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【アニメ ヒカルの碁 第24局「王座VSアキラ」】 02/03/31

第24局「王座VSアキラ」
幽玄の間。座間王座とアキラの新初段戦が始まった。
一方、院生研修。対局を終えた伊角と和谷が対局を見に控え室に行く。ヒカルもアキラと王座の対局をみたくてそわそわ。そんなヒカルをみてつい佐為が自分に打たせてくれればあっという間に終わらせるから、と言いだすけれどもヒカルはとりあわない。
伊角と和谷が対局控え室に入った。そこにはアキラと同期の新初段の真柴と辻岡、塔矢名人門下生の芦原四段、棋院出版部の記者・天野たちがいた。天野と芦原が途中からやってきたふたりのために初手から石を並べてみせた。天野は伊角に来年のプロ試験こそは…と声をかけると真柴が「伊角さんはボクより強いですね。ボクはラッキーで受かったんです。」と調子付く。しかしラッキーも実力のうちなのだ。
アキラに対して王座は新人相手なのに真剣に対局しているようにみえる。それだけアキラに力があるのだ。ひょっとしたら真剣になったときの座間の扇子をかじるクセがでてるかも、と天野は対局室に移動した。
院生研修の対局で、ヒカルはなんとか勝ちをおさめた。さっさとアキラの対局を見に行きたかったヒカルだったが、院生師範がやってきて検討を始めてしまい、焦るヒカルと佐為。
幽玄の間、アキラが打った一手は強手。そしてついに扇子をかじる座間のクセが出た。王座はアキラのその手に黒を取るという戦いを避けた無難な一手を打つ。天野は控え室に戻った。ざわつく控え室。座間はアキラの力にうろたえている。アキラがリードしているが、王座もこのままでは終わらないだろう…
アキラは考えていた。この有利な状況を守っていれば勝てるかもしれない。しかしこの対局は棋譜が残り、ヒカルも目にするだろう。「見せてやる ボクの一手一手を」果敢に攻めるアキラ。
観戦者は守りにスキを残したままで戦いに挑むアキラの姿勢に驚いていた。そこに研修を終えたヒカルがやってきた。伊角と和谷がヒカルに対局を初手から並べてみせた。対局はアキラが有利な状態だが、王座も逆転の機会を虎視坦々と狙っている。守っていれば勝てるのに、果敢に攻め続けるアキラ。ヒカルにはそれはきっと自分を追いかけてこいというアキラのメッセージなのだと思った。アキラを追いかけることを改めて決意するヒカル。
そして、雪が。その雪を見ながら、佐為は千年の時を経ても雪も熱い盤上の戦いもかわらないのだと、思いを馳せていた。
アキラは自分を後ろから追いかけてくるヒカルの影を意識しながらも、そんなものに目もくれず、前に進むのだと考えて攻め続けた。その時、王座が「甘いな。」といいながら、アキラの守りの甘さをついた逆転の手を打ちこむ。どんなに劣勢でも流されることなく逆転を狙い続ける。王座であるということはそれだけの経験をつんできたということでもあるのだ。
控え室では王座の一手に静まりかえる。このままで終わるのだろうか、という天野にヒカルは「塔矢がこのままで終わるもんか」と力説する。しかし、アキラは焦って無理な手を打ってしまい、投了してしまった。負けたとはいえ、王座を脅かしたアキラの力を賞賛しながら、天野らは対局後の検討に参加するために幽玄の間へと向かった。プロではない伊角、和谷、ヒカルが控え室に取り残される。幽玄の間に行ってみる?と聞く和谷に、伊角は「来年行くさ。」と答えて、二人は帰った。
ヒカルはひとり控え室に残り、今日のエキサイティングな対局を思い返していた。
帰り道、雪にはしゃぐヒカル。ぐんぐん前に進むアキラだけれども、そのアキラを追いかけていけば自分もいずれ名人になれちゃうかも。そういうヒカルの言葉に、佐為は考えこむ。逆にアキラはヒカルに出会わなければ寄り道などせずまっすぐ進んでいたはずなのだ。しかし立ち止まって振り返り、ヒカルをひっぱりあげてゆく。佐為にはそんなアキラという存在が、ヒカルを成長させるために神が用意したかのように思えてしまうのだった。


今回は濃かった。原作の2.5話分、ボリューム的には2.8話位あるのを20分少々にまとめなければいけなかったんですから。話にメリハリがあっておもしろかったです。スタッフも流れを意識して、アキラVS王座を二話でまとめたんでしょう。でも時間が足りないために味わいのあるエピソードが切り捨てられるハメになったのは残念です。

「ヒカルの碁」原作では肝心の対局はあっさりと流して描かれることが多いんですが(アニメは原作に比べて対局をしっかり描いている感じです)、原作では3週に渡って対局がじっくりと描かれたのはこのアキラVS座間王座戦が初めて。しかもアキラの「上」に向けての挑戦、ヒカルのことを視野にいれてないといいながら意識しているところや、アキラの情熱がヒカルにも伝わったこと、プロ世界の厳しさ、その他後々のための伏線がたっぷりと仕込まれています。対局が盛り上がるときに、それを冷ますかのように降ってる雪、演出も見事でした。
作画的に散々だった前回とはうってかわって今回の作画はすばらしいです。ああ、毎週このレベルであればいいんですが…
真柴さんのいやーんな感じや座間先生の豹変後の脂ぎった感じもうまくでていたと思います。

さて、今回アニメ放映でカットされたエピソードのうちのいくつかを紹介します。
(1)座間先生らしくない
天野さんが、座間先生はこういう記念対局みたいのには手を抜く人なのにらしくない…といい、それを受けて芦原さんが「座間先生に嫌われたかな?アキラくん」と受けるシーン。扇子をかじるクセの話の直前です。
(2)プロ試験に受からなければ…
天野さんが控え室に戻った直後。天野さんがプロ試験でのアキラの話を辻岡と真柴に聞き、4目半で負けたという真柴の言葉を聞いて、芦原さんが最近自分もアキラに4目半で負けたと話して、天野さんが「それじゃ真柴くんと芦原先生は互角だな」といい、みんなで笑ったシーン。互角扱いされて喜ぶ真柴をみて文句をいう和谷に、伊角さんが「対等だろ 真柴も芦原先生も同じプロだ」と。いくらプロ試験で伊角さんが真柴や辻岡に勝ったとしても他の人に負けたらプロにはなれない。院生たちはプロにならなければ何も始まらないのだ…
(3)アキラのライバル
ヒカルが遅れてやってきたときに、真柴が「また院生か」とバカにするようないい方にムッとした和谷が、ヒカルはただの院生ではなくあのアキラが認めた唯一のライバルなのだと告げ、伊角さんもそれにのります。ちなみにこのときは芦原さんは飲み物を買いに席を外して聞いてません。和谷くんも伊角さんもヒカルが「アキラのライバル」だといったことは信じてなくて、言ったあとでこっそり舌を出してましたが、実はここでの発言が後々に影響を与えていくんですよね。天野記者も半信半疑ながらヒカルに注目していくようになるし。そのあとの流れを考えると、このエピソードのフォローもなんらかの形であるかも。
(4)世話やき和谷くん
伊角さんと和谷くんが帰るときに、和谷くんはヒカルに、うちに遅くなるって言ってないけどいいのか?ということを聞きます。和谷くんってヒカルのことをからかいつつも、こういう風に気を使ってくれるんですよね。そういう世話焼きなのにうっとおしくないところが人気があるところかもしれません。
(5)雪の中で
雪の降る中の帰り道、ヒカルはアキラとの出会いを思いだします。ヒカルはアキラの情熱に引きずられるようにして囲碁の道に入ったこと、アキラがヒカルを「佐為」だと思っておいかけてきたのが悔しかったこと、自分の本当の実力をみせたら思いっきり失望されたこと。だからこそヒカルは強くなりたいとアキラを追いかけてきたわけで。それからアキラを追いかければ名人にだって…につながります。

アニメ、来週の放映はお休み。そしてその次の週は「テニスの王子様」と合わせて2時間スペシャル。おそらく30分は総集編、残り30分は新作かと。新作は原作の7巻あたりの話のようですが、だとしたら第51局「時々戻りたい場所」は飛ばされるのかなあ。物語上必要なエピソードですからどこかで組み込まれるとは思いますが…


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