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【アニメ ヒカルの碁 第35局「勝者はひとり」】 02/06/16

この日は、伊角と和谷とヒカルで碁会所めぐりだ。ヒカルは四面持碁をしようとして三面まではできたことを和谷たちに話していた。この日は、以前伊角と和谷が碁会所で打った相手から「強いヤツがいる碁会所」として教えてもらったところだ。地図を便りにその碁会所に向った。碁会所に入る前に、ヒカルはコンビニに飲み物を買いに入った。伊角は碁会所の看板をみて何かに気がついた。
飲み物を買ったヒカルは、すれ違った少年が棚にぶつかって商品を落としたのをみた。気づかず通り過ぎた少年にヒカルは声をかけたが、彼は無視をした。苛立つヒカルだったが、和谷にせかされ碁会所に向った。そして碁会所に入った3人は、雰囲気が独特なことに気がついた。そこは韓国人が集まる碁会所で、店の中にはハングル文字が溢れていた。伊角はたしかにこれだとここはワンランク上の碁会所だと納得していた。店主に促され店に入った3人。そこにさきほどコンビニでヒカルとすれ違った少年が入ってくる。彼と店主はヒカルにはわからない言葉で会話をかわしていた。ヒカルはあのとき話しかけたヒカルを無視したのは、その少年が日本語がわからなかったからだと理解し、さきほどのことを謝った。しかし少年はそれを受け入れようとはしない。その少年は店主の甥で、洪秀英、12歳、日本に遊びにきている。彼は韓国でプロ棋士を目指している…研究生のだ。店主の話を聞いて、和谷たちは自分たちも院生でプロを目指しているんだと話す。それを聞いてヒカルは韓国にもプロがあったのか?とつい口を滑らせてしまい、碁会所の雰囲気は一気に悪くなった。昔ならともかく、世界のトップは今は日本ではないのだ。ヒカルが韓国をナメているのか?と怒る秀英に、ヒカルは悪びれず日本のことすら自分はよく知らないんだと全然威張れないことを言い出した。「韓国の研究生はキミたちみたいにヌルくない」という秀英の言葉に、ヒカルは打ってみなきゃわからないと怒り出した。
日本棋院出版部。天野はヒカルのプロ試験予選の結果…二勝ニ敗一不戦勝をみて、彼に期待していいのかどうか考えていた。果たして塔矢アキラに匹敵するような存在になれるのだろうか? そんな天野に他の記者が話しかけてくる。話題は国際棋戦に。総じて日本は韓国や中国に押されていってパッとしない。かろうじて塔矢名人が日中天元戦で面目を保ったが… 強い若手が出てこないと日本囲碁界もパッとしないのだ。倉田六段に続く新しい波が。
碁会所にて。石を二つ置き、「指導碁なら打ってやる」という秀英の手から帽子を弾き飛ばし、ヒカルは秀英の向いに座って、「ニギれよ」といった。そして二人の対局が始まった。伊角は店主に秀英は研究生でどのあたりの位置にいたのか聞いた。韓国では研究生は10人ずつの10クラスがあって、毎月上位四名と下位四名がクラスを入れ替わるシステムだった。その中でも秀英は順調にクラスを登ってゆき、まわりの人も彼がいずれプロになるものだと思ったのだった。しかし、彼はつまづいてしまった。1度クラスが下がって、それでクサってしまってどんどんクラスを下げていってしまった。そして今月あったプロ試験にも落ちてしまった。そんな秀英を見かねて、彼の父親が気分転換に日本に送り出したのだ。その話を聞いて、ひとりの客が日本と韓国ではプロを目指す子たちの人数が全然違うから同じプロ予備軍でもレベルが違うと言い出した。しかし店主は考えこむ。今の秀英では、技術以前の問題で勝てるのだろうか、と。
秀英は韓国棋院での日々を思い出していた。1度クラスが下がってしまってから、どうもむしゃくしゃして囲碁がおもしろくない。やる気がでない。負ける、下に落ちる、また負ける…勝ち方を忘れてしまったようだ。自分は一体、何をやっているんだろう… 秀英は回想から引き戻された。一手一手に気が抜けない、予想外にコイツは強いのだ。秀英は、ヒカルに「もしボクが負けるようなことがあればお前の名前を覚えてやるよ」といった。ヒカルはそれを聞いて、「覚えてもらおうじゃないか」とあらためて闘志を燃やした。
佐為はふたりの対局を満足そうに見守っていた。


今回は珍しく、原作1.5話分をアニメ1話にしています。基本的にアニメは原作を2話単位で1話にしていますが、物語が3話で区切りになるものは3話を1話にしているものばかりだったのに。今回も3話分でひとつの区切りですから、それを二つにわけたんでしょうね。…でもサブタイトル部分の話まで入ってないんですが…
この長さで原作そのままでは時間的に足りないためか、細かいセリフが増えています。特に伊角さん、和谷くん、佐為まわりが。ヒカルが秀英に声を出して謝るのもアニメでの追加。原作ではヒカルが「言葉がわからなかったんだ」と気がついたところで次のシーンに。

そして何よりも、「言語の違い」がアニメではややこしいことに。原作では、秀英くんは日本語が全くわからず、ずっと韓国語で通しています。(横文字でカナまじりでセリフが書かれています) そして店主やタヌキぽいオジさんの通訳を通してやりとりするという形に。ヒカルと秀英の諍いは、ヒカルの失言や秀英の生意気な態度もありますが、あのタヌキぽいオジさんが微妙に悪意を含んだ通訳をしたせいで感情がエスカレートしていく…という形になったんですよ。
アニメでは最初に秀英くんと店主が話したときは韓国語だっただろうけども、そのあとは怪しげな日本語で喋っている形に。…あれは韓国語で話しててヒカルにはイマイチ通じてないんだよ、ということを表現しているのかもしれませんが。でも言葉が通じないことが諍いになっても、盤上でお互いの気持ちが伝わってくるというあたりがこのエピソードの面白さでもあるので、アニメのこの方式では伝わりにくいのが残念です。…かといって字幕を付けるというわけにもいかないしなあ。
言葉の違いによるデスコミュニケーションはこの後でもまた描かれるんですが、それも同じ方式でやるんでしょうか?

今回は絵はなかなかよいところもあったし、逆に「うーん」と思った部分もありました。全部を高いレベルで統一するのは難しいから仕方ないけれども。秀英くんの声が想像していたのより幼くて違和感をおぼえましたが、韓国棋院での回想シーンなどは動きと声があることで原作よりも彼の苦しみが伝わってきました。そのあたりはよかったです。

「GOGO囲碁」は本因坊秀策の故郷・因島に。…同じアングルからのカットが多かったのは、わざとかなあ。思わず映像に見入ってしまいました。

さて、次回はターニングポイントとなる、重要な話なのでお見逃しのないように。


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