 車を洗ってるみたいですが… 画集などで全部見れる日を楽しみに待ってます。ジャンプ公式サイトの扉絵ででるといいんだけどなあ。
それにしてもアキラは浴衣が似合う!! さすがおかっぱですねぇ。ヒカルや伊角さんや和谷くんの浴衣姿もみたかっなあ。それが残念。

さて、1年半ぶりの門脇さんとの対局。静から動への展開が見事です。数少ない言葉が深く感じられるのは今までのエピソードの積み重ねもあるし、絵で微妙な感情を表現できる小畑さんの腕前、そして小畑さんの腕をほったさんが信頼しているからなるべく「絵」で語らせるという選択をとれるというのもあるんでしょう。「大変な対局だな」のヒカルとそれへの門脇さんの答えとか、表面的な会話だけではなくて奥底の二人の気持ちのズレをうまく表現しているなあ。「コマ間」をきちんと読ませてくれます。でもこういう地味な上手さというのは派手が好まれる少年誌ではどうなんだろう、という心配はありますが… 小さい子供はちゃんと意味を受け取ってくれてるんでしょうか。

「弄ばれたいのかもしれない」 ああ、わかる、わかる!!
自分より遥かに上の存在を目の当たりにするというのは、その道を極めようとする人にとっては絶望であると同時に羨望でもあるんでしょう。かつてのアキラがその狭間で苦しんだように。でも門脇さんはあの当時のアキラとは違って大人だから、そういう自分を外から眺めて楽しむこともできるんでしょうね。

今のヒカルの力であれば、門脇さんには勝つとは思うんですよ。ただ問題は、その対局がどういう意味を持つか、で。アキラはヒカルの中にいる「sai」に気が付きましたが、門脇さんには果たしてそれがわかるか。…アキラと比べると門脇さんが持ってるヒカルの情報は少ないし、今のヒカルも佐為には及ばないけれども十分強いですから… でも今回のエピソードをみる限りでは、門脇さんも微妙な違和感をおぼえているようで、それがどう次の話につながるか楽しみです。

門脇さんって妙につやっぽいというか…顔立ちはいわゆる「美形顔」じゃないですけれども、色気がある。たたずまいがいいんですよね。
あと、ヒカルもカッコいいなあ。立ち直ってからのヒカルはまっすぐ前を向いて驀進していて、その姿は凛々しくて素敵なんですが、その一方で昔のような無邪気な顔が減ったのが寂しくもあり… 今回の表紙や扉絵、「伊角さんに〜」の顔とか、ああいう顔をもっとみたいという気持ちもあります。

さて、伊角さんの方は見事に中国修行の成果がでているようですね。桑原先生の声にも気づかないくらい集中しているようですし。これでアキラ・ヒカルに続いて伊角さんも桑原先生チェックが入りました。初登場のときの普通の人な顔をした伊角さんが、まさかここまでキャラとして伸びるとは思ってもいませんでした。…ちょうど今アニメで「黙れ」のあたりなんですが、あれから伊角さんも成長したよねぇ。しみじみ。

そういえば、桑原先生って実はヒカル自身の対局というのをみたことがないんですよね。ヒカルが棋譜の残る対局を行ったのは新初段戦だけですし、それも打ったのは佐為ですし。そんな状態でも気配だけでヒカルの可能性を見抜くというあたりがさすが「妖怪」かも。桑原先生が本当のヒカルの対局をみたときにどういう感想を抱くのでしょうか。

コミックス18巻は番外編をまとめたもので、8月2日発売。佐為のワイドポスター付きだそうです。
囲碁スターターボックスは7月18日発売。…って明日じゃないですか。予約してないんですが、ゲットできるといいんだけどなあ。


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