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【アニメ ヒカルの碁 第45局「ヒカルVS越智」】 02/08/25

今回はすばらしかったです。作画も脚本も演出も。プロ試験編クライマックスにふさわしい、勢いのある話に仕上がっていました。これだけ手放しで絶賛できるのは最初の数話以来かも。原作では19ページで一話、アニメでは一話の半分の長さにあたりますが、その長さの中でリズムを作りますが、アニメでは原作二話分、30分でひとつのまとまりになりますから、その長さでうまく起伏のある流れになるようにエピソードを削ったり付け加えたりして構成しなおしたなあと思います。演出はちょっと大げさだけど、私はこういうのはドラマティックで好きですし。
作画もヒカルはかわいい&カッコよくて、越智くんも迫力あったし、アキラもきれいだったし。あと、飯島くんが妙にいい男になってましたねぇ。ただ、和谷くんと伊角さんの作画は微妙でしたが。

対局前の舌戦は、当初越智くんがアキラの名前を出してヒカルの動揺を誘ったものの、ヒカルにアキラの本意がバレてしまい、逆にヒカルを燃え上がらせるだけに。
それにしてもあのアキラは生霊というか、スタンドとでもいうか。ある意味、今回の越智くんとヒカルの対局は、アキラと佐為の「スタンド対決」なのかも。
このふたりのやりとりは越智くんのアキラへの微妙な嫉妬の感情もおもしろいですが、やはりなんといってもアキラのまわりくどいヒカルへの執着と、そのアキラの背中をまっすぐ追いけるヒカルの熱意、そのふたりの情熱が(直接でないにせよ)交わったのが今回であると言えるのではないでしょうか。
少年マンガにはこのようなじれったいライバル関係は珍しいのではないかと思います。でもこの「誤解と思いこみとすれ違いから始まった追いかけっこ」が私は「ヒカルの碁」という作品の構造のおもしろさではないかと思っています。
アキラの場合、そんな回りくどいことしなくても、ヒカルの家にいって「一局打ってくれ」といえば済むことなんですが。…アキラの場合は同年代で初めてみつけたライバルにコテンパンにされて、焦がれて相手に近づこうとすれば拒否され、やっとのことで叶った対局では失望させられる。しかも、それでもまた可能性をみせられて混乱した挙句、「もう会わない」と言ってしまう。その言葉のために気になっても自分から近づくこともできない。アキラはただでさえ何かに夢中になったら周りが見えなくなる性格ですから。
一方、ヒカルの方もアキラが見ているのは佐為であって自分ではない、という焦燥感があって。だからこそ、正面から対峙できるだけのカをつけるまでは会いに行くわけにもいかないのだから。
ヒカルがプロ試験に合格できたら、やっとアキラとの戦いのスタートラインに立てます。果たしてヒカルはそこに立つことができるのでしょうか。

原作との違い。
(1)どんな明日だろう
飯島くんの「どんな明日だろう オレたちの明日って」という呟きには原作では憂い顔の奈瀬ちゃんと飯島くんがかぶさってきてましたが、アニメでは椿さん、片桐さん、本田くん、フク、小宮くんなどすでにプロ試験の不合格が決まった面々が真剣な顔で会場に向ってくるショットが被さっています。
(2)試験開始前
ジンクスである「手に押した白星のハンコ」をみるヒカルはアニメオリジナル。
椿さんがヒカルに「ガンバレ」とでもいうような合図を送って、それにヒカルがこたえるショットはアニメオリジナルです。これは嬉しいミニエピソードでした。
また、院生師範のモノローグはアニメオリジナルです。プロ試験最終日、合格を決めたものも今日で合格が決まるものもすでに不合格が決まったものも、最後まで誇りを持って打ってほしい、この三ヶ月は決してムダではないのだ…と。
(3)ヒカルの回想
ヒカルが今までの自分とアキラの間にあった出来事を回想するシーンは原作の方が細かく思いだしていました。アニメでその部分を削ったのは、全体の流れの問題かな。
(4)対局解説
佐為の盤面解説と、越智くんの対局中のモノローグは原作よりもアニメの方が細かく詳しくなっています。
アニメは盤面の俯瞰ショットが多く、ヒカルの手をヨむ越智くんの脳裏に盤面の進行が見えるなど、対局の流れはアニメの方がわかりやすくなっています。
(5)食事打ちかけ
原作にはないシーンです。アニメでは伊角さんは心の中で「このままいけば勝てる」と考えていて、和谷くんは何気なくヒカルと目があったあとについ避けるように行ってしまうシーンが。


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